禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?

もう書かないって言ったよね?

文字の大きさ
上 下
108 / 122
第8.5章・ざまぁ編(エミィの場合)。

第108話・復讐開始。

しおりを挟む
 浮遊城から降りたエッサは、このまま王都に向かうべきか考えているようです。王都には沢山の強敵がいるのです。相手の実力が分からないのに下手に乗り込んでも返り討ちに遭うだけかもしれません。

 おそらくは王都の兵士はレベル60前後だべぇ。数も50~60人が時間的に用意出来る限界だべぇな。レベル100以上も10人もいないはずだべぇ。だども………オラの予想がハズレている場合もあるんだな。ここは慎重に、まずは地下迷宮の入り口を警備する兵士と、探索中のパーティーを倒すんだべぇ。

(もしかしたら、運が良ければ、ルナかロックタに会えるんだな。ロックタならオラの仲間になるかもしれねぇ。ルナはとりあえず半殺しにして、オラの奴隷として飼ってやるんだべぇな。)

 エッサのレベルは204です。1対1ならばどんな相手にも負けるとは思えませんが、流石に10対1とか、100対1になると分からなくなります。それに地下迷宮を奪う事で、エミィ達のこれ以上のレベルアップを阻止する事が出来ます。エッサにとって地下迷宮を奪う事は戦略的に考えると重要でした。

 霊峰ミルドに出現する鳥型モンスター達がエッサに襲い掛かりますが、両手剣をブンブンと素早く二度振ると簡単に倒されて行きました。格段に強くなっている事を改めて、エッサは確認しました。

 ◆

(15人だべぇか?ちょっとした小屋まで作っているべぇ。強行作戦で行くべぇか?)

 エッサは遠くから隠れて様子を見ます。地下迷宮の入り口には見えるだけで15人の兵士が統一性のない武器や防具を装備していました。地下迷宮のランク4~6ぐらいの発掘品のようです。それでも、一般的には高性能な武具の数々でした。

 建物の大きさから、休憩小屋か、食料小屋兼アイテム小屋だべぇか?だとしたら、人が入っていても、4、5人がいいところだべぇな。さて、準備運動なんだべぇな!

 エッサはスタスタと兵士達に向かって歩き出しました。戦闘開始です。挨拶がわりの斬空波です。

「おい、見かけない奴がやって来たぞ。おい、お前、ここから先は立ち入り禁止だ。怪我したくないなら、さっさと道を引き返すんだな。」

斬空波!斬空波!2つの飛ぶ斬撃

ザァン、ザァン!サァーーー兵士アダモンド、兵士ピエール消滅

「えっ?…てっ…敵襲~~!コイツ!ピエールとアダモンドを殺しやがった!」

(なんだべぇ?コイツらHPが2000以下の雑魚共だべぇ。1人だけ残して後は一度世界から退場してもらうんだな。)

 剣技も使わずに殴って斬るだけで14人の兵士達は灰になって消えてしまいました。念の為に2つの小屋の中を調べましたが、どちらもベッドとテーブルが置かれているだけのシンプルな休憩小屋でした。

「さてさてべぇ?殘り者の処分はどうするべぇかな?」

「殺すなら、さっさと殺せ!俺は死など恐れはしない!さっさとやれ!」

 エッサは両手剣の先端を強気な兵士の目の前に向けました。ちょっと世間話がしたい気分でした。

「ヒィーー!何でもします!何でも協力させてください!」

 レベル43のマイカルという兵士は、とても人懐こくていい奴でした。両手剣で軽く突いただけであること、ないこと、ペラペラと喋ってくれました。

ザァン!サァーーー兵士マイカル消滅。』

(オラ、口の軽い男は信用しない主義だべぇ。)

 エッサは容赦なく、用済みになった兵士マイカルを斬り殺してしまいました。どうせ、生まれ変わるだけならば問題ないと思っているようです。何とも自分勝手な理屈です。

 エッサに殺された兵士達には家族も子供もいました。もう、一生家族は兵士達に会う事は出来ないのです。

「さてさて、中にいるのはマッコイ、アラン、ステファン、トーマスの4人だべぇか?アラン以外は知らない奴だべぇ。倒した兵士の持っていたランチボックスで、早めのお昼ご飯にするんだべぇな。」

 腹が減っては戦は出来ぬと言いますが、どちらかといえば、エッサはお腹は減っていません。それでも、このランチボックスの中には懐かしい酒場の料理が入っているかもしれません。

(オムライス、サンドイッチ、シチュー、ハンバーガー……もう何でもいいべぇ!)

 エッサは我慢出来ずに青色のランチボックスを期待して開けました。中には炒飯チャーハンがぎっしりと入っていました。きっと兵士の奥さんが作ってくれた料理なのでしょう。エッサはとりあえず、一口だけ食べて美味しければ、お昼ご飯はこれにするようです。

『パクパク、パクパク、パクパク………ゴックン!』

 一口だけのつもりが最後まで炒飯を残さずに食べてしまいました。何故だか分かりませんが、エッサはスプーンを止める事が出来ませんでした。

(酒場の味じゃないべぇが、何だか懐かしい味がしたべぇ。ずっ~~と前に何度も何度も食べた気がするのに思い出せないべぇ。)

 エッサとして生きる前に、前世で食べた事があるのかもしれません。そう考えるとこの世界の住民達はデータ上では1つの大家族なのかもしれません。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。 助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい… 神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた! しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった! 攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。 ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい… 知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず… 注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。

村人召喚? お前は呼んでないと追い出されたので気ままに生きる

丹辺るん
ファンタジー
本作はレジーナブックスにて書籍化されています。 ―ー勇者召喚なるものに巻き込まれて、私はサーナリア王国にやって来た。ところが私の職業は、職業とも呼べない「村人」。すぐに追い出されてしまった。 ーーでもこの世界の「村人」ってこんなに強いの? それに私すぐに…ーー

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

処理中です...