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第2章
第60話⑨クライマックス
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「ぐぶぅ……!」
普通に痛い。手加減がほんのちょっとしか感じられない。
「こんなのも避けきれねえのかよ……降りろ、ここからは歩きだ」
「ヘヘッ。雑魚ですみません」
痛いのは我慢できる。暴力戦士の言う通りに馬車から降りた。
馬車から降りると、他の戦士が馬車の中を調べた。
馬車の中には当然いる。
「女連れとはいい気なもんだな。おい、女。お前も降りろ」
「言われなくて降りてやるわよ。あんたも殴られて、ヘラヘラ笑ってんじゃないわよ」
「そんな事言われたって……」
流石は妻だ。俺が雑魚に見えるように罵ってくれた。
これで戦士達が油断してくれる。あとは屋敷の中に入ってから影分身だ。
影分身がお父さんにやられている間に、俺が妹を抱き抱えて逃げるだけだ。
戦士達に囲まれた状態で、屋敷への道を進んでいく。
屋敷を囲む壁と大きな鉄柵扉が見えてきた。
鉄柵の向こうの広い庭には、重厚な武器と鉄鎧で完全武装している多数の戦士がいる。
訓練中のようだ。
その数は200を超えている。250~280人ぐらいはいる。
この数の重戦士を倒して屋敷に押し入るのは苦労では済まない。死活問題だ。
二、三発殴られて、楽に入れるなら我慢するに決まっている。
「止まれ。フィデル、そいつか?」
「チッ。厄介な奴に見つかった……」
「んっ?」
屋敷の扉を隠すように、颯爽と栗毛の雄々しい馬に乗った金髪の大男が横から現れた。
長めの髪を後ろで縛って、左右の腰に剣を付けている。
「ロイヤル、馬鹿な真似するつもりならやめておけ。お前の気持ちは分かるが、コイツへの罰はライオネル様が決める事だ。俺が一発代表で殴っておいた。それで何とか気持ちを抑えてくれ」
「……はぁ? 抑えろだと? LV78程度のお前に、俺の気持ちが分かるはずねえだろうが‼︎ 俺の婚約者がそいつに寝取られたんだぞ‼︎ ブチ殺さねえと抑えきれねえよ‼︎」
「ひいいい!」
待って待って。馬から降りて向かって来たんですけど。
殴られるのは我慢できるけど、殺されるのは我慢できない。
「死ねやあ‼︎」
問答無用で男の右拳が、俺の顔のド真ん中に飛んできた。
これはジャストしないと死んでしまう。
「へぶんっっ……‼︎」
全然痛くない。ジャストウルトラヒール成功だ。
身体だけが地面に殴り倒された。
「この馬鹿、本当にやりやがった! LV102だ! 全員で押さえるぞ!」
「離せ‼︎ 離しやがれ‼︎ そいつのチンポ引き千切ってやる‼︎」
「やめろ! そんな事しても誰も喜ばねえよ!」
二発目が飛んでくる前に戦士達が止めてくれた。
七人がかりで男の身体を横から前から後ろから押さえている。
「痛たたたぁ……婚約者を寝取ったって、何の話ですか? 身に覚えがないんですけど」
頬を押さえて、痛がるフリをして聞いてみた。
他人の婚約者を寝取った経験なんてない。
「お前、本気で言ってんのか?」
馬車を取り囲んだ戦士の一人が、信じられないといった顔で聞き返してきた。
「本気って……だから、身に覚えがないんですよ!」
「さっき、やったって言ったじゃないか。あれは嘘なのか?」
「……えっ⁉︎ じゃあ、あれがヨハネの婚約者なの⁉︎」
冗談だろ。あの顔でヨハネの婚約者と言われても、冗談としか思えない。
だったら、顔じゃなくて、家柄が良いのか。確かに金持ってそうな雰囲気が馬からする。
「今のところはな。ライオネル様が『娘の16の誕生日に一番LVが高かった者に娘をやる』とおっしゃった。ここにいる全員が婚約者だ——」
俺の疑問に戦士の男が応えてくれた。
凄い。流石は貴族だ。婚約者が200人以上もいるなんて。
これが俺なら、「この中で一番エッチが上手かった女と結婚してやる」と言っているようなものだ。
「まあ、正確には婚約者候補だ。あのロイヤルが今の第一候補だ。ヨハネ様の誕生日まで残り四日だ。ほぼ決まりだな」
「なるほど、それはブチ切れるわけだ」
戦士の説明のお陰で殴られた理由がよく分かった。確かに俺は酷い男だ。
殴られて当然の男だ。でも、ちょっと待ってほしい。
……えっ、ヨハネ、15歳だったの。
大人っぽいから17~21歳ぐらいだと思っていた。
15歳って言ったら、成人なりたてのまだまだ子供だ。
間違って、子供相手に色々出してしまった。
でも、残り四日で16なら、子供とは言えない。
婚約者もいるなら、誕生日パーティから初夜まで行く流れだ。
俺がやらなくても、ロイヤルがやっていた。それだけの話だ。
「まあ、それだけじゃねえけどな。お前も出来の良い妹がいて助かったな」
「……どういう意味ですか?」
説明してくれた戦士が俺を見て、軽く笑った。
笑みの意味が分からずに聞き返した。
「何だ、知らなかったのか? お前らが屋敷から出た後すぐに、お前の妹とヨハネ様の呪いは解かれたんだよ。で、妹は【聖騎士】になったんだ」
「い、妹が【性騎士】に⁉︎」
信じられない。俺の妹を性騎士にするなんて許せない。
きっとエロい下着姿で剣を振らせているんだ。いや、裸かもしれない。
「ああ、そうだ。ストロベリアス家に生涯仕える事を引き換えに、お前の罪を軽くしてほしいと願いでたんだよ。元々才能があったんだろうな。朝から晩まで俺達の相手をして、今じゃまともに相手できる奴はほとんどいない。あのロイヤルもほぼ毎日殺す勢いでやってやがる」
「…………はぁ?」
今、俺の額には青筋が浮かび上がっている。全裸どころじゃなかった。
コイツら、俺の妹を俺の代わりに一ヶ月近くも陵辱しまくっていた。
戦士の前に男、いや、人間のする事じゃない。
「おい」
「何だ、ぐごべぇ……‼︎」
「何だ⁉︎ 人が吹っ飛んだぞ‼︎」
立ち上がると、説明戦士の顔面に【アンチパラライ】の黄色を纏った右拳を叩き込んだ。
予定変更だ。妹の代わりに全員のチンポを引き千切ってやる。
普通に痛い。手加減がほんのちょっとしか感じられない。
「こんなのも避けきれねえのかよ……降りろ、ここからは歩きだ」
「ヘヘッ。雑魚ですみません」
痛いのは我慢できる。暴力戦士の言う通りに馬車から降りた。
馬車から降りると、他の戦士が馬車の中を調べた。
馬車の中には当然いる。
「女連れとはいい気なもんだな。おい、女。お前も降りろ」
「言われなくて降りてやるわよ。あんたも殴られて、ヘラヘラ笑ってんじゃないわよ」
「そんな事言われたって……」
流石は妻だ。俺が雑魚に見えるように罵ってくれた。
これで戦士達が油断してくれる。あとは屋敷の中に入ってから影分身だ。
影分身がお父さんにやられている間に、俺が妹を抱き抱えて逃げるだけだ。
戦士達に囲まれた状態で、屋敷への道を進んでいく。
屋敷を囲む壁と大きな鉄柵扉が見えてきた。
鉄柵の向こうの広い庭には、重厚な武器と鉄鎧で完全武装している多数の戦士がいる。
訓練中のようだ。
その数は200を超えている。250~280人ぐらいはいる。
この数の重戦士を倒して屋敷に押し入るのは苦労では済まない。死活問題だ。
二、三発殴られて、楽に入れるなら我慢するに決まっている。
「止まれ。フィデル、そいつか?」
「チッ。厄介な奴に見つかった……」
「んっ?」
屋敷の扉を隠すように、颯爽と栗毛の雄々しい馬に乗った金髪の大男が横から現れた。
長めの髪を後ろで縛って、左右の腰に剣を付けている。
「ロイヤル、馬鹿な真似するつもりならやめておけ。お前の気持ちは分かるが、コイツへの罰はライオネル様が決める事だ。俺が一発代表で殴っておいた。それで何とか気持ちを抑えてくれ」
「……はぁ? 抑えろだと? LV78程度のお前に、俺の気持ちが分かるはずねえだろうが‼︎ 俺の婚約者がそいつに寝取られたんだぞ‼︎ ブチ殺さねえと抑えきれねえよ‼︎」
「ひいいい!」
待って待って。馬から降りて向かって来たんですけど。
殴られるのは我慢できるけど、殺されるのは我慢できない。
「死ねやあ‼︎」
問答無用で男の右拳が、俺の顔のド真ん中に飛んできた。
これはジャストしないと死んでしまう。
「へぶんっっ……‼︎」
全然痛くない。ジャストウルトラヒール成功だ。
身体だけが地面に殴り倒された。
「この馬鹿、本当にやりやがった! LV102だ! 全員で押さえるぞ!」
「離せ‼︎ 離しやがれ‼︎ そいつのチンポ引き千切ってやる‼︎」
「やめろ! そんな事しても誰も喜ばねえよ!」
二発目が飛んでくる前に戦士達が止めてくれた。
七人がかりで男の身体を横から前から後ろから押さえている。
「痛たたたぁ……婚約者を寝取ったって、何の話ですか? 身に覚えがないんですけど」
頬を押さえて、痛がるフリをして聞いてみた。
他人の婚約者を寝取った経験なんてない。
「お前、本気で言ってんのか?」
馬車を取り囲んだ戦士の一人が、信じられないといった顔で聞き返してきた。
「本気って……だから、身に覚えがないんですよ!」
「さっき、やったって言ったじゃないか。あれは嘘なのか?」
「……えっ⁉︎ じゃあ、あれがヨハネの婚約者なの⁉︎」
冗談だろ。あの顔でヨハネの婚約者と言われても、冗談としか思えない。
だったら、顔じゃなくて、家柄が良いのか。確かに金持ってそうな雰囲気が馬からする。
「今のところはな。ライオネル様が『娘の16の誕生日に一番LVが高かった者に娘をやる』とおっしゃった。ここにいる全員が婚約者だ——」
俺の疑問に戦士の男が応えてくれた。
凄い。流石は貴族だ。婚約者が200人以上もいるなんて。
これが俺なら、「この中で一番エッチが上手かった女と結婚してやる」と言っているようなものだ。
「まあ、正確には婚約者候補だ。あのロイヤルが今の第一候補だ。ヨハネ様の誕生日まで残り四日だ。ほぼ決まりだな」
「なるほど、それはブチ切れるわけだ」
戦士の説明のお陰で殴られた理由がよく分かった。確かに俺は酷い男だ。
殴られて当然の男だ。でも、ちょっと待ってほしい。
……えっ、ヨハネ、15歳だったの。
大人っぽいから17~21歳ぐらいだと思っていた。
15歳って言ったら、成人なりたてのまだまだ子供だ。
間違って、子供相手に色々出してしまった。
でも、残り四日で16なら、子供とは言えない。
婚約者もいるなら、誕生日パーティから初夜まで行く流れだ。
俺がやらなくても、ロイヤルがやっていた。それだけの話だ。
「まあ、それだけじゃねえけどな。お前も出来の良い妹がいて助かったな」
「……どういう意味ですか?」
説明してくれた戦士が俺を見て、軽く笑った。
笑みの意味が分からずに聞き返した。
「何だ、知らなかったのか? お前らが屋敷から出た後すぐに、お前の妹とヨハネ様の呪いは解かれたんだよ。で、妹は【聖騎士】になったんだ」
「い、妹が【性騎士】に⁉︎」
信じられない。俺の妹を性騎士にするなんて許せない。
きっとエロい下着姿で剣を振らせているんだ。いや、裸かもしれない。
「ああ、そうだ。ストロベリアス家に生涯仕える事を引き換えに、お前の罪を軽くしてほしいと願いでたんだよ。元々才能があったんだろうな。朝から晩まで俺達の相手をして、今じゃまともに相手できる奴はほとんどいない。あのロイヤルもほぼ毎日殺す勢いでやってやがる」
「…………はぁ?」
今、俺の額には青筋が浮かび上がっている。全裸どころじゃなかった。
コイツら、俺の妹を俺の代わりに一ヶ月近くも陵辱しまくっていた。
戦士の前に男、いや、人間のする事じゃない。
「おい」
「何だ、ぐごべぇ……‼︎」
「何だ⁉︎ 人が吹っ飛んだぞ‼︎」
立ち上がると、説明戦士の顔面に【アンチパラライ】の黄色を纏った右拳を叩き込んだ。
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