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第1章
第12話⑤ピンチポイント①
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「”ダブルジャスティス〟」
ヘビーリザードの攻撃パターンはもう見切った。全長20メートル級の巨体で暴れるだけだ。
もう目立たないように回復するだけだ。目立つと攻撃させれてしまう。
主な攻撃は三つ。体当たり、尻尾振り回し、ジャンプ押し潰しだ。
厄介なのはジャンプ押し潰しで、ジャスト回復させても巨体に潰されると動けなくなる。
早くヘビーリザードを退かせないと、そのまま圧死の危機だ。
これがヘビーの名前の由来だろう。俺は絶対に喰らいたくない一撃だ。
「ぐおおおお! シズク、このままやれ!」
「”フリーズランス〟! ”フリーズランス〟!」
ヘビーリザードの腹の下で男二人が何やら叫んでいる。
俺はああはなりたくないが、二人に死なれたら困る。
まあ、魔法使いのシズクが一人いれば帰れそうではあるが。
確実に帰りたいなら、やっぱり三人だ。
死なないように適度にヒールを与え続ける。
「待ってて、今助けるから! ”ロックナックルズ〟!」
やっぱり三人だな。ヘビーリザードの頭上にゴーレムの拳を思わせる岩の塊が作られていく。
シズクの魔法は威力は高いが、攻撃速度が遅いものが多い。
ボス戦には有効かもしれないが、ダンジョン内に多数出現する雑魚モンスター向きではない。
『グゥギャアア……‼︎』
終わりだな。頭を二つの拳骨岩に圧し砕かれた。
腹下からの地味な剣と魔法の攻撃に痛がっていたヘビーリザードが沈黙した。
さっさと死体をアイテム鞄に収納して助けてやるか。
二人に駆け寄ると、容量が多い妹のアイテム鞄にヘビーリザードの死体を吸い込んだ。
「立てそうか?」
「ふぅー、助かりました。本当はLV何なんですか?」
「LV23だ。死体は持っているアイテム鞄に入りそうか?」
騎士カイルよりも身体が弱そうな魔法剣士ナイジェルを助け起こすと、軽く笑いながら聞いてきた。
何度も言うがLV23だ。それ以下でもそれ以上でもない。
「いえ、それは貰ってください。俺達三人だと、押し潰された時点で回復薬を使う暇もなく死んでいました。あなたは命の恩人です」
そうかもしれないが、A級ダンジョンボスの死体だ。
子供のお小遣いじゃないんだから、受け取るわけにはいかない。
「それはお互い様だろ。いいから貰え。俺は大した事はしていない。ただ回復していただけだ」
「う~ん……すみません。ありがたくいただきます」
「気にするな。俺がいなくても、お前達三人なら倒していたさ。さあ、さっさと帰ろうぜ」
それに俺が今欲しいものは金じゃ買えないものだ。愛だよ、少年。
「よし、生還っと!」
三人の少年少女に助けられ、大人の階段をボス部屋で昇りまくった俺は無事に外に出られた。
妹は三人から貸してもらった木製荷車の箱の中に乗せて運んだ。
これがなかったら、外に出るまでもっと時間がかかっただろう。
それぐらい妹は重く、俺の腕力も高くない。体重5キロなら余裕で運べるのに。
「じゃあ、俺はこっちだから」
そんな妹を荷車から降ろして、肩を貸して立たせた。
そして、三人に向かって別れを告げた。馬車は森の中に【隠蔽結界アイテム】で隠している。
ここから大して離れてないから、そのぐらいなら運べる。
「おう! じゃあまたな!」
「ちょっと、カイル! ありがとうございました。早く良くなるといいですね」
「ありがとう。でも、すぐ良くなるから大丈夫だ。じゃあまた何処かで会ったらよろしくな」
気のいい若者達と別れを済ませると、森の中に入った。
魔法使いのシズクが心配していたが、治すつもりはまったくないから大丈夫だ。
