【完結】死が二人を祝福するまで〜私立高校生八人の殺処分島への殺人修学旅行〜

もう書かないって言ったよね?

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第2話 申請武器支給

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 ♦︎道重・視点♦︎

「かぁー、予想よりもデカイな。三日で足りるのか?」

 小型旅客機の小窓から目的地の殺処分島が見えた。桃山が予定が狂ったとボヤいている。
 長方形の島には緑の樹木とコンクリートの建物が見える。刑務所が廃止されてから約六十八年。
 今では世界各地から新鮮な獲物が、定期的に島に送られてくる。

 旅客機が滑走路に着地すると、ゆっくりと停止した。
 三番目の空港を午前六時に出発して、四時間十六分の空の旅で到着した。
 島に滞在できる時間は、旅客機が出発する三日後の午後12時までになる。
 乗り遅れた場合は、次の旅客機が来るまで待つしかない。

「よし、女狩りだ女狩り! 高い旅費払ったんだから、ロリガキ捕まえて交尾しまくるぜ!」
「払ったのは親父だろ。女なら誰でもいいのかよ」

 搭乗口が開くと、桃山達が待ち切れないと騒ぎ始めた。機内の狭い通路を走っていく。

「うるせいな。風俗店が無いんだから仕方ねえだろ。犬石、脱毛器は忘れてないだろうな?」
「当たり前田の助。脱毛器も手錠もバッチグー。こっちの準備も出来てるよ」
「ばぁーか。ゴムなんて要らねえんだよ。大量にワクチン注射打っただろうが。今度は俺達の生ワクチンを打つんだよ」

 桃山達が殺人旅行に参加した目的がレイプだったとは、正直言って気持ちが悪い。
 崇高な目的もない下品な殺人だ。だけど、上品だろうと下品だろうと、殺人には変わらない。
 あの四人とは過程が違うだけで、結果はほとんど変わらない。

 旅客機を降りると濃い茶色、黒色、緑色の迷彩服を着た黒人の男が滑走路に待っていた。
 先に降りた桃山達も俺達を待っているようだ。早く降りて来いとチラチラ見てくる。
 俺達が降りると、軍服の男が流暢な日本語で話してきた。

「ようこそ殺処分島へ。皆様の案内役を務めるニッキー大尉です。お気軽にニッキーとお呼びください」

 坊主頭の大尉が敬礼すると、真っ白な歯と光る笑顔を見せてきた。
 毎年世界各国から旅行者が来るから、マスコット的な人間が必要なんだろう。
 ネズミには見えないが、気にしたら負けだと自分に言い聞かせた。

「では、堅苦しい挨拶はこの辺で終わりにしましょうか。皆さん待ち切れないという顔です。ここに来る皆さんは大体そうですからね。では、説明を始めさせてもらいます」

 1、使用できる武器は申請して許可された武器のみ。一人一個だけ。個人的な交換は可能。
 2、フェンス内にいる人間は殺しても罪にならない。旅行者も含まれる。
 3、フェンス内に救助は来ない。通信機器は持ち込めない。
 4、死体や身体の一部は記念品として持ち帰ることが出来る。生きている住民は出来ない。
 5、滞在期間を過ぎた場合は、本人確認後に罰金を支払わなくてはいけない。
 6、フェンス外の犯罪行為は全て罪になる。

「細かなルールは車の冊子をご覧ください。では、武器を受け取って、あとはご自由にお楽しみください」
「よし、やっと出番だぜ!」

 大尉の説明が終わったようだ。
 桃山達が「早く武器を渡してくれ」と小便でも漏れそうな顔でお願いしている。
 大尉が軍用車の荷台に置いてある黒いケースを開けて、中身を配り始めた。

「うお! 結構重いな」
「電子銃ですからね。本人しか撃てないように、特殊技術が使われています」

 桃山、永鳥、犬石はマシンガン、猿橋はライフル銃を選んだようだ。
 銃は奪われた場合の安全対策の為に、生体認証が使われている。本人以外は撃てない。
 ついでに滞在期間の三日を過ぎると、銃は使用できなくなるそうだ。

「これは日本製ではないですが、業物ですよ。軽くて丈夫な合金製です。お気をつけてください」
「ありがとうございます。多少は練習してきたのでご心配なく」
「おいおい、道重! その武器はないだろ。お前死ぬ気か?」

 俺が大尉から受け取った武器を見て、桃山が冗談だろと驚いている。
 俺が選んだ武器は黒鞘の刀だ。父親が使った武器と同じだ。
 俺も銃が良かったが、道重家の伝統の儀式だから仕方ない。

「一方的な殺し合いをしたくないだけだ。それにこっちの方が殺す感触が手に残る」
「ふーん。まあどうでもいいけどよ。お互い楽しもうぜ。じゃあ、野郎ども行くぜ!」
「おお!」

 俺と話す時間も勿体ないらしい。
 桃山達は透明な壁フェンスの前に止まっている、装甲車に元気に走っていった。
 装甲車には食糧が入っていて、空港に戻らずに、人間狩りを楽しむことが出来るそうだ。
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