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第7章・王都追放編。
第83話・誰の子供。
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ギャラン、ロックタ、ルナの3人は、地下迷宮の探索を終えて、報告の為にエミィの自室にやって来ていました。
「報告ご苦労様でした。ルナとロックタは話があるから、このまま残ってちょうだい。ギャランは2、3日はゆっくりと休んでいてちょうだい。でも、探索は引き続きよろしくお願いね。」
「たったの2、3日かよ。たまには1、2週間ぐらい休ませてくれてもバチは当たらないぜ。」
ギャランは文句を言いながら、部屋から出て行きました。それでも、いつもに比べると、1日だけ長い休みなので嬉しいようです。地下迷宮探索で貯まったお金を使って、酒場のステーキとビールを満足するまで食って飲んで、残りは恋人1号から23号までをハシゴしながら、お金をばら撒くつもりでしょう。
「私達、15階まで下りて疲れてるんだけどなぁ~。もしかして、前に話していた、大陸中に散らばっている貴重な装備品の回収とかじゃないでしょうね?」
大陸には、1つだけしか存在しない貴重な装備品が隠されています。麻痺除けのお守りや火傷除けのお守りがあれば、特定の状態異常にならなくなるので、入手できれば探索以外でも非常に役立つアイテムです。けれども、入手できる場所を何度探しても見つかりません。特殊な条件があるのかもしれません。
「それの話じゃないわ。実は私、妊娠したの。」
「「えっ!」」
ルナとロックタはちょっとだけ驚きましたが、エミィが王様の愛人をやっているので、いつかはこんな日がやって来るだろうと予想していたようです。
「へぇ~、それはそれはおめでとうございます。これであんたは王妃様ですか。村娘がえらく出世したわねぇ~。はい!話は終わりでいいわね?」
ルナは言葉では祝福しているものの、心がまったくこもっていません。今でも、エミィによって無理矢理に働かせられているのに、王妃になられたら、更なる無理難題を押し付けられる事は目に見えていました。
「おめでとうございます。エ、エミィ様?もしかして、エミィ様にとっては子供が出来る事は嬉しくない事なんでしょうか?」
どうも、エミィ様はあまり喜んでいないようですし、王様の事が好きではないのなら、むしろ不幸なのかもしれません。好きでもない男の国で、一生王妃としての役割を果たす事は、案外苦痛なのかもしれません。
「いいえ、子供が出来た事は本当に嬉しいのよ。でもね、1つだけ問題があるの。この子が誰の子になるのかよ。」
「それって、もしかして?お腹の子がエッサの子供かもしれないって事?」
「その可能性が0%じゃないという事が問題なのよ。2人はどうすればいいと思う?」
深刻な問題なのに、何故だかルナは、顔のニヤニヤが抑えきれません。お腹の子がエッサの子供か、王様の子供かで、この先のエミィの将来が天と地ほども違います。もちろん、それはエミィだけの問題ではありません。ルナやロックタの将来にも影響が出てしまうでしょう。
地下迷宮の探索で、お金は結構貯まってあるし、以前に王様からもらった免罪符で、過去の罪は帳消しになったから、そろそろ王都から離れて、ゆっくり休むのもいいかもしれないわね。
ルナがそう思うのも仕方ありません。基本的にエミィは人使いが荒いです。エミィ自身が率先して過酷な仕事をするので、誰も仕事がキツイとは言い出しにくい状態でした。
「誰の子かは、あんたも分からないんでしょう?だったら王様の子供でいいじゃない。わざわざ飲んだくれのエッサの子供かもしれないって、王様に教えてあげるの?私なら絶対に言わないわね。」
確かに普通に考えれば、ルナの言う通りにするのが一番です。でも、エミィには未来の事が書かれた本があります。王様付きの医師に妊娠している事を教えられた後、エミィは誰にも見られないように、本を開いて、子供の父親が書かれていないか確認しました。そこには父親の名前がハッキリと書かれていました。
「2人に残ってもらったのは、子供が出来た事を話す為じゃないの。2人にはこの国の将来の為に、重要な仕事を引き受けて欲しいの。あなた達にしか頼めないとても重要な仕事よ。」
何となく、ロックタは嫌な予感がしていました。そして、その予感は的中してしまったようです。
「私の妊娠が数日後には王都の住民に発表されるわ。その前に2人には、エッサを殺して欲しいの。私が地下迷宮探索の許可をエッサに与えれば、今のアイツなら喜んで王都の外に出るはずよ。誰にも見られない場所でエッサを殺して来てちょうだい。」
エッサに妊娠の事が知られれば、自分の子供だと騒ぎを起こすかもしれません。そうならないように、あらかじめ対策を取る必要があるとエミィは考えたようです。
(悪いけど、エッサ。この国と私の為に死んでもらうわよ。)
