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第7章・王都追放編。
第82話・地下19階のボスモンスター。
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今日の地下迷宮探索メンバーはいつもの3人に、手の空いていた兵士を1人連れて、地下13階までの日帰りツアーです。
「まったく女はすぐに生理痛で休みやがって仕方ねぇなぁ~。」
ギャランの暴言をいちいち気にしていたら、キリがありませんが、女性探索メンバーのルナは明らかに不機嫌です。
「テメェ~のケツの穴に矢を突っ込んで、同じ目に遭わせてやろうか、この筋肉野郎。」
最初はルナも女性らしく『やめてくださいよぉ~。怒りますよぉ~。』と可愛く注意していましたが、さすがに何度も続くと『私の前を歩く時は背中に気をつけろよ。』と物騒な事を言う事が多くなりました。
(何も聞こえないです。何も見てません。)
この状況は下級兵士には地獄です。ルナは銀の矢をいつでも前の男の尻に発射出来るように構えています。定期的に王都の兵士を連れて来ては、レベルを上げていますが、元々のレベルが低いので、1回の探索でレベル30に届くぐらいしか成長しません。
「2人ともやめてください!エミィ様は疲労が蓄積しているだけです。2人のくだらない言い合いを少しでも減らせば、すぐにでも復帰出来ますよ。」
ギャランの強さは今でも王都最強です。その最強も、探索を繰り返した事で大陸最強と呼ばれるまでになりました。
『名前・ギャラン。職業・国王護衛剣士。称号・大陸最強の男。闘技場の覇王。レベル90。HP5440。MP1524。攻撃力566。魔力576。敏捷671。』
「だいたい、いつまでここの探索を続けるんだよ?地下15階のイフリートぐらいは楽に倒せるようになったから、そろそろ俺は休んでいいだろう。あとはお前達だけでも十分に探索は続けられるって。」
ギャラン達は地下迷宮探索を開始してから2ヶ月間、ほとんど休まずに働き続けていました。新メンバーのレベルも70を超えたので、いい加減休んでも許されるはずです。
「それはダメです。エミィ様にレベル100になるまでは、誰も休んだら駄目だと言われたじゃないですか。あとちょっと我慢してください。」
最近は地下19階まで下りても、ギャラン達はレベル1しか増えないようになって来ました。最低でもあと10回は地下19階の最深部まで下りないと、休む事はエミィに許可されません。たまに生理痛で休む、エミィとルナに文句を言いたくなる気持ちも少しは理解できました。
◆
『名前・全ての神。種族・邪神。レベル60。HP43500。MP不明。攻撃力465。魔力420。敏捷360。』
数週間前、エミィ達が最深部19階に到着すると、そこには神殿のような建物が4つあり、その1つ1つにボスモンスターに匹敵する強さを持つモンスターが配置されていました。4体の守護モンスターを倒す事で、全ての神と呼ばれる最後のボスモンスターに挑戦する事が出来ます。
「燃えよ燃えよ燃えよ!天に刃向かう者共よ、裁きを受けよ!地獄の業火で泣き叫べ!ファイヤーストーム!」
神というよりも完全に人にしか見えません。ボスモンスターは長い金の髪に白のフード付きローブで身を包んでいました。手にした杖を振り回して、詠唱文を唱えて炎の魔法を使用して来ました。
大木のような大きさの炎の竜巻がグルグル回りながら、向かって来ました。動きは遅いですが、逃げ続けるのは面倒そうです。
「その炎の竜巻は数分間、自動で追尾して来るから、とりあえずは逃げながら、隙を見つけて神野郎を攻撃し続けなさい!」
あの炎の竜巻に捕まれば、ほとんど終わりに近いわね。まあ、敏捷はこっちの3人の方が高いし、全員ランク7か6の防具で全身を守っているから、数十秒は直撃しても耐え切れるはずよ。
