【完結】王洞 〜名も無き国の名前を捨てた王様〜

もう書かないって言ったよね?

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第十四話☆ 釣り人からの通報

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「なあ、これって…」
「多分、そうだろうな。警察に連絡しないと駄目だろう…」

 海釣りにやって来た二人組の若い男が、草むらに死んでいる白黒の野良猫を発見しました。首には紐が巻かれています。野良猫の首を誰かが紐で締めて殺したように見えます。

「おい……もう一匹いた」

 警察に電話しようとしていた一人に、周囲の草むらに手掛かりが落ちていない探していた一人が知らせました。こっちの三毛の野良猫は目立った外傷は無いですが、鼻や口から血が出た跡がありました。

 ・
 ・
 ・

「はい。○○町の海岸ですね。分かりました。申し訳ないのですが、出来るだけ現場近くに人を近づけないようにお願いします。犯人の痕跡が消えてしまいますので……はい、よろしくお願いします」

 早朝の住吉警察署に市民から事件発生の連絡がやって来た。市民からの電話に丁寧に対応し終わると、制服の男性警察官は受話器を置いた。

「……海岸で何かあったんですか?」

 制服を着た男の警察官が電話対応した同僚に聞きます。
 110番せずに警察署に直接電話するのは大抵は小さな事件が多い。海岸なら車上荒らし、釣った魚を誰かに盗られた……そんなところだと思っています。

「……殺しだ。草むらに二人死んでいたらしい」
「えっ! 大事件じゃないですか! なんで110番してないんですか!」

 電話対応した警察官の複雑そうな表情を見て、椅子に座っていた同僚は慌てて立ち上がりました。早く現場に向かって、現場保存しないと、犯人の手掛かりが野次馬に荒らされてしまいます。

「……年齢は1~2歳ぐらい。片方は白と黒、もう片方は茶と白と黒だ」
「はぁっ? ……あっ、猫じゃないですか! 人間だと思ったじゃないですか!」

 複雑な表情しながら淡々と話す同僚に、慌てていた警察官も何かがおかしいと気づきました。そして、殺された二人が何なのか気づきました。同僚に揶揄われていただけです。

「正解。でも、殺されたのは間違いない。実際に見てみないと分からないが、絞殺と外傷性ショック死と見ていいだろう。一課に任せる訳にはいかないから、生活安全課と交番勤務に任せるしかないな。ちょっと上に行って来るから、警邏中の人に連絡は頼んだぞ」
「了解です。いってらっしゃい」

 同僚にそう言うと、電話対応した警察官は階段を上って行きます。生活安全課に電話するよりは直接会って話した方が早いです。

 
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