51 / 102
第一章・風竜編
第51話 追跡報告と眼鏡達とのクエスト選び
しおりを挟む
家に到着すると、庭でお父さんと熊が殴り合っていた。
疲れて帰って来たのに朝稽古なんかに参加したくない。
見つからないように熊の部屋の開いている窓から家の中に入って、二階に上がった。
「はぁ~、エイミーの匂いがする」
自分の部屋ではなく、エイミーの部屋で寝る事にした。
これなら走り込みから帰って来たエイミーが、確実に気付いて起こしてくれる。
寝過ごす心配はしなくていい。
「はぐっ! え、えっ⁉︎」
床の絨毯の上に寝転んで心地よい眠りに落ちていると、突然、腹部を蹴られた。
慌てて飛び起きると汗臭いエイミーが立っていた。
走り込みから帰って来たようだけど、いま蹴り起こしたよね?
「私の部屋で何やってるの? あっ! もしかして、何か分かったから帰って来たの!」
ちょっと怒っている感じだったけど、俺が家に帰って来た理由に気づいたみたいだ。
勝手に部屋に忍び込んで日記帳を見たり、箪笥の引き出しを開けたりしてない。
「フッフ。そうだよ、重要な手掛かりを手に入れたから帰って来たんだよ」
「やっぱり犯人の協力者だったんだね! 最初から二人とも怪しいと思っていたんだよ!」
「うん、まぁ……そうだね」
喜んでいるエイミーには悪いけど、犯人の協力者は眼鏡だけだ。
人を信じる心は大切だと思う。
「レーガンは眼鏡に騙されて利用されているだけだよ。誘拐に協力したのは眼鏡だけで、悪いのは全部眼鏡だよ」
「何だ、そうだったんだ。道理でルディが屋敷のパーティーに行ってなかったら、何度も聞く訳だよ。じゃあ、あとは眼鏡を捕まえるだけだね」
エイミーは眼鏡を捕まえれば事件解決だと思っているようだけど、そんな単純な話じゃないと思う。
「それはちょっと待った方がいいかも」
「えっ? どうして?」
眼鏡を捕まえるのは確かに簡単だ。
お父さんとベアーズとリックの三人掛かりで捕まえてもいい。
ギルドの中で正体をバラして、他の冒険者に協力してもらって捕まえてもいい。
これはちょっと危険だけど協力しない冒険者は怪しいので、他の仲間を見つけるチャンスだ。
でも、今すぐに捕まえるのはやめた方がいいと思う。
眼鏡を捕まえるのは簡単だけど、証拠が一つもない。
あの眼鏡が正直に全部話すと思えないし、話したとしても他の仲間が眼鏡が捕まったと連絡するだけだ。
そうなったら、トカゲの尻尾切りみたいに眼鏡が捨てられて、トカゲ本体には逃げられてしまう。
それだと眼鏡を捕まえる意味がほとんどない。
というか、下っ端眼鏡を捕まえても大した意味はない。
「じゃあ、指名クエストが来るまでは様子を見るしかないんだ」
俺の説明を聞いた後にエイミーはガッカリしている。
これから皆んなで眼鏡を殴りに行くと期待していたのなら、それはない。
「とりあえず信用できそうな人だけに話して、眼鏡と他の隠れた仲間に気づかれないように調べてもらうのが一番だと思う。俺達は哀れな獲物の振りを続けて、眼鏡を油断させるだけだよ」
話す相手はお父さん、冒険者ギルドのミシェルとリディア、騎士団のオースティンだ。
あとは四人で連携を取ってもらえば、眼鏡とその仲間全員を捕まえる事が出来る。
特に手紙の行き先が分かれば最高だ。敵のアジトが分かるかもしれない。
「うーん、待っているだけなんって、つまんないよ。マイクさんがその間に死んじゃうかもしれないのに……」
「それはそうかもしれないけど、必要最小限の犠牲が出てしまうのは仕方ないよ。それに誘拐されて時間が経っているし、もう助けるのは無理かもしれない。今は犯人達を一人残らず捕まえる方がマイクの為だよ」
「うん、そうだね……」
マイクが生きている希望を持つのは大事だけど、誘拐されて一週間以上も経っている。
正直、大切に捕まえられているとは思えない。
エイミーはまだまだ可能性があると思っているけど、それは諦めてもらうしかない。
「俺はもうちょっとだけ寝るから、エイミーはお風呂に入って来なよ。汗臭いよ」
「ふぇ?」
眼鏡達の待ち合わせ時間ギリギリまで寝たいので、ゆっくりと目蓋を閉じた。
やっぱり女子部屋の匂いは最高だぜ。
「はぐっ! えっ、ちょっと、く、苦しいっ!」
「寝るなら自分の部屋で寝てよ! それに臭くないよ!」
突然、怒ったエイミーが腹部を思い切り蹴ると、うつ伏せの俺の身体の上に乗ってきた。
何をするかと思ったら、首に汗臭いタオルを巻いて、両手で思いっきり締めてきた。
「うぐぐぐ、汗臭いけど、嫌な臭さじゃなくて、ムラムラ興奮するような良い臭さだから!」
「全然褒められている気がしないよ!」
気絶という方法で眠るのに協力するつもりなら、その方法は遠慮させてください。
とても苦しいです。
♢
お風呂に入ったり、自分の部屋で寝たりと忙しかった。
そして、俺達は眼鏡達とクエストに行かないといけないので時間がなかった。
なので、お父さんに騎士団のオースティンへの連絡は頼んだ。
これで手紙の行き先は騎士団が追ってくれるはずだ。
あとはわざと説教部屋に呼び出されるような事をして、ミシェル経由でリディアに冒険者の中に怪しい人物がいないか調べてもらうだけだ。
(うん、これであとはやる事はないと思う)
冒険者ギルドに到着すると、普段通りの赤髪と眼鏡の二人が待っていた。
正体がバレていると知らないで、呑気に一緒にどのクエストをやろうかと話しかけてくる。
「チンタラ採取クエストなんて退屈だな。ここは近場の魔物狩りに行こうぜ」
「じゃあ、この害虫駆除でいいんじゃない? 前にもやったみたいだし、ローワンの両親の畑が荒らされたら大変だろ」
「フッ。問題ないですよ。うちの両親ならあの程度の魔物は自分達で倒してしまいます。まあ、冒険者資格がないと素材を買取ってもらえないので、仕方なく私が冒険者になりましたけどね」
8級クエストの害虫・害獣駆除クエスト用紙を持って、眼鏡に聞いてみた。
眼鏡は軽く笑って答えると、クエスト用紙を掲示板に戻してしまった。
このクエストはやりたくないようだ。
もしかすると、今日は家の近くに行かせたくないのかも。
「へぇー、そうだったんだ。お父さん達も強いんだね。どんな人達なの?」
「私の十分の一ぐらいですけどね。今度紹介しますよ」
「えっ、本当に?」
知っている眼鏡の十分の一の強さなら、赤ちゃん並みの弱さだ。
でも、眼鏡の真の実力が凄すぎるなら、8級冒険者ぐらいに強い両親がいる事になる。
そして、8級冒険者の十倍眼鏡が強い事になる。
もう眼鏡が言っている事が冗談なのか、本当なのか分からなくなってきた。
「おいおい、そんなのどうでもいいだろう。ルディがいるなら、今日は難しいクエストでもイケるだろ。俺はコレなんかいいと思うぜ!」
せっかく、眼鏡の両親を偵察できるチャンスだったのに、レーガンが邪魔してきた。
手に持ったクエスト用紙を眼鏡に強引に見せている。
「怪鳥ハーピーの卵採取ですか? 巣がある崖から落ちたら死にますよ。それに登っている最中に怪鳥に襲われます。もう少し簡単なクエストにした方がいいですね」
「これ以上に簡単なクエストは無ぇよ。卵二十個で一万ギル。最大五十個まで買取ってくれるんだぜ」
魔物狩りをしたいと言っていたのに、持ってきたのは採取クエストだった。
どう見ても報酬に釣られて選んだクエストにしか思えない。
「どういう基準で簡単だと思っているのか知りませんが、どう見ても難しいクエストですよ」
「おいおい、何でも一人で勝手に決めるなよ」
このクエストも却下のようだ。眼鏡がクエスト掲示板に用紙を戻した。
多分、レーガンは早く昇級したいから難しいクエストを選んでいる。
