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第4章・パーティーメンバー編。

第41話・モンスターパーティー。

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 エッサが先程倒した、首無し鎧の落としたアイテムは、ストーリー序盤に手に入る武器の槍でした。王都の店でも売っているので、価値は最低ランクのランク1ぐらいでしょう。

「新しく出て来たモンスターは、一撃では倒せなくなったから、少しは強くなったんだども、たったの二撃だべぇ。オラの中で湧き上がる、このウキウキする気分は何だべぇか?」

 ブゥンブゥンと剣の二振りで、襲い掛かって来るモンスター達を倒しながら進みます。大森林のスライムでさえ、今でも倒すには四撃は必要です。ただ、残念ながら宝箱が見つかりません。それでも遺跡の階段の前にいる強そうなモンスターを倒すと武器を必ず落としてくれます。

「このダンジョンはクリア後のエクストラダンジョンに作りは似てるんけど、モンスターが弱過ぎるから違うんだべさぁ。どちらかというと、王都の闘技場のように少しずつ相手の強さが上昇するタイプだと思うんだべさぁ。」

 道は単調な一本道です。途中で分かれ道が何回かあるだけで、罠や仕掛けもありません。モンスターは強そうなモンスターを倒した先にある階段を降りると、強くなるか、変化するようです。エッサも4体目のボスモンスターを倒した先にある階段を降りると、少しずつ苦戦するようになりました。

「こんなの聞いてないべぇ!」

 エッサは文句を言いながら、飛んで来る炎の塊を、転がるように全力回避します。

『ボオォ!』とエッサの横をファイヤーボールが通過して行きます。地下五階のモンスターは魔法を使うようです。杖を装備したトカゲのモンスター『リザードメイジ』です。後衛のリザードメイジを守るように、前衛に剣と盾を装備した『リザードナイト』と金属性のグローブをはめた『リザードファイター』が立っています。

 3対1なんて卑怯だべさぁ!1対1なら楽勝なのに、急にパーティーを組むなんて、ソロプレイヤーのオラに対しての精神攻撃なんて卑劣な作戦だべぇ。そっちが魔法ならこっちも魔法だべぇ!

「凍てつく氷の女王よ!氷の槍にて敵を撃て!アイスランス!」

 初級魔法は比較的に呪文が短いので短時間で発動出来ます。エッサが使ったのは、レベル11で覚える事が出来る氷魔法です。エッサの腕よりも太い氷の槍が、真っ直ぐにリザードメイジに向かって飛んで行きました。

『ビューン、ドォス!サァーーー。』と鋭い氷の槍は、前衛のリザードナイトとリザードファイターが急いで左右に回避した事で、後ろに隠れていたリザードメイジに直撃しました。敵ながら素早い判断力です。リザードメイジは灰になって消えていきました。

「モンスターは詠唱しないけろが、魔法を使おうとすると魔法陣が足元に出現するべぇ。魔法陣が見えたら、急いで斬空波で怯ませるべぇ。」

 戦闘はほとんど知識量で勝負が決まります。リザード系のモンスターが氷魔法に弱い事を知っているだけで、他の魔法を試す必要はありません。本に載っているバトル入門講座をしっかりと読んでいれば、ある程度の対応はバッチリです。

『ガァン!ガァン!ザァン!サァーーー。』と必死にガードする、リザードナイトの丸い盾を力尽くで叩き落とすと、エッサは剣を横に振り払って、リザードナイトを斬り倒しました。リザードナイトは灰になって消えます。

「ふぅ~~。HPは相変わらず低いけろ。でも、ほとんどがパーティーを組んで向かって来るから、これ以上先は、1人じゃ危険だべぇ。オラもそろそろ、誰かと一緒にパーティーを組む時なんだべぇ。」

 レベッカさんをパーティーに誘いたいけど、危険な目には遭わせられねぇべぇ。だとしたら、奴隷と呼ばれる人達をお金で買って、無理矢理にオラのパーティーで戦わせるしかねぇ。でも、死ぬかもしれねぇ冒険に、オラの我儘で連れて行きたくねぇ。とりあえずは今日の探索は地下五階までにして、王都に引き返すんだな。

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