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第5話 ミルの町の騎士団と冒険者ギルド
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三人の案内で清は無事にミルの町に到着した。
足腰には自信があるから、数分の休憩を何回か繰り返して、予定時間内に町に到着した。
「食事の前に俺達の用事を済ませる。キヨシも付いて来い。証人がいた方が助かる」
「わ、分かったんだな」
これから三人は仕事完了の報告を騎士団に行く。
騎士団で報告書を貰って、その報告書を冒険者ギルドに提出すれば、お金が貰える。
報酬は見回り人数三人以上で、銀貨3枚の固定だ。銀貨1枚は銅貨10枚になる。
パートで働く日本人よりも安い報酬だ。
ミルの町は岩を積み上げた岩造りの一階建ての建物が多く、白い漆喰で外壁の凸凹を平らに塗り固められた後に、民家なら白いまま、店舗ならば、分かりやすいように店の名前と商品の絵を描いたりする。
コルの町もほとんど同じような町で、近場に豊富にある岩を建築資材に使っている。
木材は近場にないから、木材を使う場所は屋根や家具などの必要最低限な部分になる。
「や、やっぱり日本じゃないんだな。ゆ、夢を見ているんだな。で、でも、ほっぺをつねると痛いんだな。い、痛い夢なんだな」
清は小さな港町を歩いている気分だ。
ここがミルの町の商店街なのだろうが、人が少なく、静かで落ち着いた雰囲気がある。
清は左頬を親指と人差し指で強くつねって、痛がっている。
剣に弓に杖に、変わった服と変わった町並みだ。
こんな顔立ちの人達やこんな外国のような町は、日本を旅していた時に見た事がない。
変わった夢を見ていると思い込むと、夢の世界を楽しもうと決めた。
「な、名前は清なんだな。と、歳は20なんだな」
「それでこの国にはどうやって来たんだ?」
「あ、歩いてきたんだな」
「本当か? 海を船で渡ってないのか?」
「ほ、本当なんだな。ど、洞窟を通って、真っ白な雲の中を通って、き、気づいたらいたんだな」
「はぁー。野盗とは無関係みたいだな。って、俺まで移りそうだな。って、くそ……」
積み上げた岩壁で囲まれた、公園のような小さな騎士団に到着すると、清は騎士団員に事情を聞かれている。
騎士団の入り口で立ち話で事情を聞いていた団員は、早くも「だな」という清の口癖が移ってしまった。
この国に密入国という罰則はない。冒険者三人に、この国の人間とは違う顔立ちの吟遊画人を引き取ってもらった。
「チッ。迷子を保護したのに追加報酬も無しかよ。飯代ぐらい寄越せよな」
次の目的地である冒険者ギルドに向かいながら、自分の町のケチな騎士団にカイルは文句を言う。
自分達の仕事を安い報酬で下請けに出して、給料を貰う最低な税金泥棒だと文句を言う。
もちろん屈強な騎士団員の前では言わない。騎士団員は20人以上もいる。勝てない喧嘩はしない。
「ぼ、冒険者ギルドに行けば、し、仕事が貰えるのかな?」
「あー、貰えるけど、試験を合格しないと駄目だ。試験は一般と特別の二つがあって、一般は戦闘と乗馬が出来れば合格だ。よく知らないが特別の方は、高い実力があれば一般試験は免除されるそうだ。まあ、お前には関係ない話だな」
「何偉そうに言ってんのよ。あんたも一般合格者でしょ。私達の中で特別合格者はクレアだけよ。魔法が使える才能は珍しいんだから」
町を回って困っている人を探すよりも、冒険者ギルドで困っている人の依頼を探した方が早い。
そう思って、清はカイルに聞いた。残念ながら、この異世界の冒険者ギルドは騎士団の下請け業者だ。
誰でも簡単になれる職業ではないし、騎士団からは面倒な仕事ばかりが送られてくる。
ほとんどの冒険者が将来騎士団に入りたいか、騎士団から高額な指名依頼が来ると期待して、頑張っている人達の集まりだ。
冒険者ギルドは日本で言うところの警察学校や自衛隊学校のようなもので、冒険者は見習いや研修生扱いだ。
依頼で優秀な成果を出して、高額収入の正社員として採用されるのを期待するしかない。
「そ、そうなんだな。ク、クレアさんは、す、凄いんだな」
「そ、そんな事ないよ! 二人の方が私よりも力はあるし、私は怪我を治すぐらいしか出来ないんだから」
