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9日目
酒場利き酒
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カノンは街に帰ると、家を進化させた。
今回は進化築させる前に、周辺の住民には立ち退きしてもらった。
住民達には予想通りの展開なので、引っ越し準備を済ませていた。
さっさと土地と建物の権利書を渡している。
「そろそろ使用人を雇いたいですね」
豪邸を見上げて、カノンは思った。
掃除は修復を使えば一人で出来る。
でも酔っ払いの父親の世話をする人がいない。
エリックは酒を飲む以外に何もやっていない。
「ぐごぉー、ぐごぉー!」
「お父様、こんな所で寝ると風邪引きますよ」
泥酔している父親を引き摺って、ベッドの上に寝かせた。
このままでは酒に溺れるだけの人生で終わりそうだ。
「私もやることがないから、お父様と二人で何かしましょうか?」
畑仕事はやりたくないから、やるなら商売しかない。
売り物はいくらでも増やせるから、損はしない。
パトラッシュに遅めの昼ご飯を与えると、カノンはペット屋に向かった。
昨日の20代後半の男店員がいた。新しい店員はまだ雇えていない。
「すみません。オスのトカゲはいますか?」
「ああ、昨日のお客さんか。女の子がは虫類なんて珍しいね。普通は猫とか犬なのに……」
「犬は飼っているからいいです。メスのトカゲを飼っているから、その子に友達を買いたいんです」
忙しそうに働いている店員にカノンは話しかけた。
店員はカノンを覚えていたから、結構気安く話している。
「ああ、なるほどね。でも子供が出来ると大変だよ。一回に四個ぐらい卵を産むから」
「6匹ですか……確かに増えると大変そうです」
店員に言われて、カノンはちょっと考えた。巨大トカゲが増え過ぎると、世話するのが大変だ。
それに増やす意味がほとんどない。もっと役に立つペットを飼いたい。
「じゃあ、ドラゴンをください」
「えっ? ドラゴン?」
「はい。最強生物のドラゴンが欲しいです」
カノンはまだ諦めていなかった。店員にドラゴンを注文した。
そんな無理な注文をする客に、店員は冷静に説明した。
「普通の店にドラゴンは売ってないよ。それにドラゴンは魔物だから、人間には懐かない」
「でも子供の時から育てれば、大丈夫だと聞きましたよ」
嘘つき店員のステファンの情報は当てにならないが、カノンは覚えていた。
「そんなの迷信だよ。本当に飼いたいなら、卵から出る瞬間に、子ドラゴンに見てもらうしかないね。まあ、親ドラゴンはしつこいから、殺さないと子ドラゴンは手に入らないよ」
「親を殺すなんて可哀想です」
「確かに可哀想だけど、普通の人にドラゴンは殺せないよ。それよりもドラゴン以外に買いたいのはないの?」
そろそろいいかと店員がカノンに聞いた。
何も買わない客の話し相手をする時間はない。
ペットのエサやりに、飼育ケースの掃除もある。
「うーん、今はないです」
店内を見回したけど、欲しいペットはいなかった。
欲しい肉があるなら、肉屋と魚屋で手に入る。
♢
カノンはペット屋から冒険者ギルドにやって来た。
冒険するわけでもなく、晩ご飯を食べるつもりもない。
雨で退屈そうにしている冒険者達に、タダ酒を配りにやって来た。
【名前=黄金ブドウ酒(ブドウ) 種類=果実酒(750ミリリットル)
レベル=30(最大レベル) 損傷率=0% その他の効果=依存率30%】
【名前=エリックの黄金ブドウ酒(ブドウ) 種類=果実酒(750ミリリットル)
レベル=30(最大レベル) 損傷率=0% その他の効果=依存率75%】
二種のブドウ酒を飲み比べしてもらうようだ。
修復で量産した二種の黄金ブドウ酒を、テーブルの冒険者達に一人二本ずつ配っていく。
金色に輝く液体は見た目も美しい。
「ヘッヘヘヘ♪ タダ酒飲めるなんて、今日はツイてるぜ!」
「グゥヘヘヘ♪ おいおい。俺達を酔わせて、どうするつもりなんだよぉ~」
すでに酔っている状態だから、味が分かるか微妙な状態だ。
冒険者達が細長い酒瓶の蓋を開けて、そのまま飲み始めた。
「くぅはあああ‼︎ 美味すぎるッ‼︎」
「ぐふっ‼︎」
市販のブドウ酒を飲んだ冒険者が、大声で美味さを叫んだ。
だが、エリックのブドウ酒を飲んだ冒険者は違った。
次々にテーブルや床に倒れていく。
「おい! しっかりしろ!」
「やべぇぞ! 毒入り酒だ‼︎ 飲むと死ぬぞぉー‼︎」
「な、何だってぇー⁉︎」
冒険者達が騒いでいるが、美味すぎて気絶しているだけだ。
頬を叩かれ、水を顔面にかけられた冒険者が意識を取り戻した。
「ハァ、ハァ……この酒はやべぇ。美味すぎて死にかけた」
「……気をつけろ、お前達。直で飲むと死ぬらしい。小さじスプーンで飲むんだ!」
「お、おお」
冒険者達は死を覚悟で飲むようだ。
皿にエリックの黄金ブドウ酒を注いで、スプーンで飲み始めた。
飲み過ぎた冒険者がやっぱり倒れている。
「フフッ。お父様の勝ちみたいですね♪ 早く教えてあげましょう!」
父親の酒が市販の酒を超えていると分かって、カノンは喜んだ。
