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第2部 最終章 絶対絶命のF級冒険者
第43話 ウィルと蓄積装置強奪
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『マーリンの洞窟まで』
メイン転移魔法陣の上に立つと行使力を使って、マーリンの洞窟に戻る事にした。やる事は決まった。女兵士やメイドが大賢者の研究資料を読んで理解する事が出来るか、出来ないかと聞かれたら、僕は自信を持ってこう答える。
「無理だ」
さてと、一人ぐらいはまともな研究者を秘密基地に連れて来ないと駄目だな。転移魔法陣を使えば長距離移動も可能だから、蜘蛛女のプリシラを牢屋から連れて来ればいい。へっへへへ、今回は誰も助けてくれないよ。
ヨッと、無事にマーリンの洞窟に出られた。これで確認は済んだ。まだ、ここまでは誰も来ていないようだ。瘴気砲が通った事で洞窟には二つの出入り口が出来てしまった。上空を飛んでいる時にチラッと軍船が海上に見えたので、急いで海岸の出入り口に向かわないと、海と陸からの挟み討ちにされてしまうかもしれない。でも、慌てたら駄目だ。
「よし、一旦秘密基地に戻らないとな」
今度は秘密基地に戻って、マンチェスターの近くにあるサブ転移魔法陣に出られるか実際に確かめないといけない。海の底、地面の中と何処に出るかは確認できていない。実際に丸印の場所に行っても魔法陣の場所が見つからない場合もある。しっかりと魔法陣の出入り口は確認しないといけない。
「とりあえず、サークス、マンチェスター、ロンドンの近くにあるサブ魔法陣を調べるだけでいいだろう」
さっさと確認作業を終わらせないと、狭い洞窟の通路内で兵士達と鉢合わせになってしまう。まあ、こっちが欲しいのは瘴気とMP蓄積装置だけだ。別の場所から秘密基地に行けるのならば、まずは資料を理解できる人間を連れて来た方がいいかもしれない。
正直、蜘蛛女だけだと不安だな。マンチェスターに行くなら病院に魔法大好きのギルド長がいるから、協力してくれたら助かるけど、ちょっと微妙な所だな。敵対関係とまでは言わないけど、協力関係にはなれそうにない。大賢者の資料を一、二枚持って行って反応を見るしかないだろう。
「まあ、ここで考えていても仕方ない。自分に出来る事をやるしかないだろう」
まずは他の予備の出入り口の確認。次は瘴気とMP蓄積装置の確保。その次がメイドと女性兵士の拉致。最後に魔道具の専門家の拉致だ。よし、このプランで行こう。
時間の節約の為に急いで、予備のサブ魔法陣の出入り口を確認する。マンチェスターに一番近いサブ魔法陣は、シェフィールドの町の古城近くに繋がっていた。地獄世界でも同じような場所に町があったのかもしれない。そう考えると、赤丸印が付いていた26個の場所は、町が栄えていた場所と数という事かもしれないな。
ふっふ、考古学者ならばこの情報だけでも金貨300枚ぐらいは払ってくれそうだ。新世界に戻ったら、地獄の町でも発掘してみようかな。
同じようにサークス村近くとロンドンの街近くのサブ魔法陣を調べ終わると、キチンと機能している事が分かった。これでマーリンの洞窟にいちいち戻らなくても、他の魔法陣から秘密基地に戻る事が出来る。さて、まずはプラン通りに瘴気とMP装置を確保しないと。
「おおっ! これはマズいかも。ちょっと蒸し暑いぞ」
マーリンの洞窟に出ると足元がチャプチャプする。海水が新しく出来た出入り口から流れて来ているようだ。足のくるぶしよりも少し上ぐらいだから、海中に出入り口が出来た訳ではないようだ。僕が心配なのはブーツやズボンが海水で濡れる事じゃない。
瘴気砲で熱せられた地面や壁の岩が海水で冷やされて、今の洞窟内は海水が蒸発して大量の蒸気が発生している。もうちょっとしたサウナ状態だ。こんなサウナ状態の狭い通路でも、兵士ならば僕が死んでいるか確認しに来るのは間違いない。危険を覚悟でやる。それがプロの兵士というものだ。きっとそうだ。
「天井に穴を空けた方が今後の為にもいいだろうな」
瘴気砲が通った事で洞窟の通路は一直線の綺麗なトンネルになっている。通路に灯を付ければ、馬に乗った状態でもここまで来れるぐらいだ。でも、そんな誰でも通れる通路よりも、空を飛べる人だけが使える隠し通路があった方が絶対にいい。
天地創造剣を右手に持つと、剣先を天井に向けて飛行開始する。剣先が天井の岩盤を左右に押し退けて、人が一人だけ通れる狭い通路をドンドン作って行く。ちょっとMP残量が不安だけど、瘴気とMP装置を確保したら秘密基地で休めばいい。
