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第5章・シナリオ遂行編。
第57話・エミィの称号。
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「あっ!エミィ、お帰りなさい。もう大丈夫なの?」
「えぇ。ちょっと都会生活で疲れちゃったみたいで、田舎ではのんびりと生活していましたから。」
昼食を終えて2人で家に戻っると、ルナだけが家に残っていました。ロックタの方は地下迷宮や大森林にモンスターを倒しに行こうとしていましたが、どちらも危険だとルナに止められてしまい、今は闘技場の試合を見て修行しているらしいです。
「慣れない都会生活もそうだべぇが、昨日の難破船の影響もあるのかもしれないべぇ。危険なモンスターとの戦いは見ているだけでも、心と身体に悪影響を与えてしまっていたんだな。うんだぁ。」
何となく、2人がかりでそれぽっい事を話せば、ルナを含めた周囲の人は騙せそうです。所詮は作り物の人間なのだから、深く考える事はしないはずです。
「へぇ~~、じゃあ、これからはエミィが家の事を全部やってくれるんだね!良かったぁ~、掃除に洗濯に買い物に料理、さすがに4人分をダンジョンから帰って来てからやるんじゃ、疲れ過ぎて死んじゃうよぉ~。エッサ、エミィの代わりはどうするの?もう1人ぐらい前衛を雇った方が、ダンジョンを早くクリア出来ると私は思うよ。どうするの?」
そうだべぇ!確かに家政婦のような人が必要だべぇ。でも、エミィが料理に掃除に洗濯?不可能だべぇ!そんな器用な事が出来る女じゃねぇべぇ。うんだぁ。
「はぁ?料理なんて出来る訳ないじゃん。あんたが作りなさいよ。私がダンジョンに行くから、あんたが料理を作るのよ。」
「えっ?どうしたの、エミィ?まだ、具合が悪いんじゃないの?休んだ方がいいよ。」
エミィは明らかに不機嫌になりました。エミィの中では、ルナは家政婦扱いだったようです。村でも毎日、お花摘みという謎の仕事しかしていなかったエミィに、料理という高度な技術を扱える訳がありません。
女同士の醜い争いだべぇ。どっちもまともに家事出来ないタイプなんだな。マスターに頼んで酒場の二階に、家政婦募集の依頼を出すしかないべぇ。
「安心するんだべぇ。2人にはダンジョン探索に集中してもらうから、家政婦さんを頼むんだべぇ。家政婦さんが見つかるまではオラとロックタが掃除と洗濯をするから、エミィとルナの2人は食べたい料理を買って来て欲しいんだな。」
エッサは流石に買い物ぐらいは出来るはずだと、王都の食べ物屋さん一覧表を作成して、エミィに渡しました。そこにはエミィが今まで見た事も聞いた事もない料理の名前が沢山書かれていました。
「ねぇ、このカルボナーラって何なの?」
「食べたいなら、晩ご飯までに回復魔法の詠唱練習をするんだべぇ。一字一句間違えずに覚えないと魔法は使えないから、覚えられなかったら晩ご飯は抜きだべぇ。」
オラがどんなに頑張って覚えても、回復魔法は使えなかったべぇ。魔法剣士が使えるのは魔術師が使える攻撃魔法ぐらいなんだべぇ。その辺はしっかりとプロデューサーのルールが機能しているようなんだな。
◆
エッサの部屋で2人きりで回復魔法の練習です。エミィに習得してもらう魔法は『ヒール』と『キュア』です。ヒールは減少したHPを回復する魔法で、キュアは毒や麻痺などの状態異常を治す魔法です。
「いいべぇか?ヒールはレベル1で使えるから、エミィはもう使えるべぇ。キュアはレベル9にならないと使えないから、今すぐにレベルを確認するんだべぇ。やってみるんだべぇ。」
言われた通りに目を瞑って、エミィは自分のステータスを見ようとしています。
『名前・エミィ。職業・高飛車僧侶。称号・牢獄帰り。レベル10。HP470。MP199。攻撃力40。魔力130。敏捷128。』
「ちょ!何なのよ、これ!巫山戯んじゃないわよ!」
確かにあまり良い称号ではありませんが、他の2人はまだ称号を持っていないので、一歩リードしています。エッサのルドルフの剣を装備して合計魔力を上げれば、前衛でも活躍出来そうです。
「エミィ、気持ちは分かるべぇ。自分の職業が村人僧侶は嫌なんだべぇな。オラも最初は村人剣士だったから気持ちは分かるんだな。」
エミィはたったの2日で職業が変わって、称号も獲得してしまいました。エッサよりも才能があるのかもしれません。でも、気に入らない職業や称号は行動次第で変わるので、エミィの努力次第です。頑張りましょう。
「エミィが教えたくなくても、パーティーメンバーのステータスは確認出来るべぇ。あとで確認するから、とりあえずはヒールの呪文を教えるんだな。」
ヒールとキュアは簡単な初級回復魔法なので、エミィはすぐに覚える事は出来ました。でも、晩ご飯のカルボナーラをフォークでクルクル回しながら、エミィはずっと不機嫌なままでした。
「えぇ。ちょっと都会生活で疲れちゃったみたいで、田舎ではのんびりと生活していましたから。」
昼食を終えて2人で家に戻っると、ルナだけが家に残っていました。ロックタの方は地下迷宮や大森林にモンスターを倒しに行こうとしていましたが、どちらも危険だとルナに止められてしまい、今は闘技場の試合を見て修行しているらしいです。
「慣れない都会生活もそうだべぇが、昨日の難破船の影響もあるのかもしれないべぇ。危険なモンスターとの戦いは見ているだけでも、心と身体に悪影響を与えてしまっていたんだな。うんだぁ。」
何となく、2人がかりでそれぽっい事を話せば、ルナを含めた周囲の人は騙せそうです。所詮は作り物の人間なのだから、深く考える事はしないはずです。
「へぇ~~、じゃあ、これからはエミィが家の事を全部やってくれるんだね!良かったぁ~、掃除に洗濯に買い物に料理、さすがに4人分をダンジョンから帰って来てからやるんじゃ、疲れ過ぎて死んじゃうよぉ~。エッサ、エミィの代わりはどうするの?もう1人ぐらい前衛を雇った方が、ダンジョンを早くクリア出来ると私は思うよ。どうするの?」
そうだべぇ!確かに家政婦のような人が必要だべぇ。でも、エミィが料理に掃除に洗濯?不可能だべぇ!そんな器用な事が出来る女じゃねぇべぇ。うんだぁ。
「はぁ?料理なんて出来る訳ないじゃん。あんたが作りなさいよ。私がダンジョンに行くから、あんたが料理を作るのよ。」
「えっ?どうしたの、エミィ?まだ、具合が悪いんじゃないの?休んだ方がいいよ。」
エミィは明らかに不機嫌になりました。エミィの中では、ルナは家政婦扱いだったようです。村でも毎日、お花摘みという謎の仕事しかしていなかったエミィに、料理という高度な技術を扱える訳がありません。
女同士の醜い争いだべぇ。どっちもまともに家事出来ないタイプなんだな。マスターに頼んで酒場の二階に、家政婦募集の依頼を出すしかないべぇ。
「安心するんだべぇ。2人にはダンジョン探索に集中してもらうから、家政婦さんを頼むんだべぇ。家政婦さんが見つかるまではオラとロックタが掃除と洗濯をするから、エミィとルナの2人は食べたい料理を買って来て欲しいんだな。」
エッサは流石に買い物ぐらいは出来るはずだと、王都の食べ物屋さん一覧表を作成して、エミィに渡しました。そこにはエミィが今まで見た事も聞いた事もない料理の名前が沢山書かれていました。
「ねぇ、このカルボナーラって何なの?」
「食べたいなら、晩ご飯までに回復魔法の詠唱練習をするんだべぇ。一字一句間違えずに覚えないと魔法は使えないから、覚えられなかったら晩ご飯は抜きだべぇ。」
オラがどんなに頑張って覚えても、回復魔法は使えなかったべぇ。魔法剣士が使えるのは魔術師が使える攻撃魔法ぐらいなんだべぇ。その辺はしっかりとプロデューサーのルールが機能しているようなんだな。
◆
エッサの部屋で2人きりで回復魔法の練習です。エミィに習得してもらう魔法は『ヒール』と『キュア』です。ヒールは減少したHPを回復する魔法で、キュアは毒や麻痺などの状態異常を治す魔法です。
「いいべぇか?ヒールはレベル1で使えるから、エミィはもう使えるべぇ。キュアはレベル9にならないと使えないから、今すぐにレベルを確認するんだべぇ。やってみるんだべぇ。」
言われた通りに目を瞑って、エミィは自分のステータスを見ようとしています。
『名前・エミィ。職業・高飛車僧侶。称号・牢獄帰り。レベル10。HP470。MP199。攻撃力40。魔力130。敏捷128。』
「ちょ!何なのよ、これ!巫山戯んじゃないわよ!」
確かにあまり良い称号ではありませんが、他の2人はまだ称号を持っていないので、一歩リードしています。エッサのルドルフの剣を装備して合計魔力を上げれば、前衛でも活躍出来そうです。
「エミィ、気持ちは分かるべぇ。自分の職業が村人僧侶は嫌なんだべぇな。オラも最初は村人剣士だったから気持ちは分かるんだな。」
エミィはたったの2日で職業が変わって、称号も獲得してしまいました。エッサよりも才能があるのかもしれません。でも、気に入らない職業や称号は行動次第で変わるので、エミィの努力次第です。頑張りましょう。
「エミィが教えたくなくても、パーティーメンバーのステータスは確認出来るべぇ。あとで確認するから、とりあえずはヒールの呪文を教えるんだな。」
ヒールとキュアは簡単な初級回復魔法なので、エミィはすぐに覚える事は出来ました。でも、晩ご飯のカルボナーラをフォークでクルクル回しながら、エミィはずっと不機嫌なままでした。
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