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第52話

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「ふぅー、この動画と写真があれば、二ヶ月はオカズに困らないな♡」

 ポタポタと何故だか鼻血が止まらないけど、怪我した訳ではない。
 しっかりと撮影は終わった。拷問だけで、本番は一切無しだ。
 僕をここまで我慢させておいて、これで去勢されるはずがない。
 これで去勢されるのならば、一時間後に去勢しに来てほしい。
 その時は容赦なく去勢されるような事を、女剣士に滅茶苦茶にやっておくから……。

「さてと、馬鹿な事はこの辺でやめよう。このままじゃ、夜になってしまう……」

 僕に残された選択肢は、女剣士と森で野宿するか、それとも、街の宿屋で寝るかだ。
 まあ、別に、森の中で野宿は何回かやっている。別にそこまで嫌という程ではない。
 それに動けない女性を暗い森に放置するなんて、優しい僕には絶対に出来ない。
 このまま女剣士の意識が正常に戻らないようなら、一晩ぐらいは我慢して、一緒に野宿しよう。

「それに……ゴクリ」
「はふっ、はふっ、はふっ……」

 女剣士の身体の隅々まで弄って撮影してしまったので、しばらくは正常な意識には戻らないと思う。
 女剣士は、熱っぽい弱々しい声を繰り返し出しながら、岩棘の先端を何とか両手で握り続けている。
 黒革のハーフパンツと迷彩柄のボクサーパンツは、とっくに両足から外して、黒革のジャケットの胸元についていたチャックを、へそまで下ろして、胸元を開いている。
 今は迷彩柄のスポーツブラを上にずらして、形の良いお椀型おっぱいを露出させて、全体的に火照った身体を冷やしている最中だ。

「流石に火照った身体の全裸女性をズッーと見ているのは、目に毒だ。去勢されてもいいから、間違いを犯してしまいそうになる」

 今のところは手で触る、舐める、吸うまでは、拷問の範囲だという事は確かめられた。
 流石にこれ以上の去勢度胸試しをする勇気は僕には無い。
 さて、話を本題に戻して、街の宿屋に泊まる方法を考えようかな。
 多分、この世界には冒険者と呼ばれる職業がある。
 そこで働く事が出来れば、お金と食事には困らないはずだ。

 女剣士の存在で、僕が想像していたような、魔物を倒して生計を立てている人が、実在している事は証明されたようなものだ。
 そして、街にはクラーケンを倒す為の協力者が沢山いるという事も、クエスト嬢のマニアから聞いている。
 つまりは冒険者ギルドがあるのは間違いないと思っていい。
 金を稼ぐ方法は見つかった。あとは正体がバレないように暮らす方法を見つけるだけだ。

「はふっ、はふっ……」
「そのバレないように暮らす為の協力者を、このアヘ顔の女剣士にさせればいいという訳か……」

 チラッと見たけど、女剣士はまだまだ再起不能状態だった。
 快楽と恐怖に屈服した女剣士を協力者にするのは、ちょっと不安だけど、他に候補者はいない。
 ……仕方ない。方法その一、脅す。多分、これしか方法はない。
 ダークエルフに率先して協力しようなんて、人間は誰もいない。
 女剣士の恥ずかしい姿を神フォンにバッチリ撮影しているので、これを知り合い全員に見せると脅して、協力させればいい。

 でも、ここは異世界だ。
 裸の写真を、「街にばら撒くぞ!」と脅しても効果は薄い。
 だとしたら、「逆らえば、死ぬぞ!」と脅した方がいい。
 ここは古くからある迷信を使うしかない。『写真を撮られると寿命が縮む』という迷信がある。
 これを利用しよう。

 この作戦の為に、既に女剣士の恥ずかしい写真を何十枚も撮っている。
 この写真を一枚消すごとに、寿命が一年縮むと脅すんだ。

「……ちょっと弱いな」

 よく考えたら寿命が縮むは、ちょっとインパクトというか……嘘っぽい。
 これだと、協力してくれるのは、ちょっと微妙な感じだ。
 この程度の嘘だと、お巡りさんも同情して許してくれない。

「待てよ……召喚魔法を使えばいいんじゃないのか?」

 僕はダークエルフだ。しかも、凄く強いと信じられているダークエルフだ。
 実際は雑魚中の雑魚だとしても、特殊な魔法を使える事にすればいいんじゃないのか?
 レクシーが僕の影から出て来た牝鹿二匹を見て、召喚魔法だと言っていた。
 つまりは魔物を操れる能力を水増しさせればいいんだよ。

「千匹の魔物を同時に操れる……よりは、この森の魔物は全て俺の支配下だ! の方が凄そうな気がするけど……」

 これは流石に盛り過ぎだと思うし、言っている事が超嘘っぽい。
 怖がらせるのが目的じゃなくて、女剣士が自主的に協力してくれるようにするのが目的なんだ。
 魔物だけじゃなくて、人間も操れると言った方がいいじゃないのか?

「人間を操るか……」

 良いとは思うけど、それが出来たら苦労はしない。
 でも、似たような事は出来るかもしれない。
 女剣士に、既に僕に操られている状態だと思わせて、洗脳する事は……まず無理か。
 だったら、体内に魔物を寄生させていると言うのはどうだろうか? 
 でも、そんな体内に入れるような極小の魔物は見た事がない。
 体内に魔物がいると本当に信じさせるには、ちょっとは体内で動かさないと駄目だろう。

「洗脳と寄生はちょっと無理だな。でも、体内に極小の魔物を植え付ける事は出来るかも……」
「はふっ、はふっ……」

 チラッと女剣士を見る。その次に僕のズボンのもっこりはんを見た。
 ちょっと時間はかかるかもしれないけど、女剣士の体内というよりも胎内に、極小の三億匹を超えるオタマジャクシ型魔物を大量注入できるけど……いや、でも、それは……。

「考えるな、感じるんだ。いやいやいや! 感じたら駄目だ! 今はしっかりと考えよう!」

 危ない危ない。危うく、危険な流れに身を任せるところだった。
 それにたったの一発で寄生が成功するとは限らない。
 じゃあ、何度でも挑戦すればいいじゃないか?
 ……違う違う。そうじゃないだろう!
 今は緊急事態で、早期解決を求められている時なんだ。
 数ヶ月後に、女剣士の中で動き回る元気な魔物は必要ない。
 まったく、何を考えているんだ。しっかりしろよ! シュン……。

「ふぅー、ちょっとは大人しくなったようだ」

 もっこりはんも、しっかりはんと反省しているようだ。ズボンが正常な形に戻っていく。
 
「さて、本気で作戦を考えよう」

 そもそも、女剣士が僕の子供を妊娠しても言う事を聞く保証はどこにもない。
 出来ちゃった婚で、「しょうがないわねぇ。これからは夫婦二人三脚で頑張りましょう♪」とかにはならない。
 まあ、僕としては、その展開はアリよりのアリだから、ちょっとはパパらしく、頑張ってみたりもしちゃうかもしれないけど……。

「はふっ、はふっ……」
「……」

 ビンビン‼︎ ビンビン‼︎ 
 チラッと女剣士を見ると、反省していたはずの、しっかりはんが、また、もっこりはんになってしまっていた。
 これでは、答えが決まった無限ループから抜け出せない。
 つまりはここから抜け出すには、女剣士で抜くしかないという事か……。

「馬鹿野郎! そんな訳ねぇだろう!」

 スゥーハァー、スゥーハァー、とりあえず落ち着くんだ。
 今の僕の脳細胞は、灰色の脳細胞ではなく、桃色の脳細胞だ。
 エロい事しか考えられなくなっている。

 だいたい異世界に送られるのは、高校生とか若者が多いんだから、こういう困った事態に対応できるように、十八禁のエロ凌辱漫画を読んでおかないと駄目なんだよ。
 僕がこんな困った事態に陥っているのは、一八禁とか訳の分からない法律で、日本政府がエロ凌辱漫画を読ませないからなんだ。
 どこかのプロデューサーがアイドルの恋愛禁止とか、そんな馬鹿げた事を言っているようなものなんだよ。
 中学校と高校の教科書にエロ本を採用して、キチンと授業で手取り足取りナニ取りして、教えてくれれば、不登校も少子化問題も全て解決なんだよ。
 まったく、毎月高い学費を払っているんだから、月に三回は女教師は僕に残業サービスしろよ!

「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ……何の話をしているんだ、僕は?」

 予想以上に今の僕の精神状態はヤバイ。
 冷静に考えているはずなのに、何としても女剣士に色々なエッチな事をしたいと思ってしまう。
 とりあえず、今は何もいい作戦は思いつかない。女剣士が意識を取り戻すまで、側で看病しよう。
 うん、うん、それがいい。
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