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第二章・騎士団入団編
第93話 地下階段と顔だけ美少年先輩
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「すみません。誰か居ませんか?」
木扉を何度も叩いて、呼びかけたけど、返事が返ってこない。
仕方ないので、丸い銅色のドアノブを回してみると、鍵は掛かっていなかった。
「入りますよぉー? 入ちゃいますよぉー? 入りましたよぉー?」
三回尋ねても返事が返ってこなかった場合は、村ルールでは家の中に入っても問題ない。
黒い三角屋根に汚れたレンガの壁を持つ、建物の木扉を開けて中に入った。
これだけ言って、入ったんだから文句はないはずだ。
「誰もいないねぇ?」
「一応、人の匂いはするから空き家じゃないと思うよ」
玄関前の部屋には、長方形の机と椅子が一つずつ置かれていた。
だけど、椅子には誰も座っていない。家主は出掛けているようだ。
待っていれば、昼ご飯か、寝る時に帰って来るだろう。
「ここで間違いないんでしょ? だったら、家の中を隅々まで探すわよ」
「そうだね。どんなのがあるのか見たいよね」
「いやいや、流石にそれはマズイよ!」
「大丈夫、大丈夫!」
女性二人は遠慮という言葉を知らないようだ。
見ず知らずの他人の家の中を勝手に調べ始めた。
一応注意したけど、エイミーの家の半分程の大きさしかない。
パパッと調べれば、家主が帰る前に調べ終わるだろう。
「ここトイレじゃないわよ! 地下に続く階段があったわよ!」
「えっ、本当!」
調べ始めて一分。早速、メリッサが地下階段を発見したようだ。
もっと分かりにくい場所に作るとか、扉に鍵を付けた方がいい。
見つけてくれと言っているようなものだ。
この流れだと、階段の下も調べないといけなくなる。
「流石にこれ以上はマズイよ。絶対に怒られるよ」
「別にいいでしょ。これから一緒に仕事するんだから。さっさと下りて挨拶するのが普通よ」
紹介状を貰って仕事をするのは俺とエイミーだけで、メリッサは完全な部外者だ。
そんなメリッサが階段を下りたいようだけど、俺は一般常識で行動した方がいいと思う。
仮にも騎士団の建物だ。勝手に動き回って言い分けない。
「じゃあ、ルディが先頭だね。万が一に何かあった時は守ってね」
「そうそう。こういう時は男が先頭に立つのが普通ね」
(はいはい。俺はどうせ都合が良い男ですからね。分かってましたよ)
段差が低い階段をエイミーとメリッサに、背中を押されて下りていく。
分かっていると思うけど、俺は自動的に持ち主を守る人型の盾じゃない。
(海賊船から奪った睡眠ガスを、あとで絶対に使ってやるからな)
心の中で文句を言いながら、斜めに続く長い階段を下りていく。
おそらく小島の真下じゃなくて、コルトの街の真下に続いていると思う。
(人の匂いがする。最低でも三人。それに薬屋で嗅いだ事のある匂いが沢山する)
壁に光る石を埋め込まれた、細く長い階段を下り続けると、やっと終わりが見えた。
階段が終わった先には、廊下と明るい光が見える。
戦闘準備に腕の両爪を用意したいけど、それだと完全な強盗になってしまう。
ここから先は可愛い女の子を先頭にして、『ごめんなさい、道に迷ってしまって……』で行きたい。
もちろん、そんなおちょこちょいな女の子はいないけど、俺よりは可愛い女の子の方が良いだろう。
俺みたいな大きな男が家の中に突然入って来たら、誰だって悲鳴を上げるはずだ。
「ここから先は——」
「今度は廊下だね。罠とかありそうだね」
「あぁーあ、落とし穴とか、毒矢とかだよね」
「うん、私達だと死んじゃうよ」
そう思っているなら、引き返した方がいいでしょう。
俺の提案は話す前に、エイミーとメリッサに拒否された。
階段と同じように俺を先頭に廊下を進み続ける。
でも、階段と違って今度はそこまで長くないようだ。
廊下の先に机の置かれた部屋が見えた。どうやら仕事場に到着したようだ。
「〝アイシクルボウ〟」
「ひぃっ⁉︎」
「止まれ。一歩でも動ければ、次は全身を串刺しにする。誰だ、お前?」
廊下から部屋に入ろうとした瞬間、足元に氷の杭のようなものが飛んで来た。
ほら、やっぱり怒られた。しかも、お前達じゃなくて、お前だよ。
何で、反対していた俺だけが怒られるんだよ。
「お、俺達はシルビアさんから紹介状を貰って働きにきた者です。上に誰もいなかったので、階段を下りてきました。すみません」
チラッと円形の部屋の右側にいる男を見ながら、俺が代表して答えて謝った。
透き通るような水色の髪の美少年が、四角い机に両足を乗っけて、椅子に座っている。
着ている服は騎士団の制服に似ているけど、黒いズボンと違って、上着の色は青色だった。
円形の部屋には六つの机が置かれていて、六つの通路がある。
部屋にはそれ以外は何も見当たらないし、机に座っているのは美少年一人だけだ。
こんな場所で椅子に座るのが仕事だとしたら、退屈で死にそうになる。
「あのジジイはまたサボりやがったな……お前達の事は変態女からの手紙で知っている。確か白茶色の髪の男と薄紫色の髪の女の二人だったはずだ。その黒髪の女は誰だ?」
ホッ。ここが調査部で間違いないようだ。
机から足を下ろした先輩が、俺の後ろに隠れている女の子二人を睨んでいる。
先輩の態度がちょっと悪いけど、十三歳ぐらいの子供だから仕方ない。
あのぐらいの子供はちょうど生意気盛りだ。
「この子はメリッサです。俺達が乗っていた船の船員で、海賊船に襲われて船が沈没したので、働く場所がないそうです。ちなみに海賊船の3級相当の実力を持つ船長は俺が倒しました」
「3級の海賊と言えば、ゼルドか。はぁっ? 倒しただと? じゃあ何故、その男の目撃情報が届いているんだ?」
「えっ?」
先輩は机の上の書類を丸めて、俺に投げつけてきた。
床に落ちている紙を拾うには一歩どころ、三歩は動かないといけない。
「何をやっている? さっさと拾って、確かめろ」
「あっ、はい……」
やっぱり動いていいみたいだ。
でも、この先輩は性格が悪そうだから、動いた瞬間に攻撃するかもしれない。
そう思いながらも、拾わないといけない雰囲気なので、丸められた紙を拾って広げた。
(えーっと、海賊三人による強盗殺人事件。発生したのは昨日か)
紙に書かれている内容を読んでいく。
事件が起きた場所は、港とコルトの街の間にある村だそうだ。
そこに負傷した青髪の海賊を連れた二人の海賊がやって来て、食糧と金品、回復薬を奪ったそうだ。
ゼルドは確かに青髪だったけど、人違いの可能性も十分にあると思う。
「おそらく山の中に隠れて、怪我の治療でもするつもりなんだろう。3級だとそこら辺の兵士だと返り討ち遭うだけだ。人員も勿体ないから、お前の所為で調査部の戦闘員が一人動く事になってしまった」
「すみません」
乗客達に何度も言われた『お前の所為』を、ここでも聞く事になるとは思わなかった。
とりあえず謝らないと、反抗的な奴だと先輩達にイジメられる事になる。
馬車の旅で覚えた『我慢』で耐え抜いた。
「別に謝る必要はない。船に乗っていた時は、お前は一般人だったんだからな。だが、ここで働くつもりならば失敗は許されない。絶対にだ」
「はい、もう二度と失敗しません!」
「俺が言いたい事はそれだけだ。お前達の仕事場は、この通路の先にいる女の所だ。他の通路に入ったら殺す。馬鹿な頭でもそのぐらいは覚えられるな?」
「はい、他の通路には指一本、足一本入りません!」
