上 下
4 / 13

四匹目

しおりを挟む
「ルンルンルン~♪」

 今日の僕はお金持ちです。ポケットの中に300円も入っています。
 このお金で猫缶を買って、見つけた捨て猫さんに食べさせてやるのです。

 本当は自分の為に使いたいけど、僕は恵まれているから、恵まれていない猫さんの為に使うのが一番なのです。
 元々は捨て猫さんじゃなくて、飼い猫さんです。どんな理由があっても捨てられるのはやっぱり可哀想です。

「う~~~ん……でも、やっぱりヒョウ柄猫さんはいないです」

 野良猫さんはいっぱいいるのに、捨て猫さんはいないのです。
 でも、またまた車の下に猫さんを見つけました。白黒猫さんです。

 白黒猫さんは背中が黒くて、お腹が白い猫さんの事です。
 これで大昔から日本に住んでいる四種類の猫さん達はコンプリート完全制覇しました。
 誰も褒めてくれないので、パチパチパチと自分で自分に拍手です。

「……この辺にいるみたいだ」

 適当に歩き回っても猫さんは見つけられません。
 だから野良猫さんがいそうな場所を見つける手掛かりを見つけないといけません。
 僕が見つけた手掛かり……それがこれです。

【迷惑です。野良猫にエサをあげないでください!】

 看板や掲示板にそんなポスターが貼られている場所には野良猫さんが沢山いました。
 親切なポスターが貼ってあるので助かります。

 ふふ~ん♪ 僕がエサをあげるのは野良猫さんじゃなくて、元は飼い猫さんのヒョウ柄猫さん達です。
 野良猫さんじゃないので、エサをあげても大丈夫なのです。

 それにエサをあげるなと書いてあるのは、猫さんがパンやお菓子とか甘い物を食べると虫歯になったり、糖尿病になったりするからです。
 猫さんに人間の食べ物をあげたら駄目だというのが、いつの間にかに猫さんにエサをあげるな! になってしまったのです。

 ……多分、そうだよね?

「どれがいいんだろう?」

 ホームセンターに到着した僕はペットコーナーに一直線です。
 チキンとマグロの猫缶、カツオとシラスの猫缶、マグロとカニの猫缶と種類が沢山あって迷います。
 僕ならチキンとマグロが美味しそうだから、これが食べたいかな。

「これ、ください」
「僕、一人でお使いかい? 偉いねぇ~」
「えっへへへ! そうかなぁ~?」
「ああ、偉いぞぉ~」

 レジの小父さんに褒められちゃった。
 一人で買い物するのは初めてじゃないんだけど、まあいいか。
 早くヒョウ柄猫さんを探しに行こう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ホントのキモチ!

望月くらげ
児童書・童話
中学二年生の凜の学校には人気者の双子、樹と蒼がいる。 樹は女子に、蒼は男子に大人気。凜も樹に片思いをしていた。 けれど、大人しい凜は樹に挨拶すら自分からはできずにいた。 放課後の教室で一人きりでいる樹と出会った凜は勢いから告白してしまう。 樹からの返事は「俺も好きだった」というものだった。 けれど、凜が樹だと思って告白したのは、蒼だった……! 今さら間違いだったと言えず蒼と付き合うことになるが――。 ホントのキモチを伝えることができないふたり(さんにん?)の ドキドキもだもだ学園ラブストーリー。

ちいさな哲学者

雨宮大智
児童書・童話
ユリはシングルマザー。十才の娘「マイ」と共に、ふたりの世界を組み上げていく。ある時はブランコに乗って。またある時は車の助手席で。ユリには「ちいさな哲学者」のマイが話す言葉が、この世界を生み出してゆくような気さえしてくるのだった⎯⎯。 【旧筆名、多梨枝伸時代の作品】

探検隊と古代人ココ

透けてるブランディシュカ
児童書・童話
探検隊と古代人の話。(※重複投稿しています)透坂雨音

マダム・シレーヌの文房具

猫宮乾
児童書・童話
マダム・シレーヌの文房具という巨大な文房具を使って、突如現実から招かれるマホロバの街で戦っているぼくたち。痛みはないけど、意識を失うか、最後の一人になるまで勝つかしないと、現実には戻れない。ぼくの武器は最弱とからかわれる定規だ。いつも強いコンパスなどに殺されている。ある日、現実世界に戻ってから、「大丈夫か?」と男の子に声をかけられた。※不定期更新です。

ミズルチと〈竜骨の化石〉

珠邑ミト
児童書・童話
カイトは家族とバラバラに暮らしている〈音読みの一族〉という〈族《うから》〉の少年。彼の一族は、数多ある〈族〉から魂の〈音〉を「読み」、なんの〈族〉か「読みわける」。彼は飛びぬけて「読め」る少年だ。十歳のある日、その力でイトミミズの姿をしている〈族〉を見つけ保護する。ばあちゃんによると、その子は〈出世ミミズ族〉という〈族《うから》〉で、四年かけてミミズから蛇、竜、人と進化し〈竜の一族〉になるという。カイトはこの子にミズルチと名づけ育てることになり……。  一方、世間では怨墨《えんぼく》と呼ばれる、人の負の感情から生まれる墨の化物が活発化していた。これは人に憑りつき操る。これを浄化する墨狩《すみが》りという存在がある。  ミズルチを保護してから三年半後、ミズルチは竜になり、カイトとミズルチは怨墨に知人が憑りつかれたところに遭遇する。これを墨狩りだったばあちゃんと、担任の湯葉《ゆば》先生が狩るのを見て怨墨を知ることに。 カイトとミズルチのルーツをたどる冒険がはじまる。

トウシューズにはキャラメルひとつぶ

白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。 小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。 あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。 隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。 莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。 バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。

【完結】僕のしたこと

もえこ
児童書・童話
主人公「僕」の毎日の記録。 僕がしたことや感じたことは数えきれないくらいある。 僕にとっては何気ない毎日。 そして「僕」本人はまだ子供で、なかなか気付きにくいけど、 自分や誰かが幸せな時、その裏側で、誰かが悲しんでいる…かもしれない。 そんなどこにでもありそうな日常を、子供目線で。

イチの道楽

山碕田鶴
児童書・童話
山の奥深くに住む若者イチ。「この世を知りたい」という道楽的好奇心が、人と繋がり世界を広げていく、わらしべ長者的なお話です。

処理中です...