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第3章

第87話⑦ピンチポイント②

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 ふぅ。一旦落ち着こう。
 呪いなら自分で解ける。教会にも薬屋にも行く必要がない。
 とりあえず、エルシア様に気づかれないようにアンチカースを使ってみた。

「……あのイチゴミルクめ‼︎」

 ふぅふぅ。駄目だ、感情的に襲う前に一旦落ち着こう。
 呪い解いたら簡単に魅了も解けてしまった。
 頭に一気に怒りの感情が沸き起こり、後ろの荷台を振り向いた。
 性奴隷のくせに主人の方を性の付かない奴隷にしやがった。
 今すぐに愛馬を止めて、荷台の中の性奴隷の腹をパンパンに膨らませたい。

 でも、それは駄目だ。また魅了される危険がある。
 そもそもあの時からおかしかった。
 キスはイチゴ、おっぱいはミルク、ダンジョンは蜂蜜だ。
 妹もリラもヨハネもダンジョンは蜂蜜味だった。ついでに母乳も出るようになる。
 蜂蜜味は特別じゃなくて、女の子なら皆んな普通に蜂蜜味だ。
 きっと、あの時に魅了されていた。体液に魅了効果があるに違いない。

 つまりエッチしたら魅了させるという事だ。
 だったら仕方ない。次が最後の場所だと言っていた。
 このまま魅了されたフリを続けて、何を企んでいるのか突き止めてやる。

「ねえ、暇だから影出して」
「はい、喜んで!」

 家までの帰り道、エルシアが再び影俺を要求してきた。
 俺としては間接的にエッチできて、魅了対策にもなるから望むところだ。
 家に帰ったら我慢していた分、三人にたっぷりご奉仕してもらう。
 俺と同じように我慢していたなら、きっと大喜び間違いなしだ。
 
「ふぅ。着いたぁ~」

 長い旅路を終えて、俺の家に帰ってきた。
 エルシアには荷台に隠れてもらって、二、三日は家でのんびりしたい。
 馬小屋に馬車を止めると、俺の帰りを待っていたのか五人の女の子がやって来た。

「お兄ちゃん! そんなに蹴られるのが好きなの!」
「よーし、お前のタマタマで玉蹴りしてやる。しっかり反省してもらうからな」

 俺のダンジョン帰りに妹とリラがかなり怒っている。
 そんな趣味はないと否定したいけど、蹴り方次第で考えてしまう。
 優しく気持ち良く蹴ってくれるなら、是非やってほしい。

「極秘の仕事だと言っただろ。それに次の場所にはお前達にも来てもらう。次は【死霊廃城】だ」

 でも、今は魅了中だ。エルシアの前で変態っぽい真似は出来ない。
 そんなものには興味はないと、クールに強気に拒否した。

「死霊廃城とはまた……」
「知っているのか?」

 キリッとした金髪メイド・クロウリアが知っている顔をした。
 どんな場所なのか聞いてみた。

「S級ダンジョンです。ライオネル様が昔そこで修業していたそうです。出現するモンスターは【死霊系】なので、聖騎士にとっては良い修業場所だったと聞いています」
「なるほど。S級の死霊ダンジョンか」

 死霊系モンスターは聖属性が弱点だ。
 僧侶が使う回復術も聖属性なので、俺も相性が良い。
 本来攻撃力のない、回復術のウルトラヒールで倒せると思う。

 まあ、死霊系は倒しても素材を落とさないので有名だ。
 本当に修業相手にしかならない。
 エルシアの目的地がここじゃないなら、一生行かないダンジョンだ。

「うっ、死霊系って……私だけ役立たずじゃん」

 あっ、忘れていた。完全脳筋武闘家のリラにとって死霊は天敵だ。
 殴っても身体を通り抜けてしますから、逆に一方的にやられてしまう。
 行っても役立たずになると落ち込んでいる。

「確かにそうですね。魔法は効きますが、純粋な物理攻撃は無意味ですから」
「仕方ないなぁ~。聖騎士の私が二人分頑張るしかないか!」
「お嬢様、私は反対です。危険な場所に行くのはその男一人で充分です」

 リラと違って妹とヨハネが行く気満々なのに、クロウリアが反対してきた。

「黙りなさい。子供じゃないんだから、危険なのは分かっています。お父様も行った場所なら、私も行くべき場所です。私は今の私の強さに満足していません」
「申し訳ありません。でしたら、私達もお連れください。多少の戦力にはなるはずです」

 でも、ヨハネに怒られると、すぐに賛成に切り替えた。
 しかも、付いて来ると言い出した。

「そうね、そうしましょう。今のLVはどのぐらいあるの?」
「私は63、メルシーは58です」

 高っ。どっちも数カ月前の俺の倍だ。

「どっちも弱いわね。付いて来るなら、ついでに鍛えた方がいいわよ」
「申し訳ありません。そうさせていただきます」

 まさかの戦闘メイドだった。
 LVが高いのも気になるけど、一番気になるのは黒髪メイドのメルシーだ。
 まさか知り合いに研究所で働いている【メルシー・アンアン】はいないだろうな。
 もしも知り合いなら、俺を嵌めた罰として、お前をあんあんさせる。
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