【R18】『異世界に1つだけ持って行くなら何がいい？』と聞かれたので、『ギャル系美少女メイド型ロボット・ドラ○もん』と答えました。

第4話 ハロー冒険者ワーク

「思ったよりも大きな町ですね」

　この町はご主人様に内緒で《スパイカメラ》でチェックしていました。この道具がご主人様に見つかったら、きっとロクデモないエロ盗撮行為に使われてしまいます。

　今はワンピースの全巻を制覇するのに夢中になっていますが、読み終われば何をするか想像がつきません。早くまともな仕事を見つけなくては！

「あっ！　○○○カメラと言うべきでした」

　正直言って、ご主人様が社会的に抹殺されてもどうでもいいですが、抹殺するのにも誰かの僅かな労力が必要です。ご主人様の為に人生の中で1分も使わないといけないのは、地獄の苦痛です。

「さて、《ハロー冒険者ワーク》に登録しなくては…」

　このハロー冒険者ワークの建物には様々な仕事が集まって来ます。庭掃除、犬の散歩、おばあさんの話し相手などの比較的簡単な仕事から、新薬の開発、馬車の製造、建物の設計などの優れた知識と経験が必要な仕事まで取り扱っています。

「1人暮らしのおばあさんの話し相手ですか…」

　名前を書くだけの簡単な登録を済ませると、早速仕事を分厚い紙切れの束を捲って探す事にしました。ご主人様でも出来る仕事があればいいのですが？

　時給800円のお仕事ですか？　内容を見る限りでは話し相手というよりは、ちょっとした介護系と考えた方がよさそうですね。

「トイレと食事の付き添いですか…？　おばあさんと言っても、年齢や身体によっては1人では動けない人もいますからね」

　庭掃除や犬の散歩も良さそうですが、ご主人様なら、『そんな誰でも出来る仕事なんかしたくないよ。俺は特別な人間なんだぞ』などと意味の分からない事を言って断るはずです。ここは情に訴えるしかありません。

「きっと、ご主人様も1人暮らしの寂しいおばあさんの為なら頑張ってくれるはずです」

　私は依頼内容が書かれた紙を受付に持っていきます。

「はぁ…そうなんですか？　では、正式な契約は現場でするんですね。分かりました」

　受付の人からの説明では、ここはあくまでも仕事の紹介をするだけで、実際に依頼人に採用されないと仕事が出来ないらしいです。つまりは依頼人に気に入られないとお仕事もお金も手に入らないという事です。ちょっとご主人様には難易度が高いかもしれません。

「さて、そろそろ帰らないとご主人様が、『こんな遅くまで何やってたんだ！　男とイチャイチャしてたんじゃないだろうな！』と変な言い掛かりを付けて、私の服を脱がせて全身をくまなく調べようとするはずです。早く帰らなくては…」

　私は人目を気にしながら、エプロンポケットからピンク色のドアを取り出しました。このドアを開ければ何処にでも行く事が出来ます。ピンク色のドアを開けると、私の目の前には寝ていたはずのご主人様がやっぱり起きていました。

「ご主人様、お仕事を見つけて来ました。今から一緒に行きませんか？」

「オオッ‼︎　いきなり入って来るなよ‼︎　びっくりするだろうが！」

「申し訳ありません。お1人でお楽しみ中でしたか？」

「な、何言ってんだ‼︎　俺は家では全裸派なんだよ‼︎」

　ご主人様が怒りながらも慌ててパンツとズボンを履いていきます。3日間一緒にいましたが全裸になっている所は見た事がないです。初めて知りました。

「それは申し訳ありません。私に気を遣って今までは服を着ていたんですね。これからは私の事は気にせずにご自由にお過ごし下さい」

「くっ…それよりも仕事が見つかったんだろ？　さっさと働いて来いよ！　俺は仕事なんか絶対にしないからな！」

　やっぱりこうなる事は分かっていました。きっとどんな仕事を持って来ても、やるつもりはないのでしょう。やはり情に訴えるしかありません。

「そんな事言わずに一緒に困っているおばあさんを助けてあげましょう。1人暮らしで寂しい思いをしているんです。ただ、話し相手になるだけの簡単な仕事なんですよ」

「……1人暮らしのおばあさんか…そうか…」

(この反応は⁉︎)

　意外です。ご主人様にも人並みの情が流れているようです。少しは考えています。でも結局は、『いや、やっぱりいいや』と断りそうです。その時はちょっと強引にでも連れて行くしかありません。

「分かった、1回だけだぞ。そのおばあさんと気が合わない時はすぐに帰るからな」

「ご、ご主人様‼︎　本当にいいんですか⁉︎」

　信じられない言葉が飛び出して来ました。

「ああ、いいよ。お前が俺の為に探して来た仕事なんだろう。ちょっとぐらいは付き合ってやるよ」

「はい、ご主人様」

　私はご主人様と一緒にピンク色のドアを通ると、おばあさんが住んでいる家の前に到着しました。

　❇︎