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第2章
第67話⑩解決
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レベルは俺の方が上だと分かった。あとはその差を技術で埋められないようにする。
ライオネルには俺よりも多くの戦闘経験があると思う。戦闘技術では勝てない。
影俺を倒したのが、ライオネルなら間違いない。
「”影分身〟——」
だったら、やる事は一つだ。二対一でボコらせてもらう。
二人合わせれば【LV326】……負ける気がしない。
「ハァッ!」「オラッ!」
二人同時に剣で斬り掛かった。
「なるほど、それが死体が消えた理由か。影を実体化させる能力か?」
「知らん!」
振り下ろされた二本の黒剣を楽々受け止めて、ライオネルが聞いてきた。
聞かれても、生死に関わる重要な情報なので教えられない。
「”ウルトラソウル〟‼︎」
影俺と一緒に黒剣を引き戻すと、刀身に強化した暗黒を纏わせた。
突きと斬撃の同時攻撃だ。必ず一つは当てる。
「オラッ‼︎」
「ぐぐっ、放出系か……」
手加減なんて一切しない。
影俺の斬り上げをライオネルが後ろに回避して、飛ばされた黒斬撃を水平にした剣で受け止めている。
その硬直した瞬間を狙って、腹のド真ん中に黒剣を突き出した。
「”死突〟‼︎」
「ぐぅぅぅ!」
剣先から飛び出した黒光槍に、ライオネルが地面を両足で削りながら押されていく。
影俺が放った黒斬撃も加勢している。このまま倒したい。
けれども、
「ハァッッ!」
気合いを込めた咆哮が二つをかき消した。
ライオネルの身体を黄金の光が包み込んでいる。
その光が傷を瞬く間に治していく。
「残念だったな。俺の職業は【聖王騎士】だ。お前と同じで回復魔法を使える。生半可な攻撃では、俺を一撃で殺す事は不可能だ」
格下だと思って舐めている。ライオネルが自分の能力を教えてきた。
つまりライオネルを倒したいなら、俺を倒す方法を考えないといけない。
意外と多そうだから、楽に倒せるかもしれない。
「どうした? 教えてやったんだ、早く撃って来いよ。娘の魔法を壊した黒い拳……あれが最大なんだろ?」
「くっ、舐めやがって」
倒す方法まで教えてくれるらしい。
馬鹿にするような笑みを浮かべて、ライオネルが左手を振って、来いと誘っている。
確かにそれしかないだろうけど、言われてやるのはムカツク。
それでもやるしかない。黒大剣にウルトラソウルを三回唱えた。
影俺との合体斬撃【ジャスティス】で決着をつける。
「準備は出来た。殺しに行くぞ」
俺の隣に影俺を無言の共有意識で移動させると言った。
「こっちもそのつもりだ。”絶対聖域シドニウス〟」
それを聞いて、ライオネルが剣を地面に深く突き刺した。
まるで暗闇の逆だ。地面を中心に世界が真っ白に染まってしまった。
「これは一体……?」
ライオネルと俺以外の姿が見えない。戦士達やヨハネは近くにいたのに。
「絶対聖域シドニウス……この中ではどんな攻撃も俺には効かない。そして、俺の攻撃は効く。この意味が分かるなら、せいぜい頑張れ」
「それが本当ならな。”ジャスティス〟‼︎」
嘘か本当か試せば分かる。
真っ白な地面から剣を抜き出したライオネルに黒き罰、バツ印の斬撃を解放した。
交差した二つの黒斬撃が凄まじい速さで飛んでいく。
相手は巨大なモンスターじゃない。攻撃範囲は小さくて済む。
その分、濃縮された一撃を放つ事が出来る。
この一撃は間違いなく、俺が出せる最強の一撃だ。
「ぐおおおおお‼︎」
その一撃にライオネルは振り上げた剣をジャスティスの中心を狙って振り下ろした。
どう見てもオーガの突進を小指一本で押さえるようなものだ。
剣がガタガタと震えている。そのまま剣が押されていき、斬撃がライオネルの身体を通過していった。
