禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか？

第4章・パーティーメンバー編。

第50話・変わるシナリオ。

『パラ。パラ。』とエッサは久し振りに本をアイテムボックスから取り出して、酒場の二階で読んでいます。村の異常を調べる為に情報を集めたいようです。エミィとルナの2人には貸家を探してもらっています。酒場のエッサの部屋に3人で暮らすのは流石に狭い上に、マスターに見つかったら怒られます。

「どういう事だべぇ？本の内容が変わっているべぇ！」

　パラ、パラと本のページをめくって調べていきます。一番の変化はエッサがサブキャラクターとして登場している事です。メインシナリオはほとんど変化していませんが、未来のエッサがエミィと結婚して、女の子の子供まで作っていました。

「オラとエミィが結婚？それよりもトリトンさんが消えて、オラが代わりにサブキャラクターになっているべぇ。それに王都の周辺に前には無かったダンジョンが複数登場しているべぇ。」

　お店の品揃えもワンランク高くなってるし、今の王都よりも数段良くなっているべぇ。オラが調べている古代遺跡の情報も載っているし、オラはどうなるんだべぇ？

　エッサの行動によって本のシナリオに変化が起こったようです。エッサが暮らすミルド王国の王都は前の王都よりも大きく成長しています。他の大陸の国も成長していましたが、明らかに王都だけは成長に格差がありました。

「オラが魔道探索部隊の隊長だべぇか？エミィ、ルナ、ロックタの4人で各地の未知のダンジョンを見つける仕事のようだべぇ。ロックタって誰だべぇ？」

　パラ、パラと本の中から、ロックタを探します。奴隷剣士でロックタは載っていました。闘技場で活躍していたロックタを未来のエッサが買い取ったようです。

「古代遺跡は地下19階で終わりのようだべぇな。本に書いてある情報をそのまま王様に報告しても良さそうだべぇが、19階のボスが落とす装備が結構高性能なんだべぇな。それに王様に報告しても証拠を見せる事が出来ないと嘘だと思われるかもしれないべぇ。やっぱり手に入れる必要がありそうだべぇ。」

　とりあえずは奴隷剣士のロックタを買い取ってきて、エミィには杖を持たせて回復魔法の練習だべぇ。4人ともレベル30になれば、地下15階ぐらいは確実に行けるはずだべぇ。あとの4階は運次第だべぇな。

「エッサぁ～、貸家が見つかったけど、6万Gで3人ぐらいは余裕で暮らせるわよ。まあ、一部屋だけはアイテム倉庫に使わせてもらうけどね！」

　エミィとルナが帰って来ました。ルナは倉庫にも使える広い倉庫付きの貸家を選んで来たようです。

　6万Gとか結構高いべぇ。今の宿代の2倍もするんだな。一日中、オラが1人でダンジョンでモンスターを倒して、７０００Gぐらいだから、何とか4人で生活は出来そうだべぇ。まずは近場で鍛錬だべぇ。

「オラはちょっと闘技場で買い物して来るべぇ。エミィとルナの2人は、難破船で戦う準備をしているんだべぇ。」

　エッサはロックタという名前を頼りに闘技場から奴隷少年を買い取って来ました。年齢は14歳とまだ活躍する前なので通常価格の10万Gで買い取って来ました。

「ご主人様、私を引き取っていただき感謝します。ご主人様の好きなようにご命令してください。」

　どうやら、ロックタはエッサが少年好きだと勘違いしているようです。そういう趣味の金持ちもいるようです。

「じゃあ、今からモンスターを倒しに行くべぇ！ロックタは剣士で前衛だべぇ。でも、レベルが10以上になるまでは、無理せず後衛で待機させるから安心するべぇ。」

　おそらくは、いま本に載っているシナリオに大きな影響を与えなければ、オラとエミィは結婚するべぇ。でも、古代遺跡の探索に失敗したり、途中でエミィか、オラが死んだ場合はシナリオがまた変わるはずなんだな。

　それに、今のシナリオを変えたい場合は、もっと大きな影響を世界に与えれば、望んだ未来にも出来るかもしれないんだな。オラの手で誰もが幸せな未来にも出来るんだな。

　再び、エッサは本を片手に冒険を始めました。エッサとエミィの幸福な未来の為に、王様の期待に応えないといけません。エッサは新しいシナリオを壊す事をやめようと考えていました。