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警察ルート☆
第四十五話☆ 天狗山
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ローラー作戦三日目終了、バス停付近の建物の捜索は完全に失敗した。防犯カメラが少なかった訳ではない。どのカメラにも相模陽平と松島麻未の二人の姿が映っていなかったのだ。有力な目撃情報だと思われていた情報の信憑性が疑われ始めていた。
「やっぱり、山も探した方がいいんですよ。こっちにいないなら、もう探す場所は山しかありませんよ!」
「……」
午後9時、捜索終了だと駐車場に止めていた警察車両に警察官達は乗っていく。皆んな、朝から夜の捜索で疲れた顔を見せている。今では、ここから車に乗って別の場所に移動したんじゃないかとか、船を所有しているとか、そんな馬鹿げた案が飛び出しているぐらいだ。そこに山登りを提案しても賛成を得るのは難しいのは分かっている。
「反対なのは分かっています。俺一人でも、あのぐらいの山なら一日あれば探せますから任せてください」
現場の責任者である田代さんに俺は直談判した。駄目だと言われても、有給休暇を消費してでも探すつもりだった。けれども、その必要はないようだ。田代さんの口から信じられない言葉が返ってきた。
「……それは駄目だ。山を探すならば全員で探す。山を舐めるな」
「えっ? いいんですか?」
「ああ、山の所有者とは連絡が取れている。好きに探してもいいそうだ」
「だったら、連絡が取れた時に山を探しましょうよぉ~」
山は国有地ではなかったので、所有者の許可を得るのに時間がかかったそうだ。それでも、許可を取れたのは昨日の事だった。今日、探せていたはずなのに、何故やらなかったのか? それは山にいないと誰もが思っているからだろう。
常識的に考えれば、この暑さの中に飲み水も無いような山の中で暮せるはずがない。その証拠に相模陽平はコンビニで弁当を買って食べていたぐらいだ。食糧が山に豊富にあるならば、食糧を買う必要はない。けれども、俺の刑事の勘が言っている。
ここも探した方がいいんじゃないかと……もちろん見つからなかった時は責任を取るつもりはない。
・
・
・
今日、捜索する山は天狗山と呼ばれる山だった。山の中を道路は通っていない。反対側の住吉市に行くには、海岸線を埋め立てて作られた道路を通るしかない。山登りなんて小学校のピクニック以来だ。
「自動販売機は無いから、喉が渇いたら我慢するしかない。飲み水は今のうちに自動販売機で買って来いよ!」
「……4リットルあれば大丈夫ですよね?」
ペットボトルのお茶を二本持って来ている。松島麻未が山中に監禁されていた場合にも、飲み水を分け与えられる十分な量だと思う。とりあえず浜松警察署の中でも山登りが趣味の人が集まったようなので、登山フル装備の人に聞いておけば問題ない。
「飲み過ぎなければ大丈夫だと思いますよ」
「そうですか……猪とかいないですよね?」
「もちろんいますよ。猪も毒蛇もいます。毒蛇に噛まれた場合はすぐに蛇を捕まえてくださいね。蛇の種類が分かれば、血清を用意するのに参考になりますから」
「あっははは、頑張ります」
拳銃の携帯は許可されていない。猪が襲い掛かって来た場合は素手での格闘戦になる。捜索隊の人数も二十五人と昨日の半分しかいない。山登りは体力のある若い連中に任せて、40代、50代は署でデスクワークをするようだ。
「やっぱり、山も探した方がいいんですよ。こっちにいないなら、もう探す場所は山しかありませんよ!」
「……」
午後9時、捜索終了だと駐車場に止めていた警察車両に警察官達は乗っていく。皆んな、朝から夜の捜索で疲れた顔を見せている。今では、ここから車に乗って別の場所に移動したんじゃないかとか、船を所有しているとか、そんな馬鹿げた案が飛び出しているぐらいだ。そこに山登りを提案しても賛成を得るのは難しいのは分かっている。
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「えっ? いいんですか?」
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ここも探した方がいいんじゃないかと……もちろん見つからなかった時は責任を取るつもりはない。
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