禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか？

第2章・王都入門編。

第18話・オムライスちゃん。

『ガァツ！ガァツ！ガァツ！』

　オムライス、美味え！都会は凄え！こんなものオラの田舎にはねぇ。母ちゃんが作っていた料理が泥団子に思える程に美味え。フローラちゃんには会えなかったけど、オムライスちゃんに会えただけでも、都会に来て良かったさぁ。

「はぁ～～～、昨日の夜から飯を食べないだけでもこんなにキツイのに、オラに冒険者なんて務まるのか？なんでもギルドに行けば誰でも簡単に登録出来て、誰でも簡単にお金を稼ぐ事が出来ると書いていたけど、そげなぁ上手い話があるわけがねぇ！うんだぁ。」

　キョロキョロ？この酒場のお客さん達は一体どうやってお金を稼いでいるけろか？オラのように武器と鎧を着ている人もチラホラといるようだけど、ほとんどの人が綺麗な服を着ているし、普通に何処にでもいそうな人達だべぇ。

「もしかしてぇ～？オラが畑を耕すのと一緒で、ここでも決められた役割を一人一人に与えてるのかもしれねぇ。だどしたら、この人達のは参考にならねぇなぁ。」

『パラ。パラ。』とエッサは明るい酒場の中で本を読みます。まだまだ最初から最後まで隅々まで読んでいません。武器図鑑とか、モンスター図鑑はほとんど目を通していません。

「この本に書かれている情報は、6年後の未来の事だから、使えねぇ時もあるぅ。だども、宝箱や出現するモンスターは正確だ。うんだぁ。だとしたら、今から2年後に、救世主様の仲間の一人の『セイレーン』様の暮らす島で戦争が起きる。プロデューサーのシナリオを壊すなら、まずはこの戦争でセイレーン様を勝たせる必要があるはずだぁ。」

　この戦争に負けて、セイレーン様は家族を失ってしまい、帝国に復讐する為だけの悲惨な人生を歩む事になるんだぁ～。セイレーン様のような綺麗な女性に武器は似合わねぇ～。オラが戦争を止めてやるぅ。

「んんっ～～～？フローラちゃんは本の中では18歳で今は6年前なら、今のフローラちゃんは12歳なんじゃねぇのか！だどしたら、牢獄に入れられるのは当然だぁ！うんだぁ。オラ、さっきの女の人にとんでもねぇ変態に思われたに違いねぇ。」

　あぁ～～、ここのオムライスちゃんを食べに来るたびにオラの事を見て、変態の田舎者が来たと陰でヒソヒソ話されるだぁ。オラ、そんな地獄には耐え切れねぇ～。何とか誤解を解く必要があるさぁ。でも、シャイなオラが都会の女の人に面白い話なんか出来る訳がねぇ。父ちゃんの鉄板ネタの猪事件を話しても、クスリとも笑わねぇさぁ。

「とりあえず明日は大森林に戻って、回収していない宝箱を開けるしかねぇ。オラの手持ちのお金じゃ、都会で二、三日目しか暮らせねぇからな。」

　ついでにレベル12のスライムを何とか倒して、オラもレベルアップしねぇとな。うんだぁ。頑張るぞぉ～！