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十匹目
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チャリン……今日の貯金豚さんは悲しい音がする。
家に帰ると小父さんに貰った十円玉を貯金箱に入れた。
同じ十円玉でも、お母さんのお手伝いをして貰った十円玉を入れた時の方が凄く嬉しい。
「もう団地は駄目だ。違う場所を探そう!」
団地の小母さんも小父さんも怖いので、違う場所を探そうと思う。
猫と言ったら、魚をくわえた泥棒猫だ。裸足でお姉さんも追いかけていく。
「近所に魚屋さんはないから、海に行ってみようかな?」
お母さんにはあまり遠くには行かないように言われている。
朝早く起きて頑張って歩けば、夕方までには帰って来れると思う。
よし、そうと決まったら早く寝るぞ。明日は新聞よりも早く起きてやる!
「ケンちゃん、晩ご飯だよ! 早く起きなよ!」
「う……うん、あと五分……」
さっき寝たばかりなのにもう起こされる。
どうしてみんな、僕の邪魔ばかりするんだろう。
僕は野良猫を見つけたいだけなのに……。
「寝るなら、ご飯食べた後に寝ないと駄目だよ! 早く起きなよ!」
「うわぁー! う、うん、分かったぁ……」
布団をれんちゃんに乱暴に取られてしまった。
れんちゃんは僕よりも三つも年上だから力持ちだ。
無理矢理起こされると晩ご飯に連れて行かれてしまった。
♢
「ご、ごちそうさまぁー!」
朝ご飯を急いで食べると、炊飯器の余ったご飯でおにぎりを作った。
これで昼ご飯に家に帰らなくていい。今日は遠くの海までの探検だ。
ペットボトルにお茶を入れて、準備オッケーだ。
リュックには家の電話番号と小父さんから貰った十円もある。
いざという時はお母さんに公衆電話で救助要請も出来る。
「うん、完璧だ」
プロの探検家みたいで感動してしまう。これで間違いなく、生きて家に帰れると思う。
家を出発するとバス停がある広い道路を目指して進んでいく。
周りの大人達が僕を監視するように見ている気がする。
いつもの近所の道なのに、いつの間にか敵地に変わってしまったみたいだ。
「ふぅー……危なかった」
何とか危険な近所を脱出するのに成功して、ホッと一安心した。
これで誰にも邪魔されずに海を目指す事が出来る。
大きな道路に到着したので、バス停の名前を確認しながら海に向かって進んでいく。
バス停を目印に進んでいけば、目的地の海に迷わすに到着できてしまう。
バス代はないけど、勇気とやる気があれば何でも出来る。
家に帰ると小父さんに貰った十円玉を貯金箱に入れた。
同じ十円玉でも、お母さんのお手伝いをして貰った十円玉を入れた時の方が凄く嬉しい。
「もう団地は駄目だ。違う場所を探そう!」
団地の小母さんも小父さんも怖いので、違う場所を探そうと思う。
猫と言ったら、魚をくわえた泥棒猫だ。裸足でお姉さんも追いかけていく。
「近所に魚屋さんはないから、海に行ってみようかな?」
お母さんにはあまり遠くには行かないように言われている。
朝早く起きて頑張って歩けば、夕方までには帰って来れると思う。
よし、そうと決まったら早く寝るぞ。明日は新聞よりも早く起きてやる!
「ケンちゃん、晩ご飯だよ! 早く起きなよ!」
「う……うん、あと五分……」
さっき寝たばかりなのにもう起こされる。
どうしてみんな、僕の邪魔ばかりするんだろう。
僕は野良猫を見つけたいだけなのに……。
「寝るなら、ご飯食べた後に寝ないと駄目だよ! 早く起きなよ!」
「うわぁー! う、うん、分かったぁ……」
布団をれんちゃんに乱暴に取られてしまった。
れんちゃんは僕よりも三つも年上だから力持ちだ。
無理矢理起こされると晩ご飯に連れて行かれてしまった。
♢
「ご、ごちそうさまぁー!」
朝ご飯を急いで食べると、炊飯器の余ったご飯でおにぎりを作った。
これで昼ご飯に家に帰らなくていい。今日は遠くの海までの探検だ。
ペットボトルにお茶を入れて、準備オッケーだ。
リュックには家の電話番号と小父さんから貰った十円もある。
いざという時はお母さんに公衆電話で救助要請も出来る。
「うん、完璧だ」
プロの探検家みたいで感動してしまう。これで間違いなく、生きて家に帰れると思う。
家を出発するとバス停がある広い道路を目指して進んでいく。
周りの大人達が僕を監視するように見ている気がする。
いつもの近所の道なのに、いつの間にか敵地に変わってしまったみたいだ。
「ふぅー……危なかった」
何とか危険な近所を脱出するのに成功して、ホッと一安心した。
これで誰にも邪魔されずに海を目指す事が出来る。
大きな道路に到着したので、バス停の名前を確認しながら海に向かって進んでいく。
バス停を目印に進んでいけば、目的地の海に迷わすに到着できてしまう。
バス代はないけど、勇気とやる気があれば何でも出来る。
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