上 下
31 / 122
第2章・王都入門編。

第31話・たったの二週間。

しおりを挟む
『ガァン!ガァン!ガァン!』と鍛冶屋のオジさんが力強くハンマーを剣に叩き付けます。預けたファントムソードが竃に入れられると刀身を紅く染めます。

「鍛えるには1時間はかかるから、しばらく何処かに行ってろ!そこに立っていられたら迷惑だ。」

 テクテクテクとエッサは王都の中を散策します。余計な物を購入するお金はないので見るだけです。王都で購入出来る最高の武器が片手剣の『ジェネラルソード』です。

「攻撃力が67もあるから、お金を貯めてから購入しねぇとな。でも、37000Gもするから節約しながらでも、一週間以上は必要だな。トリトン様の言う通りに、大森林でスライムを地道にコツコツと倒すしかねぇ。」

 どうせ、レベッカさんはそのうちに人妻になるんだから、ミミさんか、ハンナさんと仲良くしておいた方がいいかもしれねぇな。

「いやいや、もしかすると、もう誰かのものになってるかもしれねぇ。二人共、そこそこの美人だぁ。オラのような純情な田舎者の男心を弄んで、実は裏で小馬鹿にしていたのかもしれねぇ。やっぱり都会には人間の皮を被った化け物がいるんだあ。」

 とりあえずは1日にスライムを80匹ぐらい倒し続ければ、一週間後には、このジェネラルソードはオラの物になる。

 購入後は鍛冶屋で強化を限界まで繰り返せば、攻撃力も100以上は確実だぁ。

 それに、オラもトリトン様のような強い冒険者になれば、都会の女子もほっとかないはずさぁ。よぉ~し、オラもイケイケの冒険者を目指して頑張るどぉ~!)

 ◆

『ザァン!サァーーー。』とこれで目標の80匹のスライムを倒す事が出来ました。

「ふぅ~、畑と一緒で地味な作業が続くんだな。でも、疲れても一晩寝れば身体の疲れは消えるから、今日もさっさと宿屋に帰って風呂入って寝ねぇとな。」

 鍛冶屋のオジさんに鍛えられた、ファントムソード+1は攻撃力が26から40になっていました。

 オジさんに次の強化を依頼したら、鉄鉱石20個と4000Gを要求されました。多分、その次は鉄鉱石40個と8000Gだと思って、鍛冶屋のオジさんに聞いたら、銀鉱石30個と8000Gでした。

 この辺のダンジョンでは採掘出来ないので、やっぱりジェネラルソードが現在、手に入る最強の武器のようです。

「1日に5000Gずつ貯金して、レベッカさんに出してもらった宿屋代を3万Gを支払ったら、オラは自由の身だな。とりあえずは二週間で武器と宿屋代を用意しねぇとな。」

 あとはジェネラルソードを2回強化すれば、この辺で出来る事はもう無いな。そうなると新天地に向かって新しい武器を手に入れて、レベルアップしての繰り返しだな。何だか、永遠に続きそうだな。

「こんな事、言いたくねぇけど。やっぱり、一つの場所で普通に暮らすのが一番なんだべさぁ。普通に依頼表を毎日達成していれば十分に幸せなんだべぇ。でも、6年後には必ず戦争が起こるから、その時に後悔しない為にも、頑張るしかねぇ。」

 毎日、毎日、意味も分からずに畑を耕す為だけに生きていた村人のオラよりも、今のオラの方が何倍も幸せに胸を張って生きていると言えるだぁ。

「さぁ、たった二週間の苦労だべぇさぁ!斬って斬ってスライムを倒しまくるどぉ!」





しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

仮想戦記:蒼穹のレブナント ~ 如何にして空襲を免れるか

サクラ近衛将監
ファンタジー
 レブナントとは、フランス語で「帰る」、「戻る」、「再び来る」という意味のレヴニール(Revenir)に由来し、ここでは「死から戻って来たりし者」のこと。  昭和11年、広島市内で瀬戸物店を営む中年のオヤジが、唐突に転生者の記憶を呼び覚ます。  記憶のひとつは、百年も未来の科学者であり、無謀な者が引き起こした自動車事故により唐突に三十代の半ばで死んだ男の記憶だが、今ひとつは、その未来の男が異世界屈指の錬金術師に転生して百有余年を生きた記憶だった。  二つの記憶は、中年男の中で覚醒し、自分の住む日本が、この町が、空襲に遭って焦土に変わる未来を知っってしまった。  男はその未来を変えるべく立ち上がる。  この物語は、戦前に生きたオヤジが自ら持つ知識と能力を最大限に駆使して、焦土と化す未来を変えようとする物語である。  この物語は飽くまで仮想戦記であり、登場する人物や団体・組織によく似た人物や団体が過去にあったにしても、当該実在の人物もしくは団体とは関りが無いことをご承知おきください。    投稿は不定期ですが、一応毎週火曜日午後8時を予定しており、「アルファポリス」様、「カクヨム」様、「小説を読もう」様に同時投稿します。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

転生調理令嬢は諦めることを知らない

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。  主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。  追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。  2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。

処理中です...