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第13話
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「あっははは——ッァ⁉︎ またお前達か‼︎」
楽しそうに取材を受けていた村長だが、田代と藤岡の二人の姿を見て豹変した。
カメラマンを押し退けて、二人に殴りかかりそうな勢いで向かっていった。
「いい加減しろよ‼︎ ここは私の家だぞ‼︎ 入りたいなら、家宅なんとかかんとかを持って来い‼︎」
村長が言いたかったのは、家宅捜索令状のことだが、それは些細(ささい)なことだ。
持ってなくても、田代は気にせずに敷地に入ると、村長と向かい合った。
「事件の犯人が分かりました」
「はぁー? 誰だ!」
「あなたですよ、村長」
そして、村長に向かって、犯人が誰だか言った。
「はぁっ? ……あっははは! 私が犯人だって! それは面白い冗談だ! いや、本気の方が面白いな! どういう頭で考えれば、私が犯人になるのか、是非教えて欲しいものだ! テレビの皆さんもそう思いますよねぇ~?」
犯人だと名指しされた村長は一瞬呆れた顔になると、すぐに大笑いを始めた。
見当違いも甚(はなは)だしいと、間抜けな警察官を大笑いしている。
テレビカメラと他所者、村人達も何を馬鹿な、と村長と一緒に笑っている。
「では、そうしましょうか」
「……何だと?」
けれども、田代も軽く笑い返すと、事件の真相を話し出した。
「まずは被害者・田中勇雄さんが殺された理由からお話しましょうか。その理由は遺産目当てですよ。勇雄さんの奥さんはすでに亡くなり、お子さんはいません。勇雄さんが亡くなれば、その遺産は遠い親戚筋が相続することになるでしょう。そのことは住民名簿を持っている村長がよくご存知のはずですよ」
「何かと思えば、そんなことで犯人呼ばわりか? 勇雄に子供がいないことは、村人なら誰でも知っている」
得意気に話し始めた田代だったが、住民名簿を持ってなくても、村人の多くが知っている情報だった。
庭にいる30人程の村人が、村長に同意するように小さく頷いている。
「そうかもしれませんね。では、次は被害者の隣人である田中悦子さんにお話を伺いましょうか。ちょうどそちらにいらっしゃるようですから」
「えっ? わ、私ですか⁉︎」
小太りの女性は傍観者の一人だったが、田代に呼ばれたことで、当事者にされてしまった。
そんな当事者に田代は話しながら近づいていく。
「あなたにお伝えすることがあります。残念ながら、被害者宅から遺言書は見つかりませんでした。お世話したのが無駄になってしまいましたね」
「あぁーそのことですか! あんなの冗談ですよ! お金が欲しくてお世話してたんじゃないですよぉ~!」
被害者の家からは遺言書は見つからなかった。
目当ての7000万円が貰えずに、悦子が落ち込むと思ったが、本人は冗談だと笑っている。
そんな悦子に向かって、田代はさらに続けた。
「おや? そうですか。あんなにハッキリと遺言書があると言っていたので、私はてっきり村長と結託して、偽の遺言書を被害者の家に置いていると思ってしまいましたよ」
「な、な、な、な、何言ってるんですか‼︎ 名誉毀損で訴えますよ‼︎」
「そうだ、訴えるぞ‼︎ 私だけじゃなく、無関係の住民まで犯人呼ばわりか‼︎ これは冤罪だぞ‼︎」
田代の迷推理を村長と悦子は笑って聞いていたが、ついに我慢の限界を迎えたらしい。
犯人呼ばりだけじゃなく、金目当てに偽の遺言書まで作ったと言われて、ついに激怒した。
楽しそうに取材を受けていた村長だが、田代と藤岡の二人の姿を見て豹変した。
カメラマンを押し退けて、二人に殴りかかりそうな勢いで向かっていった。
「いい加減しろよ‼︎ ここは私の家だぞ‼︎ 入りたいなら、家宅なんとかかんとかを持って来い‼︎」
村長が言いたかったのは、家宅捜索令状のことだが、それは些細(ささい)なことだ。
持ってなくても、田代は気にせずに敷地に入ると、村長と向かい合った。
「事件の犯人が分かりました」
「はぁー? 誰だ!」
「あなたですよ、村長」
そして、村長に向かって、犯人が誰だか言った。
「はぁっ? ……あっははは! 私が犯人だって! それは面白い冗談だ! いや、本気の方が面白いな! どういう頭で考えれば、私が犯人になるのか、是非教えて欲しいものだ! テレビの皆さんもそう思いますよねぇ~?」
犯人だと名指しされた村長は一瞬呆れた顔になると、すぐに大笑いを始めた。
見当違いも甚(はなは)だしいと、間抜けな警察官を大笑いしている。
テレビカメラと他所者、村人達も何を馬鹿な、と村長と一緒に笑っている。
「では、そうしましょうか」
「……何だと?」
けれども、田代も軽く笑い返すと、事件の真相を話し出した。
「まずは被害者・田中勇雄さんが殺された理由からお話しましょうか。その理由は遺産目当てですよ。勇雄さんの奥さんはすでに亡くなり、お子さんはいません。勇雄さんが亡くなれば、その遺産は遠い親戚筋が相続することになるでしょう。そのことは住民名簿を持っている村長がよくご存知のはずですよ」
「何かと思えば、そんなことで犯人呼ばわりか? 勇雄に子供がいないことは、村人なら誰でも知っている」
得意気に話し始めた田代だったが、住民名簿を持ってなくても、村人の多くが知っている情報だった。
庭にいる30人程の村人が、村長に同意するように小さく頷いている。
「そうかもしれませんね。では、次は被害者の隣人である田中悦子さんにお話を伺いましょうか。ちょうどそちらにいらっしゃるようですから」
「えっ? わ、私ですか⁉︎」
小太りの女性は傍観者の一人だったが、田代に呼ばれたことで、当事者にされてしまった。
そんな当事者に田代は話しながら近づいていく。
「あなたにお伝えすることがあります。残念ながら、被害者宅から遺言書は見つかりませんでした。お世話したのが無駄になってしまいましたね」
「あぁーそのことですか! あんなの冗談ですよ! お金が欲しくてお世話してたんじゃないですよぉ~!」
被害者の家からは遺言書は見つからなかった。
目当ての7000万円が貰えずに、悦子が落ち込むと思ったが、本人は冗談だと笑っている。
そんな悦子に向かって、田代はさらに続けた。
「おや? そうですか。あんなにハッキリと遺言書があると言っていたので、私はてっきり村長と結託して、偽の遺言書を被害者の家に置いていると思ってしまいましたよ」
「な、な、な、な、何言ってるんですか‼︎ 名誉毀損で訴えますよ‼︎」
「そうだ、訴えるぞ‼︎ 私だけじゃなく、無関係の住民まで犯人呼ばわりか‼︎ これは冤罪だぞ‼︎」
田代の迷推理を村長と悦子は笑って聞いていたが、ついに我慢の限界を迎えたらしい。
犯人呼ばりだけじゃなく、金目当てに偽の遺言書まで作ったと言われて、ついに激怒した。
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