逆に眼鏡は冷静に分析して、戦力的に無理だと判断したようだ。
ここは眼鏡の意見を聞いた方がいいけど、今日中に何としても説教部屋に行きたい。
それにレーガンを昇級させたい気持ちもある。
ここはこのクエストを受けた方が良さそうだ。
「難しいと言っても8級クエストでしょう? 四人で協力すれば何とかなるよ」
「はい? 話を聞いていたんですか? いいでしょう。私が説明しましょう」
「いや、クエスト用紙で十分だよ」
「まず——」
クエストが出来るようにちょっと言っただけなのに、眼鏡の長い説明が始まってしまった。
もうこうなったら、誰も眼鏡を止められない。説明が終わるまで待つしかなかった。
パーピーの卵は分離した魔物素材なので、パーピーを倒しても卵は消えないそうだ。
巣がある崖の場所はネイマールの屋敷と街の中間にある。
次に垂直の崖にある巣に行く方法は二つしかないそうだ。
一つは崖の上からロープで下りる方法で、これをやるには山を登る必要があるそうだ。
最短で山を登った場合は、午後三時前後には崖上に到着できるそうだ。
だが、肝心の長くて丈夫なロープを誰も持っていなかった。
この時点でロープ代が発生してしまい、卵を五十個入手しても大赤字になる。
つまりロープで下りる方法は無理だという事だ。
次に二つ目の方法は崖下から登る方法だ。
まずはネイマールの屋敷に続く馬車道を使って、崖の近くまで移動する。
そこからは金属の棒を岩に刺して、それを足場に崖を登って行くそうだ。
運が良ければ、崖にこの足場が残っている可能性もあるそうだが、当然無ければ赤字になる。
「もう分かりましたね。私達は準備不足なんですよ。もう少し頭を使って計画に行動しましょう」
眼鏡がそう言って、眼鏡を指で押し上げた後に、ついでに自分の頭を指で突いて軽く笑った。
ムカつく笑顔だけど、言っている事が正しいだけに誰も言い返す事が出来ない。
♢
疲れて帰って来たのに朝稽古なんかに参加したくない。
見つからないように熊の部屋の開いている窓から家の中に入って、二階に上がった。
「はぁ~、エイミーの匂いがする」
自分の部屋ではなく、エイミーの部屋で寝る事にした。
これなら走り込みから帰って来たエイミーが、確実に気付いて起こしてくれる。
寝過ごす心配はしなくていい。
「はぐっ! え、えっ⁉︎」
床の絨毯の上に寝転んで心地よい眠りに落ちていると、突然、腹部を蹴られた。
慌てて飛び起きると汗臭いエイミーが立っていた。
走り込みから帰って来たようだけど、いま蹴り起こしたよね?
「私の部屋で何やってるの? あっ! もしかして、何か分かったから帰って来たの!」
ちょっと怒っている感じだったけど、俺が家に帰って来た理由に気づいたみたいだ。
勝手に部屋に忍び込んで日記帳を見たり、箪笥の引き出しを開けたりしてない。
「フッフ。そうだよ、重要な手掛かりを手に入れたから帰って来たんだよ」
「やっぱり犯人の協力者だったんだね! 最初から二人とも怪しいと思っていたんだよ!」
「うん、まぁ……そうだね」
喜んでいるエイミーには悪いけど、犯人の協力者は眼鏡だけだ。
人を信じる心は大切だと思う。
「レーガンは眼鏡に騙されて利用されているだけだよ。誘拐に協力したのは眼鏡だけで、悪いのは全部眼鏡だよ」
「何だ、そうだったんだ。道理でルディが屋敷のパーティーに行ってなかったら、何度も聞く訳だよ。じゃあ、あとは眼鏡を捕まえるだけだね」
エイミーは眼鏡を捕まえれば事件解決だと思っているようだけど、そんな単純な話じゃないと思う。
「それはちょっと待った方がいいかも」
「えっ? どうして?」
眼鏡を捕まえるのは確かに簡単だ。
お父さんとベアーズとリックの三人掛かりで捕まえてもいい。
ギルドの中で正体をバラして、他の冒険者に協力してもらって捕まえてもいい。