先輩の殺気と威圧感が凄いので、本能で従った方がいいと理解した。
子供のような見た目だけど、間違いなく俺よりも実力が上だ。危険な男の匂いがする。
「分かったら、さっさと行け。目障りだ」
「はい、失礼しました! さあ、二人とも行くよ!」
「うん。よろしくお願いします」
「お願いしまぁーす」
先輩の一人の時間を邪魔したら悪いので、言われた通路の一つに二人の手を握って急いで入った。
(ふぅー、キールと似たような雰囲気がしたよ。絶対に関わり合いにならない方がいい)
きっと調査部の門番のような人なんだろう。
部外者が入ったら問答無用で惨殺するのが仕事だ。
ついでに趣味で気に入らない人間も殺しているはずだ。
あの先輩はそういう人間だ。
「何、アイツ! 顔は結構可愛かったけど、態度が悪すぎよ!」
「でも、一応歓迎してくれているみたいだよ。これから頑張れば認めてくれるよ」
「無理無理。ああいう上から目線の人間は、自分以外の人間は全員馬鹿だと思っているから。何をやっても、まあまあ頑張ったぐらいにしか思わないんだから」
メリッサは円形の部屋から離れると、早速先輩の悪口を言い始めた。
気持ちは分かるけど、俺やエイミーみたいに言いたい気持ちを我慢した方がいい。
誰かに悪口を聞かれたら、新入り達全員が悪口を言っていた事にされてしまう。
「それよりも女の人みたいだよ。どんな人かな?」
二人には悪いけど、俺はちょっと別の事が気になっていた。
顔だけ美少年の毒舌先輩は、この先に女性がいると言っていた。
シルビアと同じぐらいの美女の下で働けるなら、多少激しく罵られても我慢できる。
「さっきの男以外ならマシだと言いたいけど、あれと同じだと最悪ね」
「うん、私もあれと同じだと、ちょっと嫌かな」
「心配しなくていいよ。もしもそうなら、二人の分も俺が怒られるから」
女性に理不尽に怒られるのは、ギルドの受付女性で慣れている。
二人を守って好感度を上げて、美女先輩と二人っきりになった時に睡眠ガス投入だ。
もう怒られるだけの俺じゃない。
♢
木扉を何度も叩いて、呼びかけたけど、返事が返ってこない。
仕方ないので、丸い銅色のドアノブを回してみると、鍵は掛かっていなかった。
「入りますよぉー? 入ちゃいますよぉー? 入りましたよぉー?」
三回尋ねても返事が返ってこなかった場合は、村ルールでは家の中に入っても問題ない。
黒い三角屋根に汚れたレンガの壁を持つ、建物の木扉を開けて中に入った。
これだけ言って、入ったんだから文句はないはずだ。
「誰もいないねぇ?」
「一応、人の匂いはするから空き家じゃないと思うよ」
玄関前の部屋には、長方形の机と椅子が一つずつ置かれていた。
だけど、椅子には誰も座っていない。家主は出掛けているようだ。
待っていれば、昼ご飯か、寝る時に帰って来るだろう。
「ここで間違いないんでしょ? だったら、家の中を隅々まで探すわよ」
「そうだね。どんなのがあるのか見たいよね」
「いやいや、流石にそれはマズイよ!」
「大丈夫、大丈夫!」
女性二人は遠慮という言葉を知らないようだ。
見ず知らずの他人の家の中を勝手に調べ始めた。
一応注意したけど、エイミーの家の半分程の大きさしかない。
パパッと調べれば、家主が帰る前に調べ終わるだろう。
「ここトイレじゃないわよ! 地下に続く階段があったわよ!」
「えっ、本当!」
調べ始めて一分。早速、メリッサが地下階段を発見したようだ。
もっと分かりにくい場所に作るとか、扉に鍵を付けた方がいい。
見つけてくれと言っているようなものだ。
この流れだと、階段の下も調べないといけなくなる。
「流石にこれ以上はマズイよ。絶対に怒られるよ」
「別にいいでしょ。これから一緒に仕事するんだから。さっさと下りて挨拶するのが普通よ」
紹介状を貰って仕事をするのは俺とエイミーだけで、メリッサは完全な部外者だ。
