86 / 112
第十一章
第1話『賢者の遺跡探索』
しおりを挟む
——遺跡の研究施設。
ウォルターからの手紙を受け取った賢者テミスは、手紙と一緒に送られた地図の丸印の場所にやって来ました。
兄に続いて、弟の後始末と後片付けまでやる事になりました。
面倒な事ですが、それでも手紙の内容通りならば、ウォルターの手に余る相手なのは分かります。
「人型ドラゴンですか……」
テミスは考えています。
人型ドラゴンと見るべきか、人間のドラゴン化と見るべきか、この二つはちょっと違うようです。
人型ドラゴンはドラゴンの進化であり、人間のドラゴン化は人間の進化です。
国民全員が強靭な肉体と長い寿命を持つ事が出来るのならば、多少の外見の変化はどうでもいい事です。
テミスは遺跡の出入り口である階段を下りて行きます。
遺跡の内部は真っ暗で、灯りを持っていないと進むのは困難です。
そのはずですが、テミスはウォルターと同じように暗闇を平然と進んで行きます。
ウォルターの場合は暗い深海でも活動できる『游泳術』と『潜水』のスキルのお陰ですが、テミスの場合は両目に魔法を使って、見えるようにしています。
「あれか……赤色以外は雑魚だったな」
そんなテミスの目に、通路を塞ぐように立っている緑色の人型ドラゴンが見えました。
身長250センチの巨大な大男のような体格ですが、緑色の鱗の肌を持つ人間はいません。
「オマエ、ダレ? イマ、ダレモ、ハイレナイ!」
緑キメラは侵入者を見つけたので、ドロシーの命令通りに排除する事にしました。
ドロシーは牢屋の看守をしていた緑キメラから、ウォルターとイシスが濃厚な口づけを二度も交わしていた事を聞かされました。二人が遺跡のどこにもいないのならば、それはもう駆け落ちした証拠です。
やって来た侵入者は、全員容赦なく血祭り決定になりました。
「飛行能力があるのはいいが……やはり不要だな」
テミスは翼を広げて向かって来る緑キメラにそう言いました。
結論は出たようです。国民全員をドラゴンにするには、ドラゴンを育てるところから始めないといけません。
そんな手間と費用をかけてまで、やるべき事じゃないです。
テミスは右手を向かって来る緑キメラに向けると、圧縮した空気の塊を次々に発射していきました。
「ガウッ‼︎ ガウッ‼︎ ガウッ‼︎」
ドガッと空気の砲弾が緑キメラの顔面を殴り飛ばして墜落させました。
床に倒れている緑キメラの巨体に、空気の砲弾が次々に当たって、その身体を強打していきます。
テミスは緑キメラに向かって歩きながら、空気の砲弾を容赦なく撃ち続けます。
そして、テミスが近づけば、緑キメラは吹き飛ばされて離れていきます。
廊下の隅まで吹き飛ばされた緑キメラは、壁に激突すると、空気の砲弾を受けながら、壁に埋まっていきます。
緑キメラは三十発以上の攻撃を喰らって、明らかに虫の息ですが、テミスはそこには興味はないようです。
(これだけ私の破弾が当たれば、普通は手足の一本ぐらいは吹き飛ぶはずなんだが……打撃に対して強くなるスキルを持っているのか、ただ身体能力が強いだけか……)
ウォルターの手紙に書かれていた事は、赤色キメラが聖剣を内蔵していて、とにかく強いです。
それでもキメラの人数が書かれていたので、キメラを三人倒せば終わりです。
そして、一人目は終わりました。壁の中にキチンと埋葬されています。
(予想よりは弱かった。それよりも、まだキメラがいるという事は、研究者が逃げずに、ここに残っているという事か)
ウォルターが研究施設を脱出してから、もう五日も経っています。
まともな人間ならば、逃げ出してもいいはずですが、強いキメラに守られた研究施設を逃げ出す人はいません。
ドロシーと三女マローネは逃げもせずに、研究を続けていました。
イシスが担当していたのは、材料となる人間のスキル強化とキメラの肉体強化だけです。
イシスが居なくても、キメラを作る事ぐらいは可能です。
でも、それは通常の侵入者に対して有効な手段です。
ウォルターの知り合いに賢者がいると知っていれば、絶対に逃げていたはずです。
明るい部屋に到着したテミスは、黒髪のお下げ髪の少女と茶色いキメラを見つけました。
「また次の侵入者ですか? ここに来るまでに、緑色の怪物に会わなかったんですか?」
侵入者に気づいた三女マローネは振り返ると、大きく可愛らしい黒色の瞳でテミスを見ました。
真っ直ぐに伸びた黒髪のお下げは鎖骨まで届き、十七歳という幼く可愛らしい顔立ちとは対照的に、大きく膨らんだ胸元が大人の存在感を出しています。
「コレ、コロス? コロス、イイ?」
「まだ、駄目よ。あなたの顔は見た事があります。確か……賢者テミス様ですよね? どのような用件ですか?」
マローネはテミスに襲いかかろうとする茶キメラを止めると、テミスに色っぽい声で聞きました。
つい最近やって来た侵入者と賢者テミスに関連性があるのか、どうなのか、まだそれが分からないからです。
まずは話を聞いて、関係があるのか、無関係なのか、調べる必要があると判断しました。
「侵入者に対して冷静だな。それとも、侵入者が多いだけなのか。まあ、警備の強化をする必要はもうない。今すぐに研究所を閉鎖して、私と一緒に来てもらいたい」
マローネの質問にテミスは閉鎖して付いて行くのが当然のように答えました。
初対面の女性を外に誘うならば、ちょっと強引です。そして、強引な男はやっぱり嫌われます。
「まるで命令ですね。その命令に私が従う理由はありますか? この研究施設の責任者は私です。あなたは部外者です。用件がそれだけならば、早々にお引き取りください」
マローネは制していた茶キメラをテミスに向かわせます。対剣聖用の戦闘兵器です。
剣聖よりも弱くて、見た目も弱そうな賢者ならば、問題なく追い払う事は出来るはずです。
(天爆の槍……)
テミスの腕から光の槍が投げられるまでは、そう信じていました。
「話し合いは時間の無駄のようだ。実力で連れて行こう」
長さ一メートル程の高速の槍が、茶キメラの胴体にドスッと突き刺さりました。
背中からは光り輝く鋭い先端が飛び出ています。
「イタイ。ナンダ、コレ?」
茶キメラは胴体に突き刺さっている光の槍を引き抜こうとしています。
けれども、その前に、光の槍が大爆発を起こして、茶キメラの肉片を周囲にぶち撒けました。
「きゃあああっ‼︎」
天爆の槍の爆風と衝撃で、部屋の中はメチャクチャに破壊されます。
マローネは悲鳴を上げますが、マローネの周囲は無傷です。
テミスはマローネが死なないように、魔法で壁を作って守りました。
「もう守る者はいないぞ。どうするつもりだ? 今度は自分で戦うつもりか?」
テミスは爆風が収まると、呆然と立っているマローネに聞きました。
マローネの戦闘能力は皆無と言ってもいいぐらいです。
マローネはテミスの質問にどう答えようか考えています。
部屋の中には瓦礫と一緒に茶キメラの肉片が飛び散っています。
「……なるほど。いいでしょう。ドロシー姉さんが今の研究所の最高責任者です。そこに案内しますから、ドロシー姉さんと相談してください」
普通のキメラが賢者に通用しないのは、爆散した茶キメラを見れば分かります。
ドロシーの所には最高傑作の赤キメラがいます。
賢者を連れて行って、赤キメラに排除してもらえば、何も問題ありません。
マローネはテミスをドロシーの所に案内する事に決めました。
ウォルターからの手紙を受け取った賢者テミスは、手紙と一緒に送られた地図の丸印の場所にやって来ました。
兄に続いて、弟の後始末と後片付けまでやる事になりました。
面倒な事ですが、それでも手紙の内容通りならば、ウォルターの手に余る相手なのは分かります。
「人型ドラゴンですか……」
テミスは考えています。
人型ドラゴンと見るべきか、人間のドラゴン化と見るべきか、この二つはちょっと違うようです。
人型ドラゴンはドラゴンの進化であり、人間のドラゴン化は人間の進化です。
国民全員が強靭な肉体と長い寿命を持つ事が出来るのならば、多少の外見の変化はどうでもいい事です。
テミスは遺跡の出入り口である階段を下りて行きます。
遺跡の内部は真っ暗で、灯りを持っていないと進むのは困難です。
そのはずですが、テミスはウォルターと同じように暗闇を平然と進んで行きます。
ウォルターの場合は暗い深海でも活動できる『游泳術』と『潜水』のスキルのお陰ですが、テミスの場合は両目に魔法を使って、見えるようにしています。
「あれか……赤色以外は雑魚だったな」
そんなテミスの目に、通路を塞ぐように立っている緑色の人型ドラゴンが見えました。
身長250センチの巨大な大男のような体格ですが、緑色の鱗の肌を持つ人間はいません。
「オマエ、ダレ? イマ、ダレモ、ハイレナイ!」
緑キメラは侵入者を見つけたので、ドロシーの命令通りに排除する事にしました。
ドロシーは牢屋の看守をしていた緑キメラから、ウォルターとイシスが濃厚な口づけを二度も交わしていた事を聞かされました。二人が遺跡のどこにもいないのならば、それはもう駆け落ちした証拠です。
やって来た侵入者は、全員容赦なく血祭り決定になりました。
「飛行能力があるのはいいが……やはり不要だな」
テミスは翼を広げて向かって来る緑キメラにそう言いました。
結論は出たようです。国民全員をドラゴンにするには、ドラゴンを育てるところから始めないといけません。
そんな手間と費用をかけてまで、やるべき事じゃないです。
テミスは右手を向かって来る緑キメラに向けると、圧縮した空気の塊を次々に発射していきました。
「ガウッ‼︎ ガウッ‼︎ ガウッ‼︎」
ドガッと空気の砲弾が緑キメラの顔面を殴り飛ばして墜落させました。
床に倒れている緑キメラの巨体に、空気の砲弾が次々に当たって、その身体を強打していきます。
テミスは緑キメラに向かって歩きながら、空気の砲弾を容赦なく撃ち続けます。
そして、テミスが近づけば、緑キメラは吹き飛ばされて離れていきます。
廊下の隅まで吹き飛ばされた緑キメラは、壁に激突すると、空気の砲弾を受けながら、壁に埋まっていきます。
緑キメラは三十発以上の攻撃を喰らって、明らかに虫の息ですが、テミスはそこには興味はないようです。
(これだけ私の破弾が当たれば、普通は手足の一本ぐらいは吹き飛ぶはずなんだが……打撃に対して強くなるスキルを持っているのか、ただ身体能力が強いだけか……)
ウォルターの手紙に書かれていた事は、赤色キメラが聖剣を内蔵していて、とにかく強いです。
それでもキメラの人数が書かれていたので、キメラを三人倒せば終わりです。
そして、一人目は終わりました。壁の中にキチンと埋葬されています。
(予想よりは弱かった。それよりも、まだキメラがいるという事は、研究者が逃げずに、ここに残っているという事か)
ウォルターが研究施設を脱出してから、もう五日も経っています。
まともな人間ならば、逃げ出してもいいはずですが、強いキメラに守られた研究施設を逃げ出す人はいません。
ドロシーと三女マローネは逃げもせずに、研究を続けていました。
イシスが担当していたのは、材料となる人間のスキル強化とキメラの肉体強化だけです。
イシスが居なくても、キメラを作る事ぐらいは可能です。
でも、それは通常の侵入者に対して有効な手段です。
ウォルターの知り合いに賢者がいると知っていれば、絶対に逃げていたはずです。
明るい部屋に到着したテミスは、黒髪のお下げ髪の少女と茶色いキメラを見つけました。
「また次の侵入者ですか? ここに来るまでに、緑色の怪物に会わなかったんですか?」
侵入者に気づいた三女マローネは振り返ると、大きく可愛らしい黒色の瞳でテミスを見ました。
真っ直ぐに伸びた黒髪のお下げは鎖骨まで届き、十七歳という幼く可愛らしい顔立ちとは対照的に、大きく膨らんだ胸元が大人の存在感を出しています。
「コレ、コロス? コロス、イイ?」
「まだ、駄目よ。あなたの顔は見た事があります。確か……賢者テミス様ですよね? どのような用件ですか?」
マローネはテミスに襲いかかろうとする茶キメラを止めると、テミスに色っぽい声で聞きました。
つい最近やって来た侵入者と賢者テミスに関連性があるのか、どうなのか、まだそれが分からないからです。
まずは話を聞いて、関係があるのか、無関係なのか、調べる必要があると判断しました。
「侵入者に対して冷静だな。それとも、侵入者が多いだけなのか。まあ、警備の強化をする必要はもうない。今すぐに研究所を閉鎖して、私と一緒に来てもらいたい」
マローネの質問にテミスは閉鎖して付いて行くのが当然のように答えました。
初対面の女性を外に誘うならば、ちょっと強引です。そして、強引な男はやっぱり嫌われます。
「まるで命令ですね。その命令に私が従う理由はありますか? この研究施設の責任者は私です。あなたは部外者です。用件がそれだけならば、早々にお引き取りください」
マローネは制していた茶キメラをテミスに向かわせます。対剣聖用の戦闘兵器です。
剣聖よりも弱くて、見た目も弱そうな賢者ならば、問題なく追い払う事は出来るはずです。
(天爆の槍……)
テミスの腕から光の槍が投げられるまでは、そう信じていました。
「話し合いは時間の無駄のようだ。実力で連れて行こう」
長さ一メートル程の高速の槍が、茶キメラの胴体にドスッと突き刺さりました。
背中からは光り輝く鋭い先端が飛び出ています。
「イタイ。ナンダ、コレ?」
茶キメラは胴体に突き刺さっている光の槍を引き抜こうとしています。
けれども、その前に、光の槍が大爆発を起こして、茶キメラの肉片を周囲にぶち撒けました。
「きゃあああっ‼︎」
天爆の槍の爆風と衝撃で、部屋の中はメチャクチャに破壊されます。
マローネは悲鳴を上げますが、マローネの周囲は無傷です。
テミスはマローネが死なないように、魔法で壁を作って守りました。
「もう守る者はいないぞ。どうするつもりだ? 今度は自分で戦うつもりか?」
テミスは爆風が収まると、呆然と立っているマローネに聞きました。
マローネの戦闘能力は皆無と言ってもいいぐらいです。
マローネはテミスの質問にどう答えようか考えています。
部屋の中には瓦礫と一緒に茶キメラの肉片が飛び散っています。
「……なるほど。いいでしょう。ドロシー姉さんが今の研究所の最高責任者です。そこに案内しますから、ドロシー姉さんと相談してください」
普通のキメラが賢者に通用しないのは、爆散した茶キメラを見れば分かります。
ドロシーの所には最高傑作の赤キメラがいます。
賢者を連れて行って、赤キメラに排除してもらえば、何も問題ありません。
マローネはテミスをドロシーの所に案内する事に決めました。
0
お気に入りに追加
340
あなたにおすすめの小説
全てを奪われ追放されたけど、実は地獄のようだった家から逃げられてほっとしている。もう絶対に戻らないからよろしく!
蒼衣翼
ファンタジー
俺は誰もが羨む地位を持ち、美男美女揃いの家族に囲まれて生活をしている。
家や家族目当てに近づく奴や、妬んで陰口を叩く奴は数しれず、友人という名のハイエナ共に付きまとわれる生活だ。
何よりも、外からは最高に見える家庭環境も、俺からすれば地獄のようなもの。
やるべきこと、やってはならないことを細かく決められ、家族のなかで一人平凡顔の俺は、みんなから疎ましがられていた。
そんなある日、家にやって来た一人の少年が、鮮やかな手並みで俺の地位を奪い、とうとう俺を家から放逐させてしまう。
やった! 準備をしつつも諦めていた自由な人生が始まる!
俺はもう戻らないから、後は頼んだぞ!
団長サマの幼馴染が聖女の座をよこせというので譲ってあげました
毒島醜女
ファンタジー
※某ちゃんねる風創作
『魔力掲示板』
特定の魔法陣を描けば老若男女、貧富の差関係なくアクセスできる掲示板。ビジネスの情報交換、政治の議論、それだけでなく世間話のようなフランクなものまで存在する。
平民レベルの微力な魔力でも打ち込めるものから、貴族クラスの魔力を有するものしか開けないものから多種多様である。勿論そういった身分に関わらずに交流できる掲示板もある。
今日もまた、掲示板は悲喜こもごもに賑わっていた――
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
[完結]思い出せませんので
シマ
恋愛
「早急にサインして返却する事」
父親から届いた手紙には婚約解消の書類と共に、その一言だけが書かれていた。
同じ学園で学び一年後には卒業早々、入籍し式を挙げるはずだったのに。急になぜ?訳が分からない。
直接会って訳を聞かねば
注)女性が怪我してます。苦手な方は回避でお願いします。
男性視点
四話完結済み。毎日、一話更新
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる