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第2章・王都入門編。

第30話・現実を見よう。

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 パラパラと静かに本のページをめくります。他の人に見つかると色々と面倒な事になります。

 出現するモンスターはレベル20以上で、敏捷もオラよりも少し低い程度。1対1なら倒せる可能性もあるけど、2匹以上はオラが倒されるのは時間の問題だな。トリトン様の言う通り、まだまだ、ここに来るのは早かったな。

「いいか、エッサ?モンスターと戦う時は防具が重要なんだ。防具がないのと、あるとでは勝率も、生存率も大きく変わってくる。防具のランクは1~5あって、ランク1の防具は敵の攻撃を5%軽減する効果があって、ランクが1上がるごとに5%ずつ増えていく。ランク5は王様達が装備するような凄い防具だから、手に入れる事は一生出来ねぇけどな。」

「へぇ~~、それは知らなかったですだぁ!トリトン様は強いだけでなく、博識なんですなぁ。」

「お前も長く冒険者をやっていたら、このぐらいは覚えられるよ。だから、無理して戦おうとするんじゃないぞ。」

(はぁ~、トリトンさんには悪いけど、ランクは最高で15だっちゃ。エクストラダンジョンにランク13の武器や防具はゴロゴロ転がっているさぁ。)

「採掘はキラキラ光っている岩を触れば自動的に手に入るから、問題は狭い洞窟内をどうやってモンスターから逃げ続けるかだな?」

 おぉ!早速冒険者さん達が戦っているだぁ。あっ~~!冒険者さんが倒した後について行けば、モンスターがいないから問題ないっぺぇ。

「よぉ~し、さっさと採掘しろよ。次の採掘場所は俺だからなぁ~。」

(あれあれ?キラキラ光っていたのに、冒険者さんが触ったら、消えてしまったぞ?もしかして、最初の1人しか採掘出来ねぇルールなんのか?)

「どうした、エッサ?ぼ~っと突っ立っていたら、あの連中に鉱石を根こそぎ持っていかれるぞ。」

「一つ聞きたいんですが、トリトン様はこの洞窟のモンスターを1人で倒せますか?」

「まあ、3匹ぐらいまでなら、同時に戦えると思うが、流石に囲まれたりしたら、今でも危ないと思う時があるな。くっくくく、何だ?怖くなって来たのか?」

 この洞窟にやって来た冒険者さん達はオラとは明らかにレベルも装備も違うようです。多分、トリトン様のレベルは20以上に違いねぇ。だとしたら、攻撃力は装備と合わせて100以上だべぇ。剣技で攻撃力を倍にすれば、ダメージ400ぐれぇかな?オラの5倍の攻撃力だべぇ。

「はぁ~、トリトン様の言う通り、オラにはまだこの場所は早かったようです。もう少しだけ大森林で頑張ってみるつもりです。」

「ふっふふ。そんなのは最初から分かっていたから安心しな。さあ、今日は俺が案内するから、エッサは好きなだけ鉱石を採掘しな。でも、今日だけだからな。行くぞ!」

 やっぱり、トリトン様は救世主様のお手伝いをするだけあって、器の大きさが違うだぁ~。オラもいつかはトリトン様を陰ながら応援出来るように、頑張らねぇとな。

カンカンカン鉱石採掘中!』

 トリトン様に採掘道具まで借りてしまっただぁ。まさか、手で触るだけじゃ回収出来ないとは、うっかりと肝心な所を見落としてしまっただ。本当にオラはどうしようもない役立たずだべぇ。

「これで4ヶ所目だな。多分、ここを採掘したら目標の鉄鉱石10個は集まると思うぞ。確認して10個あったら、船着き場に一度引き返さないとな。」

「いやいや、トリトン様に戦わせてしまってばかりで、申し訳ねぇです。王都に帰ったら、お礼に酒場の料理で良かったらご馳走させてください。」

「あぁ、それは悪くねぇけど、あの店はちょっと行きづらいからゴメンな。あの店には俺の恋人が働いているからな。気まずいんだよ。」

(へぇ~、もしかして、ハンナさんかな?それとも、ミミさんかな?あっははは、まさか、レベッカさんじゃねぇよな。)

「お前の事もレベッカに聞いたんだよ。田舎から出て来たばかりの困ってる冒険者がいるから、手助けしてくれってな。普段なら相手にしねぇけど、お前は他の冒険者と何だか違うと思ったからな。まあ、そういう事だ。惚れた女の為でもあるから、気にするなよ。」

「へぇ~~、そうだったんですか。オラ、何だか儚い夢を見ていたようですだ。さあ、さっさと王都に戻りましょうか。」

 まあ、レベッカさんとは年齢が6歳も離れているし、オラとは最初から縁がないと思っていたし、全然問題ないですよぉ~。さあ、帰りましょう。


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