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第三十四話★ 2LDKのマンション

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 バスで35分。山の洞窟とは結構離れてしまった。畑の野菜達が気になるものの、収穫にはまだ一ヶ月以上は先になる。週二回、お金を取りに行くついでに、水をあげて様子を見るとしよう。

「結構広い部屋なんだね」

 二人がルームシェアするマンションに到着すると、その広い部屋を見た。美聡と麻未は別々の部屋に寝ているので、麻未としては部屋の鍵を閉めれば、一応は身の安全を確保できる状態だ。けれども、よく見れば間取りは2LDKだ。美聡も部屋の鍵を掛けて寝れば、私をリビングに放置する事は出来る。つまりは本当に泊めるだけ済むという訳だ。

 美聡という名前負けする馬鹿女を内心では嘲笑っていたが、毛布を投げ渡されて、リビングに一人で放置される目に遭う可能性は高い。けれども、家の中に入れた時点で馬鹿なのは変わりない。
 私は結婚できたとしても、結婚生活を続ける自信はない。でも、支配生活を続ける自信はある。相手に好きになってもらいたい、相手を大切にしたい、相手の気持ちを考える……そういった余計な事を気にせずに自己満足を追求すればいいのだ。
 殴って犯す、殴って犯す、抵抗すれば強く殴って激しく犯す。それだけでいい。それだけで支配生活は楽しいものになる。

「じゃあ、夕飯にしようか」

 美聡がそう言って立ち上がると、冷蔵庫を開けて、中から料理の入った複数のタッパーを持って来た。料理の出来る家庭的な女だとは思っていなかった。

「美味しい⁉︎ お店の料理みたいに美味しいよ」
「はっはっ♪ 正解です。麻未が働いているのが居酒屋なんですよ。だから、余った料理を貰って来てもらっているんですよ。食費はほとんど米代だけです」
「なるほど、通りで美味しい訳だ……」

 冷めた蓮根の天ぷらを一口食べると素直に美聡を褒めた。とりあえず美味しくなくても褒めればいい。でも、この料理を作ったのは美聡でも麻未でもなかった。
 タッパーの中身はイカの煮付け、魚の煮付け、天ぷら、唐揚げ、刺身、サラダと、ようするに日持ちしない料理を廃棄しないで貰って来ている訳になる。ついでに米代しか使わないという事は、二人は料理はしないという事になる。出来る料理は米を研ぐ事だけか……。

 最近まで親と暮らしていれば、料理なんて出来なくて当然だ。別に若い女の手料理を期待してはいない。それに包丁を持った女は何をするか分からない。人を刺そうとしたり、自分を刺そうとしたりと大変だ。
 若い女は料理なんて作らなくていい、料理なんてものは30代、40代の女が男の胃袋を掴む為にやるようなもんだ。若い女は金玉袋を掴んでいれば問題ない。

「それじゃあ、慎吾さん。私の部屋に行きましょうか?」
「えっ? 部屋に入ってもいいの?」

 夕飯を食べ終わると美聡が左腕を引っ張って部屋に連れて行こうとする。リビングのテレビを見させられて、放置されるだけと思っていたけど違ったようだ。内心の期待を抑えて、人畜無害な羊のような顔で美聡に聞き返した。

「やだなぁ~、別に何もしませんよ。麻未は私が慎吾さんを見ている間にお風呂に入ってよ。私が監視しているから安心して」
「分かった。交代でお風呂に入りましょう」
「ああっ、そういう事ね。あっはは、大丈夫。通報されるような事をするつもりはないから」

 女性二人は何もさせるつもりはないようだ。美聡の部屋に連れて行かれて話していると、しばらくしてお風呂場からシャワーの音が聞こえてきた。麻未がお風呂に入っている。
 美聡と麻未の二人は身長も体型も似ている。美聡は年齢24歳、頑張ってダイエットしたようで水着から見える身体は全体的に痩せていた。手足も細く、くびれもある。体重は43キロぐらいだ。けれども、胸まで痩せさせる必要はなかっただろう。

 麻未は年齢23歳、個人的には美聡よりも麻未の方が見た目は可愛いと思っている。美聡は年相応の潰れた顔、麻未は10代を思わせるようなアイドル顔をしている。美聡のパサついている茶髪に対して、麻未はサラサラロングの茶髪をしている。全体的に程良く肉がついていて、胸も大きくはないが、Cはある。

 金を払って美人とブスのどちらを抱きたいかと聞かれたら、麻未を抱きたいと答えるだろう。けれども、チャンスがあるのは美聡しかない。その場合はどう答えるだろう。
 美聡を抱けば、もう麻未を抱けるチャンスは訪れない。それが一般的な常識だと思う。でも、今すぐに美聡の首を絞めて殺せば、風呂に入っている麻未の所に行って、望む結果を得られる。あとは実行するのみだ。
 
 

 
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