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異世界旅行編

登録者数四人

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 部屋に戻ると防音岩壁を消して、壊れた木壁を修理した。
 拷問した捕虜は見つかるとマズイので、女神の世界に置いてきた。
 これで俺の好感度は高いままだ。

(おっ! 来たみたいだな♪)

 ベッドに寝転がって待っていると、近づいてくる人の気配がした。
 予想通り、すぐに木扉を叩く音が聞こえた。

「地上神様、お待たせしました」
「ああ、入っていいぞ」
「失礼します……」

 礼儀正しい女の声だ。部屋に入るように言うと、綺麗な長い黒髪の少女が扉を開けて入ってきた。
 八十三点。七人少女の中でも俺のお気に入りの一人だ。

「あゔっ?」

(おいおい、爺さん。来るなって言ったよな)

 貝殻の皿を持って少女達が部屋に入ってきた。
 けれども、少女じゃないのが混じっている。
 船長の爺さんと、その後ろの三十代後半のツイン茶髪のオバサンだ。
 どっちも指名した覚えがない。

「お前達は座れ。船長!」
「はい、何でしょうか?」

 七人少女に床に座るように言うと、ベッドから起き上がった。
 爺さんが暢気に返事したが、俺の心の怒りを理解してないようだ。

「来るなと言ったはずだ。神の命令に背くとは命を捨てる覚悟があるんだろうな?」
「滅相もございません‼︎ 地上神様が女子の生贄を必要としていると聞き、私めの娘を連れてきた次第です‼︎ これ、早くご挨拶しなさい!」
「はい、お父様。地上神様、初めまして。船長トプソンの娘ジンシアと申します。何なりとお申し付けくださいませ」

(やはりお前か)

 ツイン茶髪が挨拶してきた。船長の娘は礼儀正しく、声は綺麗で可愛かった。
 あと十歳若ければ、ベッドで喜んで抱いていただろう。二十歳若ければ、さらに大喜びだ。
 だが、月日とは残酷なものだ。どのような美女もいつかは老いる。
 俺も女にこんな事を言いたくない。だけど、言わなければならない。

「船長とその娘よ。お前達の気持ちは有り難くいただいておく。だが、生贄には年齢と容姿制限がある。ジンシア、お前の容姿は問題ないが、年齢が高過ぎる。悪いが出ていってくれ」
「はぅっ! は、はい、畏まりました……」
「おぅぅ、ジンシアよ……」

 俺の言葉に船長の娘は今にも泣き出しそうな顔だが、涙を必死に止めて了解した。
 そんな娘の姿を見て、爺さんが心を痛めているが、悪いのはお前だからな。
 お前にとっては永遠に可愛い娘かもしれないが、俺にとってはほぼ四十の女だ。
 この俺が四十の女を我慢して娘と言ってあげたんだ。死ぬほど感謝しろよ。

「ほら、ジンシア。早く行くぞ……」
「はい、お父様……」

(チッ。俺が悪者みたいな雰囲気にしやがって)

 船長とオバサンが部屋から出ていった。まるで俺が追い出したみたいだ。
 せっかく上げた好感度が下がりまくりだ。あー最悪だ。

「ふぅー、何か船長は誤解……何をやっている?」

 ベッドに座ると目を閉じて、ゆっくり息を吐いて気持ちを落ち着かせた。
 再び目を開けると、部屋に残った七人の少女が土下座していた。

「地上神様、お許しください! 封印の枷を外す為とはいえ、地上神様の手足を切断してしまいました! 何卒、お許しください!」
「「「お許しください!」」」
「……」

(あーそっち。焦らせんなよ♪ 生贄辞退とか言い出すかと思ったじゃん♪)

 そういえば、そんな事もあった。完全に忘れていた。
 七人の少女をどの順番で抱くのがベストなのか、ずっと考えていた。
 年齢が高い順か、おっぱいが小さい順か、身長が大きい順か、見た目が可愛くない順か……。
 選択肢が多過ぎると、逆に決められなくなる。

 俺は好きな物は最後に食べるタイプだ。当然、抱きたい女のタイプも同じになる。
 この少女のメニュー表は難問だ。こりゃー参った。全然決められない。
 ロリ巨乳美少女がいれば、最後に抱くと決められるのに、ロリは貧乳だから困る。
 仕方ないから全員一度に抱きながら、俺の身体に決めさせるしかない。
『考えるな! 感じろ!』と昔のエロい人も言ってたしな。

「気にする必要はない。むしろ、良くやってくれた。お前達には感謝の言葉しかない。頭を上げろ、胸を張れ! その勇気と決断は誇れるものだ!」
「「「地上神様!」」」

 ベッドから立ち上がり、少女達に最大限の感謝の言葉を贈った。
 少女達が顔を上げ、ホッとした顔で俺を見つめている。
 俺も少女達の胸を見つめ返した。

(やっぱりあっちの方がデカイな)

 さて、最終確認はこの辺でいいだろう。
 お前達は選ばれし者だ。選ばられし地上の楽園に住める者だ。つまりアダムとイブだ。
 イブが多少多いがそこは問題ない。むしろ、多い方が良いに決まっている。

「お前達に褒美を与える。全員立ちなさい」
「やったぁー♪」

 床に座る少女達に立ち上がるように命じた。
 異世界旅行で一度に一人連れて行けるのは知っている。
 一度に七人連れて行けるか分からないが、やってみれば分かる。
 出来なければ、分割でやればいいだけだ。

「さあ、皆んなもっと近くに集まって」
「「「……」」」

 魔法陣は小さいから、広がっていたら全員入らない。
 魔法陣の中心に立つ俺に、もっと抱き着くようにお願いした。

(うひょひひひひ♡)

 何か怪しんでいる顔で見ているけど、何もやましい事は考えていない。
 全然考えてない。さあ、地上の楽園にイッてみよう。

【注意事項:異世界旅行の登録者数は残り三人です。人数を減らしてください】

(んっ?)

【注意事項:登録者は一度登録すると変更できません。登録者が死亡した場合、登録者数は増えません】

(ん~っ?)

 おやおや、この説明書は初めて見るぞ。
 魔法陣は発動中だが、頭の中に文字が浮かび上がった。
 人数制限があるとは聞いていない。これは困ったな。残り三人か。
 だ・れ・に・し・よ・う・か・な?

(——って、馬鹿野郎‼︎ 選べるかぁー‼︎)

 いくら脳筋でも脳味噌ぐらいある。貴重な限定三人をその辺の女に使う訳がない。

(くそッ、一番安全な場所でのハーレム計画が台無しだ‼︎)

 たったの四人だ。たったの四人の女を使い回さないといけない。
 そんなの服四着と同じだ。どんなオシャレの達人でも着回すには限界がある。

「神様、もう離れていいですか?」
「⁉︎」

 絶望する俺の左耳に冷たい声が聞こえた。
 短めの黒髪ツインだ。前回も俺に反抗的な態度をとった女だ。
 まるで『お前に抱き着くのがご褒美?』『巫山戯んじゃねえよ、クソ野朗!』みたいな目をしている。

「あっ、ああ」
「ちっ……」
「⁉︎」

(今、舌打ちしたよね? 舌打ちしたよね⁉︎)

 明らかにこの黒髪ツインは敬意が足りない。俺に対しての神に対しての敬意が足りない。
 貴重な三人をお前に使って、地獄に連れて行ってやってもいいんだぞ。

「神様、食べないんですか? ご馳走様、冷めちゃいますよ」
「あっ、ああ、いただこうか……」
「やったぁー♪ いただきまぁ~す♪」
「あんたが先に食べてどうすんのよ」

 怒りを抑えて静かに興奮する俺に金髪ロングが暢気に聞いてきた。
 確かに今は怒りを抑えて、やるべき事がある。とりあえず冷静に行こう。
 ハーレムは何処でも作れる。この部屋を今すぐに岩壁で完全封鎖すれば完成だ。
 ほら、冷静に考えたら名案が出た。

(ヤッてやるヤッてやるヤッてやる‼︎ もう好感度なんて知った事か‼︎ 完全支配だ‼︎ 完全支配してヤる‼︎)

 俺の所為じゃない。こうなったのは俺の所為じゃないぞ。
 完全犯罪は不可能かもしれないが、完全支配は不可能じゃない。
 お前達全員、無傷で部屋から出られると思うなよ。

 ♦︎
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