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第34話 被害者三人組③
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『〝発〟』
鞘から剣を一気に引き抜くと、向かって来たキモの身体を突然地面から発生した直径2メートル、高さ4メートル程の砂嵐が包み込んだ。
「うっ⁉︎ 何だこれは? ぺっ…ぺっ…」
大剣を振って、キモは砂嵐を振り払わおうとしている。目、口、鼻に入って気持ち悪いのだろう。でも、数秒後には消える魔法の砂のようなものだ。効果が切れたら砂の一粒も残らない。
山太刀は風太刀とは違いスピードは全然期待できない。特に『土煙』は、前方に砂埃を数秒間だけ発生させる竜巻を作り出す事しか出来ない。攻撃力はない。ただの目眩しだ。
(この一瞬で勝負を決める)
剣の柄を両手でしっかりと握り、剣先を左斜め下に向けて走り出した。狙うは一撃必殺。男ならここに、この一撃を喰らったら終わりだ。目を瞑り、左腕の二の腕で鼻と口を覆って、砂嵐を防いでいる無防備なキモの二本の足の間に、剣を下から上に思い切り振り上げた。
「はぁゔゔっっ~~! あがっ…あふっ!」
剣の峰が直撃した瞬間、苦悶の雄叫びを上げてキモは股間を両手で押さえて、地面に倒れ込んでしまった。剣の峰がキモの股の間の大事なものを粉砕したのだ。
「…ぁあっ…汚いぞっ! この卑怯者がっ!」
砂嵐が消えると、股間を涎を垂れ流しながら押さえつけているキモが現れた。その苦しそうな表情から結構重傷のようだ。やはり手加減するべきだったかもしれない。
「命まで取らないんだ。感謝して欲しいぐらいだよ!」
「ぐはっ!」
とりあえず、剣の峰を背中に振り下ろして叩きつけてやった。自分の立場がまだ分かっていないようだ。そっちは殺すつもりで襲って来たのだ。普通にこっちも殺すつもりで攻撃しても問題ない。それを男の命を一時的に奪うだけで許してあげるようとしているのに、口の利き方がなっていない。
「がはっ…ごほっ…!」
「もう俺の女に近づかないと誓え! そうしたら、この辺で許してやるよ! さあ、言えよ。もう近づかないって言えよぉー!」
身体を丸めて蹲っているキモの背中に剣を容赦なく何度も何度も叩きつける。僕だって、倒れている相手にこんな事はしたくはない。でも、あの女に命を懸ける価値なんてない。そもそも、命を懸けるだけ無駄だ。ステラはキモの事なんて何とも思っていない。
もちろん、僕も何とも思っていない。誰も幸せになれない、このくだらない戦いはさっさと終わらせて、古代遺跡に行きたいぐらいだ。
「嫌だぁ……絶対に嫌だぁ~!」
ただ攻撃に耐え続けていただけのキモが大声を出して立ち上がった。まだ、抵抗する力が残っていたようだ。流石は中級冒険者、予想以上に頑丈だ。それとも愛の成せる技なのだろうか。
「こいつ!」
だが、そんなものは一時的なまやかしだ。キモは身体のダメージが残っていて、フラフラと立っているだけで限界のようだ。これ以上は頑張る必要はない。僕は鍛え上げられたキモの腹筋に剣を容赦なく叩き込んだ。
「ぐふっ……やっと捕まえた」
けれども、倒れない。倒れないどころか剣を素手で掴んで離そうともしない。そんな事をすれば指が切れ落ちてしまう。
「やめろ! 冒険者が出来なくなるぞ!」
思わず叫んでしまった。武器を握れなくなれば、冒険者として終わりだ。せっかく苦労して中級冒険者になったのに、それを一瞬で、しかもこんな女の為に失うのは勿体ない。
「そんなのどうでもいい! 俺はスゥたんと一緒になれないなら死んでもいいんだ。本気なんだよ。本気で好きなんだよ」
「お前……」
