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第7章・王都追放編。

第80話・あれから2ヶ月。

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「ひっく、ロックタァ~?フルーツ牛乳がなくなったぞぉ~。」

 あれから2ヶ月。エッサは王都の貸家で1人で生活していました。今日も昼間からフルーツ牛乳を浴びるように飲んでいました。

「チッ。また、あの尻軽女と一緒に、地下迷宮に行きやがったなぁ~。オラの奴隷まで奪い取ろうなんて、許さねぇ~。」

 尻軽女こと、エミィは、今ではエッサの代わりに地下迷宮探索の指揮を執っています。それだけでなく、エッサを王都から出さないように門番達に命令を出していました。

「ひっく、あぁ~、漏れそうだべぇ。ロックタァ~。早く帰って来いぃ~。」

 エッサはベッドから起き上がると、飲んだものをトイレに出しに行こうとしました。

『ガランガランガラン。』と床に投げ捨てた沢山の空き瓶を、エッサは蹴っ飛ばしてしまいました。何もやる気が起きずに、食って飲んで寝るだけの毎日です。

「あの奴隷め!まともに掃除も出来やしねぇ!どいつもこいつも役立たずの裏切り者め。」

 汚い言葉でロックタを罵りますが、こうなったら原因のほとんどがエッサの所為です。地下15階の砂漠地帯の情報を知っていたのに、エミィ達に意図的に隠していた事も、ロックタはもう気づいています。

 それでもロックタは、週に3回はエッサの家にやって来ては、部屋の掃除から洗濯、買い物まで済ませてから、お城の自室に帰って行きます。地下迷宮の探索後で疲れているはずですが、エッサに買われた恩を返すまでは、やめるつもりはないようです。

 エミィの所為だ!オラの本も、ルドルフの剣も、地位も、自由も、仲間も全部奪い盗って、この小さな家にオラを一生閉じ込めるつもりなんだ!。あの女はオラを苦しめて楽しみたいんだな。許さねぇ~。許さねぇぞ!

 エッサはメラメラと憎悪の炎を胸の中で燃やし続けますが、それも無駄な事です。無駄だと分かっているからこそ、エッサは家の中でフルーツ牛乳を浴びるように飲み続けています。

 エミィのエッサへの嫌がらせは、まずは地下迷宮15階から入手したランク6の兜を王様に献上した日から始まりました。最初にエッサの地下迷宮探索を王様に頼んで禁止しました。次にルナとロックタを探索メンバーとして、エッサから引き離しました。それでも、エッサは諦めずに難破船や海洋洞窟でレベル上げをしようとしましたが、ついに王都の外に出る事まで禁止されました。

『ジョボボ~~~~。』

 何とかトイレには間に合ったようです。出しては飲んで、出しては飲んでの繰り返しの毎日です。エッサはモンスターを倒さないとお金を稼ぐ事は出来ません。王都の中だけで出来る仕事を探しても、誰も雇ってくれません。これもエミィの嫌がらせです。

「ひっく、尻軽め。オラが地下迷宮で殺そうと考えていた事に気づいたんだな。うっぷぅ。ふぅ~、ちょっと飲み過ぎたようだな。」

 オラから毒除けのお守りまで盗ろうなんて、根性ねじ曲がっているやがる。ひっひひひ。まあ、最後まで持ってないとシラを切り通したべぇ。

 難破船の幽霊船長を倒すと入手できるルドルフの剣をエッサが持っているという事は、隠し金庫の毒除けのお守りも持っていても、おかしくありません。エミィは何度かエッサに聞きましたが、持ってないとエッサは答え続けました。

「まさか!難破船の隠し金庫を調べてから、オラに聞いたんじゃないのか?だとしたら、あれからオラが王都からの出られないようになったのは、その報復行為だったという訳か!あの性悪の雑草女め。地下迷宮で死ねばいいんだな。」

 現在のエミィのレベルは76まで上昇しています。レベル28のエッサでは、もう力尽くで言う事を聞かせる事も出来ません。エッサにはエミィに不幸が訪れるようにお祈りするしかありませんでした。そして、祈りはある意味、叶いました。
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