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第7章・王都追放編。
第81話・嘘つき賢者エミィ。
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現在の地下迷宮探索メンバーは8名です。ギャラン、バロン、アランの元・闘技場の奴隷剣士3人と、エミィ、ルナ、ロックタの元・エッサのパーティーメンバー3人。そして、酒場のマスターのザックとその娘のフローラの2人が加わり、2つのチームを作り、交互に探索と休息を取りながらの武具集めを続けていました。
まずは戦争に勝つ為の準備を進めないといけないわね。武具はいくらあっても足りないし、王都の兵士のレベルアップもしないといけないわね。まあ、侵略者がいつ襲って来るのか分かっているから、それまでに兵士の20人を、レベル100ぐらいまで上げれば楽勝でしょう。
エミィは1人では戦争を止める事も勝つ事も出来ないと結論を出し、まずは国王に近づき、探索部隊の指揮官と愛人の地位を手に入れました。あとはその地位を使って、王都全体の戦力を高めれば、負ける事は絶対にあり得ません。すでにレベル100を超えそうな者が何人かいるぐらいです。
「エミィ様、お呼びでしょうか?」
現在のエミィのパーティーメンバーはロックタ、ルナ、ギャランです。バロンはギャランをライバル視しているので、2人を離した方が、バロンのやる気が起きるだろうとエミィは言っていましたが、単にバロンの声が五月蝿いのが原因でした。
「えぇ、そうよ。実は気になっている事があるんだけど、あなた、まだエッサの所に通っているそうね。いい加減にエッサから離れないと駄目でしょう?ロックタが面倒を見てくれると思っているから、働きもせずに毎日毎日、ダラダラ、ゴロゴロと遊び呆けているのよ。エッサの為にも離れないとね。」
エミィの本当の狙いは、エッサの所持金が無くなって、生活費が払えない状況にする事です。王都の中でも外でも働く事が出来ないエッサはお金に困って、手持ちの装備品を売るはずです。その中には当然、毒除けのお守りもあるはずです。もちろんエッサが装備品を売らずに餓死するか、犯罪を犯して牢獄の中で自殺した後なら、家や檻の中に落ちているアイテムを拾っても何も問題ありません。殺して奪うのは簡単ですが、さすがのエミィもそこまで残酷な事は出来ませんでした。
「でも、働けずに生活費にも困っているようですし。エミィ様、エッサ様を少しだけでも王都の外に出してあげたらどうですか?」
ふっふふ。それは駄目なのよ。アイツはあの本の内容を覚えているはずだから、それを使って、とんでもない事を企むはずよ。まあ、何処か他所の国に逃げて、懲りずに権力や地位を手に入れるだけでしょうけどね。
「前にも言ったように、エッサにはスパイ容疑がかかっているのよ。私を脅して無理矢理に王様と関係を持つように強要したり、王都の強い奴隷や兵士達を故意に危険な地下迷宮に誘い出して、全員殺そうとしたのよ。私達はエッサにまんまと騙されていたのよ。そうでしょう、ロックタ?」
「そうかもしれませんが……。」
でも、エッサ様は私を、希望も持てない奴隷生活から、普通の生活へと救い出してくれた恩人です。たとえスパイだとしても、何とか王都の外で自由になって欲しいんです。
地下迷宮の内部を異様に熟知していたり、見た事もない強力な剣を持っていたりと、確かに状況証拠だけなら、エッサは怪しいです。それでも限りなく黒に近い灰色です。実際、人命に大きな被害もないので、通常ならばエッサの罰は国外追放が妥当なところです。王都に2ヶ月も軟禁する理由がありません。
「まあ、あなたの気持ちも分からない訳じゃないわ。エッサに脅されたとはいえ、こうやって王都で何不自由なく暮らせて、王様やロックタに会えたんですもの、その点では私もエッサに感謝しているわよ。でも、それはそれ、これはこれなのよ。疑いが晴れるまでは自由に出来ないの分かってね。」
「エミィ様がそこまで言うのなら、分かりました。エッサ様とは少し距離を置きたいと思います。それよりも、今日も地下迷宮に行かれるのですか?最近は顔色も良くないようですし、少しぐらいは休まれた方がいいと思いますが……。」
職業・賢者のエミィとフローラのどちらか1人は、必ず地下迷宮探索に同行するように決めていました。さすがに12歳の子供にあまり負担をかけたくないので、出来るだけエミィが多く探索に参加していました。その所為か疲労が蓄積していたようです。
「そうね、今日はお医者様に見てもらって、休む事にするわ。ギャラン達に前衛だけでも、地下13階までは進む事を許可すると伝えてちょうだい。あなたも無理しないようにね。」
今では、ロックタがエミィの右腕のような存在です。エミィと同じように、レベルも70を超えています。もう、エッサのレベル28程度では何の役には立ちません。エッサの世界を救う冒険は、完全にエミィに引き継がれてしまいました。
まずは戦争に勝つ為の準備を進めないといけないわね。武具はいくらあっても足りないし、王都の兵士のレベルアップもしないといけないわね。まあ、侵略者がいつ襲って来るのか分かっているから、それまでに兵士の20人を、レベル100ぐらいまで上げれば楽勝でしょう。
エミィは1人では戦争を止める事も勝つ事も出来ないと結論を出し、まずは国王に近づき、探索部隊の指揮官と愛人の地位を手に入れました。あとはその地位を使って、王都全体の戦力を高めれば、負ける事は絶対にあり得ません。すでにレベル100を超えそうな者が何人かいるぐらいです。
「エミィ様、お呼びでしょうか?」
現在のエミィのパーティーメンバーはロックタ、ルナ、ギャランです。バロンはギャランをライバル視しているので、2人を離した方が、バロンのやる気が起きるだろうとエミィは言っていましたが、単にバロンの声が五月蝿いのが原因でした。
「えぇ、そうよ。実は気になっている事があるんだけど、あなた、まだエッサの所に通っているそうね。いい加減にエッサから離れないと駄目でしょう?ロックタが面倒を見てくれると思っているから、働きもせずに毎日毎日、ダラダラ、ゴロゴロと遊び呆けているのよ。エッサの為にも離れないとね。」
エミィの本当の狙いは、エッサの所持金が無くなって、生活費が払えない状況にする事です。王都の中でも外でも働く事が出来ないエッサはお金に困って、手持ちの装備品を売るはずです。その中には当然、毒除けのお守りもあるはずです。もちろんエッサが装備品を売らずに餓死するか、犯罪を犯して牢獄の中で自殺した後なら、家や檻の中に落ちているアイテムを拾っても何も問題ありません。殺して奪うのは簡単ですが、さすがのエミィもそこまで残酷な事は出来ませんでした。
「でも、働けずに生活費にも困っているようですし。エミィ様、エッサ様を少しだけでも王都の外に出してあげたらどうですか?」
ふっふふ。それは駄目なのよ。アイツはあの本の内容を覚えているはずだから、それを使って、とんでもない事を企むはずよ。まあ、何処か他所の国に逃げて、懲りずに権力や地位を手に入れるだけでしょうけどね。
「前にも言ったように、エッサにはスパイ容疑がかかっているのよ。私を脅して無理矢理に王様と関係を持つように強要したり、王都の強い奴隷や兵士達を故意に危険な地下迷宮に誘い出して、全員殺そうとしたのよ。私達はエッサにまんまと騙されていたのよ。そうでしょう、ロックタ?」
「そうかもしれませんが……。」
でも、エッサ様は私を、希望も持てない奴隷生活から、普通の生活へと救い出してくれた恩人です。たとえスパイだとしても、何とか王都の外で自由になって欲しいんです。
地下迷宮の内部を異様に熟知していたり、見た事もない強力な剣を持っていたりと、確かに状況証拠だけなら、エッサは怪しいです。それでも限りなく黒に近い灰色です。実際、人命に大きな被害もないので、通常ならばエッサの罰は国外追放が妥当なところです。王都に2ヶ月も軟禁する理由がありません。
「まあ、あなたの気持ちも分からない訳じゃないわ。エッサに脅されたとはいえ、こうやって王都で何不自由なく暮らせて、王様やロックタに会えたんですもの、その点では私もエッサに感謝しているわよ。でも、それはそれ、これはこれなのよ。疑いが晴れるまでは自由に出来ないの分かってね。」
「エミィ様がそこまで言うのなら、分かりました。エッサ様とは少し距離を置きたいと思います。それよりも、今日も地下迷宮に行かれるのですか?最近は顔色も良くないようですし、少しぐらいは休まれた方がいいと思いますが……。」
職業・賢者のエミィとフローラのどちらか1人は、必ず地下迷宮探索に同行するように決めていました。さすがに12歳の子供にあまり負担をかけたくないので、出来るだけエミィが多く探索に参加していました。その所為か疲労が蓄積していたようです。
「そうね、今日はお医者様に見てもらって、休む事にするわ。ギャラン達に前衛だけでも、地下13階までは進む事を許可すると伝えてちょうだい。あなたも無理しないようにね。」
今では、ロックタがエミィの右腕のような存在です。エミィと同じように、レベルも70を超えています。もう、エッサのレベル28程度では何の役には立ちません。エッサの世界を救う冒険は、完全にエミィに引き継がれてしまいました。
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