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第8.5章・ざまぁ編(エミィの場合)。
第109話・指揮官アラン。
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エッサは何時間も小屋の中で待っていましたが、なかなか地下迷宮から探索パーティーは戻って来ません。もう4時間は待っていました。
(もしかして、全滅したべぇか?)
いやいや、それはなさそうだべぇ。あの口の軽い兵士に何時に入ったか聞くべきだったんだな。オラが襲撃する直前に入ったのなら、今の探索パーティーのレベルならば往復で8時間ぐらいだべぇかな?
殺す前に色々と聞きたい事がまだまだ残っていたようです。まあ、そこまで重要な情報ではないので、エッサも忘れていたようです。
(ふぅわ~~、お腹が一杯になったから少しだけ寝るべぇ。誰か来たら声で分かるはずだべぇ。)
念の為にエッサは小屋の中から木の扉に鍵を掛けました。誰かが来たら扉をノックする音で分かるはずです。
でも、よく考えたら警備の兵士が全員いない時点で誰でも異変に気づくはずです。そのまま王都に応援を呼ばれたら、小屋の中にいるエッサは袋のネズミです。
◆
「いやー、もう19階のボスも雑魚と一緒ですね。俺達4人だけでも倒せちゃうんですからね!」
「おいおい、大きな声で話すなよ。前衛だけだと15階までしか許可されてないんだぞ!王妃に聞かれたらアランさんはともかく、俺達は探索から外されるぞ。」
マッコイとステファンの2人が探索から戻って来たばかりなのに、元気に話しています。それほど余裕がある戦いだったのでしょう。
「おい、静かにしろ。………何かおかしい、兵士が1人もいない。」
4人の中で1番レベルが高い、レベル118のアランが周囲の異変に気付いたようです。片手剣と盾を構えて辺りを警戒し始めました。残りの3人もそれぞれの武器を構えて警戒を始めました。
「………」
「誰も襲って来ませんね?」
数分間、敵の気配を探しながら4人は地下迷宮の入り口で動かずにいましたが、全然何も起こりません。警備の兵士全員が、何処かで遊んでいるとは思えません。だとしたら、敵国が襲撃して来たので、総出で追い返しているだけなのかもしれません。
(スッ~~、ハァ~~、よし!)
軽く深呼吸して気分を落ち着かせるとアランは指示を始めました。
「ステファンとトーマスは王都に走って応援を呼んで来い。俺とマッコイは地下迷宮に入って、入って来る奴らを片っ端から倒す事にする。もしも、王都の山道を封鎖されていたら無理せずにここに戻って来るんだぞ。」
しばらく見ないうちにアランは命令を聞くだけの脳筋から、命令を下す指揮官に成長したようです。奴隷という立場からか、アランは何も考えずに言われた事をやるだけの無能な奴隷にされてしまいました。でも、エミィのお陰で本来の知的な才能をみるみる開花させたようです。
アランの指示通りにステファンとトーマスは王都に応援を呼びに走って行きました。アランもマッコイを連れて、急いで地下迷宮の中に引き返して行きました。
地下迷宮に同時に入れる人数は4人までなので、どんなに隠れている襲撃者が多くても、地下迷宮の中ならば、2対2という公平な戦いを続けられます。
「マッコイ、中に入って来た奴は生け捕りにするぞ。そうしておけば、もう誰も中に入る事は出来なくなるからな。」
「んんっ?………なるほど!そういう事ですね。あぁ~、なるほどね。」
本当にマッコイが分かっているのか疑わしいですが、とりあえずは生け捕りにする事は分かったようです。
◆
「ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~。……うぅ?いま何時だべぇ。」
さすがに寝過ぎたようです。1時間のつもりが部屋の壁時計を見たら2時間30分も経っていました。急いで起きると聞き耳を立てて、外の様子を窺いました。
(何も聞こえないし、人の気配もしないべぇ。もしかして、オラが寝ている間に王都に逃げたんじゃないべぇか?)