それなのに、
「ぐはぁ……はぁはぁ! やはりこの程度か」
ライオネルが口から血を吐き出して笑っている。
身体に刻まれたバツの切断面がくっ付いていく。
心臓や肺、それ以外の臓器も完全回復している。
こんな事が出来るのは回復術師の中でも高位の者だけだ。
「化け物かよ……」
「ようやく理解したか。その化け物に手を出したんだ。自分の愚かさをあの世で後悔しろ」
遊びは終わりみたいだ。右手に剣を持って、それを振り抜くと向かってきた。
不死身の化け物の倒し方なんて知らないけど、大抵のモンスターは頭を潰せば倒せる。
狙うなら頭だ。影俺と協力して、ライオネルに斬りかかった。
背後から振り下ろし、正面から振り回す。それでも圧倒的な剣技の前では意味がなかった。
「剣を振り回すだけの子供か」
黒大剣が弾き返されると、その隙を突かれた。
走り抜けるように交差された瞬間、左脇腹を斬られた。
「ぐぅっ……!」
「弱点その一。影は不死身だが、お前は生身だ。頭を切り落とせば死ぬ」
「それが出来ればな。”ウルトラヒール〟」
腹を斬られようと何ともない。この程度の傷は簡単に治せる。
「弱点その二だ。お前は回復力に自信があるのか、回避能力が低すぎる。俺の攻撃を避ける力がない」
「それはお前も同じだ!」
すでに結構な数の攻撃を当てている。お前にだけは言われたくない。
前と後ろから同時にライオネルの胴体を斬り裂いた。
「がはぁ……いや、違うな」
「ぐああっ……!」
けれども、まったくの無意味だった。
斬られた胴体が瞬く間に回復すると、さらにライオネルが俺に剣を振り下ろしてきた。
左肩に刃が深く食い込んで止まった。
「小雨程度の攻撃は避ける必要がない。避けずに攻撃した方が利口だ。今ならそう思うだろ?」
「ぐぅああああっっ‼︎ こ、この野朗‼︎」
話しながらも剣を前後に動かして、肉を下に向かって斬っている。
左肩の痛みに頭が瞬時に沸騰すると、左手でライオネルの右手首を掴んだ。
そして、黒い光を乗せた右拳を顎の下に下から打ち込んだ。
ライオネルには俺よりも多くの戦闘経験があると思う。戦闘技術では勝てない。
影俺を倒したのが、ライオネルなら間違いない。
「”影分身〟——」
だったら、やる事は一つだ。二対一でボコらせてもらう。
二人合わせれば【LV326】……負ける気がしない。
「ハァッ!」「オラッ!」
二人同時に剣で斬り掛かった。
「なるほど、それが死体が消えた理由か。影を実体化させる能力か?」
「知らん!」
振り下ろされた二本の黒剣を楽々受け止めて、ライオネルが聞いてきた。
聞かれても、生死に関わる重要な情報なので教えられない。
「”ウルトラソウル〟‼︎」
影俺と一緒に黒剣を引き戻すと、刀身に強化した暗黒を纏わせた。
突きと斬撃の同時攻撃だ。必ず一つは当てる。
「オラッ‼︎」
「ぐぐっ、放出系か……」
手加減なんて一切しない。
影俺の斬り上げをライオネルが後ろに回避して、飛ばされた黒斬撃を水平にした剣で受け止めている。
その硬直した瞬間を狙って、腹のド真ん中に黒剣を突き出した。
「”死突〟‼︎」
「ぐぅぅぅ!」
剣先から飛び出した黒光槍に、ライオネルが地面を両足で削りながら押されていく。
影俺が放った黒斬撃も加勢している。このまま倒したい。
けれども、
「ハァッッ!」
気合いを込めた咆哮が二つをかき消した。
ライオネルの身体を黄金の光が包み込んでいる。
その光が傷を瞬く間に治していく。
「残念だったな。俺の職業は【聖王騎士】だ。お前と同じで回復魔法を使える。生半可な攻撃では、俺を一撃で殺す事は不可能だ」
格下だと思って舐めている。ライオネルが自分の能力を教えてきた。
つまりライオネルを倒したいなら、俺を倒す方法を考えないといけない。
意外と多そうだから、楽に倒せるかもしれない。
「どうした? 教えてやったんだ、早く撃って来いよ。娘の魔法を壊した黒い拳……あれが最大なんだろ?」
「くっ、舐めやがって」
倒す方法まで教えてくれるらしい。
馬鹿にするような笑みを浮かべて、ライオネルが左手を振って、来いと誘っている。
確かにそれしかないだろうけど、言われてやるのはムカツク。
それでもやるしかない。黒大剣にウルトラソウルを三回唱えた。
影俺との合体斬撃【ジャスティス】で決着をつける。
「準備は出来た。殺しに行くぞ」
俺の隣に影俺を無言の共有意識で移動させると言った。
「こっちもそのつもりだ。”絶対聖域シドニウス〟」
それを聞いて、ライオネルが剣を地面に深く突き刺した。
まるで暗闇の逆だ。地面を中心に世界が真っ白に染まってしまった。
「これは一体……?」
ライオネルと俺以外の姿が見えない。戦士達やヨハネは近くにいたのに。
「絶対聖域シドニウス……この中ではどんな攻撃も俺には効かない。そして、俺の攻撃は効く。この意味が分かるなら、せいぜい頑張れ」
「それが本当ならな。”ジャスティス〟‼︎」
嘘か本当か試せば分かる。
真っ白な地面から剣を抜き出したライオネルに黒き罰、バツ印の斬撃を解放した。
交差した二つの黒斬撃が凄まじい速さで飛んでいく。
相手は巨大なモンスターじゃない。攻撃範囲は小さくて済む。
その分、濃縮された一撃を放つ事が出来る。
この一撃は間違いなく、俺が出せる最強の一撃だ。
「ぐおおおおお‼︎」
その一撃にライオネルは振り上げた剣をジャスティスの中心を狙って振り下ろした。
どう見てもオーガの突進を小指一本で押さえるようなものだ。
剣がガタガタと震えている。そのまま剣が押されていき、斬撃がライオネルの身体を通過していった。
それなのに、
「ぐはぁ……はぁはぁ! やはりこの程度か」
ライオネルが口から血を吐き出して笑っている。
身体に刻まれたバツの切断面がくっ付いていく。
心臓や肺、それ以外の臓器も完全回復している。
こんな事が出来るのは回復術師の中でも高位の者だけだ。
「化け物かよ……」
「ようやく理解したか。その化け物に手を出したんだ。自分の愚かさをあの世で後悔しろ」
遊びは終わりみたいだ。右手に剣を持って、それを振り抜くと向かってきた。
不死身の化け物の倒し方なんて知らないけど、大抵のモンスターは頭を潰せば倒せる。
狙うなら頭だ。影俺と協力して、ライオネルに斬りかかった。
背後から振り下ろし、正面から振り回す。それでも圧倒的な剣技の前では意味がなかった。
「剣を振り回すだけの子供か」
黒大剣が弾き返されると、その隙を突かれた。
走り抜けるように交差された瞬間、左脇腹を斬られた。
「ぐぅっ……!」
「弱点その一。影は不死身だが、お前は生身だ。頭を切り落とせば死ぬ」
「それが出来ればな。”ウルトラヒール〟」
腹を斬られようと何ともない。この程度の傷は簡単に治せる。
「弱点その二だ。お前は回復力に自信があるのか、回避能力が低すぎる。俺の攻撃を避ける力がない」
「それはお前も同じだ!」
すでに結構な数の攻撃を当てている。お前にだけは言われたくない。
前と後ろから同時にライオネルの胴体を斬り裂いた。
「がはぁ……いや、違うな」
「ぐああっ……!」
けれども、まったくの無意味だった。
斬られた胴体が瞬く間に回復すると、さらにライオネルが俺に剣を振り下ろしてきた。
左肩に刃が深く食い込んで止まった。
「小雨程度の攻撃は避ける必要がない。避けずに攻撃した方が利口だ。今ならそう思うだろ?」
「ぐぅああああっっ‼︎ こ、この野朗‼︎」
話しながらも剣を前後に動かして、肉を下に向かって斬っている。
左肩の痛みに頭が瞬時に沸騰すると、左手でライオネルの右手首を掴んだ。
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