これはちょっと危険だけど協力しない冒険者は怪しいので、他の仲間を見つけるチャンスだ。
でも、今すぐに捕まえるのはやめた方がいいと思う。
眼鏡を捕まえるのは簡単だけど、証拠が一つもない。
あの眼鏡が正直に全部話すと思えないし、話したとしても他の仲間が眼鏡が捕まったと連絡するだけだ。
そうなったら、トカゲの尻尾切りみたいに眼鏡が捨てられて、トカゲ本体には逃げられてしまう。
それだと眼鏡を捕まえる意味がほとんどない。
というか、下っ端眼鏡を捕まえても大した意味はない。
「じゃあ、指名クエストが来るまでは様子を見るしかないんだ」
俺の説明を聞いた後にエイミーはガッカリしている。
これから皆んなで眼鏡を殴りに行くと期待していたのなら、それはない。
「とりあえず信用できそうな人だけに話して、眼鏡と他の隠れた仲間に気づかれないように調べてもらうのが一番だと思う。俺達は哀れな獲物の振りを続けて、眼鏡を油断させるだけだよ」
話す相手はお父さん、冒険者ギルドのミシェルとリディア、騎士団のオースティンだ。
あとは四人で連携を取ってもらえば、眼鏡とその仲間全員を捕まえる事が出来る。
特に手紙の行き先が分かれば最高だ。敵のアジトが分かるかもしれない。
「うーん、待っているだけなんって、つまんないよ。マイクさんがその間に死んじゃうかもしれないのに……」
「それはそうかもしれないけど、必要最小限の犠牲が出てしまうのは仕方ないよ。それに誘拐されて時間が経っているし、もう助けるのは無理かもしれない。今は犯人達を一人残らず捕まえる方がマイクの為だよ」
「うん、そうだね……」
マイクが生きている希望を持つのは大事だけど、誘拐されて一週間以上も経っている。
正直、大切に捕まえられているとは思えない。
エイミーはまだまだ可能性があると思っているけど、それは諦めてもらうしかない。
「俺はもうちょっとだけ寝るから、エイミーはお風呂に入って来なよ。汗臭いよ」
「ふぇ?」
眼鏡達の待ち合わせ時間ギリギリまで寝たいので、ゆっくりと目蓋を閉じた。
やっぱり女子部屋の匂いは最高だぜ。
「はぐっ! えっ、ちょっと、く、苦しいっ!」
「寝るなら自分の部屋で寝てよ! それに臭くないよ!」
突然、怒ったエイミーが腹部を思い切り蹴ると、うつ伏せの俺の身体の上に乗ってきた。
何をするかと思ったら、首に汗臭いタオルを巻いて、両手で思いっきり締めてきた。
「うぐぐぐ、汗臭いけど、嫌な臭さじゃなくて、ムラムラ興奮するような良い臭さだから!」
「全然褒められている気がしないよ!」
気絶という方法で眠るのに協力するつもりなら、その方法は遠慮させてください。
とても苦しいです。
♢
お風呂に入ったり、自分の部屋で寝たりと忙しかった。
そして、俺達は眼鏡達とクエストに行かないといけないので時間がなかった。
なので、お父さんに騎士団のオースティンへの連絡は頼んだ。
これで手紙の行き先は騎士団が追ってくれるはずだ。
あとはわざと説教部屋に呼び出されるような事をして、ミシェル経由でリディアに冒険者の中に怪しい人物がいないか調べてもらうだけだ。
(うん、これであとはやる事はないと思う)
冒険者ギルドに到着すると、普段通りの赤髪と眼鏡の二人が待っていた。
正体がバレていると知らないで、呑気に一緒にどのクエストをやろうかと話しかけてくる。
「チンタラ採取クエストなんて退屈だな。ここは近場の魔物狩りに行こうぜ」
「じゃあ、この害虫駆除でいいんじゃない? 前にもやったみたいだし、ローワンの両親の畑が荒らされたら大変だろ」
「フッ。問題ないですよ。うちの両親ならあの程度の魔物は自分達で倒してしまいます。まあ、冒険者資格がないと素材を買取ってもらえないので、仕方なく私が冒険者になりましたけどね」
8級クエストの害虫・害獣駆除クエスト用紙を持って、眼鏡に聞いてみた。
眼鏡は軽く笑って答えると、クエスト用紙を掲示板に戻してしまった。
このクエストはやりたくないようだ。
もしかすると、今日は家の近くに行かせたくないのかも。
「へぇー、そうだったんだ。お父さん達も強いんだね。どんな人達なの?」
「私の十分の一ぐらいですけどね。今度紹介しますよ」
「えっ、本当に?」
知っている眼鏡の十分の一の強さなら、赤ちゃん並みの弱さだ。
でも、眼鏡の真の実力が凄すぎるなら、8級冒険者ぐらいに強い両親がいる事になる。
そして、8級冒険者の十倍眼鏡が強い事になる。
もう眼鏡が言っている事が冗談なのか、本当なのか分からなくなってきた。
「おいおい、そんなのどうでもいいだろう。ルディがいるなら、今日は難しいクエストでもイケるだろ。俺はコレなんかいいと思うぜ!」
せっかく、眼鏡の両親を偵察できるチャンスだったのに、レーガンが邪魔してきた。
手に持ったクエスト用紙を眼鏡に強引に見せている。
「怪鳥ハーピーの卵採取ですか? 巣がある崖から落ちたら死にますよ。それに登っている最中に怪鳥に襲われます。もう少し簡単なクエストにした方がいいですね」
「これ以上に簡単なクエストは無ぇよ。卵二十個で一万ギル。最大五十個まで買取ってくれるんだぜ」
魔物狩りをしたいと言っていたのに、持ってきたのは採取クエストだった。
どう見ても報酬に釣られて選んだクエストにしか思えない。
「どういう基準で簡単だと思っているのか知りませんが、どう見ても難しいクエストですよ」
「おいおい、何でも一人で勝手に決めるなよ」
このクエストも却下のようだ。眼鏡がクエスト掲示板に用紙を戻した。
多分、レーガンは早く昇級したいから難しいクエストを選んでいる。
逆に眼鏡は冷静に分析して、戦力的に無理だと判断したようだ。
ここは眼鏡の意見を聞いた方がいいけど、今日中に何としても説教部屋に行きたい。
それにレーガンを昇級させたい気持ちもある。
ここはこのクエストを受けた方が良さそうだ。
「難しいと言っても8級クエストでしょう? 四人で協力すれば何とかなるよ」
「はい? 話を聞いていたんですか? いいでしょう。私が説明しましょう」
「いや、クエスト用紙で十分だよ」
「まず——」
クエストが出来るようにちょっと言っただけなのに、眼鏡の長い説明が始まってしまった。
もうこうなったら、誰も眼鏡を止められない。説明が終わるまで待つしかなかった。
パーピーの卵は分離した魔物素材なので、パーピーを倒しても卵は消えないそうだ。
巣がある崖の場所はネイマールの屋敷と街の中間にある。
次に垂直の崖にある巣に行く方法は二つしかないそうだ。
一つは崖の上からロープで下りる方法で、これをやるには山を登る必要があるそうだ。
最短で山を登った場合は、午後三時前後には崖上に到着できるそうだ。
だが、肝心の長くて丈夫なロープを誰も持っていなかった。
この時点でロープ代が発生してしまい、卵を五十個入手しても大赤字になる。
つまりロープで下りる方法は無理だという事だ。
次に二つ目の方法は崖下から登る方法だ。
まずはネイマールの屋敷に続く馬車道を使って、崖の近くまで移動する。
そこからは金属の棒を岩に刺して、それを足場に崖を登って行くそうだ。
運が良ければ、崖にこの足場が残っている可能性もあるそうだが、当然無ければ赤字になる。
「もう分かりましたね。私達は準備不足なんですよ。もう少し頭を使って計画に行動しましょう」
眼鏡がそう言って、眼鏡を指で押し上げた後に、ついでに自分の頭を指で突いて軽く笑った。
ムカつく笑顔だけど、言っている事が正しいだけに誰も言い返す事が出来ない。
♢
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる