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第1章
第27話⑩解決
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「”スリープ〟」
モンスターに遭遇する前に、魔法の射程距離と速度を確認してみた。
レアボスが使っていたのと同じ光線状の魔法が杖の先から飛んでいった。
「射程距離は15ぐらいか。……これなら二、三発は撃つ時間はあるな」
杖の性能は問題なさそうだ。
あとは実際に眠らせてから起きるまでの時間も知りたい。
だけど、ゆっくり調べている時間はない。
眠らせてから、麻痺と毒を重ね掛けしてから放置するのが一番だ。
眠っている獅子を起こすのは馬鹿がする事だ。
「”スリープ〟!」
『グガァ……スガァー、スガァー』
「ほっ!」
水色の睡眠光線が向ってきたギガントカエルに当たった。
直撃から眠るまでの時間は1、2秒ぐらいだった。
戦いで1秒は長過ぎる。ここは麻痺させてからの睡眠がいいかもしれない。
単体なら睡眠でもいいかもしれないけど、複数相手だとやっぱり麻痺がいいかも。
「あっ、でも、外したら終わりなのか……」
当たる前提で考えていたけど、麻痺を外したら、次を撃つまで1秒以上はかかる。
麻痺とか睡眠とか関係なく、撃つなら絶対に当てる必要がある。
「つまり必中の一撃にしないと死ぬ」
これは考えようによっては、ジャストよりも難しい技術が求められている。
だけど、トリプルダンジョン攻略がしたいならやるしかない。
やらざる者、やるべからずだ。
「ごくり……やってやる。いや、絶対にやる!」
俺の帰りを妹が待っているんだ。ここは俺の死に場所じゃない。
聖剣にみなぎる魔力を杖に込めていく。シングルじゃ足りない。
ダブルでも駄目だ。トリプルじゃないと俺は満足しない。
だったら、この杖もトリプルにすればいい。
いや、トリプル以上にする。
「うおおおおお! ”トリプルスリープ〟‼︎」
杖の先端から水色の光線が連続で三発発射された。
そう、魔法はイメージだ。魔力は溜めれば溜めるほど多く出る。
俺はもう知っているはずだ。あれだけダンジョンで鍛えたんだから。
「まだだ! 俺の力はこんなもんじゃない! うおおおおお! ”テンスリープ〟‼︎」
今度は杖の先から暴れるように水色の光線が七発発射された。
「くっ、魔力が全然足りない! 七回しか出なかった!」
やはり俺はまだ未熟者だ。
百回は無理でも、男なら一度に十回ぐらい出さないと女の子を満足させられない。
奮い立て。死ぬ気で奮い立たせるんだ。
「うおおおおおおおお‼︎ ”テンスリープ〟‼︎」
凄い勢いだ。杖が暴れ過ぎて、片手では絶対に持てない。
両手でしっかり持って、水色光線を出しまくる。
「はぁはぁ、はぁはぁ! や、やれば出来るじゃないか!」
水色光線が多過ぎて何発出たのか分からない。
だけど、十回以上は出たと思う。
体力が異常に奪われているけど、これなら通用する。
「よし、戻ろう」
状態異常魔法の杖をある程度使いこなす事に成功した。
ボス部屋に戻ると後片付けを始めた。ベッドと浴槽をアイテム鞄にしまった。
裸の二人はタオルで綺麗に拭いて、服を着せて、両脇に抱えた。
「よし、あとは生きて脱出するだけだ!」
♢
「おりゃー!」
「ギャン……!」
「おや? あれは……」
二人を脇に抱えてダンジョンを帰っていると、前方でロックウルフの群れと戦っている冒険者達を見つけた。
青髪の騎士カイル、黒髪の魔法剣士ナイジェル、茶髪の魔法使いシズクだ。
「”テンスリープ〟」
余計なお節介かもしれないけど、ロックウルフが背中を見せている。
このチャンスは見逃せない。隙だらけの背中に杖先から水色の光線を十連発した。
『キュン……スピィー、スピィー』
光線が直撃したロックウルフ達が次々に眠り落ちていく。
これで少しは戦いやすくなったはずだ。
「す、凄い……」
「あの人は! 【重聖騎士LV120】さん!」
『グルルゥ!』
だけど、十発じゃ足りなかった。
六匹のロックウルフがこっちに向かってきた。
あと勝手にLVアップと職業変更するな。俺は僧侶LV23だ。
「無駄だ。”テンスリープ〟」
『キュン……!』
すぐさま追加の睡眠光線を溜めて、六匹に発射した。
放たれた睡眠光線が六匹に直撃して、全匹地面に崩れ落ちた。
「雑魚が。永遠に眠っていろ」
「重聖騎士さん! これは一体……?」
地面の野良犬にカッコつけて言っていると、黒髪のナイジェルが駆け足でやってきた。
「ただ眠らせただけだ。悪いが急用でね。コイツらの始末を頼みたい」
「もちろん構いません。それよりもまた怪我人ですか? カイル、すぐに荷車を出してくれ!」
「分かった!」
「いや、その必要はない。軽すぎて何も持ってないのと同じだ。じゃあな。頑張れよ」
「はい! お疲れ様でした!」
今はゆっくり話している時間はない。カイルが荷車を出す前に断った。
コイツらがモンスター倒してくれているなら、今のうちに出口まで突っ走る。
頭を深々と下げるナイジェルは気にせずに走り出した。
「はぁはぁ! はぁはぁ! よし、出口だ!」
希望の光だ。希望の光が見えてきた。
出口に向って走り続けた。次はヨハネの馬鹿馬が俺の家まで走り続ける番だ。
ダンジョンで鍛えた鞭捌きをたっぷり教えてやる。漏らすんじゃねえぞ。
モンスターに遭遇する前に、魔法の射程距離と速度を確認してみた。
レアボスが使っていたのと同じ光線状の魔法が杖の先から飛んでいった。
「射程距離は15ぐらいか。……これなら二、三発は撃つ時間はあるな」
杖の性能は問題なさそうだ。
あとは実際に眠らせてから起きるまでの時間も知りたい。
だけど、ゆっくり調べている時間はない。
眠らせてから、麻痺と毒を重ね掛けしてから放置するのが一番だ。
眠っている獅子を起こすのは馬鹿がする事だ。
「”スリープ〟!」
『グガァ……スガァー、スガァー』
「ほっ!」
水色の睡眠光線が向ってきたギガントカエルに当たった。
直撃から眠るまでの時間は1、2秒ぐらいだった。
戦いで1秒は長過ぎる。ここは麻痺させてからの睡眠がいいかもしれない。
単体なら睡眠でもいいかもしれないけど、複数相手だとやっぱり麻痺がいいかも。
「あっ、でも、外したら終わりなのか……」
当たる前提で考えていたけど、麻痺を外したら、次を撃つまで1秒以上はかかる。
麻痺とか睡眠とか関係なく、撃つなら絶対に当てる必要がある。
「つまり必中の一撃にしないと死ぬ」
これは考えようによっては、ジャストよりも難しい技術が求められている。
だけど、トリプルダンジョン攻略がしたいならやるしかない。
やらざる者、やるべからずだ。
「ごくり……やってやる。いや、絶対にやる!」
俺の帰りを妹が待っているんだ。ここは俺の死に場所じゃない。
聖剣にみなぎる魔力を杖に込めていく。シングルじゃ足りない。
ダブルでも駄目だ。トリプルじゃないと俺は満足しない。
だったら、この杖もトリプルにすればいい。
いや、トリプル以上にする。
「うおおおおお! ”トリプルスリープ〟‼︎」
杖の先端から水色の光線が連続で三発発射された。
そう、魔法はイメージだ。魔力は溜めれば溜めるほど多く出る。
俺はもう知っているはずだ。あれだけダンジョンで鍛えたんだから。
「まだだ! 俺の力はこんなもんじゃない! うおおおおお! ”テンスリープ〟‼︎」
今度は杖の先から暴れるように水色の光線が七発発射された。
「くっ、魔力が全然足りない! 七回しか出なかった!」
やはり俺はまだ未熟者だ。
百回は無理でも、男なら一度に十回ぐらい出さないと女の子を満足させられない。
奮い立て。死ぬ気で奮い立たせるんだ。
「うおおおおおおおお‼︎ ”テンスリープ〟‼︎」
凄い勢いだ。杖が暴れ過ぎて、片手では絶対に持てない。
両手でしっかり持って、水色光線を出しまくる。
「はぁはぁ、はぁはぁ! や、やれば出来るじゃないか!」
水色光線が多過ぎて何発出たのか分からない。
だけど、十回以上は出たと思う。
体力が異常に奪われているけど、これなら通用する。
「よし、戻ろう」
状態異常魔法の杖をある程度使いこなす事に成功した。
ボス部屋に戻ると後片付けを始めた。ベッドと浴槽をアイテム鞄にしまった。
裸の二人はタオルで綺麗に拭いて、服を着せて、両脇に抱えた。
「よし、あとは生きて脱出するだけだ!」
♢
「おりゃー!」
「ギャン……!」
「おや? あれは……」
二人を脇に抱えてダンジョンを帰っていると、前方でロックウルフの群れと戦っている冒険者達を見つけた。
青髪の騎士カイル、黒髪の魔法剣士ナイジェル、茶髪の魔法使いシズクだ。
「”テンスリープ〟」
余計なお節介かもしれないけど、ロックウルフが背中を見せている。
このチャンスは見逃せない。隙だらけの背中に杖先から水色の光線を十連発した。
『キュン……スピィー、スピィー』
光線が直撃したロックウルフ達が次々に眠り落ちていく。
これで少しは戦いやすくなったはずだ。
「す、凄い……」
「あの人は! 【重聖騎士LV120】さん!」
『グルルゥ!』
だけど、十発じゃ足りなかった。
六匹のロックウルフがこっちに向かってきた。
あと勝手にLVアップと職業変更するな。俺は僧侶LV23だ。
「無駄だ。”テンスリープ〟」
『キュン……!』
すぐさま追加の睡眠光線を溜めて、六匹に発射した。
放たれた睡眠光線が六匹に直撃して、全匹地面に崩れ落ちた。
「雑魚が。永遠に眠っていろ」
「重聖騎士さん! これは一体……?」
地面の野良犬にカッコつけて言っていると、黒髪のナイジェルが駆け足でやってきた。
「ただ眠らせただけだ。悪いが急用でね。コイツらの始末を頼みたい」
「もちろん構いません。それよりもまた怪我人ですか? カイル、すぐに荷車を出してくれ!」
「分かった!」
「いや、その必要はない。軽すぎて何も持ってないのと同じだ。じゃあな。頑張れよ」
「はい! お疲れ様でした!」
今はゆっくり話している時間はない。カイルが荷車を出す前に断った。
コイツらがモンスター倒してくれているなら、今のうちに出口まで突っ走る。
頭を深々と下げるナイジェルは気にせずに走り出した。
「はぁはぁ! はぁはぁ! よし、出口だ!」
希望の光だ。希望の光が見えてきた。
出口に向って走り続けた。次はヨハネの馬鹿馬が俺の家まで走り続ける番だ。
ダンジョンで鍛えた鞭捌きをたっぷり教えてやる。漏らすんじゃねえぞ。
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