エミィとルナはエッサを殺す事に迷いはないようですが、ロックタだけは、エミィが間違った選択を選んでしまっているようにしか思えませんでした。
「報告ご苦労様でした。ルナとロックタは話があるから、このまま残ってちょうだい。ギャランは2、3日はゆっくりと休んでいてちょうだい。でも、探索は引き続きよろしくお願いね。」
「たったの2、3日かよ。たまには1、2週間ぐらい休ませてくれてもバチは当たらないぜ。」
ギャランは文句を言いながら、部屋から出て行きました。それでも、いつもに比べると、1日だけ長い休みなので嬉しいようです。地下迷宮探索で貯まったお金を使って、酒場のステーキとビールを満足するまで食って飲んで、残りは恋人1号から23号までをハシゴしながら、お金をばら撒くつもりでしょう。
「私達、15階まで下りて疲れてるんだけどなぁ~。もしかして、前に話していた、大陸中に散らばっている貴重な装備品の回収とかじゃないでしょうね?」
大陸には、1つだけしか存在しない貴重な装備品が隠されています。麻痺除けのお守りや火傷除けのお守りがあれば、特定の状態異常にならなくなるので、入手できれば探索以外でも非常に役立つアイテムです。けれども、入手できる場所を何度探しても見つかりません。特殊な条件があるのかもしれません。
「それの話じゃないわ。実は私、妊娠したの。」
「「えっ!」」
ルナとロックタはちょっとだけ驚きましたが、エミィが王様の愛人をやっているので、いつかはこんな日がやって来るだろうと予想していたようです。
「へぇ~、それはそれはおめでとうございます。これであんたは王妃様ですか。村娘がえらく出世したわねぇ~。はい!話は終わりでいいわね?」
ルナは言葉では祝福しているものの、心がまったくこもっていません。今でも、エミィによって無理矢理に働かせられているのに、王妃になられたら、更なる無理難題を押し付けられる事は目に見えていました。
「おめでとうございます。エ、エミィ様?もしかして、エミィ様にとっては子供が出来る事は嬉しくない事なんでしょうか?」
どうも、エミィ様はあまり喜んでいないようですし、王様の事が好きではないのなら、むしろ不幸なのかもしれません。好きでもない男の国で、一生王妃としての役割を果たす事は、案外苦痛なのかもしれません。
「いいえ、子供が出来た事は本当に嬉しいのよ。でもね、1つだけ問題があるの。この子が誰の子になるのかよ。」
「それって、もしかして?お腹の子がエッサの子供かもしれないって事?」
「その可能性が0%じゃないという事が問題なのよ。2人はどうすればいいと思う?」
深刻な問題なのに、何故だかルナは、顔のニヤニヤが抑えきれません。お腹の子がエッサの子供か、王様の子供かで、この先のエミィの将来が天と地ほども違います。もちろん、それはエミィだけの問題ではありません。ルナやロックタの将来にも影響が出てしまうでしょう。
地下迷宮の探索で、お金は結構貯まってあるし、以前に王様からもらった免罪符で、過去の罪は帳消しになったから、そろそろ王都から離れて、ゆっくり休むのもいいかもしれないわね。
ルナがそう思うのも仕方ありません。基本的にエミィは人使いが荒いです。エミィ自身が率先して過酷な仕事をするので、誰も仕事がキツイとは言い出しにくい状態でした。
「誰の子かは、あんたも分からないんでしょう?だったら王様の子供でいいじゃない。わざわざ飲んだくれのエッサの子供かもしれないって、王様に教えてあげるの?私なら絶対に言わないわね。」
確かに普通に考えれば、ルナの言う通りにするのが一番です。でも、エミィには未来の事が書かれた本があります。王様付きの医師に妊娠している事を教えられた後、エミィは誰にも見られないように、本を開いて、子供の父親が書かれていないか確認しました。そこには父親の名前がハッキリと書かれていました。
「2人に残ってもらったのは、子供が出来た事を話す為じゃないの。2人にはこの国の将来の為に、重要な仕事を引き受けて欲しいの。あなた達にしか頼めないとても重要な仕事よ。」
何となく、ロックタは嫌な予感がしていました。そして、その予感は的中してしまったようです。
「私の妊娠が数日後には王都の住民に発表されるわ。その前に2人には、エッサを殺して欲しいの。私が地下迷宮探索の許可をエッサに与えれば、今のアイツなら喜んで王都の外に出るはずよ。誰にも見られない場所でエッサを殺して来てちょうだい。」
エッサに妊娠の事が知られれば、自分の子供だと騒ぎを起こすかもしれません。そうならないように、あらかじめ対策を取る必要があるとエミィは考えたようです。
(悪いけど、エッサ。この国と私の為に死んでもらうわよ。)
エミィとルナはエッサを殺す事に迷いはないようですが、ロックタだけは、エミィが間違った選択を選んでしまっているようにしか思えませんでした。
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