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第6話
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「女相手に手荒な真似はしたくない。手に持っている針と鞄を捨てて、靴を脱げ。騎士団長として約束しよう、盗んだ国宝を全て返せば見逃してやる」
もちろん嘘だ。罪人相手の約束など破る為にある。
厄介な武器がなくなれば、もはやただの小娘。それも可愛いだけの小娘だ。
騎士団長として罪人に相応しい罰をたっぷりと煙が消えるまで執行してやる。
「騙されるか!」
だろうな。偽聖女が右手の木針を俺の左胸に刺そうと突き出した。
「仕方ない……」
騎士として紳士的な対応はした。それを無視して抵抗されたのなら仕方ない。
偽聖女の抵抗にガッカリした感じを出し、左手の大盾を木針の前に素早く構えた。
「フンッ!」
「痛っ!」
木針は大盾をすり抜けたが、偽聖女の手は大盾に防がれた。
それの対策は用意してある。右手を素早く動かして、偽聖女の右手首を掴んだ。
「もう逃さんぞ!」
「きゃああああ!」
手首を強く掴んで言うと偽聖女が悲鳴を上げて、右手から木針を放した。
大盾に木針が突き刺さった状態で浮かんでいる。これはもう逃げられない。
左手の大盾を放り投げた。この自由になった左手で予定通り胸を揉み回させてもらう。
もちろん右手でも揉んでやる。胸以外も揉んでやるから覚悟しろ。
「この!」
「何だ⁉︎」
苦し紛れか偽聖女が鞄に左手を突っ込んで、俺の顔に向かって何かを投げてきた。
反射的に左手で投げられたものを掴んだ。ずいぶんと柔らかく温かいものだ。
目の前に掲げてみると可愛らしい瞳と目が合った。
「にゃ~ん♡」
「フッ」
白黒の猫ちゃんだった。ずいぶんと可愛い抵抗だ。思わず吹き出した。
猫ちゃんを優しく左手から放すと、もう一度偽聖女の胸に左手を伸ばした。
「このこのこの!」
「「「にゃ~ん♡」」」
「なぁっ⁉︎」
一匹ではなかった。偽聖女が次々に猫ちゃんを取り出して投げてきた。
「「「にゃ~ん♡」」」
「くっ、やめろおおお! 可哀想だろ!」
投げつけられる猫ちゃん達を殴り飛ばすわけにはいかない。
右手で掴んでいた偽聖女の手首を放して、両腕で猫ちゃん達から顔を守るしかない。
あっという間に鎧に猫ちゃん達が15匹以上もぶら下がってしまった。
ギギギギギギギギィィィ……
しかも、猫ちゃん達の爪が鉄鎧を切り裂いている。
普通の猫ちゃんにこんな真似が出来るわけがない。
妖精王の魔法針で無理矢理身体能力を上げたに違いない。
「この、腐れ外道があああ!」
「「「にゃ~ん!」」」
動物虐待の凶悪犯罪者に向かって叫ぶと、身体を勢いよく振り回して、猫ちゃん達を身体から振り払った。
この女だけは許してはいけない。胸を揉む前に鉄拳制裁だ。胸はその後に揉んでやる。
「お前が傷付けた猫ちゃん達の痛みを思い知れ! 行くぞ!」
握り締めた右手を振り上げた。その瞬間——
「はううううん!」
誰かに浣腸された。いや、浣腸は有り得ない。鉄鎧に尻は守られている。
だとしたら……
「にゃ~ん♡」
「ね、ね、猫ちゃん……!」
足元を何とか見ると白黒の猫ちゃんと目が合った。最初に投げられた猫だ。
口に木針を咥えた白黒猫ちゃんが木針を俺の足に刺している。
身体がピクリとも動かない。
もちろん嘘だ。罪人相手の約束など破る為にある。
厄介な武器がなくなれば、もはやただの小娘。それも可愛いだけの小娘だ。
騎士団長として罪人に相応しい罰をたっぷりと煙が消えるまで執行してやる。
「騙されるか!」
だろうな。偽聖女が右手の木針を俺の左胸に刺そうと突き出した。
「仕方ない……」
騎士として紳士的な対応はした。それを無視して抵抗されたのなら仕方ない。
偽聖女の抵抗にガッカリした感じを出し、左手の大盾を木針の前に素早く構えた。
「フンッ!」
「痛っ!」
木針は大盾をすり抜けたが、偽聖女の手は大盾に防がれた。
それの対策は用意してある。右手を素早く動かして、偽聖女の右手首を掴んだ。
「もう逃さんぞ!」
「きゃああああ!」
手首を強く掴んで言うと偽聖女が悲鳴を上げて、右手から木針を放した。
大盾に木針が突き刺さった状態で浮かんでいる。これはもう逃げられない。
左手の大盾を放り投げた。この自由になった左手で予定通り胸を揉み回させてもらう。
もちろん右手でも揉んでやる。胸以外も揉んでやるから覚悟しろ。
「この!」
「何だ⁉︎」
苦し紛れか偽聖女が鞄に左手を突っ込んで、俺の顔に向かって何かを投げてきた。
反射的に左手で投げられたものを掴んだ。ずいぶんと柔らかく温かいものだ。
目の前に掲げてみると可愛らしい瞳と目が合った。
「にゃ~ん♡」
「フッ」
白黒の猫ちゃんだった。ずいぶんと可愛い抵抗だ。思わず吹き出した。
猫ちゃんを優しく左手から放すと、もう一度偽聖女の胸に左手を伸ばした。
「このこのこの!」
「「「にゃ~ん♡」」」
「なぁっ⁉︎」
一匹ではなかった。偽聖女が次々に猫ちゃんを取り出して投げてきた。
「「「にゃ~ん♡」」」
「くっ、やめろおおお! 可哀想だろ!」
投げつけられる猫ちゃん達を殴り飛ばすわけにはいかない。
右手で掴んでいた偽聖女の手首を放して、両腕で猫ちゃん達から顔を守るしかない。
あっという間に鎧に猫ちゃん達が15匹以上もぶら下がってしまった。
ギギギギギギギギィィィ……
しかも、猫ちゃん達の爪が鉄鎧を切り裂いている。
普通の猫ちゃんにこんな真似が出来るわけがない。
妖精王の魔法針で無理矢理身体能力を上げたに違いない。
「この、腐れ外道があああ!」
「「「にゃ~ん!」」」
動物虐待の凶悪犯罪者に向かって叫ぶと、身体を勢いよく振り回して、猫ちゃん達を身体から振り払った。
この女だけは許してはいけない。胸を揉む前に鉄拳制裁だ。胸はその後に揉んでやる。
「お前が傷付けた猫ちゃん達の痛みを思い知れ! 行くぞ!」
握り締めた右手を振り上げた。その瞬間——
「はううううん!」
誰かに浣腸された。いや、浣腸は有り得ない。鉄鎧に尻は守られている。
だとしたら……
「にゃ~ん♡」
「ね、ね、猫ちゃん……!」
足元を何とか見ると白黒の猫ちゃんと目が合った。最初に投げられた猫だ。
口に木針を咥えた白黒猫ちゃんが木針を俺の足に刺している。
身体がピクリとも動かない。
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