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第7章・王都追放編。
第86話・2人の刺客。
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『名前・ロックタ。職業・王都の双剣士。称号・王都の結婚したい元奴隷2位。レベル74。HP4420。MP1284。攻撃力326。魔力336。敏捷431。』
『名前・エッサ。職業・落ちぶれ魔法剣士。称号・ニートでミートの三段腹。王都のフルーツ牛乳早飲みチャンピオン。レベル28。HP1720。MP532。攻撃力138。魔力148。敏捷243。』
(勝てないのは馬鹿でも分かるべぇ。正面から攻撃しても、奇襲も意味ないべぇ。本気で戦っているフリをしながら、ショートカットで逃げられる場所まで移動するんだな。)
エッサがロックタに勝てるのは、知識だけです。霊峰ミルドの地図はまだ頭の中に入っています。ロックタのような常人では、マップデザイナーが用意した道しか通ろうとしないはずです。世の中には裏道がある事を敗北という形で、ロックタに教えてやるつもりなのでしょう。
「大気を満たす重力の鎖よ!大地を穢す罪人を戒めよ!見えざる重力の牢獄!グラビティチェーン!」
(魔法詠唱?しかも知らない魔法ですね。確かにそれならばランク8の防具を着ていても、完全には防ぐ事は出来ないでしょうね。それでも今のエッサ様の力では、私のHPの10分の1を減らす事しか出来ないでしょう。)
わざわざエッサの魔法詠唱が終わるまで、ロックタは待っていました。エッサの全力の攻撃を正面から受け止める事で、力の差をハッキリと分からせる狙いがあるようです。
『グッグッグッグッグッ!』
「うぐぅ!なるほど、この魔法は身体を重くする効果があるんですね。ふっふふふふ。これならば、敏捷だけならエッサ様の方が上になりますね。さすがはエッサ様です。これで少しはまともな戦いが出来そうですね。」
ロックタは左右に持つ、二本の剣をエッサに向けて構えました。おそらくは遠距離からエッサが魔法と剣技を組み合わせて攻撃すると判断したのでしょう。魔法だろうが、剣技だろうが、全てを剣だけで迎撃するつもりです。
「はっはははは。その魔法はダメージだけじゃないべぇ。お前の敏捷を半分にするべぇよ。油断するからそうなるんだべぇ。」
ロックタの敏捷は一時的に普段の2分の1にまで低下しました。ロックタの敏捷は現在216と、エッサの敏捷243に負けています。
「構いません。ちょうどいいハンデです。さあ、全力で攻撃してください。魔法でも剣でも好きに攻撃してください。全てを叩き潰して見せましょう。」
ロックタの話は全然聞いていません。エッサはダッダッダッと重い腹を抱えて走っています。ロックタから距離を取りたいようです。遠距離というよりも、超遠距離になって行きます。どう見ても敵前逃亡です。
(戦うわけないべぇやぁ~。普通、逃げるに決まっているべぇ。阿保なんじゃないべぇか?)
「あっ!ちょっと待ってください!エッサ様、逃げたら駄目です!戻って来てください!」
ロックタはエッサの狙いにようやく気付いたようですが、もう遅いです。追いかけようにも身体が重くて、上手く走れません。エッサの背中がどんどん小さくなって行きます。早く魔法の効果が切れないと、エッサに追いつく事が出来ません。
(駄目です!エッサ様に逃げられたら、エミィ様が追跡者を送るだけです。何とか死んだ事にさせてください。)
◆
(はっはははは。馬鹿奴隷め!オラが本気で奴隷如きと戦ってやると思ったべぇか?図に乗るんじゃないべぇ!)
ズゥサァー、ズゥサァーと急斜面を器用に滑り降りて行きます。下手すればそのまま何百メートルも転げ落ちる事もありえます。危険ですが、命を賭けないと逃げる事は出来ません。
(あれぇ~?もしかしてチャンス到来ですか?)
