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第2部 第1章 新世界のF級冒険者
第4話 ウィルと新たな生命
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エミリアの心石との契約が無事に終わると、早速、肉屋を浮かべる事になった。まずは三人で挑戦して、駄目だったら、アシュリーを加えて、四人で挑戦する事になる。
賢者の壺を肉屋の前に置くと、肉屋の建物に浮くように念じた。賢者の壺に入れた物は縮小するので、壺に入れさえすれば、収納袋に移す事も楽に出来るのだ。
あれ? これって…。
フワフワと肉屋が宙に浮いている。どう考えても、僕一人でもイケそうな気する。いや、違う。神龍剣が重力操作を使っているのだ。これは行使力の力ではなくて、魔法の力で浮かせているのだ。
あの野郎。自分でも途中で無理だと思ったから、重力魔法に切り替えたんだ。何が行使力で浮かせられるだよ。おかしいと思ったんだよ。行使力は弱で、やっとレベル1の人間を操れる程度の力だ。どう考えても建物なんて浮かせられない。
「エミリアは休んでいていいよ。僕と神龍だけで十分みたいだ。そうだろう?」
『そのようだな。お前の行使力がそこまで強力になっているとは思わなかった。流石は超越者と言った所か』
「お前に褒められても嬉しくないよ」
神龍に言いたい文句は山程あるけどれ、彼の協力で建物ごと回収できるのは非常に助かる。一つずつ品物をチェックしながら回収していたら、1時間はかかりそうな作業が、たったの2分程度で済むからだ。
「凄いですね。ウィル様が本当にこれをやっているんですか?」
「まあね」
建物を浮かせている僕の力を見て、エミリアは本当に驚いているようだ。まあ、僕が神様との戦いに勝利した瞬間を見ていないから、信じられないのも仕方ない。もしもあの時、エミリアが生きていたら、今頃は僕にメロメロになっている。
それにしても、本当に僕達以外は誰もいないんだな。普通は家の扉を蹴破れば、悲鳴の一つぐらいは聞こえるものだ。
それでも、家の中からは犬や猫の鳴き声が聞こえて来た。彼らの飼い主はもう居ないので、首輪を外して、広い外の世界に逃してやった。村で飼う事も考えたけど、1匹許せば、もう止まらない。村には鶏の鳴き声だけで十分だ。
とりあえず、クレアの宿屋とミランダの乾物屋は収納袋に入れたから、そろそろマンチェスターの街に向かいたい。そう思っていると、ユンがまた走って来た。もう町のケーキ屋と駄菓子屋は全部入れたはずだ。今度は玩具屋か?
「馬を見つけたよ」
「本当! 何色だった?」
まさかの馬を見つけた報告だった。これは嬉しい報告だ。そうそう、馬が欲しかったんだよ。賢者の壺で捕まえた鳥と合成させれば、グリフィンは無理でも、空飛ぶ馬のペガサスぐらいは作れるはずだ。
「うううん…と、赤茶」
「そう、分かった」
色を聞いて、テンションが一気に下がってしまった。本当は白がいいけど、まあ贅沢は言えない。飛行手段が手に入る事を素直に喜ぼう。
『ウィル、生物を融合させるのは気をつける事だ。馬は草食だが、鳥は雑食だ。異なる生物を融合させる行為は神の御業の一つだ。人間が手を出していいレベルを超えている。特に人間を他の生物とは絶対に合わせるな』
人間を他の生物と合わせて出来るのは、不死者だけだ。それも不完全な出来損ないが出来るだけだ。けれども、エミリアが手伝えば、成功率は跳ね上がる。僕の魔力とエミリアの知識と経験が合わされば、確実とは言えないが上手くはいくはずだ。
「そのぐらいは分かっているよ。それに異なる野菜同士を組み合わせるのには上手くいっている。ペガサスぐらいは簡単に作れるはずだよ」
『生命を作るか? 神人になった事で傲慢になったか。人も生物も作るものではない。産まれるものだ。そして、子供も作るものではない。産まれるものだ。お前も彼女達も子を作る為の道具ではない。生き残ったからといって、道具になる必要はない。焦らずにしっかりと愛を育め』
何恥ずかしい事、言ってんだよ。僕はエミリアやユンを子供を作る為の道具だなんて、これっぽっちも思ってないよ。本当だよ!
