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第2部 第1章 新世界のF級冒険者
第5話 ウィルとそれぞれの役割
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「やっぱり不気味だな」
マンチェスターの街に到着したものの、静かな街は不気味な存在感を醸し出していた。とりあえず、街の銀行から金貨と銀貨を大量に持って行く事にしよう。ちょうど村に僕の等身大の黄金像を作りたかったのだ。ついでに他の六人も銀貨で作ってもいいけど、やはり僕への貢献度が低い者には見せしめとして銅貨で作る事も検討しないといけないかな。
そんな僕の壮大な計画を知っているのか、エミリアが率先して、皆んなに指示を出している。そんな頑張る彼女には、リーズの町の宝石店で一番高価なこのダイヤの指輪を贈ってもいいぐらいだ。大丈夫、慌てないで。他にもいっぱい盗って来たから、他の皆んなの分も、もちろんあるよ。
「では、街を一通り見て回ってから、村に持って行きたい建物があれば、ノートにチェックしてください。それとウィル様は冒険者ギルドの建物の回収をお願いします。村の建物と交換しますから」
「えっ…と、あの建物はデカ過ぎないかな? 五階建てだよ。僕一人じゃ難しいよ。ステータス測定装置と金庫と倉庫のお金と素材だけでいいじゃないのかな?」
多分、全員で行使力と魔法を使っても、ギリギリ浮かぶか、浮かばないか、という微妙な所だ。僕一人だと絶対に不可能なのはやらなくても分かる。まあ、一人でも方法がない事はない。二階から上を真横に切断していいのなら、僕一人でも2回に分けてなら、回収は出来る。修理はアシュリーに任せれば問題はないはずだ。
でも、なぞなぞやトンチじゃないんだから、この方法は違うか。壊さずにという事は壺を逆さにして、建物の上から壺に入れればイケるのか? いやいや、それなら横からでもイケるはずだ。よし、横からやってみようかな。
「そうですね。欲張り過ぎました。では、ユンと二人で必要そうな物があれば集めておいてください。袋と壺さえあれば、私達だけで建物の回収は出来ますから貸してもらいますね」
「ああっ…」
神龍剣だけでなく、無限収納袋と賢者の壺まで奪われてしまった。これでは横から建物を入れる事が出来るか分からない。まさかとは思うけど、エミリア達は僕をこの街に置き去りにして、スコットランド王国に亡命するつもりではないのだろうか。それが事実だとしたら、何という僕にとって恐ろしい計画なんだ。
「ほら、下僕。時間が無いんだから、さっさと二人で調べて来なさいよ。2時間後には出発するから遅れるんじゃないわよ!」
そう言うと、エミリアとミランダの二人は街の南側を、アシュリーとクレアとナナリーの三人は東側に向かって行った。西側は住宅街なので今は調べる必要はないという事だろう。とりあえず、本当に2時間後に出発するのか怪しいけど、ユンを置いては行かないだろう。
「じゃあ、行こうか」
ユンの隣に立っと右手を伸ばした。手を繋がないと何処に走って行くか分かったものじゃない。ユン相手だと僕はまったく緊張しないようだ。手汗は一つもかいていない。
「しょうがない、我慢してあげる」
素直ないい子だ。エミリアが握ってくれない手を簡単に握ってくれる。でも、妹みたいだから恋愛感情は無いんだよな。これでボンキュッボンだったら最高なんだけど、あと3年ぐらいは無理そうだな。いや、3年あっても難しいかな?