そんなメリッサが階段を下りたいようだけど、俺は一般常識で行動した方がいいと思う。
仮にも騎士団の建物だ。勝手に動き回って言い分けない。
「じゃあ、ルディが先頭だね。万が一に何かあった時は守ってね」
「そうそう。こういう時は男が先頭に立つのが普通ね」
(はいはい。俺はどうせ都合が良い男ですからね。分かってましたよ)
段差が低い階段をエイミーとメリッサに、背中を押されて下りていく。
分かっていると思うけど、俺は自動的に持ち主を守る人型の盾じゃない。
(海賊船から奪った睡眠ガスを、あとで絶対に使ってやるからな)
心の中で文句を言いながら、斜めに続く長い階段を下りていく。
おそらく小島の真下じゃなくて、コルトの街の真下に続いていると思う。
(人の匂いがする。最低でも三人。それに薬屋で嗅いだ事のある匂いが沢山する)
壁に光る石を埋め込まれた、細く長い階段を下り続けると、やっと終わりが見えた。
階段が終わった先には、廊下と明るい光が見える。
戦闘準備に腕の両爪を用意したいけど、それだと完全な強盗になってしまう。
ここから先は可愛い女の子を先頭にして、『ごめんなさい、道に迷ってしまって……』で行きたい。
もちろん、そんなおちょこちょいな女の子はいないけど、俺よりは可愛い女の子の方が良いだろう。
俺みたいな大きな男が家の中に突然入って来たら、誰だって悲鳴を上げるはずだ。
「ここから先は——」
「今度は廊下だね。罠とかありそうだね」
「あぁーあ、落とし穴とか、毒矢とかだよね」
「うん、私達だと死んじゃうよ」
そう思っているなら、引き返した方がいいでしょう。
俺の提案は話す前に、エイミーとメリッサに拒否された。
階段と同じように俺を先頭に廊下を進み続ける。
でも、階段と違って今度はそこまで長くないようだ。
廊下の先に机の置かれた部屋が見えた。どうやら仕事場に到着したようだ。
「〝アイシクルボウ〟」
「ひぃっ⁉︎」
「止まれ。一歩でも動ければ、次は全身を串刺しにする。誰だ、お前?」
廊下から部屋に入ろうとした瞬間、足元に氷の杭のようなものが飛んで来た。
ほら、やっぱり怒られた。しかも、お前達じゃなくて、お前だよ。
何で、反対していた俺だけが怒られるんだよ。
「お、俺達はシルビアさんから紹介状を貰って働きにきた者です。上に誰もいなかったので、階段を下りてきました。すみません」
チラッと円形の部屋の右側にいる男を見ながら、俺が代表して答えて謝った。
透き通るような水色の髪の美少年が、四角い机に両足を乗っけて、椅子に座っている。
着ている服は騎士団の制服に似ているけど、黒いズボンと違って、上着の色は青色だった。
円形の部屋には六つの机が置かれていて、六つの通路がある。
部屋にはそれ以外は何も見当たらないし、机に座っているのは美少年一人だけだ。
こんな場所で椅子に座るのが仕事だとしたら、退屈で死にそうになる。
「あのジジイはまたサボりやがったな……お前達の事は変態女からの手紙で知っている。確か白茶色の髪の男と薄紫色の髪の女の二人だったはずだ。その黒髪の女は誰だ?」
ホッ。ここが調査部で間違いないようだ。
机から足を下ろした先輩が、俺の後ろに隠れている女の子二人を睨んでいる。
先輩の態度がちょっと悪いけど、十三歳ぐらいの子供だから仕方ない。
あのぐらいの子供はちょうど生意気盛りだ。
「この子はメリッサです。俺達が乗っていた船の船員で、海賊船に襲われて船が沈没したので、働く場所がないそうです。ちなみに海賊船の3級相当の実力を持つ船長は俺が倒しました」
「3級の海賊と言えば、ゼルドか。はぁっ? 倒しただと? じゃあ何故、その男の目撃情報が届いているんだ?」
「えっ?」
先輩は机の上の書類を丸めて、俺に投げつけてきた。
