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第3章

第73話④プロットポイント①

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「あんっ、あんっ‼︎ 一回って言ったのにぃ~‼︎」

 お兄ちゃんの一回は一回じゃないに決まっている。
 街で寝心地の良いベッド買ってきたから、いっぱい使わないと勿体ない。
 妹ダンジョンを刺激して、排泄物もいただいちゃうぞ。

「ひゃん、ひゃん……!」
「よし、黄金温水ゲットだぜ!」

 マンドレイクのお陰で、エッチに新たな目的が加わった。
 フィリアの糞尿専用アイテム鞄に黄金温水を回収していく。
 腰を痙攣させながら、小さな穴からチョロチョロと何度も飛び出させている。

「ふぅ。今日は馬車に戻らず泊まるとするか」

 レシピ本は手に入ったけど、とりあえずもう一度ボスに挑戦だ。
 レアボスが現れれば、木卵がもう一個手に入るかもしれない。
 そうなれば、貴重な状態異常魔法の杖を失わずに済む。
 まずはお試しで、普通のマンドレイクを作ってやる。

 ボス部屋で妹に剣を教わりながら一泊すると、一旦部屋から出て、再び扉を開けて挑戦した。
 現れたのは15メートル級の魔法陣だった。少し小さいので苔むしる竜木竜じゃない。

『フラアアアッツ‼︎』
「コイツは確か……」

 蜘蛛の顔、緑色の斑点が散らばった赤く丸いキノコ傘胴体、茶色の長い手足のように伸びる複数の触手。
 間違いない。蜘蛛と花とキノコの複合モンスター【毒キノコグモ】だ。

『クシャアア‼︎』

 来た。木の根のような太い脚をタコのように動かして向かってきた。
 脚の数は16~18ぐらいはある。この時点でクモでもタコでもない。
 でも、吐くのは墨ではなく、糸だった。
 射程範囲に入ると、真っ白な蜘蛛の巣状の糸を飛ばしてきた。

 殴り飛ばせるものじゃないから、ここは斬るしかない。
 黒大剣にウルトラソウルを込めて、降ってくる蜘蛛の巣に暗黒斬を解放した。

「何だ、全然大した事ないな」

 飛び出した黒き斬撃が容赦なく、蜘蛛の巣を真っ二つにした。
 蜘蛛の巣を斬られても、花グモは真っ直ぐ向かってくる。

「”ウルトラソウル〟」

 そのクモに対して、左拳にウルトラソウルを限界の三回込めた。
 妹とエッチして、剣の稽古して、それでも時間が余っていた。
 名前はもう考えている。【トリプルウルトラソウル超暗黒拳】だと長過ぎる。
 この技の名前は——

「”天地の極三きわみ〟‼︎」

 やっぱり三穴同時攻めが最強だと思う。
 突進してきた花グモの顎下に最高の一撃を振り上げた。
 
『グゥシャァァァ‼︎』

 強烈な一撃で花グモの身体が浮かび上がり、目の前でひっくり返った。
 数十本の触手がまだウネウネ動き回っている。トドメが欲しいらしい。
 黒剣にウルトラソウルを三回込めると、花グモの尻に向かって振り下ろした。

「”超暗黒斬〟‼︎」

 こっちはもうこれでいいと思う。
 解放された黒き斬撃が、花グモの尻から頭まで斬り裂いた。
 どうやら俺の敵じゃなかったみたいだ。

「フィリア、出番だぞ」
「むぅー! お兄ちゃんばかりズルイよ! 私も戦いたいのに」
「はいはい、また今度ね」

 回収役に戦いは早すぎる。もうちょっと回収の経験を積まないとやらせられない。
 戦いなら、お兄ちゃんがエッチと剣の稽古を付き合ってあげるから我慢だ。

「うん、駄目だね」

 運を使い切ったみたいだ。四日挑戦したものの花グモしか出なかった。
 これはもう早く家に帰って、木卵を埋めろという事だ。

「フィリア、家に帰るぞ」
「えぇー、もうちょっと居ようよ」
「駄目だ。居たいなら一人でいるんだな」
「あん、待ってよ、お兄ちゃん!」

 家に帰ると言ったのに、妹は反対みたいだ。
 全身鎧も着ずに、普段着で俺の腕に抱き着いてきた。
 ここは遊び場でも宿屋でもない。危険なダンジョンだ。
 妹を引き離すと歩き出した。俺の帰りを家の土地が待っている。
 すぐに糞尿を撒き散らしてやるからな。

 帰りの馬車の中では、予定通りに妹を前にした。妹も前になれて喜んでいる。
 前だけじゃなくて、お兄ちゃんを下に上でもいいぞ。

「そろそろ街か」

 妹と一緒に上も下も楽しむと、影俺が街への到着を念話で教えてくれた。
 これで妹との新婚ダンジョン旅行は済ませたと言ってもいい。
 リラとは済ませているから、残りはヨハネだけになる。
 マンドレイクを作ったら、AAA級ダンジョンでLV上げするついでに済ませておこう。
 これで三人平等に愛していると伝わるはずだ。

「すみません、買取りお願いします」

 街に入ると研究所の買取りカウンターに向かった。
 これで旅行ではなく、修行だったと胸を張って言える。

「……もしかして、【超戦士LV135】さんですか?」
「いえ、ただの僧侶です」
「やっぱり! 超戦士LV135さんですね‼︎」

 制服女性が俺の身体をジッと見てから、聞いてきた。もちろん否定した。
 すると、長年探していた落とし物を見つけたように喜んでいる。
 初対面ではないと思うけど、超戦士LV135と名乗った事は一度もない。
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