「確かにウィル様は、女性と積極的に子作りしようとしています。いくら必要な事だと言われても、私達は物じゃありません。その辺の事をもっと考えて欲しいです」
ここで、『僕もやりたくて、やろうとしている訳じゃないんだよ』とか言ったら、『だったら、やらなきゃいいでしょう』と、火に油を注ぐようなものだ。ここで上手く回答しないと、女性陣の好感度は一気に下がる。
「本当は子作りなんてどうでもいいんだよ。ただ不安なんだ。僕なんかが生き残って良かったのか、不安でどうしようもなくて、誰かと寝る事で不安な気持ちを忘れたかったんだよ。ごめんね、二人とも…」
「ウィル、元気出して」
「ありがとう、ユン」
素直で騙されやすいユンは、僕の頭を撫でて慰めてくれます。これで涙一つ流せれば完璧だったはずだ。その証拠にエミリアは完全無視だ。僕の事は一切考えていないんだね。
「さあ、時間もないので早く馬を回収して出発しましょう。ウィル様にはマンチェスターの街で精神安定剤と抱き枕を見つければ十分でしょう」
「ありがとう、エミリア」
酷い扱いだ。まったく、どういう事だ? どう考えてもエミリアの好感度が異常に低い。一体何処から好感度が下がった。僕にはまったく心当たりがない。まさか、死んだ事で性格に変化が起きたんじゃないのか。
生き返った後のエミリアの性格は、僕が知っている彼女とは正反対と言ってもいい。このままでは僕の愛が持たない。あとで神龍剣に聞いてみるしかないかな。
「では、出発します。ウィル様は袋の中に入ってくださいね」
「了解です」
とりあえず様子を見るしかない。僕の勘違いという可能性もある。それに男は僕一人だと言ってもいい。焦らずとも求める結果は変わらない。
賢者の壺を肉屋の前に置くと、肉屋の建物に浮くように念じた。賢者の壺に入れた物は縮小するので、壺に入れさえすれば、収納袋に移す事も楽に出来るのだ。
あれ? これって…。
フワフワと肉屋が宙に浮いている。どう考えても、僕一人でもイケそうな気する。いや、違う。神龍剣が重力操作を使っているのだ。これは行使力の力ではなくて、魔法の力で浮かせているのだ。
あの野郎。自分でも途中で無理だと思ったから、重力魔法に切り替えたんだ。何が行使力で浮かせられるだよ。おかしいと思ったんだよ。行使力は弱で、やっとレベル1の人間を操れる程度の力だ。どう考えても建物なんて浮かせられない。
「エミリアは休んでいていいよ。僕と神龍だけで十分みたいだ。そうだろう?」
『そのようだな。お前の行使力がそこまで強力になっているとは思わなかった。流石は超越者と言った所か』
「お前に褒められても嬉しくないよ」
神龍に言いたい文句は山程あるけどれ、彼の協力で建物ごと回収できるのは非常に助かる。一つずつ品物をチェックしながら回収していたら、1時間はかかりそうな作業が、たったの2分程度で済むからだ。
「凄いですね。ウィル様が本当にこれをやっているんですか?」
「まあね」
建物を浮かせている僕の力を見て、エミリアは本当に驚いているようだ。まあ、僕が神様との戦いに勝利した瞬間を見ていないから、信じられないのも仕方ない。もしもあの時、エミリアが生きていたら、今頃は僕にメロメロになっている。
それにしても、本当に僕達以外は誰もいないんだな。普通は家の扉を蹴破れば、悲鳴の一つぐらいは聞こえるものだ。
それでも、家の中からは犬や猫の鳴き声が聞こえて来た。彼らの飼い主はもう居ないので、首輪を外して、広い外の世界に逃してやった。村で飼う事も考えたけど、1匹許せば、もう止まらない。村には鶏の鳴き声だけで十分だ。
とりあえず、クレアの宿屋とミランダの乾物屋は収納袋に入れたから、そろそろマンチェスターの街に向かいたい。そう思っていると、ユンがまた走って来た。もう町のケーキ屋と駄菓子屋は全部入れたはずだ。今度は玩具屋か?
