『スライム』しか召喚できない召喚士LV1★☆☆☆☆☆☆が初ダンジョンで脱出不能のデストラップ『深過ぎる穴』に落ちました

もう書かないって言ったよね?

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第18話 足りないものは防御力

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「はぁぁ……やっぱり丸焦げだよ」

 アクアボール(水の球)で消火すると、なぜだか、炎の勢いが強くなる。
 自然に消えるまで待ったけど、地面には何も残ってなかった。

「よぉーし! 今度は剣だけで倒すぞ!」

 でも、アップルは怖いから、今度はオレンジだ。
 オレンジの皮なら、手で剥けるから、絶対に柔らかいはずだ。
 地面に左手を置いて、「召喚!」と唱えた。

「オレッ!」と魔法陣から、オレンジ色の大きなオレンジが飛び出した。
 アップルスライムと同じで、頭に短い枝と緑色の葉っぱが1枚付いている。
 大きな口を開いて、「オーレーンージ!」と白い牙を見せてきた。

 今度は準備万端だ。何をしてくるか分かっているなら怖くない。
 剣をしっかり構えて、オレンジスライムが飛びかかるのを待った。

「オレッ!」とやっぱり噛みついて来た。
 サッと避けると、「えいッ!」と剣を振り下ろした。

「オレッ⁉︎」
「うわぁッ!」

 スパッと皮が切れたけど、飛び出した果汁が襲いかかって来た。
 これは危ない。目に入ると絶対にしみるヤツだ。慌てて目を閉じた。

「オレッ!」

 でも、真剣勝負の最中に目を閉じたらダメだ!

「痛たたたたたッ!」

 ガブリと左足に噛みつかれてしまった。これはもう絶対に離れないやつだ。
 急いで剣を逆手に持つと、剣先をオレンジスライムの頭に振り落とした。

 ズボォン!

「オレッー!」
「うわぁッ!」

 剣が突き刺さったけど、果汁の噴水が再び目に襲いかかって来た。
 これはもう目を閉じて攻撃するしかない。

「えいッ! えいッ! えいーッ!」と連続突き刺し攻撃だ。
 果汁が飛び散るけど、甘い果汁は大歓迎だ。
 目はしっかり閉じるけど、口はしっかり開けちゃうぞ!

「痛たたたぁ、薬草いっぱい用意しないと」

 オレンジスライムを倒して、【オレンジグミ】を手に入れた。
 甘くて美味しいけど、命懸けのオレンジ狩りは何度もしたくない。
 もっと安全なオレンジ狩りを考えないと……「あっ! 良いこと思いついたぞ!」

 僕に足りないものに気づいてしまった。
 考えてみたら、こんな単純なことに気づかないなんて、僕って馬鹿だなぁー!

「よぉーし! 次はアイアンスライムだ!」

 僕に足りないもの……それは【防御力】だ!
 盾や鎧があれば、攻撃や魔法を防ぐことが出来る。

 アイアンスライムを倒して、硬い鉄が手に入るなら、服の中に仕込んで防御力アップだ。
 僕に噛みついたら、白い牙の方がパキィンと折れちゃうぞ。

「召喚!」と唱えると、魔法陣から灰色の金属の塊が「アイン!」と飛び出した。
 硬そうだけど、ブロンズスライムで倒し方は分かっている。
 必殺のカエル油と炎の球で溶かしてやるぞ。
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