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第三十九話☆ 行方不明の女友達
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「おい、どうしたんだ? えらく騒がしいな?」
「ルームシェアしていた女友達が、怒って部屋を出て行ったらしい。ただの喧嘩だろう」
ルームメイトの松島麻未、23歳の行方が分からなくなって、三日目の夕方。仕事終わりに山下美聡は浜松警察署を訪れていた。今までこんな事は起きた事はなかった。心配し過ぎかもしれないと思いながらも、一応前日の男の件もあるので調べてもらわないと落ち着かないようだ。
「だから、ルームメイトが帰って来ないんですよ! 『私が反省するまで帰って来ない』ってメールが送られて来てから、全然連絡が取れなくなったんですよ! きっと事件に巻き込まれたんです。探してくださいよ!」
「ちょっと落ち着いてください! 話はキチンと聞きますから」
警察署の一階受付で、興奮する山下美聡の話を辛抱強く聞いていた若い男性警察官が、とりあえず落ち着くようにと、何度もお願いを続けていた。興奮している美聡は、『探してくれ。殺されるかも』の一点張りで話が進まない。
麻未は職場の同僚の家でもなく、麻未の両親、友達の家にもやって来ていなかった。
洋服ダンスの引き出しから衣服が数日分無くなっていたので、臨時収入で旅行でも行ったのかもしれない、最初はそう思って気にしなかった。けれども、こんなに長く、誰も麻未と連絡が取れないのはやっぱりおかしい。自分の部屋の物も少し移動していた。あの男が怪しいとしか思えない。
「麻未が殺されるかもしれないんですよ! 殺されたらどうするんですか! とにかく、神林慎吾って男が怪しいんです。マンションの防犯カメラを調べれば顔が分かるから、すぐに調べて指名手配してくださいよ!」
「分かりました。それでその神林慎吾さんとはどういう人なんですか?」
「殺されるって言ってるんですよ! 防犯カメラに映っているから調べてくださいよ! 警察でしょう! どうして、調べてくれないですか!」
「落ち着いて静かにしてください! これ以上、騒ぐようなら公務執行妨害で逮捕します!」
調べるにしても、それなりの調べる理由が必要になる。客観的に見ても調べた方がいい、国民が捜査に協力した方がいいと思うような理由が必要になる。興奮している女性から話を聞いたとしても信頼性が足りない。男の警察官は何度も落ち着くようにお願いした。
「ああっ、もぉぅ~! 海で金持ちにナンパされたんです。家に一晩泊めてくれたら、10万円。エッチさせてくれたら、5万円……それで家に連れて行って、私がセックスして5万円貰ったんです」
「それが神林慎吾ですね。分かっているとは思いますが、不特定多数の相手と金銭的な肉体関係を持つのは買春に当たる可能性があります。今回のような場合は問題ないと思いますが、以後気をつけてください」
美聡は話したくない話を腹立たしげに男性警察官に話した。男性警察官の口からは思った通りの反応が返ってきただけだ。それでも、逮捕される心配がないとホッとしたようだ。
「軽はずみな行動を取った事は反省しています。でも、私が仕事で朝、家から出て行った時に神林も一緒に家を出たんです。その後、神林がマンションに戻って来て、麻未に言い寄ったかもしれないんです。麻未は私よりも可愛いから、神林に言い寄られても不思議じゃないんです。だから探してください」
「……分かりました。マンションの名前を教えてください。それと松島麻未さんと神林慎吾さんの顔写真や全身が分かる写真や画像があれば、ご協力をお願いします」
年間の行方不明者数は八万人以上。事件性が低い場合は捜査をしない場合もある。今回は家出ではなく、誘拐などの事件性があると判断されたようだ。
「ルームシェアしていた女友達が、怒って部屋を出て行ったらしい。ただの喧嘩だろう」
ルームメイトの松島麻未、23歳の行方が分からなくなって、三日目の夕方。仕事終わりに山下美聡は浜松警察署を訪れていた。今までこんな事は起きた事はなかった。心配し過ぎかもしれないと思いながらも、一応前日の男の件もあるので調べてもらわないと落ち着かないようだ。
「だから、ルームメイトが帰って来ないんですよ! 『私が反省するまで帰って来ない』ってメールが送られて来てから、全然連絡が取れなくなったんですよ! きっと事件に巻き込まれたんです。探してくださいよ!」
「ちょっと落ち着いてください! 話はキチンと聞きますから」
警察署の一階受付で、興奮する山下美聡の話を辛抱強く聞いていた若い男性警察官が、とりあえず落ち着くようにと、何度もお願いを続けていた。興奮している美聡は、『探してくれ。殺されるかも』の一点張りで話が進まない。
麻未は職場の同僚の家でもなく、麻未の両親、友達の家にもやって来ていなかった。
洋服ダンスの引き出しから衣服が数日分無くなっていたので、臨時収入で旅行でも行ったのかもしれない、最初はそう思って気にしなかった。けれども、こんなに長く、誰も麻未と連絡が取れないのはやっぱりおかしい。自分の部屋の物も少し移動していた。あの男が怪しいとしか思えない。
「麻未が殺されるかもしれないんですよ! 殺されたらどうするんですか! とにかく、神林慎吾って男が怪しいんです。マンションの防犯カメラを調べれば顔が分かるから、すぐに調べて指名手配してくださいよ!」
「分かりました。それでその神林慎吾さんとはどういう人なんですか?」
「殺されるって言ってるんですよ! 防犯カメラに映っているから調べてくださいよ! 警察でしょう! どうして、調べてくれないですか!」
「落ち着いて静かにしてください! これ以上、騒ぐようなら公務執行妨害で逮捕します!」
調べるにしても、それなりの調べる理由が必要になる。客観的に見ても調べた方がいい、国民が捜査に協力した方がいいと思うような理由が必要になる。興奮している女性から話を聞いたとしても信頼性が足りない。男の警察官は何度も落ち着くようにお願いした。
「ああっ、もぉぅ~! 海で金持ちにナンパされたんです。家に一晩泊めてくれたら、10万円。エッチさせてくれたら、5万円……それで家に連れて行って、私がセックスして5万円貰ったんです」
「それが神林慎吾ですね。分かっているとは思いますが、不特定多数の相手と金銭的な肉体関係を持つのは買春に当たる可能性があります。今回のような場合は問題ないと思いますが、以後気をつけてください」
美聡は話したくない話を腹立たしげに男性警察官に話した。男性警察官の口からは思った通りの反応が返ってきただけだ。それでも、逮捕される心配がないとホッとしたようだ。
「軽はずみな行動を取った事は反省しています。でも、私が仕事で朝、家から出て行った時に神林も一緒に家を出たんです。その後、神林がマンションに戻って来て、麻未に言い寄ったかもしれないんです。麻未は私よりも可愛いから、神林に言い寄られても不思議じゃないんです。だから探してください」
「……分かりました。マンションの名前を教えてください。それと松島麻未さんと神林慎吾さんの顔写真や全身が分かる写真や画像があれば、ご協力をお願いします」
年間の行方不明者数は八万人以上。事件性が低い場合は捜査をしない場合もある。今回は家出ではなく、誘拐などの事件性があると判断されたようだ。
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