「馬を見つけたよ」
「本当! 何色だった?」
まさかの馬を見つけた報告だった。これは嬉しい報告だ。そうそう、馬が欲しかったんだよ。賢者の壺で捕まえた鳥と合成させれば、グリフィンは無理でも、空飛ぶ馬のペガサスぐらいは作れるはずだ。
「うううん…と、赤茶」
「そう、分かった」
色を聞いて、テンションが一気に下がってしまった。本当は白がいいけど、まあ贅沢は言えない。飛行手段が手に入る事を素直に喜ぼう。
『ウィル、生物を融合させるのは気をつける事だ。馬は草食だが、鳥は雑食だ。異なる生物を融合させる行為は神の御業の一つだ。人間が手を出していいレベルを超えている。特に人間を他の生物とは絶対に合わせるな』
人間を他の生物と合わせて出来るのは、不死者だけだ。それも不完全な出来損ないが出来るだけだ。けれども、エミリアが手伝えば、成功率は跳ね上がる。僕の魔力とエミリアの知識と経験が合わされば、確実とは言えないが上手くはいくはずだ。
「そのぐらいは分かっているよ。それに異なる野菜同士を組み合わせるのには上手くいっている。ペガサスぐらいは簡単に作れるはずだよ」
『生命を作るか? 神人になった事で傲慢になったか。人も生物も作るものではない。産まれるものだ。そして、子供も作るものではない。産まれるものだ。お前も彼女達も子を作る為の道具ではない。生き残ったからといって、道具になる必要はない。焦らずにしっかりと愛を育め』
何恥ずかしい事、言ってんだよ。僕はエミリアやユンを子供を作る為の道具だなんて、これっぽっちも思ってないよ。本当だよ!
「確かにウィル様は、女性と積極的に子作りしようとしています。いくら必要な事だと言われても、私達は物じゃありません。その辺の事をもっと考えて欲しいです」
ここで、『僕もやりたくて、やろうとしている訳じゃないんだよ』とか言ったら、『だったら、やらなきゃいいでしょう』と、火に油を注ぐようなものだ。ここで上手く回答しないと、女性陣の好感度は一気に下がる。
「本当は子作りなんてどうでもいいんだよ。ただ不安なんだ。僕なんかが生き残って良かったのか、不安でどうしようもなくて、誰かと寝る事で不安な気持ちを忘れたかったんだよ。ごめんね、二人とも…」
「ウィル、元気出して」
「ありがとう、ユン」
素直で騙されやすいユンは、僕の頭を撫でて慰めてくれます。これで涙一つ流せれば完璧だったはずだ。その証拠にエミリアは完全無視だ。僕の事は一切考えていないんだね。
「さあ、時間もないので早く馬を回収して出発しましょう。ウィル様にはマンチェスターの街で精神安定剤と抱き枕を見つければ十分でしょう」
「ありがとう、エミリア」
酷い扱いだ。まったく、どういう事だ? どう考えてもエミリアの好感度が異常に低い。一体何処から好感度が下がった。僕にはまったく心当たりがない。まさか、死んだ事で性格に変化が起きたんじゃないのか。
生き返った後のエミリアの性格は、僕が知っている彼女とは正反対と言ってもいい。このままでは僕の愛が持たない。あとで神龍剣に聞いてみるしかないかな。
「では、出発します。ウィル様は袋の中に入ってくださいね」
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