前衛3人は相変わらずの脳筋奴隷達です。ギャラン達はランク7の剣を限界まで強化して装備しているので、総攻撃力は700を超えています。それでもHPが4万を超えるボスモンスターを倒すには、時間がかかってしまいます。
「吹けよ風!捻れよ大地!吹き荒れよ、破壊の息吹!全てを引き裂き、全てを薙ぎ払え!暴風の怒り!サイクロン!」
『ガァガァガァ、パァーン!』
エミィは職業・賢者レベル41で覚える風魔法を急いで詠唱すると、神が作った炎の竜巻と激突させました。わざわざ、数分間も消えるのを待つほど暇ではありません。さっさと同系統、同程度の威力の魔法をぶつけて消し去りました。
「へっへっへっ、さすがは賢者様だぜ!今のうちにボコボコにしてやるぜ!」
ギャラン達はエミィの合図も待たずに、白ローブのボスモンスターに向かって行きました。3人とも、レベルが80を超えているか、それに近いので、問題はないとは思いますが、まだまだ慎重さが足りない脳筋でした。
◆
エミィはお城の自室で、王様付きの男性医師の問診を受けていました。
「あいつら私の言いつけも守らずに、地下19階まで下りてないでしょうね?」
3人がまた無茶して、地下深くまで下りないか心配なようです。以前にも忠告を聞かずに、地下16階まで行ったことがあるぐらいです。
「これは!エミィ様、今日から地下迷宮の探索はやめていただきます。お身体に影響しては大変でございます。」
どうやら、エミィの体調不良は深刻なようです。医師に絶対安静を言い渡されました。どうやら、エッサの願いが叶ったようです。
「そんなわけないでしょう!私は5年後も王様の側近として生きているはずよ!病気なんて何かの間違いでしょう。」
本には確かに、未来のエミィが王様の側近として活躍していると書かれていました。エミィは医師の診断を信用する事は出来ないようです。
「いえ、病気ではありません。エミィ様、よく聞いてください!エミィ様は………。」
それはエミィの予想外の答えで、大変な問題でもありました。急いで対処しないとエミィの立場が危うくなってしまいます。早く、ロックタとルナが探索から戻って来る事を祈るしかありません。
「まったく女はすぐに生理痛で休みやがって仕方ねぇなぁ~。」
ギャランの暴言をいちいち気にしていたら、キリがありませんが、女性探索メンバーのルナは明らかに不機嫌です。
「テメェ~のケツの穴に矢を突っ込んで、同じ目に遭わせてやろうか、この筋肉野郎。」
最初はルナも女性らしく『やめてくださいよぉ~。怒りますよぉ~。』と可愛く注意していましたが、さすがに何度も続くと『私の前を歩く時は背中に気をつけろよ。』と物騒な事を言う事が多くなりました。
(何も聞こえないです。何も見てません。)
この状況は下級兵士には地獄です。ルナは銀の矢をいつでも前の男の尻に発射出来るように構えています。定期的に王都の兵士を連れて来ては、レベルを上げていますが、元々のレベルが低いので、1回の探索でレベル30に届くぐらいしか成長しません。
「2人ともやめてください!エミィ様は疲労が蓄積しているだけです。2人のくだらない言い合いを少しでも減らせば、すぐにでも復帰出来ますよ。」
ギャランの強さは今でも王都最強です。その最強も、探索を繰り返した事で大陸最強と呼ばれるまでになりました。
『名前・ギャラン。職業・国王護衛剣士。称号・大陸最強の男。闘技場の覇王。レベル90。HP5440。MP1524。攻撃力566。魔力576。敏捷671。』
「だいたい、いつまでここの探索を続けるんだよ?地下15階のイフリートぐらいは楽に倒せるようになったから、そろそろ俺は休んでいいだろう。あとはお前達だけでも十分に探索は続けられるって。」
ギャラン達は地下迷宮探索を開始してから2ヶ月間、ほとんど休まずに働き続けていました。新メンバーのレベルも70を超えたので、いい加減休んでも許されるはずです。
「それはダメです。エミィ様にレベル100になるまでは、誰も休んだら駄目だと言われたじゃないですか。あとちょっと我慢してください。」
最近は地下19階まで下りても、ギャラン達はレベル1しか増えないようになって来ました。最低でもあと10回は地下19階の最深部まで下りないと、休む事はエミィに許可されません。たまに生理痛で休む、エミィとルナに文句を言いたくなる気持ちも少しは理解できました。
◆
『名前・全ての神。種族・邪神。レベル60。HP43500。MP不明。攻撃力465。魔力420。敏捷360。』
数週間前、エミィ達が最深部19階に到着すると、そこには神殿のような建物が4つあり、その1つ1つにボスモンスターに匹敵する強さを持つモンスターが配置されていました。4体の守護モンスターを倒す事で、全ての神と呼ばれる最後のボスモンスターに挑戦する事が出来ます。
「燃えよ燃えよ燃えよ!天に刃向かう者共よ、裁きを受けよ!地獄の業火で泣き叫べ!ファイヤーストーム!」
神というよりも完全に人にしか見えません。ボスモンスターは長い金の髪に白のフード付きローブで身を包んでいました。手にした杖を振り回して、詠唱文を唱えて炎の魔法を使用して来ました。
大木のような大きさの炎の竜巻がグルグル回りながら、向かって来ました。動きは遅いですが、逃げ続けるのは面倒そうです。
「その炎の竜巻は数分間、自動で追尾して来るから、とりあえずは逃げながら、隙を見つけて神野郎を攻撃し続けなさい!」
あの炎の竜巻に捕まれば、ほとんど終わりに近いわね。まあ、敏捷はこっちの3人の方が高いし、全員ランク7か6の防具で全身を守っているから、数十秒は直撃しても耐え切れるはずよ。
前衛3人は相変わらずの脳筋奴隷達です。ギャラン達はランク7の剣を限界まで強化して装備しているので、総攻撃力は700を超えています。それでもHPが4万を超えるボスモンスターを倒すには、時間がかかってしまいます。
「吹けよ風!捻れよ大地!吹き荒れよ、破壊の息吹!全てを引き裂き、全てを薙ぎ払え!暴風の怒り!サイクロン!」
『ガァガァガァ、パァーン!』
エミィは職業・賢者レベル41で覚える風魔法を急いで詠唱すると、神が作った炎の竜巻と激突させました。わざわざ、数分間も消えるのを待つほど暇ではありません。さっさと同系統、同程度の威力の魔法をぶつけて消し去りました。
「へっへっへっ、さすがは賢者様だぜ!今のうちにボコボコにしてやるぜ!」
ギャラン達はエミィの合図も待たずに、白ローブのボスモンスターに向かって行きました。3人とも、レベルが80を超えているか、それに近いので、問題はないとは思いますが、まだまだ慎重さが足りない脳筋でした。
◆
エミィはお城の自室で、王様付きの男性医師の問診を受けていました。
「あいつら私の言いつけも守らずに、地下19階まで下りてないでしょうね?」
3人がまた無茶して、地下深くまで下りないか心配なようです。以前にも忠告を聞かずに、地下16階まで行ったことがあるぐらいです。
「これは!エミィ様、今日から地下迷宮の探索はやめていただきます。お身体に影響しては大変でございます。」
どうやら、エミィの体調不良は深刻なようです。医師に絶対安静を言い渡されました。どうやら、エッサの願いが叶ったようです。
「そんなわけないでしょう!私は5年後も王様の側近として生きているはずよ!病気なんて何かの間違いでしょう。」
本には確かに、未来のエミィが王様の側近として活躍していると書かれていました。エミィは医師の診断を信用する事は出来ないようです。
「いえ、病気ではありません。エミィ様、よく聞いてください!エミィ様は………。」
それはエミィの予想外の答えで、大変な問題でもありました。急いで対処しないとエミィの立場が危うくなってしまいます。早く、ロックタとルナが探索から戻って来る事を祈るしかありません。
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