スライム倒して4ゴールド！大好きなお姉さんを1000万ゴールドで買い取ります！【③】

第6話 合流

　神都を目指して馬車を走らせます。まずは神都にいる暴徒を倒す必要がありました。神官達は皆殺しにされ、神都では略奪行為が起きていました。武装集団によって連続少女誘拐事件の真相が暴露された事で、街の住民さえも攻撃対象に加わってしまったようです。

住民A「違う！俺は何も知らなかったんだよ！本当だよ、無関係なんだよ！」
旅行者A「いいや、見て見ぬ振りをしてたんだろう？連れ去られた女性は全員他所の大陸の女性だっただろ！なんでこの大陸の住民に被害者がいないんだよ！」
　旅行者の一人が角材を持って住民の一人を脅しています。必死に住民は否定していますが、旅行者は納得しません。

住民B「何を言っているんだ？私達は本当にそんな事には関わっていない。私達は知らなかっただけなんだ！」
旅行者B「この国は税金が無いよな。他所の国から女を拐って来て、その金で楽して暮らしていたんだろう！このクソ野郎が！」
　旅行者達の鉄槌が次々と住民に振り下ろされていきます。『ぎゃあああ！』と住民の悲鳴が上がります。問答無用で旅行者が住民を襲撃しているようです。
　
フィオナ「どういう事？さっきよりも状況が悪くなってるじゃない！」
イアン「ここは駄目だな。カイルとラルフを連れて、さっさとここから逃げないと巻き込まれるぞ！」
　神都の中は無茶苦茶でした。犯罪組織のメンバーが旅行者に化けて、住民と旅行者が争うように煽ったようです。それに釣られて他の旅行者達も住民達に詰め寄り、騒ぎが拡大して行きました。

ラルフ「ヤバイな。このままじゃ家の中まで入って来る奴が出てくるだろうな。ここも安全じゃなさそうだ」
カイル「ウゥ～。これが魔法の後遺症なのかな？とってもやる気が起きないんだけど」
ラルフ「ヤバイな！休日の父ちゃんと同じで出掛けるまで二時間はかかりそうだ」
　外の騒ぎを心配そうに二階の窓から見ています。ベッドの上ではカイルがゴロゴロと寝転がって遊んでいます。どうやらカイルの魔法の後遺症は倦怠感のようです。意識を取り戻しても、しばらくは怠くて動けないようです。『ガァチャガァチャ！』『ドンドンドン！』と突然、家の扉に反応がありました。

ラルフ「誰か来た！」
イアン「早く開けろ！」
ラルフ「おお！オッサンの声だ！」
　バタバタと二階から一階の玄関に向かって急いで降ります。扉の鍵を開けるとイアンが飛び込んで来ました。

イアン「すぐに準備しろ！今から船で脱出すんぞ！忘れ物するんじゃねぇぞ！」
ラルフ「おお！1分で終わらせる。それと誰かカイルを運んでくれよ。休日の父ちゃんと一緒で駄目人間になったんだよ！」
イアン「なにぃ～！魔法の後遺症かよ！当分使いものにならないから運ぶしかないな！」
　オリャー！と掛け声を上げるとカイルを持ち上げます。カイルの体重は40㎏ぐらいなので少し重いですが、体重70㎏を超えているイアンの筋力ならば少しの時間ぐらいは抱えて歩けます。ここから馬車を停めてある北門までは15分もあれば到着します。この様子では街で自警団を作るのは難しいようです。街中でところどころ煙が上がっていました。馬車まで到着すると女性達と一緒に次は港街を目指して進みます。