『ゴガァ‼︎』
岩が左右に割れると太陽光が目に入った。無事にトンネルを貫通する事が出来た。新鮮な空気を吸い込んだのはずなのに、ちょっと異臭がした。この辺り一帯に瘴気が発生している所為だろう。こんな場所に普通の兵士がいたら身体を悪くするから、残っているのは魔法使いか、魔法耐性の高い兵士ぐらいだろうな。
「別にエリート兵士が何人残っていても問題ない。瘴気砲も発射したばかりなら動かせないだろうから、海岸の出入り口に向かえば残っているはずだ。戦闘は出来るだけ回避して目的を達成しよう」
透明マントを被って海面スレスレを低空飛行する。魔法使いならば少しは違和感を感じてしまうだろうけど、海面が見えるのは軍船に乗っている兵士達だけだ。地上1~2万人の兵士よりは見つかるリスクは低い。
誰にも気付かれずに海岸の出入り口に到着すると、兵士は誰も残っていなかった。ちょっと瘴気砲の周りに瘴気が発生しているだけでビビリ過ぎなんだよ。
【瘴気砲】 瘴気によって、装填された魔力の弾を何百倍の威力に増幅する発射する事が出来る魔導砲。あまりにも威力が強過ぎので、特殊魔法合金の砲身でも一回の使用にしか耐え切れない。
「これが瘴気砲か。砲身が壊れているのは威力が強過ぎるからか…」
一発だけの使い捨てタイプならば、連続では使えない。だけど、一台だけとは限らないから、見つかる前にさっさと装置を奪ってしまおう。
でも、新世界でやったように重力操作か、行使力で大きな物を浮かせて賢者の壺に入れて小さくする方法は使えない。瘴気砲は大き過ぎるから収納袋には入れられないから、必要な装置だけを奪うしかない。
【瘴気蓄積装置】 特殊魔法合金製の樽型蓄積装置。樽の内部には古代魔法陣が描かれていて、瘴気が外に出ないように防いでいる。瘴気が発生している場所に設置する事で、自動で容量最大まで瘴気を蓄積してくれる。
【MP蓄積装置】 特殊魔法合金製の樽型蓄積装置。樽の内部には古代魔法陣が描かれていて、MPが外に出ないように防いでいる。樽の上部にある手形部分に手を乗せる事でMPを容量最大まで吸収してくれる。
パパッと砂利道に置かれた金属の樽型装置を全て回収すると、最初の目的は達成された。このまま洞窟の出入り口に入って、秘密基地に戻るとしよう。
メイン転移魔法陣の上に立つと行使力を使って、マーリンの洞窟に戻る事にした。やる事は決まった。女兵士やメイドが大賢者の研究資料を読んで理解する事が出来るか、出来ないかと聞かれたら、僕は自信を持ってこう答える。
「無理だ」
さてと、一人ぐらいはまともな研究者を秘密基地に連れて来ないと駄目だな。転移魔法陣を使えば長距離移動も可能だから、蜘蛛女のプリシラを牢屋から連れて来ればいい。へっへへへ、今回は誰も助けてくれないよ。
ヨッと、無事にマーリンの洞窟に出られた。これで確認は済んだ。まだ、ここまでは誰も来ていないようだ。瘴気砲が通った事で洞窟には二つの出入り口が出来てしまった。上空を飛んでいる時にチラッと軍船が海上に見えたので、急いで海岸の出入り口に向かわないと、海と陸からの挟み討ちにされてしまうかもしれない。でも、慌てたら駄目だ。
「よし、一旦秘密基地に戻らないとな」
今度は秘密基地に戻って、マンチェスターの近くにあるサブ転移魔法陣に出られるか実際に確かめないといけない。海の底、地面の中と何処に出るかは確認できていない。実際に丸印の場所に行っても魔法陣の場所が見つからない場合もある。しっかりと魔法陣の出入り口は確認しないといけない。
「とりあえず、サークス、マンチェスター、ロンドンの近くにあるサブ魔法陣を調べるだけでいいだろう」
さっさと確認作業を終わらせないと、狭い洞窟の通路内で兵士達と鉢合わせになってしまう。まあ、こっちが欲しいのは瘴気とMP蓄積装置だけだ。別の場所から秘密基地に行けるのならば、まずは資料を理解できる人間を連れて来た方がいいかもしれない。
正直、蜘蛛女だけだと不安だな。マンチェスターに行くなら病院に魔法大好きのギルド長がいるから、協力してくれたら助かるけど、ちょっと微妙な所だな。敵対関係とまでは言わないけど、協力関係にはなれそうにない。大賢者の資料を一、二枚持って行って反応を見るしかないだろう。
「まあ、ここで考えていても仕方ない。自分に出来る事をやるしかないだろう」
まずは他の予備の出入り口の確認。次は瘴気とMP蓄積装置の確保。その次がメイドと女性兵士の拉致。最後に魔道具の専門家の拉致だ。よし、このプランで行こう。
時間の節約の為に急いで、予備のサブ魔法陣の出入り口を確認する。マンチェスターに一番近いサブ魔法陣は、シェフィールドの町の古城近くに繋がっていた。地獄世界でも同じような場所に町があったのかもしれない。そう考えると、赤丸印が付いていた26個の場所は、町が栄えていた場所と数という事かもしれないな。
ふっふ、考古学者ならばこの情報だけでも金貨300枚ぐらいは払ってくれそうだ。新世界に戻ったら、地獄の町でも発掘してみようかな。
同じようにサークス村近くとロンドンの街近くのサブ魔法陣を調べ終わると、キチンと機能している事が分かった。これでマーリンの洞窟にいちいち戻らなくても、他の魔法陣から秘密基地に戻る事が出来る。さて、まずはプラン通りに瘴気とMP装置を確保しないと。
「おおっ! これはマズいかも。ちょっと蒸し暑いぞ」
マーリンの洞窟に出ると足元がチャプチャプする。海水が新しく出来た出入り口から流れて来ているようだ。足のくるぶしよりも少し上ぐらいだから、海中に出入り口が出来た訳ではないようだ。僕が心配なのはブーツやズボンが海水で濡れる事じゃない。
瘴気砲で熱せられた地面や壁の岩が海水で冷やされて、今の洞窟内は海水が蒸発して大量の蒸気が発生している。もうちょっとしたサウナ状態だ。こんなサウナ状態の狭い通路でも、兵士ならば僕が死んでいるか確認しに来るのは間違いない。危険を覚悟でやる。それがプロの兵士というものだ。きっとそうだ。
「天井に穴を空けた方が今後の為にもいいだろうな」
瘴気砲が通った事で洞窟の通路は一直線の綺麗なトンネルになっている。通路に灯を付ければ、馬に乗った状態でもここまで来れるぐらいだ。でも、そんな誰でも通れる通路よりも、空を飛べる人だけが使える隠し通路があった方が絶対にいい。
天地創造剣を右手に持つと、剣先を天井に向けて飛行開始する。剣先が天井の岩盤を左右に押し退けて、人が一人だけ通れる狭い通路をドンドン作って行く。ちょっとMP残量が不安だけど、瘴気とMP装置を確保したら秘密基地で休めばいい。
『ゴガァ‼︎』
岩が左右に割れると太陽光が目に入った。無事にトンネルを貫通する事が出来た。新鮮な空気を吸い込んだのはずなのに、ちょっと異臭がした。この辺り一帯に瘴気が発生している所為だろう。こんな場所に普通の兵士がいたら身体を悪くするから、残っているのは魔法使いか、魔法耐性の高い兵士ぐらいだろうな。
「別にエリート兵士が何人残っていても問題ない。瘴気砲も発射したばかりなら動かせないだろうから、海岸の出入り口に向かえば残っているはずだ。戦闘は出来るだけ回避して目的を達成しよう」
透明マントを被って海面スレスレを低空飛行する。魔法使いならば少しは違和感を感じてしまうだろうけど、海面が見えるのは軍船に乗っている兵士達だけだ。地上1~2万人の兵士よりは見つかるリスクは低い。
誰にも気付かれずに海岸の出入り口に到着すると、兵士は誰も残っていなかった。ちょっと瘴気砲の周りに瘴気が発生しているだけでビビリ過ぎなんだよ。
【瘴気砲】 瘴気によって、装填された魔力の弾を何百倍の威力に増幅する発射する事が出来る魔導砲。あまりにも威力が強過ぎので、特殊魔法合金の砲身でも一回の使用にしか耐え切れない。
「これが瘴気砲か。砲身が壊れているのは威力が強過ぎるからか…」
一発だけの使い捨てタイプならば、連続では使えない。だけど、一台だけとは限らないから、見つかる前にさっさと装置を奪ってしまおう。
でも、新世界でやったように重力操作か、行使力で大きな物を浮かせて賢者の壺に入れて小さくする方法は使えない。瘴気砲は大き過ぎるから収納袋には入れられないから、必要な装置だけを奪うしかない。
【瘴気蓄積装置】 特殊魔法合金製の樽型蓄積装置。樽の内部には古代魔法陣が描かれていて、瘴気が外に出ないように防いでいる。瘴気が発生している場所に設置する事で、自動で容量最大まで瘴気を蓄積してくれる。
【MP蓄積装置】 特殊魔法合金製の樽型蓄積装置。樽の内部には古代魔法陣が描かれていて、MPが外に出ないように防いでいる。樽の上部にある手形部分に手を乗せる事でMPを容量最大まで吸収してくれる。
パパッと砂利道に置かれた金属の樽型装置を全て回収すると、最初の目的は達成された。このまま洞窟の出入り口に入って、秘密基地に戻るとしよう。
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