こうなったら計画台無しです。少しずつ地下迷宮にやって来る兵士を倒して、戦力を減らす事が出来なくなります。いきなり総力戦に突入してしまいます。エッサ対王都の全員です。勝てません。
まずは地下迷宮に行って、本当に中に誰もいないか調べるんだな。4人入っていたら、透明な壁に邪魔されて中には入れないはずだべぇ。
その前に喉が渇いているので軽く水分補給と水分放出です。色々とスッキリとしたので地下迷宮を調べに行きました。
スカスカと手で入り口を調べましたが、透明な壁はないようです。手応えがまったくありません。
「あっちゃーー!やっぱり逃げているべぇ。透明の壁がないべぇ。こうなったら中で入って来る奴らを待つしかないべぇな。」
逃げ出した奴らを追いかけるという考えもありますが、エッサはそれよりもこのダンジョンで待機する方が最善だと判断しました。中に入って来る勇敢な敵は高レベルの可能性が高いはずです。強い敵から先に倒す事が出来れば、残りは烏合の衆だけです。斬空波の乱れ撃ちで片っ端から灰に変えてやるつもりです。
でも、エッサの予定通りにはいかないようです。地下迷宮1階には2人の戦士が残っていました。
「なんだべぇ?逃げ出したんじゃなかったべぇか?お前達2人の顔には見覚えがあるべぇよ。アランとルナに金玉潰された可哀想な奴だべぇな。グッフフフフ、今度はオラに潰して欲しいんだべぇか?」
「テメェー!オメェーの玉玉から潰してやろうか!」
今にもマッコイはエッサに飛び掛かって行きそうでしたが、アランに止められてしまいました。
「やめろ。挑発しているだけだ。まさか、襲撃者がお前だったとはな。確かエッサだったよな?話では国外に逃亡したと聞いていたが戻って来たようだな。何をしに戻って来たのかは知らないが、警備の兵士達はどうしたんだ?」
「グッへへへへ、分かりきった事を聞くんだべぇな。知りたいならすぐに教えてやるべぇよ。あの世はないべぇが、とりあえず殺してやるべぇ。2人まとめて掛かって来るべぇよ。」
この2人に勝てなければ、エッサの復讐はここで終わりです。まずは何としても2人に勝たなければなりません。
(もしかして、全滅したべぇか?)
いやいや、それはなさそうだべぇ。あの口の軽い兵士に何時に入ったか聞くべきだったんだな。オラが襲撃する直前に入ったのなら、今の探索パーティーのレベルならば往復で8時間ぐらいだべぇかな?
殺す前に色々と聞きたい事がまだまだ残っていたようです。まあ、そこまで重要な情報ではないので、エッサも忘れていたようです。
(ふぅわ~~、お腹が一杯になったから少しだけ寝るべぇ。誰か来たら声で分かるはずだべぇ。)
念の為にエッサは小屋の中から木の扉に鍵を掛けました。誰かが来たら扉をノックする音で分かるはずです。
でも、よく考えたら警備の兵士が全員いない時点で誰でも異変に気づくはずです。そのまま王都に応援を呼ばれたら、小屋の中にいるエッサは袋のネズミです。
◆
「いやー、もう19階のボスも雑魚と一緒ですね。俺達4人だけでも倒せちゃうんですからね!」
「おいおい、大きな声で話すなよ。前衛だけだと15階までしか許可されてないんだぞ!王妃に聞かれたらアランさんはともかく、俺達は探索から外されるぞ。」
マッコイとステファンの2人が探索から戻って来たばかりなのに、元気に話しています。それほど余裕がある戦いだったのでしょう。
「おい、静かにしろ。………何かおかしい、兵士が1人もいない。」
4人の中で1番レベルが高い、レベル118のアランが周囲の異変に気付いたようです。片手剣と盾を構えて辺りを警戒し始めました。残りの3人もそれぞれの武器を構えて警戒を始めました。
「………」
「誰も襲って来ませんね?」
数分間、敵の気配を探しながら4人は地下迷宮の入り口で動かずにいましたが、全然何も起こりません。警備の兵士全員が、何処かで遊んでいるとは思えません。だとしたら、敵国が襲撃して来たので、総出で追い返しているだけなのかもしれません。
(スッ~~、ハァ~~、よし!)
