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第7章・王都追放編。
第84話・エッサ暗殺計画。
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エミィの部屋から出た、ロックタとルナの2人は、誰にも話を聞かれない場所に移動しました。
「へぇ~、ここがあんたの部屋なのね。本当に住んでるの?」
ルナがロックタの部屋に入ったのは初めてでした。けれども、部屋には備え付けのベッドと本棚と机が置いてあるだけでした。ロックタの私物が何もありません。
(本棚には本が一冊も入ってないし、机には書類の一枚もないわね。何処か別の場所に寝泊まりしてるとか?)
「それでルナ様、相談なのですが………。エッサ様を殺さずに逃しては駄目でしょうか?エミィ様には死んだ事にすれば問題はないはず。」
「はぁ?何言ってるのよ。地下迷宮に行ってんだから、とっくに10万Gぐらいは貯まっているでしょう。さっさとエッサにあんたの購入金額渡して、縁を切りなさいよ。馬鹿じゃないの。」
とっくにロックタは、エッサの生活費に10万Gを超えるお金を渡しています。今でも、エッサはロックタに会うたびに『金が無い、死にそうだ。』とお金を要求していました。
「これでエッサ様と関わるのは最後です。私の最後の親孝行だと思って、どうか助けてください。」
親の顔も知らずに孤児として生きて来たロックタにとっては、出会った頃のエッサこそ理想の父親像でした。今ではロクでもない飲んだくれのダメ親父ですが、王都の外に出る事さえ出来れば、何とか元の頑張り屋のエッサに戻ってくれると信じているようです。
「はぁ~、しょうがないわねぇ~。助けるのはこれで最後だからね。とりあえず、私よりも信用されているあんたが、エッサを霊峰ミルドに連れて行くのよ。2人きりになったら、そのまま山越えさせて、隣国のエプト王国に身を隠してもらいなさい。」
「ルナ様、ありがとうございます!」
(まあ、エミィはこうなると思って、私とロックタに話をしたんでしょうね。敵を騙すにはまずは味方からよね。ロックタには上手くエッサを連れて来てもらわないとね。ふっふふふふ。エッサを殺すのが楽しみだわ。)
ルナにとっては合法的な殺しです。それもエッサには脅されて、奴隷男を誘惑したり、王様のベッドの相手をさせられた事もあります。ジワジワと追い詰めて、気の済むまで痛ぶってから殺すつもりです。
◆
「本当だべぇか!また、外に出て探索を続けていいんだべぇか!………オラを喜ばせて何を企んでいるんだべぇ?」
最近のエッサはすっかり人間不信になっていました。たとえロックタの言葉でも簡単には信じられないようです。
「エミィ様に何度も頼み込んでやっと許可がもらえたんです。私が一緒に同行する事が条件なんですが、本当に王都の外に出る事が出来ますよ。」
ロックタは必死に説明しますが、エッサは疑いの目を向けたままです。
(エミィは何を企んでいるんだべぇ?オラのレベルを上げても、問題ないぐらいに強くなったという事だべぇか?それとも、飴と鞭作戦だべぇか?分かんねぇべぇ。)
2ヶ月間も自暴自棄な生活を送っていたので、上手く頭を使う事が出来ません。エミィの狙いがエッサには、さっぱり分かりません。
「エッサ様、おそらくはこれが最後のチャンスです。もしも、お断りになったら二度と王都の外に出る許可はもらえないと思います。嫌かもしれませんが、とりあえずはエミィ様の顔を立てて、外に出てくれると助かります。」
もしも、エッサが断った場合は、王都の中で戦闘になるかもしれません。エミィが恐れているのは、エッサが魔法を使えるので、炎魔法を王都の中で無差別に使われると、王都が火の海になるかもしれないという事です。
(エッサ様はかなり疑り深い性格になっているようです。下手に刺激すれば、見境なく暴れてしまうかもしれません。強引に誘わずに、エッサ様が進んで外に出たい気持ちになってもらわないといけません。)
「ロックタの今のレベルはいくつだべぇ?教えて欲しいべぇ。」
エッサから予想外の質問が飛んで来ました。別にパーティーを組めばすぐに分かる事なので、隠すような事ではありませんでした。
「エミィ様より少し下の74になります。ルナ様もだいたい同じぐらいだと思いますよ。エッサ様ならばすぐに追い越す事が出来るはずです。一緒に頑張りましょう!」
(ロックタからは敵意も騙そうとする感じもないべぇ。本当に何も企んでないんだべぇか?いやいやいや、騙されたら駄目だべぇ!絶対に何か企んでいるはずなんだな。)
「はっはははは。オラらしくもなかったべぇ!ロックタ、ありがとうなんだべぇな。これからは隠し事はなしだべぇ。確かに地下迷宮の情報は最初から持っていたべぇ。でも、オラも半信半疑で話していいかどうか、迷っていたんだべぇ。誤解させてしまった、オラの落ち度なんだな。本当にごめんなさいだべぇ。」
「エッサ様。頭を上げてください!もういいんですよ。疑いが晴れたから自由になれたんです。さあ、冒険に出掛けましょう!」
ロックタは冒険の準備を進めてます。エッサの為にランク5の防具も揃えていました。流石にランク6~8の防具は与える事は許されませんでしたが、ランク5でも2ヶ月前の王都では最高の防具でした。十分な性能です。
(オラを騙したいのなら乗ってやるべぇ。隙を見て必ず逃げ出して、本当の自由を手に入れてやるんだべぇ。その時は覚悟するんだべぇよ。)
エッサもこのままエミィに飼い殺しにされるつもりはないようです。ロックタの隙を見つけて逃げ出す計画を立て始めていました。
「へぇ~、ここがあんたの部屋なのね。本当に住んでるの?」
ルナがロックタの部屋に入ったのは初めてでした。けれども、部屋には備え付けのベッドと本棚と机が置いてあるだけでした。ロックタの私物が何もありません。
(本棚には本が一冊も入ってないし、机には書類の一枚もないわね。何処か別の場所に寝泊まりしてるとか?)
「それでルナ様、相談なのですが………。エッサ様を殺さずに逃しては駄目でしょうか?エミィ様には死んだ事にすれば問題はないはず。」
「はぁ?何言ってるのよ。地下迷宮に行ってんだから、とっくに10万Gぐらいは貯まっているでしょう。さっさとエッサにあんたの購入金額渡して、縁を切りなさいよ。馬鹿じゃないの。」
とっくにロックタは、エッサの生活費に10万Gを超えるお金を渡しています。今でも、エッサはロックタに会うたびに『金が無い、死にそうだ。』とお金を要求していました。
「これでエッサ様と関わるのは最後です。私の最後の親孝行だと思って、どうか助けてください。」
親の顔も知らずに孤児として生きて来たロックタにとっては、出会った頃のエッサこそ理想の父親像でした。今ではロクでもない飲んだくれのダメ親父ですが、王都の外に出る事さえ出来れば、何とか元の頑張り屋のエッサに戻ってくれると信じているようです。
「はぁ~、しょうがないわねぇ~。助けるのはこれで最後だからね。とりあえず、私よりも信用されているあんたが、エッサを霊峰ミルドに連れて行くのよ。2人きりになったら、そのまま山越えさせて、隣国のエプト王国に身を隠してもらいなさい。」
「ルナ様、ありがとうございます!」
(まあ、エミィはこうなると思って、私とロックタに話をしたんでしょうね。敵を騙すにはまずは味方からよね。ロックタには上手くエッサを連れて来てもらわないとね。ふっふふふふ。エッサを殺すのが楽しみだわ。)
ルナにとっては合法的な殺しです。それもエッサには脅されて、奴隷男を誘惑したり、王様のベッドの相手をさせられた事もあります。ジワジワと追い詰めて、気の済むまで痛ぶってから殺すつもりです。
◆
「本当だべぇか!また、外に出て探索を続けていいんだべぇか!………オラを喜ばせて何を企んでいるんだべぇ?」
最近のエッサはすっかり人間不信になっていました。たとえロックタの言葉でも簡単には信じられないようです。
「エミィ様に何度も頼み込んでやっと許可がもらえたんです。私が一緒に同行する事が条件なんですが、本当に王都の外に出る事が出来ますよ。」
ロックタは必死に説明しますが、エッサは疑いの目を向けたままです。
(エミィは何を企んでいるんだべぇ?オラのレベルを上げても、問題ないぐらいに強くなったという事だべぇか?それとも、飴と鞭作戦だべぇか?分かんねぇべぇ。)
2ヶ月間も自暴自棄な生活を送っていたので、上手く頭を使う事が出来ません。エミィの狙いがエッサには、さっぱり分かりません。
「エッサ様、おそらくはこれが最後のチャンスです。もしも、お断りになったら二度と王都の外に出る許可はもらえないと思います。嫌かもしれませんが、とりあえずはエミィ様の顔を立てて、外に出てくれると助かります。」
もしも、エッサが断った場合は、王都の中で戦闘になるかもしれません。エミィが恐れているのは、エッサが魔法を使えるので、炎魔法を王都の中で無差別に使われると、王都が火の海になるかもしれないという事です。
(エッサ様はかなり疑り深い性格になっているようです。下手に刺激すれば、見境なく暴れてしまうかもしれません。強引に誘わずに、エッサ様が進んで外に出たい気持ちになってもらわないといけません。)
「ロックタの今のレベルはいくつだべぇ?教えて欲しいべぇ。」
エッサから予想外の質問が飛んで来ました。別にパーティーを組めばすぐに分かる事なので、隠すような事ではありませんでした。
「エミィ様より少し下の74になります。ルナ様もだいたい同じぐらいだと思いますよ。エッサ様ならばすぐに追い越す事が出来るはずです。一緒に頑張りましょう!」
(ロックタからは敵意も騙そうとする感じもないべぇ。本当に何も企んでないんだべぇか?いやいやいや、騙されたら駄目だべぇ!絶対に何か企んでいるはずなんだな。)
「はっはははは。オラらしくもなかったべぇ!ロックタ、ありがとうなんだべぇな。これからは隠し事はなしだべぇ。確かに地下迷宮の情報は最初から持っていたべぇ。でも、オラも半信半疑で話していいかどうか、迷っていたんだべぇ。誤解させてしまった、オラの落ち度なんだな。本当にごめんなさいだべぇ。」
「エッサ様。頭を上げてください!もういいんですよ。疑いが晴れたから自由になれたんです。さあ、冒険に出掛けましょう!」
ロックタは冒険の準備を進めてます。エッサの為にランク5の防具も揃えていました。流石にランク6~8の防具は与える事は許されませんでしたが、ランク5でも2ヶ月前の王都では最高の防具でした。十分な性能です。
(オラを騙したいのなら乗ってやるべぇ。隙を見て必ず逃げ出して、本当の自由を手に入れてやるんだべぇ。その時は覚悟するんだべぇよ。)
エッサもこのままエミィに飼い殺しにされるつもりはないようです。ロックタの隙を見つけて逃げ出す計画を立て始めていました。
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