家に連れ帰って、俺専用のダンジョンとしてたっぷり使い続ける。
妹は起きてない方が可愛いからな。
ヘビーリザードの攻撃パターンはもう見切った。全長20メートル級の巨体で暴れるだけだ。
もう目立たないように回復するだけだ。目立つと攻撃させれてしまう。
主な攻撃は三つ。体当たり、尻尾振り回し、ジャンプ押し潰しだ。
厄介なのはジャンプ押し潰しで、ジャスト回復させても巨体に潰されると動けなくなる。
早くヘビーリザードを退かせないと、そのまま圧死の危機だ。
これがヘビーの名前の由来だろう。俺は絶対に喰らいたくない一撃だ。
「ぐおおおお! シズク、このままやれ!」
「”フリーズランス〟! ”フリーズランス〟!」
ヘビーリザードの腹の下で男二人が何やら叫んでいる。
俺はああはなりたくないが、二人に死なれたら困る。
まあ、魔法使いのシズクが一人いれば帰れそうではあるが。
確実に帰りたいなら、やっぱり三人だ。
死なないように適度にヒールを与え続ける。
「待ってて、今助けるから! ”ロックナックルズ〟!」
やっぱり三人だな。ヘビーリザードの頭上にゴーレムの拳を思わせる岩の塊が作られていく。
シズクの魔法は威力は高いが、攻撃速度が遅いものが多い。
ボス戦には有効かもしれないが、ダンジョン内に多数出現する雑魚モンスター向きではない。
『グゥギャアア……‼︎』
終わりだな。頭を二つの拳骨岩に圧し砕かれた。
腹下からの地味な剣と魔法の攻撃に痛がっていたヘビーリザードが沈黙した。
さっさと死体をアイテム鞄に収納して助けてやるか。
二人に駆け寄ると、容量が多い妹のアイテム鞄にヘビーリザードの死体を吸い込んだ。
「立てそうか?」
「ふぅー、助かりました。本当はLV何なんですか?」
「LV23だ。死体は持っているアイテム鞄に入りそうか?」
騎士カイルよりも身体が弱そうな魔法剣士ナイジェルを助け起こすと、軽く笑いながら聞いてきた。
何度も言うがLV23だ。それ以下でもそれ以上でもない。
「いえ、それは貰ってください。俺達三人だと、押し潰された時点で回復薬を使う暇もなく死んでいました。あなたは命の恩人です」
そうかもしれないが、A級ダンジョンボスの死体だ。
子供のお小遣いじゃないんだから、受け取るわけにはいかない。
「それはお互い様だろ。いいから貰え。俺は大した事はしていない。ただ回復していただけだ」
「う~ん……すみません。ありがたくいただきます」
「気にするな。俺がいなくても、お前達三人なら倒していたさ。さあ、さっさと帰ろうぜ」
それに俺が今欲しいものは金じゃ買えないものだ。愛だよ、少年。
「よし、生還っと!」
三人の少年少女に助けられ、大人の階段をボス部屋で昇りまくった俺は無事に外に出られた。
妹は三人から貸してもらった木製荷車の箱の中に乗せて運んだ。
これがなかったら、外に出るまでもっと時間がかかっただろう。
それぐらい妹は重く、俺の腕力も高くない。体重5キロなら余裕で運べるのに。
「じゃあ、俺はこっちだから」
そんな妹を荷車から降ろして、肩を貸して立たせた。
そして、三人に向かって別れを告げた。馬車は森の中に【隠蔽結界アイテム】で隠している。
ここから大して離れてないから、そのぐらいなら運べる。
「おう! じゃあまたな!」
「ちょっと、カイル! ありがとうございました。早く良くなるといいですね」
「ありがとう。でも、すぐ良くなるから大丈夫だ。じゃあまた何処かで会ったらよろしくな」
気のいい若者達と別れを済ませると、森の中に入った。
魔法使いのシズクが心配していたが、治すつもりはまったくないから大丈夫だ。
家に連れ帰って、俺専用のダンジョンとしてたっぷり使い続ける。
妹は起きてない方が可愛いからな。
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