床に落ちている紙を拾うには一歩どころ、三歩は動かないといけない。
「何をやっている? さっさと拾って、確かめろ」
「あっ、はい……」
やっぱり動いていいみたいだ。
でも、この先輩は性格が悪そうだから、動いた瞬間に攻撃するかもしれない。
そう思いながらも、拾わないといけない雰囲気なので、丸められた紙を拾って広げた。
(えーっと、海賊三人による強盗殺人事件。発生したのは昨日か)
紙に書かれている内容を読んでいく。
事件が起きた場所は、港とコルトの街の間にある村だそうだ。
そこに負傷した青髪の海賊を連れた二人の海賊がやって来て、食糧と金品、回復薬を奪ったそうだ。
ゼルドは確かに青髪だったけど、人違いの可能性も十分にあると思う。
「おそらく山の中に隠れて、怪我の治療でもするつもりなんだろう。3級だとそこら辺の兵士だと返り討ち遭うだけだ。人員も勿体ないから、お前の所為で調査部の戦闘員が一人動く事になってしまった」
「すみません」
乗客達に何度も言われた『お前の所為』を、ここでも聞く事になるとは思わなかった。
とりあえず謝らないと、反抗的な奴だと先輩達にイジメられる事になる。
馬車の旅で覚えた『我慢』で耐え抜いた。
「別に謝る必要はない。船に乗っていた時は、お前は一般人だったんだからな。だが、ここで働くつもりならば失敗は許されない。絶対にだ」
「はい、もう二度と失敗しません!」
「俺が言いたい事はそれだけだ。お前達の仕事場は、この通路の先にいる女の所だ。他の通路に入ったら殺す。馬鹿な頭でもそのぐらいは覚えられるな?」
「はい、他の通路には指一本、足一本入りません!」
先輩の殺気と威圧感が凄いので、本能で従った方がいいと理解した。
子供のような見た目だけど、間違いなく俺よりも実力が上だ。危険な男の匂いがする。
「分かったら、さっさと行け。目障りだ」
「はい、失礼しました! さあ、二人とも行くよ!」
「うん。よろしくお願いします」
「お願いしまぁーす」
先輩の一人の時間を邪魔したら悪いので、言われた通路の一つに二人の手を握って急いで入った。
(ふぅー、キールと似たような雰囲気がしたよ。絶対に関わり合いにならない方がいい)
きっと調査部の門番のような人なんだろう。
部外者が入ったら問答無用で惨殺するのが仕事だ。
ついでに趣味で気に入らない人間も殺しているはずだ。
あの先輩はそういう人間だ。
「何、アイツ! 顔は結構可愛かったけど、態度が悪すぎよ!」
「でも、一応歓迎してくれているみたいだよ。これから頑張れば認めてくれるよ」
「無理無理。ああいう上から目線の人間は、自分以外の人間は全員馬鹿だと思っているから。何をやっても、まあまあ頑張ったぐらいにしか思わないんだから」
メリッサは円形の部屋から離れると、早速先輩の悪口を言い始めた。
気持ちは分かるけど、俺やエイミーみたいに言いたい気持ちを我慢した方がいい。
誰かに悪口を聞かれたら、新入り達全員が悪口を言っていた事にされてしまう。
「それよりも女の人みたいだよ。どんな人かな?」
二人には悪いけど、俺はちょっと別の事が気になっていた。
顔だけ美少年の毒舌先輩は、この先に女性がいると言っていた。
シルビアと同じぐらいの美女の下で働けるなら、多少激しく罵られても我慢できる。
「さっきの男以外ならマシだと言いたいけど、あれと同じだと最悪ね」
「うん、私もあれと同じだと、ちょっと嫌かな」
「心配しなくていいよ。もしもそうなら、二人の分も俺が怒られるから」
女性に理不尽に怒られるのは、ギルドの受付女性で慣れている。
二人を守って好感度を上げて、美女先輩と二人っきりになった時に睡眠ガス投入だ。
もう怒られるだけの俺じゃない。
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