ただのキモい変態かと思っていたけど違うのかもしれない。ステラを無理矢理、家に連れて行って監禁しても最初は上手くいかない。そんなのは分かりきっている。
でも、一緒に暮らしてうちに、少しずつステラの気持ちにも変化が現れるかもしれない。大事なのは、本当に今の気持ちなのだろうか? その先にある気持ちを信じてもいいんじゃないのか。
キモの本気の想いが僕の心を動かした。この戦いは最初から勝者が決まっていたのだ。僕はあの女を少しも愛していない。どちらかと言えば、大嫌いだ。最初から僕とキモが戦っても意味がなかった。この戦いに決着をつけられるのは、ステラとキモの二人だけなのだから……。
「剣を離せ。俺の負けだ。あの女はお前のものだ。悪かったな、邪魔なんかして」
「卑怯者の言葉に騙されるものか!」
「嘘じゃない。あの女はお前のものだ」
「……本当に嘘じゃないのか?」
「ああ、お前のものだ」
キモは剣を握り締めたまま離さなかった。だから、自分から剣の柄から両手を離した。僕にはもう戦うつもりはない。この愛の決着は二人でしか決められない。僕も野次馬達も二人の愛の決着の邪魔にならないように、静かに見守るしかない。
「スゥたん……俺とスゥたんが初めて会ったのも、こんなポカポカ陽気のお昼頃だったよね。あの頃のスゥたんは艶々の黒髪で、はぁ…はぁ…凄く可愛かったよね。あっ~あ、今の髪の色も良いよぉ~♪ ちょっと大人っぽい感じが、スゥたんのミステリアスな魅力を引き出し——」
ヤバイ、帰りたい。掴んでいた僕の剣を地面に落とすと、キモは傍観者のように立っていたステラに満面の笑みを浮かべて近づいて行く。何人かの野次馬も僕と同じ事を思ったようだ。キモの捏造された昔話なんてどうでもいい。出来れば聞きたくもない。ゾロゾロと野次馬達が帰り始めた。
「ねぇ、スゥたん。俺がプレゼントした指輪まだ持っている? 俺とお揃いの指輪だよ」
「……」
血だらけの左手を持ち上げて、その薬指に嵌っている指輪をステラに見せている。でも、ステラは無反応だ。多分、売ったのだろう。
「俺達が出会って、一ヶ月記念にプレゼントした指輪だよ。覚えてない? あっははは。もしかして、無くしちゃったりしたのかな? でも、安心して。二ヶ月記念の指輪を作ったんだよ。再来週には三ヶ月記念の指輪も作るからね」
一ヶ月? 付き合いが浅過ぎるだろう。そんなんで相手の事が分かるはずがない。積極的なのはいいけど、押して押して、押し倒したら犯罪なんだぞ。
キモは冒険者としては優秀かもしれないけど、恋愛は初心者といってもいいぐらいだ。好き好きアピールを好意のない相手にされても、女性は迷惑としか感じない。好きだとアピールするのは、少し時間をかけて、女性に好意の芽が育った後だ。芽が出なければ、花は育たない。
特に今のようにキモに対して好意が無くて、嫌いという気持ちしかないと、何をやっても逆効果にしかならない。もう一度、お友達か顔見知りぐらいから始めた方がまだ可能性がある。一度、距離を置くべきなんだよ。
「……ディラン、分かった。もう一度チャンスを上げるわ」
両手の短剣を背中に仕舞うと、ステラは諦めたように、キモの名前を呼んだ。やっぱり、覚えていたようだ。
「いや…スゥたん。俺、グラントだよ?」
「……分かった。グラント、もう一度チャンスを上げるわ」
明らかに名前を間違えた。でも、グラントは気にしていないようだ。名前を呼ばれて嬉しそうにしている。
「何でも言ってよ。どんな願いもスゥたんの為なら頑張って叶えてみせるから」
「じゃあ、もうちょっとこっちに来て。誰にも聞かれたくないから」
「う、うん……」
ステラに少しは気を使っていたのか、グラントはステラから5メートル離れた位置で話をしていた。でも、4…3…2とステラに言われるままに距離を詰めて行く。おいおい、仲直りのキスでもするんじゃないだろうな。そう思いつつ、ドキドキと見てしまっていた。
