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第一章・村人編

第8話・レベルは『1』。

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『メコメコ?』とその攻撃は知ってるだぁ~。エッサは地面の揺れを感じ取ると、急いで後方に飛び退きました。地面から6本の鋭い根が突き出します。

「大股で5歩ぐらいまで近づくと、トレントは地面から攻撃するみてぇけろぉ、揺れに注意していれば問題ないちゃ。」

(斬空波を使う事が出来たという事は、オラのレベルが1だという事は分かった。次はレベル3の剣技『牙突衝(がとつしょう)』が使えるか試してみるべぇ。)

「この技は相手の身体に武器が当たらないと、ダメージというものを与える事が出来ないけど、離れていても使う事は出来るはずだぁ。行くどぉ!牙突衝ー?おや?」

(おかしいなぁ~?本の通りなら、剣を右手に持って前方向に突き出せば、地面を滑るようにして、3メートル先の相手に高速の突きを繰り出せると書いてあるのにぃ~。言い方かぁ?)

メコメコ地震?』と地面が揺れています。

(あいやぁ~、邪魔するんじゃなか!いま、考え事の最中ばい。)

 エッサは真横に飛び退きました。本の通りなら、前方向に飛び退くと、トレントは根を伸ばす距離を縮めて調整するので、攻撃が当たってしまうらしいです。

「オラのレベルが1か2という事は分かった。本の戦闘の説明によれば、技や魔法はMPというものを消費する事で使えるらしいけどぉ~、オラが何発の斬空波を撃てるかで、オラのMPが分かるはずだぁ~。やってみるしかなかろう。行くどぉ!斬空波!斬空波!」

 剣を上段に構えて縦に振り下ろします。続けて横に振り払いました。風の唸り声を上げて、二つの斬空波がトレントに向かって真っ直ぐに飛んで行きました。

『ビューウ~~、ザァン!ザァン!』

 トレントの身体を十字に、二つの衝撃が襲い掛かりました。まだまだです。エッサの攻撃は続きます。何度も何度もトレントの身体が衝撃でグラグラと揺れますが、トレントが倒れる気配は微塵も感じらません。

「斬空波?斬空波?あれ?使えなくなったどぉ?」

(エッ~と、『メコメコ?』と何回同じ事を言えば分かるちゃ!今は回数を数えてる最中ばい!邪魔するんじなかぁ!)

 でも、怒りながらもエッサは急いで後方に飛び退きました。

「ふぅ~、確か25回使えたから、計算では、オラのMPは100~103の間という事になるちゃな。そして、25発も命中して、トレントが倒れないという事は、オラの攻撃力が低い事を意味しているちゃな。あいやぁ~、こりゃ~参ったなぁ。」

 こんな時の対処法も本にキチンと載っていました。『三十六計逃げるに如かず』勝てない相手と遭遇したら、さっさと家に逃げ帰ろうという事です。トレントは動きが遅いので、簡単に振り切る事が出来ます。それに、MPは寝るか、アイテムで回復させないと、自然には回復しません。エッサは逃げ出しました。



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