ラベルに飲み過ぎ注意と書き足せば、問題ないと思っている。
どう見ても問題しかない酒だ。
今回は進化築させる前に、周辺の住民には立ち退きしてもらった。
住民達には予想通りの展開なので、引っ越し準備を済ませていた。
さっさと土地と建物の権利書を渡している。
「そろそろ使用人を雇いたいですね」
豪邸を見上げて、カノンは思った。
掃除は修復を使えば一人で出来る。
でも酔っ払いの父親の世話をする人がいない。
エリックは酒を飲む以外に何もやっていない。
「ぐごぉー、ぐごぉー!」
「お父様、こんな所で寝ると風邪引きますよ」
泥酔している父親を引き摺って、ベッドの上に寝かせた。
このままでは酒に溺れるだけの人生で終わりそうだ。
「私もやることがないから、お父様と二人で何かしましょうか?」
畑仕事はやりたくないから、やるなら商売しかない。
売り物はいくらでも増やせるから、損はしない。
パトラッシュに遅めの昼ご飯を与えると、カノンはペット屋に向かった。
昨日の20代後半の男店員がいた。新しい店員はまだ雇えていない。
「すみません。オスのトカゲはいますか?」
「ああ、昨日のお客さんか。女の子がは虫類なんて珍しいね。普通は猫とか犬なのに……」
「犬は飼っているからいいです。メスのトカゲを飼っているから、その子に友達を買いたいんです」
忙しそうに働いている店員にカノンは話しかけた。
店員はカノンを覚えていたから、結構気安く話している。
「ああ、なるほどね。でも子供が出来ると大変だよ。一回に四個ぐらい卵を産むから」
「6匹ですか……確かに増えると大変そうです」
店員に言われて、カノンはちょっと考えた。巨大トカゲが増え過ぎると、世話するのが大変だ。
それに増やす意味がほとんどない。もっと役に立つペットを飼いたい。
「じゃあ、ドラゴンをください」
「えっ? ドラゴン?」
「はい。最強生物のドラゴンが欲しいです」
カノンはまだ諦めていなかった。店員にドラゴンを注文した。
そんな無理な注文をする客に、店員は冷静に説明した。
「普通の店にドラゴンは売ってないよ。それにドラゴンは魔物だから、人間には懐かない」
「でも子供の時から育てれば、大丈夫だと聞きましたよ」
嘘つき店員のステファンの情報は当てにならないが、カノンは覚えていた。
「そんなの迷信だよ。本当に飼いたいなら、卵から出る瞬間に、子ドラゴンに見てもらうしかないね。まあ、親ドラゴンはしつこいから、殺さないと子ドラゴンは手に入らないよ」
「親を殺すなんて可哀想です」
「確かに可哀想だけど、普通の人にドラゴンは殺せないよ。それよりもドラゴン以外に買いたいのはないの?」
そろそろいいかと店員がカノンに聞いた。
何も買わない客の話し相手をする時間はない。
ペットのエサやりに、飼育ケースの掃除もある。
「うーん、今はないです」
店内を見回したけど、欲しいペットはいなかった。
欲しい肉があるなら、肉屋と魚屋で手に入る。
♢
カノンはペット屋から冒険者ギルドにやって来た。
冒険するわけでもなく、晩ご飯を食べるつもりもない。
雨で退屈そうにしている冒険者達に、タダ酒を配りにやって来た。
【名前=黄金ブドウ酒(ブドウ) 種類=果実酒(750ミリリットル)
レベル=30(最大レベル) 損傷率=0% その他の効果=依存率30%】
【名前=エリックの黄金ブドウ酒(ブドウ) 種類=果実酒(750ミリリットル)
レベル=30(最大レベル) 損傷率=0% その他の効果=依存率75%】
二種のブドウ酒を飲み比べしてもらうようだ。
修復で量産した二種の黄金ブドウ酒を、テーブルの冒険者達に一人二本ずつ配っていく。
金色に輝く液体は見た目も美しい。
「ヘッヘヘヘ♪ タダ酒飲めるなんて、今日はツイてるぜ!」
「グゥヘヘヘ♪ おいおい。俺達を酔わせて、どうするつもりなんだよぉ~」
すでに酔っている状態だから、味が分かるか微妙な状態だ。
冒険者達が細長い酒瓶の蓋を開けて、そのまま飲み始めた。
「くぅはあああ‼︎ 美味すぎるッ‼︎」
「ぐふっ‼︎」
市販のブドウ酒を飲んだ冒険者が、大声で美味さを叫んだ。
だが、エリックのブドウ酒を飲んだ冒険者は違った。
次々にテーブルや床に倒れていく。
「おい! しっかりしろ!」
「やべぇぞ! 毒入り酒だ‼︎ 飲むと死ぬぞぉー‼︎」
「な、何だってぇー⁉︎」
冒険者達が騒いでいるが、美味すぎて気絶しているだけだ。
頬を叩かれ、水を顔面にかけられた冒険者が意識を取り戻した。
「ハァ、ハァ……この酒はやべぇ。美味すぎて死にかけた」
「……気をつけろ、お前達。直で飲むと死ぬらしい。小さじスプーンで飲むんだ!」
「お、おお」
冒険者達は死を覚悟で飲むようだ。
皿にエリックの黄金ブドウ酒を注いで、スプーンで飲み始めた。
飲み過ぎた冒険者がやっぱり倒れている。
「フフッ。お父様の勝ちみたいですね♪ 早く教えてあげましょう!」
父親の酒が市販の酒を超えていると分かって、カノンは喜んだ。
ラベルに飲み過ぎ注意と書き足せば、問題ないと思っている。
どう見ても問題しかない酒だ。
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