そして、二人の距離が1メートルになった瞬間、ゆっくりとステラが動いた。いや、ステラの右足が上に向かって動いた。容赦なく蹴り上げられた右足のつま先は、グラントの股の間のものを見事に蹴り潰した。
「はゔっっ~~! あうっ…あうっ…どうじぃて?」
股間を押さえて絶叫するとグラントは地面に両膝をついて倒れてしまった。どうして、こんな事をされるのか理解できないといった表情をしている。
「ハァッ? チャンスは一度で十分でしょう。何、期待してんのよ。このボケカス!」
「あゔっ!」
そう言うと容赦なく蹲るグラントの顔面に足蹴りを炸裂させた。グラントの鼻からポタポタと鼻血が止まらない。出来れば、スカートの中を見て興奮していない事を期待したい。
「このストーカーがぁ! 二度と近づかないように去勢してやる!」
「…ぁあっ…やめっ…助けて…」
ステラによる容赦ないピンポイント集中攻撃が続く。股の間のものを踏み潰し、踏み潰し、踏み潰した。それはグラントが気絶するまで休まずに続けられた。流石にここまでやられたら、僕なら二度と近づかない。
(でも、少し嬉しそうじゃないか?)
気絶したグラントの表情は苦しんでいるようには見えない。それどころか僅かに喜んでいるようにも見える。もしかすると、これが愛なのかもしれない。与えられたものを無条件に受け入れる。それが幸も不幸も、喜びも苦痛も関係なく。
とりあえず、股間に回復液をかけておこう。もしかすると、助かるかもしれない。
「何やってんのよ? 待ち合わせの時間に遅れるじゃない。そんなゴミ、放っておいて行くわよ」
「えっ? ああっ、分かったよ」
予想外の言葉に少し戸惑ってしまったけど、どうやら、古代遺跡に付いて来るつもりのようだ。まあ、これだけの騒ぎを起こしたら、しばらくは誰にも相手にされない。それぐらいは分かっているようだ。
♢♦︎♢♦︎♢
鞘から剣を一気に引き抜くと、向かって来たキモの身体を突然地面から発生した直径2メートル、高さ4メートル程の砂嵐が包み込んだ。
「うっ⁉︎ 何だこれは? ぺっ…ぺっ…」
大剣を振って、キモは砂嵐を振り払わおうとしている。目、口、鼻に入って気持ち悪いのだろう。でも、数秒後には消える魔法の砂のようなものだ。効果が切れたら砂の一粒も残らない。
山太刀は風太刀とは違いスピードは全然期待できない。特に『土煙』は、前方に砂埃を数秒間だけ発生させる竜巻を作り出す事しか出来ない。攻撃力はない。ただの目眩しだ。
(この一瞬で勝負を決める)
剣の柄を両手でしっかりと握り、剣先を左斜め下に向けて走り出した。狙うは一撃必殺。男ならここに、この一撃を喰らったら終わりだ。目を瞑り、左腕の二の腕で鼻と口を覆って、砂嵐を防いでいる無防備なキモの二本の足の間に、剣を下から上に思い切り振り上げた。
「はぁゔゔっっ~~! あがっ…あふっ!」
剣の峰が直撃した瞬間、苦悶の雄叫びを上げてキモは股間を両手で押さえて、地面に倒れ込んでしまった。剣の峰がキモの股の間の大事なものを粉砕したのだ。
「…ぁあっ…汚いぞっ! この卑怯者がっ!」
砂嵐が消えると、股間を涎を垂れ流しながら押さえつけているキモが現れた。その苦しそうな表情から結構重傷のようだ。やはり手加減するべきだったかもしれない。
「命まで取らないんだ。感謝して欲しいぐらいだよ!」
「ぐはっ!」
とりあえず、剣の峰を背中に振り下ろして叩きつけてやった。自分の立場がまだ分かっていないようだ。そっちは殺すつもりで襲って来たのだ。普通にこっちも殺すつもりで攻撃しても問題ない。それを男の命を一時的に奪うだけで許してあげるようとしているのに、口の利き方がなっていない。