軽く深呼吸して気分を落ち着かせるとアランは指示を始めました。
「ステファンとトーマスは王都に走って応援を呼んで来い。俺とマッコイは地下迷宮に入って、入って来る奴らを片っ端から倒す事にする。もしも、王都の山道を封鎖されていたら無理せずにここに戻って来るんだぞ。」
しばらく見ないうちにアランは命令を聞くだけの脳筋から、命令を下す指揮官に成長したようです。奴隷という立場からか、アランは何も考えずに言われた事をやるだけの無能な奴隷にされてしまいました。でも、エミィのお陰で本来の知的な才能をみるみる開花させたようです。
アランの指示通りにステファンとトーマスは王都に応援を呼びに走って行きました。アランもマッコイを連れて、急いで地下迷宮の中に引き返して行きました。
地下迷宮に同時に入れる人数は4人までなので、どんなに隠れている襲撃者が多くても、地下迷宮の中ならば、2対2という公平な戦いを続けられます。
「マッコイ、中に入って来た奴は生け捕りにするぞ。そうしておけば、もう誰も中に入る事は出来なくなるからな。」
「んんっ?………なるほど!そういう事ですね。あぁ~、なるほどね。」
本当にマッコイが分かっているのか疑わしいですが、とりあえずは生け捕りにする事は分かったようです。
◆
「ぐぅ~ぐぅ~ぐぅ~。……うぅ?いま何時だべぇ。」
さすがに寝過ぎたようです。1時間のつもりが部屋の壁時計を見たら2時間30分も経っていました。急いで起きると聞き耳を立てて、外の様子を窺いました。
(何も聞こえないし、人の気配もしないべぇ。もしかして、オラが寝ている間に王都に逃げたんじゃないべぇか?)
こうなったら計画台無しです。少しずつ地下迷宮にやって来る兵士を倒して、戦力を減らす事が出来なくなります。いきなり総力戦に突入してしまいます。エッサ対王都の全員です。勝てません。
まずは地下迷宮に行って、本当に中に誰もいないか調べるんだな。4人入っていたら、透明な壁に邪魔されて中には入れないはずだべぇ。
その前に喉が渇いているので軽く水分補給と水分放出です。色々とスッキリとしたので地下迷宮を調べに行きました。
スカスカと手で入り口を調べましたが、透明な壁はないようです。手応えがまったくありません。
「あっちゃーー!やっぱり逃げているべぇ。透明の壁がないべぇ。こうなったら中で入って来る奴らを待つしかないべぇな。」
逃げ出した奴らを追いかけるという考えもありますが、エッサはそれよりもこのダンジョンで待機する方が最善だと判断しました。中に入って来る勇敢な敵は高レベルの可能性が高いはずです。強い敵から先に倒す事が出来れば、残りは烏合の衆だけです。斬空波の乱れ撃ちで片っ端から灰に変えてやるつもりです。
でも、エッサの予定通りにはいかないようです。地下迷宮1階には2人の戦士が残っていました。
「なんだべぇ?逃げ出したんじゃなかったべぇか?お前達2人の顔には見覚えがあるべぇよ。アランとルナに金玉潰された可哀想な奴だべぇな。グッフフフフ、今度はオラに潰して欲しいんだべぇか?」
「テメェー!オメェーの玉玉から潰してやろうか!」
今にもマッコイはエッサに飛び掛かって行きそうでしたが、アランに止められてしまいました。
「やめろ。挑発しているだけだ。まさか、襲撃者がお前だったとはな。確かエッサだったよな?話では国外に逃亡したと聞いていたが戻って来たようだな。何をしに戻って来たのかは知らないが、警備の兵士達はどうしたんだ?」
「グッへへへへ、分かりきった事を聞くんだべぇな。知りたいならすぐに教えてやるべぇよ。あの世はないべぇが、とりあえず殺してやるべぇ。2人まとめて掛かって来るべぇよ。」
この2人に勝てなければ、エッサの復讐はここで終わりです。まずは何としても2人に勝たなければなりません。
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