「ありがとう。欲しい物があったら好きなだけ盗っていいからね」
「分かっている。新しいバッグも盗って来たから、また入れられる。パンパンになったら、また盗って来て、また入れる」
素敵な笑顔でユンは笑っているけど、これは立派な犯罪行為だという自覚はないようだ。まあ、僕も武器屋から最高級の剣を二振りも借りて来たから注意は出来ない。
「そうだね。重たくなったら持ってあげるから貸してね」
「大丈夫。私はレベル24だから、このぐらいの重さは全然平気」
ユンは腕を曲げて、力こぶを見せようとしているようだけど、全然、力こぶが見えない。あれなら、おっぱいの方がまだ大きく見えそうだ。
さてと、冒険者ギルドといっても、そこまで必要な物はないはずだ。まあ、女性職員の制服が可愛かったから、ナナリー様に着させて専属メイドにでもなってもらおうかな。
「ウィル、もう食料品は必要ないと思う」
「そうかな? これだけ集めても、多分、5年もあれば全て消費してしまう量しかないよ。この街の食料品を合わせて、やっと20年分ぐらいだよ」
全部の町や街を回れば、150年ぐらいの食料品は集まるはずだ。人口が予想以上に増えれば、消費速度が上昇するから、その対策は考えないといけないけど、悲しい事にその対策を考える必要は今の所はない。
「うん、それは分かっている。でも、消費するだけだと駄目だと思う。野菜と同じでキチンと育てて収穫しないと駄目。人が増えたら、仕事がたくさん必要になると思うから、畑も家畜も沢山用意した方がいい」
「仕事か…」
確かに今は全員が無職のような状態だ。こうやって、街の物を盗んで生活しようとするのは、野盗とほとんど同じ生活だと言ってもいいぐらいだ。生まれて来た子供達の生活環境としてはかなり劣悪である。村長ならば、それぞれに適した真っ当な仕事を考えないと駄目だ。
とりあえず、ナナリーの仕事は僕専用のメイドを用意してあるけど、クレアは人がいないのに宿屋は無理だ。ミランダは肉、魚、キノコ、果物の乾物を作らせていればいい。ユンは土と水の魔法を覚えさせれば一人でも畑の管理は出来るだろう。クレアの仕事を一先ずは誰かのサポートとすれば、問題は残り二人になる。
エミリアは医学と工学の二つが得意そうだから、放置していても問題ない。アシュリーには街で盗って来た物を飾る場所が欲しいから、しばらくは城型倉庫を大量に作ってもらえばいいだろう。ついでに魚を養殖したいから近くに溜め池でも作ってもらおうかな?
「ウィル、着いたよ。ここが冒険者ギルドでしょう?」
「うん、そうだよ。入ろうか」
まあ、先の事を考えても疲れるだけだ。まずは与えられた自分の役割を全うするだけだ。とりあえず、ブラッドリー・ウーズの黒魔女の記録を抹消しないと駄目だ。あれは後世の子孫に知られていけない僕の黒歴史なんだから。
マンチェスターの街に到着したものの、静かな街は不気味な存在感を醸し出していた。とりあえず、街の銀行から金貨と銀貨を大量に持って行く事にしよう。ちょうど村に僕の等身大の黄金像を作りたかったのだ。ついでに他の六人も銀貨で作ってもいいけど、やはり僕への貢献度が低い者には見せしめとして銅貨で作る事も検討しないといけないかな。
そんな僕の壮大な計画を知っているのか、エミリアが率先して、皆んなに指示を出している。そんな頑張る彼女には、リーズの町の宝石店で一番高価なこのダイヤの指輪を贈ってもいいぐらいだ。大丈夫、慌てないで。他にもいっぱい盗って来たから、他の皆んなの分も、もちろんあるよ。
「では、街を一通り見て回ってから、村に持って行きたい建物があれば、ノートにチェックしてください。それとウィル様は冒険者ギルドの建物の回収をお願いします。村の建物と交換しますから」
「えっ…と、あの建物はデカ過ぎないかな? 五階建てだよ。僕一人じゃ難しいよ。ステータス測定装置と金庫と倉庫のお金と素材だけでいいじゃないのかな?」
多分、全員で行使力と魔法を使っても、ギリギリ浮かぶか、浮かばないか、という微妙な所だ。僕一人だと絶対に不可能なのはやらなくても分かる。まあ、一人でも方法がない事はない。二階から上を真横に切断していいのなら、僕一人でも2回に分けてなら、回収は出来る。修理はアシュリーに任せれば問題はないはずだ。
でも、なぞなぞやトンチじゃないんだから、この方法は違うか。壊さずにという事は壺を逆さにして、建物の上から壺に入れればイケるのか? いやいや、それなら横からでもイケるはずだ。よし、横からやってみようかな。
「そうですね。欲張り過ぎました。では、ユンと二人で必要そうな物があれば集めておいてください。袋と壺さえあれば、私達だけで建物の回収は出来ますから貸してもらいますね」
「ああっ…」
神龍剣だけでなく、無限収納袋と賢者の壺まで奪われてしまった。これでは横から建物を入れる事が出来るか分からない。まさかとは思うけど、エミリア達は僕をこの街に置き去りにして、スコットランド王国に亡命するつもりではないのだろうか。それが事実だとしたら、何という僕にとって恐ろしい計画なんだ。
「ほら、下僕。時間が無いんだから、さっさと二人で調べて来なさいよ。2時間後には出発するから遅れるんじゃないわよ!」
そう言うと、エミリアとミランダの二人は街の南側を、アシュリーとクレアとナナリーの三人は東側に向かって行った。西側は住宅街なので今は調べる必要はないという事だろう。とりあえず、本当に2時間後に出発するのか怪しいけど、ユンを置いては行かないだろう。
「じゃあ、行こうか」
ユンの隣に立っと右手を伸ばした。手を繋がないと何処に走って行くか分かったものじゃない。ユン相手だと僕はまったく緊張しないようだ。手汗は一つもかいていない。
「しょうがない、我慢してあげる」
素直ないい子だ。エミリアが握ってくれない手を簡単に握ってくれる。でも、妹みたいだから恋愛感情は無いんだよな。これでボンキュッボンだったら最高なんだけど、あと3年ぐらいは無理そうだな。いや、3年あっても難しいかな?