「がはっ…ごほっ…!」
「もう俺の女に近づかないと誓え! そうしたら、この辺で許してやるよ! さあ、言えよ。もう近づかないって言えよぉー!」
身体を丸めて蹲っているキモの背中に剣を容赦なく何度も何度も叩きつける。僕だって、倒れている相手にこんな事はしたくはない。でも、あの女に命を懸ける価値なんてない。そもそも、命を懸けるだけ無駄だ。ステラはキモの事なんて何とも思っていない。
もちろん、僕も何とも思っていない。誰も幸せになれない、このくだらない戦いはさっさと終わらせて、古代遺跡に行きたいぐらいだ。
「嫌だぁ……絶対に嫌だぁ~!」
ただ攻撃に耐え続けていただけのキモが大声を出して立ち上がった。まだ、抵抗する力が残っていたようだ。流石は中級冒険者、予想以上に頑丈だ。それとも愛の成せる技なのだろうか。
「こいつ!」
だが、そんなものは一時的なまやかしだ。キモは身体のダメージが残っていて、フラフラと立っているだけで限界のようだ。これ以上は頑張る必要はない。僕は鍛え上げられたキモの腹筋に剣を容赦なく叩き込んだ。
「ぐふっ……やっと捕まえた」
けれども、倒れない。倒れないどころか剣を素手で掴んで離そうともしない。そんな事をすれば指が切れ落ちてしまう。
「やめろ! 冒険者が出来なくなるぞ!」
思わず叫んでしまった。武器を握れなくなれば、冒険者として終わりだ。せっかく苦労して中級冒険者になったのに、それを一瞬で、しかもこんな女の為に失うのは勿体ない。
「そんなのどうでもいい! 俺はスゥたんと一緒になれないなら死んでもいいんだ。本気なんだよ。本気で好きなんだよ」
「お前……」
ただのキモい変態かと思っていたけど違うのかもしれない。ステラを無理矢理、家に連れて行って監禁しても最初は上手くいかない。そんなのは分かりきっている。
でも、一緒に暮らしてうちに、少しずつステラの気持ちにも変化が現れるかもしれない。大事なのは、本当に今の気持ちなのだろうか? その先にある気持ちを信じてもいいんじゃないのか。
キモの本気の想いが僕の心を動かした。この戦いは最初から勝者が決まっていたのだ。僕はあの女を少しも愛していない。どちらかと言えば、大嫌いだ。最初から僕とキモが戦っても意味がなかった。この戦いに決着をつけられるのは、ステラとキモの二人だけなのだから……。
「剣を離せ。俺の負けだ。あの女はお前のものだ。悪かったな、邪魔なんかして」
「卑怯者の言葉に騙されるものか!」
「嘘じゃない。あの女はお前のものだ」
「……本当に嘘じゃないのか?」
「ああ、お前のものだ」
キモは剣を握り締めたまま離さなかった。だから、自分から剣の柄から両手を離した。僕にはもう戦うつもりはない。この愛の決着は二人でしか決められない。僕も野次馬達も二人の愛の決着の邪魔にならないように、静かに見守るしかない。
「スゥたん……俺とスゥたんが初めて会ったのも、こんなポカポカ陽気のお昼頃だったよね。あの頃のスゥたんは艶々の黒髪で、はぁ…はぁ…凄く可愛かったよね。あっ~あ、今の髪の色も良いよぉ~♪ ちょっと大人っぽい感じが、スゥたんのミステリアスな魅力を引き出し——」
ヤバイ、帰りたい。掴んでいた僕の剣を地面に落とすと、キモは傍観者のように立っていたステラに満面の笑みを浮かべて近づいて行く。何人かの野次馬も僕と同じ事を思ったようだ。キモの捏造された昔話なんてどうでもいい。出来れば聞きたくもない。ゾロゾロと野次馬達が帰り始めた。
「ねぇ、スゥたん。俺がプレゼントした指輪まだ持っている? 俺とお揃いの指輪だよ」
「……」
血だらけの左手を持ち上げて、その薬指に嵌っている指輪をステラに見せている。でも、ステラは無反応だ。多分、売ったのだろう。
「俺達が出会って、一ヶ月記念にプレゼントした指輪だよ。覚えてない? あっははは。もしかして、無くしちゃったりしたのかな? でも、安心して。二ヶ月記念の指輪を作ったんだよ。再来週には三ヶ月記念の指輪も作るからね」
一ヶ月? 付き合いが浅過ぎるだろう。そんなんで相手の事が分かるはずがない。積極的なのはいいけど、押して押して、押し倒したら犯罪なんだぞ。
キモは冒険者としては優秀かもしれないけど、恋愛は初心者といってもいいぐらいだ。好き好きアピールを好意のない相手にされても、女性は迷惑としか感じない。好きだとアピールするのは、少し時間をかけて、女性に好意の芽が育った後だ。芽が出なければ、花は育たない。
特に今のようにキモに対して好意が無くて、嫌いという気持ちしかないと、何をやっても逆効果にしかならない。もう一度、お友達か顔見知りぐらいから始めた方がまだ可能性がある。一度、距離を置くべきなんだよ。
「……ディラン、分かった。もう一度チャンスを上げるわ」
両手の短剣を背中に仕舞うと、ステラは諦めたように、キモの名前を呼んだ。やっぱり、覚えていたようだ。
「いや…スゥたん。俺、グラントだよ?」
「……分かった。グラント、もう一度チャンスを上げるわ」
明らかに名前を間違えた。でも、グラントは気にしていないようだ。名前を呼ばれて嬉しそうにしている。
「何でも言ってよ。どんな願いもスゥたんの為なら頑張って叶えてみせるから」
「じゃあ、もうちょっとこっちに来て。誰にも聞かれたくないから」
「う、うん……」
ステラに少しは気を使っていたのか、グラントはステラから5メートル離れた位置で話をしていた。でも、4…3…2とステラに言われるままに距離を詰めて行く。おいおい、仲直りのキスでもするんじゃないだろうな。そう思いつつ、ドキドキと見てしまっていた。
そして、二人の距離が1メートルになった瞬間、ゆっくりとステラが動いた。いや、ステラの右足が上に向かって動いた。容赦なく蹴り上げられた右足のつま先は、グラントの股の間のものを見事に蹴り潰した。
「はゔっっ~~! あうっ…あうっ…どうじぃて?」
股間を押さえて絶叫するとグラントは地面に両膝をついて倒れてしまった。どうして、こんな事をされるのか理解できないといった表情をしている。
「ハァッ? チャンスは一度で十分でしょう。何、期待してんのよ。このボケカス!」
「あゔっ!」
そう言うと容赦なく蹲るグラントの顔面に足蹴りを炸裂させた。グラントの鼻からポタポタと鼻血が止まらない。出来れば、スカートの中を見て興奮していない事を期待したい。
「このストーカーがぁ! 二度と近づかないように去勢してやる!」
「…ぁあっ…やめっ…助けて…」
ステラによる容赦ないピンポイント集中攻撃が続く。股の間のものを踏み潰し、踏み潰し、踏み潰した。それはグラントが気絶するまで休まずに続けられた。流石にここまでやられたら、僕なら二度と近づかない。
(でも、少し嬉しそうじゃないか?)
気絶したグラントの表情は苦しんでいるようには見えない。それどころか僅かに喜んでいるようにも見える。もしかすると、これが愛なのかもしれない。与えられたものを無条件に受け入れる。それが幸も不幸も、喜びも苦痛も関係なく。
とりあえず、股間に回復液をかけておこう。もしかすると、助かるかもしれない。
「何やってんのよ? 待ち合わせの時間に遅れるじゃない。そんなゴミ、放っておいて行くわよ」
「えっ? ああっ、分かったよ」
予想外の言葉に少し戸惑ってしまったけど、どうやら、古代遺跡に付いて来るつもりのようだ。まあ、これだけの騒ぎを起こしたら、しばらくは誰にも相手にされない。それぐらいは分かっているようだ。
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