そんなエッサを王都から追跡していた人物がジッ~と観察していました。そうです、エッサがどんなに頑張っても最初から逃げる事が出来ないように、ある人物が追跡していました。
『名前・ルナ。職業・闇取引狩人。称号・プレイヤーキラー。貯金額1000万G突破。レベル73。HP3854。MP1257。攻撃力244。魔力256。敏捷546。』
『ビューン、ドォス!』
「ぎゃぁぁぁ~~~、へぶぅ!痛たたたたぁ。だぁ、誰だべぇ!」
崖を降りている途中に背中を激痛が襲います。そのまま崖をゴロゴロと転げ落ちると、何とか下の広い山道にぶつかって止まる事が出来ました。
キョロキョロ!キョロキョロ!とエッサは周囲を見回しますが、敵は見つかりません。そして、背中には何もありません。このおかしな状況は前にも体験した事がありました。
(この痛みは前に体験した事があるべぇ。ルナだべぇな!あの敏捷馬鹿女もオラの命を狙っていたとなると、逃げるのは難しいべぇ。背に腹は変えられないべぇ。毒除けのお守りで命の取引きをするしかないべぇ。)
『名前・エッサ。職業・落ちぶれ魔法剣士。称号・ニートでミートの三段腹。王都のフルーツ牛乳早飲みチャンピオン。レベル28。HP1720。MP532。攻撃力138。魔力148。敏捷243。』
(勝てないのは馬鹿でも分かるべぇ。正面から攻撃しても、奇襲も意味ないべぇ。本気で戦っているフリをしながら、ショートカットで逃げられる場所まで移動するんだな。)
エッサがロックタに勝てるのは、知識だけです。霊峰ミルドの地図はまだ頭の中に入っています。ロックタのような常人では、マップデザイナーが用意した道しか通ろうとしないはずです。世の中には裏道がある事を敗北という形で、ロックタに教えてやるつもりなのでしょう。
「大気を満たす重力の鎖よ!大地を穢す罪人を戒めよ!見えざる重力の牢獄!グラビティチェーン!」
(魔法詠唱?しかも知らない魔法ですね。確かにそれならばランク8の防具を着ていても、完全には防ぐ事は出来ないでしょうね。それでも今のエッサ様の力では、私のHPの10分の1を減らす事しか出来ないでしょう。)
わざわざエッサの魔法詠唱が終わるまで、ロックタは待っていました。エッサの全力の攻撃を正面から受け止める事で、力の差をハッキリと分からせる狙いがあるようです。
『グッグッグッグッグッ!』
「うぐぅ!なるほど、この魔法は身体を重くする効果があるんですね。ふっふふふふ。これならば、敏捷だけならエッサ様の方が上になりますね。さすがはエッサ様です。これで少しはまともな戦いが出来そうですね。」
ロックタは左右に持つ、二本の剣をエッサに向けて構えました。おそらくは遠距離からエッサが魔法と剣技を組み合わせて攻撃すると判断したのでしょう。魔法だろうが、剣技だろうが、全てを剣だけで迎撃するつもりです。
「はっはははは。その魔法はダメージだけじゃないべぇ。お前の敏捷を半分にするべぇよ。油断するからそうなるんだべぇ。」
ロックタの敏捷は一時的に普段の2分の1にまで低下しました。ロックタの敏捷は現在216と、エッサの敏捷243に負けています。
「構いません。ちょうどいいハンデです。さあ、全力で攻撃してください。魔法でも剣でも好きに攻撃してください。全てを叩き潰して見せましょう。」
ロックタの話は全然聞いていません。エッサはダッダッダッと重い腹を抱えて走っています。ロックタから距離を取りたいようです。遠距離というよりも、超遠距離になって行きます。どう見ても敵前逃亡です。
(戦うわけないべぇやぁ~。普通、逃げるに決まっているべぇ。阿保なんじゃないべぇか?)
「あっ!ちょっと待ってください!エッサ様、逃げたら駄目です!戻って来てください!」
ロックタはエッサの狙いにようやく気付いたようですが、もう遅いです。追いかけようにも身体が重くて、上手く走れません。エッサの背中がどんどん小さくなって行きます。早く魔法の効果が切れないと、エッサに追いつく事が出来ません。
(駄目です!エッサ様に逃げられたら、エミィ様が追跡者を送るだけです。何とか死んだ事にさせてください。)
◆
(はっはははは。馬鹿奴隷め!オラが本気で奴隷如きと戦ってやると思ったべぇか?図に乗るんじゃないべぇ!)
ズゥサァー、ズゥサァーと急斜面を器用に滑り降りて行きます。下手すればそのまま何百メートルも転げ落ちる事もありえます。危険ですが、命を賭けないと逃げる事は出来ません。
(あれぇ~?もしかしてチャンス到来ですか?)
そんなエッサを王都から追跡していた人物がジッ~と観察していました。そうです、エッサがどんなに頑張っても最初から逃げる事が出来ないように、ある人物が追跡していました。
『名前・ルナ。職業・闇取引狩人。称号・プレイヤーキラー。貯金額1000万G突破。レベル73。HP3854。MP1257。攻撃力244。魔力256。敏捷546。』
『ビューン、ドォス!』
「ぎゃぁぁぁ~~~、へぶぅ!痛たたたたぁ。だぁ、誰だべぇ!」
崖を降りている途中に背中を激痛が襲います。そのまま崖をゴロゴロと転げ落ちると、何とか下の広い山道にぶつかって止まる事が出来ました。
キョロキョロ!キョロキョロ!とエッサは周囲を見回しますが、敵は見つかりません。そして、背中には何もありません。このおかしな状況は前にも体験した事がありました。
(この痛みは前に体験した事があるべぇ。ルナだべぇな!あの敏捷馬鹿女もオラの命を狙っていたとなると、逃げるのは難しいべぇ。背に腹は変えられないべぇ。毒除けのお守りで命の取引きをするしかないべぇ。)
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