5 / 122
第一章・村人編
第5話 本物の人間
しおりを挟む
サササッと素早く茂みに隠れながら、エッサは少しずつ、歩く木に近付いて行きます。
そして、フッと子供の頃に村の子供達と一緒に『達磨さんが転んだ』で遊んだ事を思い出しました。
楽しかった思い出ですが今は楽しむ余裕はありません。
(おかしいべぇ? 何で誰もいないんだべぇ⁉︎ モンスターなんて教会が作った架空の生物だって、爺ちゃんが言ってたべぇ)
エッサはその爺さんの言葉は思い出せても、顔と名前は思い出せません。
子供の頃の記憶も断片的です。それはエッサだけでなく、村人全員です。
この世界は何かがおかしくて、何かが足りません。
ガサガサと木の葉を鳴らしながら、歩く木は宝箱が置いてある道とは、別の道に進んで行きました。
エッサの存在にはまったく気づかなかったようです。
エッサは歩く木の三メートルすぐ後ろに立っていました。
(本の通りにモンスターがいて、正面に立たなければ襲われなかったべぇ。この本の情報は正しいかもしれないべぇ。だども、それだけで全部を信じられるほどに、オラは田舎者じゃないんだべぇ!)
ダッダッダッとエッサは宝箱を目指して走って行きます。
本当にこの本が正しければ、条件に合う武器を手に持って、技の名前を叫べば、その技が使えます。
剣など一度も握った事が無いエッサが、普通はそんな技を使う事は出来ません。
「嫌だべぇ、嫌だべぇ! オラは一生畑をクワで耕す為だけに作られた人間なんかじゃねぇ! オラは本物の人間だべぇ。自分の意思で動いて喋っているだべぇ。コントローラなんか知らないべぇ」
エッサは本に書かれた情報を否定しながら、目的地の宝箱に走って行きます。
額を流れる汗も心臓の鼓動も作り物なんかじゃないと否定しています。
村の人間は笑いもすれば、怒りもします。悲しい時は涙を流します。
そんな村人達や自分が数字の『0、1』の塊なんて信じられません。
信じる訳にはいかないようです。
(父ちゃん、母ちゃん、ゴンゾウ、ハナコ、村人全員が生きている本物の人間なんだべぇ!)
息を切らして、エッサは目的の場所に辿り着きました。
この本の通りなら、右前方の茂みの中に宝箱が隠されています。
「はぁ、はぁ、はぁっ……」
テクテクテクとエッサは疲れたのか、見たくないのか、ゆっくりと歩いて行きます。
それでも宝箱が隠されている茂みに真っ直ぐに向かいます。
ガサゴソ、ガサゴソと茂みを掻き分けて、宝箱を探します。
「んっ?」
ペタと草とは違う冷たい感触が指先に伝わります。
金属、木、とエッサは指先で触って、触っている物を確認しています。
目を閉じて、決して見て確かめようとはしません。
でも、そこに何かがあるのは間違いない事実です。
「ふぅー、ふぅー、落ち着くんだべぇ! あっははははっ、きっと誰かの悪いイタズラなんだべぇ」
エッサは荒い呼吸を何とか整えると、目を開けて、両手でしっかりと茂みの中にある物を掴みました。
そして、思い切って引き摺り出しました。
そして、フッと子供の頃に村の子供達と一緒に『達磨さんが転んだ』で遊んだ事を思い出しました。
楽しかった思い出ですが今は楽しむ余裕はありません。
(おかしいべぇ? 何で誰もいないんだべぇ⁉︎ モンスターなんて教会が作った架空の生物だって、爺ちゃんが言ってたべぇ)
エッサはその爺さんの言葉は思い出せても、顔と名前は思い出せません。
子供の頃の記憶も断片的です。それはエッサだけでなく、村人全員です。
この世界は何かがおかしくて、何かが足りません。
ガサガサと木の葉を鳴らしながら、歩く木は宝箱が置いてある道とは、別の道に進んで行きました。
エッサの存在にはまったく気づかなかったようです。
エッサは歩く木の三メートルすぐ後ろに立っていました。
(本の通りにモンスターがいて、正面に立たなければ襲われなかったべぇ。この本の情報は正しいかもしれないべぇ。だども、それだけで全部を信じられるほどに、オラは田舎者じゃないんだべぇ!)
ダッダッダッとエッサは宝箱を目指して走って行きます。
本当にこの本が正しければ、条件に合う武器を手に持って、技の名前を叫べば、その技が使えます。
剣など一度も握った事が無いエッサが、普通はそんな技を使う事は出来ません。
「嫌だべぇ、嫌だべぇ! オラは一生畑をクワで耕す為だけに作られた人間なんかじゃねぇ! オラは本物の人間だべぇ。自分の意思で動いて喋っているだべぇ。コントローラなんか知らないべぇ」
エッサは本に書かれた情報を否定しながら、目的地の宝箱に走って行きます。
額を流れる汗も心臓の鼓動も作り物なんかじゃないと否定しています。
村の人間は笑いもすれば、怒りもします。悲しい時は涙を流します。
そんな村人達や自分が数字の『0、1』の塊なんて信じられません。
信じる訳にはいかないようです。
(父ちゃん、母ちゃん、ゴンゾウ、ハナコ、村人全員が生きている本物の人間なんだべぇ!)
息を切らして、エッサは目的の場所に辿り着きました。
この本の通りなら、右前方の茂みの中に宝箱が隠されています。
「はぁ、はぁ、はぁっ……」
テクテクテクとエッサは疲れたのか、見たくないのか、ゆっくりと歩いて行きます。
それでも宝箱が隠されている茂みに真っ直ぐに向かいます。
ガサゴソ、ガサゴソと茂みを掻き分けて、宝箱を探します。
「んっ?」
ペタと草とは違う冷たい感触が指先に伝わります。
金属、木、とエッサは指先で触って、触っている物を確認しています。
目を閉じて、決して見て確かめようとはしません。
でも、そこに何かがあるのは間違いない事実です。
「ふぅー、ふぅー、落ち着くんだべぇ! あっははははっ、きっと誰かの悪いイタズラなんだべぇ」
エッサは荒い呼吸を何とか整えると、目を開けて、両手でしっかりと茂みの中にある物を掴みました。
そして、思い切って引き摺り出しました。
0
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
悪役令嬢の逆襲~バッドエンドからのスタート
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
重要ミッション!悪役令嬢になってバッドエンドを回避せよ!
バッドエンドを迎えれば、ゲームの世界に閉じ込められる?!その上攻略キャラの好感度はマイナス100!バーチャルゲームの悪役令嬢は色々辛いよ
<完結済みです>
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
異世界でもプログラム
北きつね
ファンタジー
俺は、元プログラマ・・・違うな。社内の便利屋。火消し部隊を率いていた。
とあるシステムのデスマの最中に、SIer の不正が発覚。
火消しに奔走する日々。俺はどうやらシステムのカットオーバの日を見ることができなかったようだ。
転生先は、魔物も存在する、剣と魔法の世界。
魔法がをプログラムのように作り込むことができる。俺は、異世界でもプログラムを作ることができる!
---
こんな生涯をプログラマとして過ごした男が転生した世界が、魔法を”プログラム”する世界。
彼は、プログラムの知識を利用して、魔法を編み上げていく。
注)第七話+幕間2話は、現実世界の話で転生前です。IT業界の事が書かれています。
実際にあった話ではありません。”絶対”に違います。知り合いのIT業界の人に聞いたりしないでください。
第八話からが、一般的な転生ものになっています。テンプレ通りです。
注)作者が楽しむ為に書いています。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめてになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる