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第3章
第96話⑨クライマックス
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「はぁはぁ! ”ウルトラヒール〟!」
身体は拘束されても、魔法は拘束されていない。
潰された息子に回復術を使用した。
みるみる息子が元気になっていく。
『何のつもりだ? 回復しても潰すだけだぞ』
「うぎゃああああ‼︎」
卵を潰すように再び息子に息子を握り潰された。
これだと回復が先か、潰すのが先かの恐ろしい問題が発生する。
もちろん回復したら潰さないようにすれば問題は解決だ。
「パパが悪かった! だからもう許してくれ!」
何が気に食わないのか知らないけど、とにかく謝るしかない。
そりゃー産まれたばかりの子供が何考えているのか親でも分からない。
『許せだと? お前に恨みなどない。ただの暇潰しだ』
「えっ?」
暇潰しじゃなくて、玉潰しでしょ。
『お前の影から全てを見ていた。もうすぐ俺の孕み袋が三人やって来る。そいつらを使い、この城から再び始める。我々が戻って来た事を世界に知らせてやる』
「……」
駄目だ。息子が何を言っているのか、さっぱり分からない。
でも、一つだけ分かった事がある。姿はママ似でも、性格は俺似だ。
まさか急成長した理由が、俺の妻を寝取りたいなんて……
とんでもない変態じゃないか。
『分かったら、死ね。お前のような回復馬鹿を痛めつけるほど暇じゃない』
「くっ……」
何も分かってないけど、コイツはマズイ。
息子の目が本気だと言っている。
『出て来い、暗黒剣』
そして、腰のアイテム鞄から息子に導かれるように黒大剣が飛び出した。
黒大剣の柄を握ると、全裸だった息子の身体が赤黒い古びた兵士服に包まれた。
「本気なのか? 俺を殺して何になる。何の意味もないぞ! こんな馬鹿な事はやめるんだ! 人生台無しになるぞ!」
『無意味なのはお前との会話だ。さっさと死ね』
駄目だ。説得しようとしたのに会話を拒絶された。
黒剣を両手で握ると、俺の首目掛けて振り抜いてきた。
だったら、やるしかない。命懸けの親子喧嘩だ。
「”神秘の守り〟——ぐがぁ!」
『見っともなく足掻くな、豚が』
魔法防御したのに黒剣が首にめり込んだ。
即死は防げたけど、死は目の前だ。グググッと刃を押し込んでくる。
拘束さえ解ければ、刃を手で押し返せるのに全然解けない。
出来るのはウルトラヒールで回復して、刃を再生した肉で止め続ける事だけだ。
「ぐぼぉ、ごぐぼぉ……!」
『諦めろ、お前は死ぬ。血管を止められても、気管支を止められても人間は死ぬ』
もう駄目だ。喋る余裕もない。
助かるには三人が来るまで耐え続けるしかないのに、それも無理そうだ。
それに例え来ても、拘束魔法で捕われる。俺も妻三人も助からない。
「ぐっゔゔゔゔ‼︎」
だったら、黒剣を回復術でへし折るしかない。
考えようによっては、刃を肉と肉で挟んでいる状態だ。
ここで諦めるわけにはいかない。
『回復馬鹿が。お前に与えた力は俺に戻った。ただの僧侶に戻ったお前に何が出来る。出来損ないの屑のくせに生きて何になる。女と交尾するだけの無意味な人生に価値を見出すな。お前は死ぬ。死ぬのなら俺の為に死ね』
「ぐぅおおおお‼︎」
絶対に生きる。何と言われようと生きてやる。
首の回復に全身全霊をかけ続ける。ピキィと黒剣が音を立てた。
『馬鹿な。剣が魔力に耐え切れないだと?』
「ふんがあああ‼︎」
今が人生最大の踏ん張りどころだ。ピキィピキィと音が鳴り続ける。
血管がブチ切れそうでも、首がブチ切られるよりはマシだ。
『チッ、剣はくれてやる。”ライフドレイン〟!』
俺の根性に負けて息子が黒剣を手放した。
それでも俺を殺すのを諦めてない。
自由になった両手から棘のある植物の蔓を飛び出させた。
「ぐぅぅぅ!」
その棘の蔓が俺の身体にグルグル巻き付いてきた。
棘が肉に食い込み、血と生命力を吸い取っていく。
『言っただろう、回復馬鹿と遊ぶ暇はないと。これで最後だ、お前の技でトドメを刺してやる。”暗黒拳〟”バインド〟——』
顔に巻き付いた棘の蔓の所為でよく見えない。
それでも魔力の流れで分かる。こいつは【シックス】だ。
俺の生命力を吸収して、それを暗黒のエネルギーに使っている。
しかも、溜め込んだ暗黒拳をバインドで拘束して、それにさらに暗黒拳を重ねている。
影俺との協力技を無理矢理一人で使うつもりだ。
——じゃねえよ。暢気に状況分析している場合じゃない。
必殺の一撃が間もなくやって来る。
避けなきゃ死ぬのに、避けれないから死ぬ。
「ゔあぁ~~‼︎」
死死死死死死死死死死死死死。
頭の中で死が満ちている。絶対の死の前に頭が働かない。
『”シックス〟』
死が解き放たれた。
身体は拘束されても、魔法は拘束されていない。
潰された息子に回復術を使用した。
みるみる息子が元気になっていく。
『何のつもりだ? 回復しても潰すだけだぞ』
「うぎゃああああ‼︎」
卵を潰すように再び息子に息子を握り潰された。
これだと回復が先か、潰すのが先かの恐ろしい問題が発生する。
もちろん回復したら潰さないようにすれば問題は解決だ。
「パパが悪かった! だからもう許してくれ!」
何が気に食わないのか知らないけど、とにかく謝るしかない。
そりゃー産まれたばかりの子供が何考えているのか親でも分からない。
『許せだと? お前に恨みなどない。ただの暇潰しだ』
「えっ?」
暇潰しじゃなくて、玉潰しでしょ。
『お前の影から全てを見ていた。もうすぐ俺の孕み袋が三人やって来る。そいつらを使い、この城から再び始める。我々が戻って来た事を世界に知らせてやる』
「……」
駄目だ。息子が何を言っているのか、さっぱり分からない。
でも、一つだけ分かった事がある。姿はママ似でも、性格は俺似だ。
まさか急成長した理由が、俺の妻を寝取りたいなんて……
とんでもない変態じゃないか。
『分かったら、死ね。お前のような回復馬鹿を痛めつけるほど暇じゃない』
「くっ……」
何も分かってないけど、コイツはマズイ。
息子の目が本気だと言っている。
『出て来い、暗黒剣』
そして、腰のアイテム鞄から息子に導かれるように黒大剣が飛び出した。
黒大剣の柄を握ると、全裸だった息子の身体が赤黒い古びた兵士服に包まれた。
「本気なのか? 俺を殺して何になる。何の意味もないぞ! こんな馬鹿な事はやめるんだ! 人生台無しになるぞ!」
『無意味なのはお前との会話だ。さっさと死ね』
駄目だ。説得しようとしたのに会話を拒絶された。
黒剣を両手で握ると、俺の首目掛けて振り抜いてきた。
だったら、やるしかない。命懸けの親子喧嘩だ。
「”神秘の守り〟——ぐがぁ!」
『見っともなく足掻くな、豚が』
魔法防御したのに黒剣が首にめり込んだ。
即死は防げたけど、死は目の前だ。グググッと刃を押し込んでくる。
拘束さえ解ければ、刃を手で押し返せるのに全然解けない。
出来るのはウルトラヒールで回復して、刃を再生した肉で止め続ける事だけだ。
「ぐぼぉ、ごぐぼぉ……!」
『諦めろ、お前は死ぬ。血管を止められても、気管支を止められても人間は死ぬ』
もう駄目だ。喋る余裕もない。
助かるには三人が来るまで耐え続けるしかないのに、それも無理そうだ。
それに例え来ても、拘束魔法で捕われる。俺も妻三人も助からない。
「ぐっゔゔゔゔ‼︎」
だったら、黒剣を回復術でへし折るしかない。
考えようによっては、刃を肉と肉で挟んでいる状態だ。
ここで諦めるわけにはいかない。
『回復馬鹿が。お前に与えた力は俺に戻った。ただの僧侶に戻ったお前に何が出来る。出来損ないの屑のくせに生きて何になる。女と交尾するだけの無意味な人生に価値を見出すな。お前は死ぬ。死ぬのなら俺の為に死ね』
「ぐぅおおおお‼︎」
絶対に生きる。何と言われようと生きてやる。
首の回復に全身全霊をかけ続ける。ピキィと黒剣が音を立てた。
『馬鹿な。剣が魔力に耐え切れないだと?』
「ふんがあああ‼︎」
今が人生最大の踏ん張りどころだ。ピキィピキィと音が鳴り続ける。
血管がブチ切れそうでも、首がブチ切られるよりはマシだ。
『チッ、剣はくれてやる。”ライフドレイン〟!』
俺の根性に負けて息子が黒剣を手放した。
それでも俺を殺すのを諦めてない。
自由になった両手から棘のある植物の蔓を飛び出させた。
「ぐぅぅぅ!」
その棘の蔓が俺の身体にグルグル巻き付いてきた。
棘が肉に食い込み、血と生命力を吸い取っていく。
『言っただろう、回復馬鹿と遊ぶ暇はないと。これで最後だ、お前の技でトドメを刺してやる。”暗黒拳〟”バインド〟——』
顔に巻き付いた棘の蔓の所為でよく見えない。
それでも魔力の流れで分かる。こいつは【シックス】だ。
俺の生命力を吸収して、それを暗黒のエネルギーに使っている。
しかも、溜め込んだ暗黒拳をバインドで拘束して、それにさらに暗黒拳を重ねている。
影俺との協力技を無理矢理一人で使うつもりだ。
——じゃねえよ。暢気に状況分析している場合じゃない。
必殺の一撃が間もなくやって来る。
避けなきゃ死ぬのに、避けれないから死ぬ。
「ゔあぁ~~‼︎」
死死死死死死死死死死死死死。
頭の中で死が満ちている。絶対の死の前に頭が働かない。
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死が解き放たれた。
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