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生六話 さん、じゃねえよ。ちゃん、だろうがあー‼︎
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「そう落ち込む事ないですよ。プロでもたまに間違う事もありますから」
「くぅぅぅ!」
床の雑草と毒草を布袋に詰め込んでいると、笑顔で店長が言ってきた。
ペトラの所為でバンダナの息子バンから、バンダナの息子バカになってしまった。
もうこの店には二度と買い物に来ない。別のもっと良い薬屋を探してやる。
「すみません、床を汚してしまって。でも、ペトラがあれが薬草だと言ったので、俺はそれを信じただけです。俺が間違ったわけじゃないですからね」
床を雑草についていた土で汚してしまったので、ムカツクけど頭を下げて謝った。
でも、勘違いしてもらったら困る。私はペトラに騙された被害者だ。
「ペトラさんが? はぁぁ、そんなわけないでしょう。自分の失敗を人の所為にするのは駄目ですよ」
「いやいや、本当ですって! ペトラが臭い匂いの草は全部薬草だって言ったんです!」
「ペトラさんがそんな事言うわけないです。いい加減な嘘はやめていただきたい。ペトラさんは立派な大人の女性です。そんな子供みたいな嘘吐きませんよ」
キチンと否定しているのに、コイツ全然信じていない。
ペトラの信用度が異常に高い。私の方が歳上の大人の女だ。
子供に完璧に騙されたけど、ペトラよりも胸ないけど、歳上の大人の女なんだ。
これだけは確かだ。
「本当ですって! ペトラが——」
「はいはい、分かっています。お金が足りないんですよね? 銀貨七枚です。道草拾っているような、あなたのような人が持っているとは思っていません。まったくペトラさんも付き合う人は選んだ方がいいのに……まあ、お隣さんならそれも難しいですね。ラナさんが亡くなるまで待つつもりでしたが、これは結婚を急いだ方がいいかもしれませんね」
「くぅぅぅ!」
拳を握り締めたけど、殴りたいけど、大人だから我慢する。
店長が私の話を聞かずに勝手に素行の悪い隣人に決めつけた。
お金なら金貨持っている。ペトラと同じ貧乏人じゃない。
(えっ、結婚……? ラナさんが亡くなるまで?)
馬鹿な貧乏人だと思われたのも凄く気になるけど、もっと気になる事がある。
店長の話を要約すると、この店長とペトラがラナさんが亡くなったら結婚する予定になっている。
歳の差三十はありそうな歳の差婚だ。オジ様好きの私が言いたくないけど、結婚する男は選んだ方がいい。
前髪上げても絶対イケメンじゃないし、性格悪くて上から目線だ。束縛DV旦那確定だ。
しかも、十年か二十年後には介護までしないといけない可能性がある。
今まで苦労してきたペトラが、さらに人生を棒に振るうような真似を見過ごす事は出来ない。
神父が訊く前に、この結婚に異議を唱えるに決まっている。
「結婚って……まだ早過ぎるでしょ。ペトラは十二歳ですよ。薬草と毒草の違いも分からない子供に結婚は早過ぎます。ペトラと結婚するなら、最低でも二十歳を過ぎて、大人の考えが出来るようになった後でも遅くないですよ」
子供相手にいい大人が情けない、そんな感じの呆れた顔で言ってやった。それなのに……
「ペトラさんは充分に大人です」
またこれだ。苦労したから、同い年の子供よりも少し精神的に大人になっていたとしても子供は子供だ。
そんな子供にお母さんが亡くなったら、僕が面倒見ますから結婚しましょう。安心していいですよ……
みたいな事を言う大人の方がどうかしている。言ったかどうか知らないけど、そう言ったはずだ。
「思わず撫で回したくなる細長い手足に、小さく膨らんだ胸とお尻。栗色の傷んだ長い髪は私の作った洗髪剤で、私の手で綺麗にしてあげたくなる。あのボロボロの安い服も綺麗で可愛い物に変えなくては。笑顔が素敵な私の天使には似つかわしくない物だ——」
ゾクゾクゾク‼︎
(ひいいい‼︎)
恍惚の表情で語り出した店長の所為で、お尻から背筋に向かって恐ろしい寒気が走った。
私とした事が油断した。精神的に大人扱いしてるんじゃなくて、肉体的に大人扱いしていた。
道理で若い女の子が好きそうな店の外観だと思った。この店長、ゴキブリ(ロリコン)だ‼︎
「嫌あああーッ‼︎」
左胸から包丁小を取り出し、高速でフライパンに変えると、目の前のゴキブリの顔面を叩き潰した。
グシャァ‼︎
「はぐぅ……‼︎」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ねえー‼︎」
「ハグっ、ハグっ、ハグっ、ハグっ……‼︎」
床に倒れたゴキブリの顔に、さらにフライパンの底を何度も叩きつける。
ゴキブリはしぶといから容赦したらいけない。
パシィ‼︎
「ひいいい‼︎」
ほら、言った通りだ。顔面を叩かれながらも、フライパンを振り下ろす私の両腕を掴んで止めた。
「ハァハァ、ハァハァ、この細くてスベスベの肌……あなたもしかして女の子ですか?」
「い、嫌あああーッ‼︎」
普通に二の腕を撫で回された、
気持ち悪さに失神する前に右腕を振り上げ、ゴキブリの顔面に殺す気で打ち込んだ。
「にゃああッ‼︎」
「ごべえっ……‼︎ はぐぶぅ、はぐぶぅ……‼︎」
何度も何度も何度も打ち込んだ。このゴキブリは生きてていいゴキブリじゃない。
社会的な抹殺じゃ足りない。完全に始末しないと安心して街で暮らせない。
「ハァハァ、ハァハァ! さんじゃねえよ……『ちゃん』だろうがあー‼︎」
床から立ち上がると、半殺しにしたゴキブリを見下ろし言ってやった。
小さな子供をさん付けする奴はとにかくゴキブリだ。
「くぅぅぅ!」
床の雑草と毒草を布袋に詰め込んでいると、笑顔で店長が言ってきた。
ペトラの所為でバンダナの息子バンから、バンダナの息子バカになってしまった。
もうこの店には二度と買い物に来ない。別のもっと良い薬屋を探してやる。
「すみません、床を汚してしまって。でも、ペトラがあれが薬草だと言ったので、俺はそれを信じただけです。俺が間違ったわけじゃないですからね」
床を雑草についていた土で汚してしまったので、ムカツクけど頭を下げて謝った。
でも、勘違いしてもらったら困る。私はペトラに騙された被害者だ。
「ペトラさんが? はぁぁ、そんなわけないでしょう。自分の失敗を人の所為にするのは駄目ですよ」
「いやいや、本当ですって! ペトラが臭い匂いの草は全部薬草だって言ったんです!」
「ペトラさんがそんな事言うわけないです。いい加減な嘘はやめていただきたい。ペトラさんは立派な大人の女性です。そんな子供みたいな嘘吐きませんよ」
キチンと否定しているのに、コイツ全然信じていない。
ペトラの信用度が異常に高い。私の方が歳上の大人の女だ。
子供に完璧に騙されたけど、ペトラよりも胸ないけど、歳上の大人の女なんだ。
これだけは確かだ。
「本当ですって! ペトラが——」
「はいはい、分かっています。お金が足りないんですよね? 銀貨七枚です。道草拾っているような、あなたのような人が持っているとは思っていません。まったくペトラさんも付き合う人は選んだ方がいいのに……まあ、お隣さんならそれも難しいですね。ラナさんが亡くなるまで待つつもりでしたが、これは結婚を急いだ方がいいかもしれませんね」
「くぅぅぅ!」
拳を握り締めたけど、殴りたいけど、大人だから我慢する。
店長が私の話を聞かずに勝手に素行の悪い隣人に決めつけた。
お金なら金貨持っている。ペトラと同じ貧乏人じゃない。
(えっ、結婚……? ラナさんが亡くなるまで?)
馬鹿な貧乏人だと思われたのも凄く気になるけど、もっと気になる事がある。
店長の話を要約すると、この店長とペトラがラナさんが亡くなったら結婚する予定になっている。
歳の差三十はありそうな歳の差婚だ。オジ様好きの私が言いたくないけど、結婚する男は選んだ方がいい。
前髪上げても絶対イケメンじゃないし、性格悪くて上から目線だ。束縛DV旦那確定だ。
しかも、十年か二十年後には介護までしないといけない可能性がある。
今まで苦労してきたペトラが、さらに人生を棒に振るうような真似を見過ごす事は出来ない。
神父が訊く前に、この結婚に異議を唱えるに決まっている。
「結婚って……まだ早過ぎるでしょ。ペトラは十二歳ですよ。薬草と毒草の違いも分からない子供に結婚は早過ぎます。ペトラと結婚するなら、最低でも二十歳を過ぎて、大人の考えが出来るようになった後でも遅くないですよ」
子供相手にいい大人が情けない、そんな感じの呆れた顔で言ってやった。それなのに……
「ペトラさんは充分に大人です」
またこれだ。苦労したから、同い年の子供よりも少し精神的に大人になっていたとしても子供は子供だ。
そんな子供にお母さんが亡くなったら、僕が面倒見ますから結婚しましょう。安心していいですよ……
みたいな事を言う大人の方がどうかしている。言ったかどうか知らないけど、そう言ったはずだ。
「思わず撫で回したくなる細長い手足に、小さく膨らんだ胸とお尻。栗色の傷んだ長い髪は私の作った洗髪剤で、私の手で綺麗にしてあげたくなる。あのボロボロの安い服も綺麗で可愛い物に変えなくては。笑顔が素敵な私の天使には似つかわしくない物だ——」
ゾクゾクゾク‼︎
(ひいいい‼︎)
恍惚の表情で語り出した店長の所為で、お尻から背筋に向かって恐ろしい寒気が走った。
私とした事が油断した。精神的に大人扱いしてるんじゃなくて、肉体的に大人扱いしていた。
道理で若い女の子が好きそうな店の外観だと思った。この店長、ゴキブリ(ロリコン)だ‼︎
「嫌あああーッ‼︎」
左胸から包丁小を取り出し、高速でフライパンに変えると、目の前のゴキブリの顔面を叩き潰した。
グシャァ‼︎
「はぐぅ……‼︎」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ねえー‼︎」
「ハグっ、ハグっ、ハグっ、ハグっ……‼︎」
床に倒れたゴキブリの顔に、さらにフライパンの底を何度も叩きつける。
ゴキブリはしぶといから容赦したらいけない。
パシィ‼︎
「ひいいい‼︎」
ほら、言った通りだ。顔面を叩かれながらも、フライパンを振り下ろす私の両腕を掴んで止めた。
「ハァハァ、ハァハァ、この細くてスベスベの肌……あなたもしかして女の子ですか?」
「い、嫌あああーッ‼︎」
普通に二の腕を撫で回された、
気持ち悪さに失神する前に右腕を振り上げ、ゴキブリの顔面に殺す気で打ち込んだ。
「にゃああッ‼︎」
「ごべえっ……‼︎ はぐぶぅ、はぐぶぅ……‼︎」
何度も何度も何度も打ち込んだ。このゴキブリは生きてていいゴキブリじゃない。
社会的な抹殺じゃ足りない。完全に始末しないと安心して街で暮らせない。
「ハァハァ、ハァハァ! さんじゃねえよ……『ちゃん』だろうがあー‼︎」
床から立ち上がると、半殺しにしたゴキブリを見下ろし言ってやった。
小さな子供をさん付けする奴はとにかくゴキブリだ。
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