「ありがとう。欲しい物があったら好きなだけ盗っていいからね」
「分かっている。新しいバッグも盗って来たから、また入れられる。パンパンになったら、また盗って来て、また入れる」
素敵な笑顔でユンは笑っているけど、これは立派な犯罪行為だという自覚はないようだ。まあ、僕も武器屋から最高級の剣を二振りも借りて来たから注意は出来ない。
「そうだね。重たくなったら持ってあげるから貸してね」
「大丈夫。私はレベル24だから、このぐらいの重さは全然平気」
ユンは腕を曲げて、力こぶを見せようとしているようだけど、全然、力こぶが見えない。あれなら、おっぱいの方がまだ大きく見えそうだ。
さてと、冒険者ギルドといっても、そこまで必要な物はないはずだ。まあ、女性職員の制服が可愛かったから、ナナリー様に着させて専属メイドにでもなってもらおうかな。
「ウィル、もう食料品は必要ないと思う」
「そうかな? これだけ集めても、多分、5年もあれば全て消費してしまう量しかないよ。この街の食料品を合わせて、やっと20年分ぐらいだよ」
全部の町や街を回れば、150年ぐらいの食料品は集まるはずだ。人口が予想以上に増えれば、消費速度が上昇するから、その対策は考えないといけないけど、悲しい事にその対策を考える必要は今の所はない。
「うん、それは分かっている。でも、消費するだけだと駄目だと思う。野菜と同じでキチンと育てて収穫しないと駄目。人が増えたら、仕事がたくさん必要になると思うから、畑も家畜も沢山用意した方がいい」
「仕事か…」
確かに今は全員が無職のような状態だ。こうやって、街の物を盗んで生活しようとするのは、野盗とほとんど同じ生活だと言ってもいいぐらいだ。生まれて来た子供達の生活環境としてはかなり劣悪である。村長ならば、それぞれに適した真っ当な仕事を考えないと駄目だ。
とりあえず、ナナリーの仕事は僕専用のメイドを用意してあるけど、クレアは人がいないのに宿屋は無理だ。ミランダは肉、魚、キノコ、果物の乾物を作らせていればいい。ユンは土と水の魔法を覚えさせれば一人でも畑の管理は出来るだろう。クレアの仕事を一先ずは誰かのサポートとすれば、問題は残り二人になる。
エミリアは医学と工学の二つが得意そうだから、放置していても問題ない。アシュリーには街で盗って来た物を飾る場所が欲しいから、しばらくは城型倉庫を大量に作ってもらえばいいだろう。ついでに魚を養殖したいから近くに溜め池でも作ってもらおうかな?
「ウィル、着いたよ。ここが冒険者ギルドでしょう?」
「うん、そうだよ。入ろうか」
まあ、先の事を考えても疲れるだけだ。まずは与えられた自分の役割を全うするだけだ。とりあえず、ブラッドリー・ウーズの黒魔女の記録を抹消しないと駄目だ。あれは後世の子孫に知られていけない僕の黒歴史なんだから。
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