「確かにそうなのよね~。怪我しない日の方が多いし、回復魔法よりも攻撃魔法の方が戦闘だと助かるのよね。治療中は二人動けないから、一人で頑張らないといけないし、ちょっとは筋肉付けた方がいいんじゃない?」
「う、うん……腕立て伏せをちょっと増やそうかな」
清はクレアを誉めて、褒められたクレアは大した事ないと謙遜した。
その結果、ジェシカに滅茶苦茶にデッスられてしまった。
ジェシカはカイルにもクレアにも遠慮なく言うタイプだ。
もちろん遠慮なく言うタイプは、他にもう一人いる。カイルだ。
「人の事を言う前に、お前こそ命中率を上げろよ。3発射って、1発しか当たらないくせに」
「はぁ? 練習中なのよ。天才じゃないんだから、当てるだけマシだと思いなさいよ。あんたこそスカスカじゃない。戦闘中に空振りの練習するじゃないわよ」
「練習してねえよ! 避けられているだけなんだよ!」
「そうよね。あんた、相手にされないのが得意だから仕方ないわよね。人間にも魔物にも。あっ、人間は女限定だったわね。あっはははは。ごめんなさいね。間違えちゃって」
さっさとディスり合いを終わらせるとしよう。ようするに全員雑魚冒険者だ。
カイルとジェシカが投稿禁止ワードで、まだまだ侮辱し合っているが、報酬が貰える冒険者ギルドに到着した。
町には冒険者ギルドがC~Fランクの依頼別に4軒ある。AとBランクの依頼は騎士団で受けられる。
Cランク冒険者になると騎士団の任務に同行するようになる。ほとんど騎士団員と言ってもいいぐらいだ。
雑魚冒険者三人には関係ない話なので、この辺で終わるとしよう。
清を含めた四人がFランク冒険者ギルドに入っていく。
40人ぐらいが入れる四角い室内に床はない。土の地面が剥き出しになっている。
石を積み上げて、板を上に置いただけの受付にはFランク冒険者が雇われている。
騎士団は可愛い受付嬢を雇う金は出さない。
そんな金があるなら、騎士団に可愛い受付嬢を置くに決まっている。
「街道の見回り終わりました。こちらが報告書です」
「お疲れ様スッ。明日もあるけど、どうしますか? いざという時に走れないと困るから、しっかり休んだ方が良いスッよ」
クレアが受付にやって来ると、カウンター奥で腕立て伏せをしていた若者が立ち上がった。
ギルド受付は暇な時に訓練できるから、結構人気がある。
若者が報告書を受け取って、明日も見回りをするかと尋ねると、クレアはカイル達を見た。
カイルとジェシカは喧嘩中だ。清はキョロキョロと辺りを見回している。
「そうですね……明日は休みます」
「分かりました。すぐに報酬を用意します。ゆっくり休んでください」
「ありがとうございます」
今日は色々あって疲れている。明日も疲れる可能性が高そうだ。
19歳の最年長者のクレアは少し考えると、明日は休日にすると決定した。
足腰には自信があるから、数分の休憩を何回か繰り返して、予定時間内に町に到着した。
「食事の前に俺達の用事を済ませる。キヨシも付いて来い。証人がいた方が助かる」
「わ、分かったんだな」
これから三人は仕事完了の報告を騎士団に行く。
騎士団で報告書を貰って、その報告書を冒険者ギルドに提出すれば、お金が貰える。
報酬は見回り人数三人以上で、銀貨3枚の固定だ。銀貨1枚は銅貨10枚になる。
パートで働く日本人よりも安い報酬だ。
ミルの町は岩を積み上げた岩造りの一階建ての建物が多く、白い漆喰で外壁の凸凹を平らに塗り固められた後に、民家なら白いまま、店舗ならば、分かりやすいように店の名前と商品の絵を描いたりする。
コルの町もほとんど同じような町で、近場に豊富にある岩を建築資材に使っている。
木材は近場にないから、木材を使う場所は屋根や家具などの必要最低限な部分になる。
「や、やっぱり日本じゃないんだな。ゆ、夢を見ているんだな。で、でも、ほっぺをつねると痛いんだな。い、痛い夢なんだな」
清は小さな港町を歩いている気分だ。
ここがミルの町の商店街なのだろうが、人が少なく、静かで落ち着いた雰囲気がある。
清は左頬を親指と人差し指で強くつねって、痛がっている。
剣に弓に杖に、変わった服と変わった町並みだ。
こんな顔立ちの人達やこんな外国のような町は、日本を旅していた時に見た事がない。
変わった夢を見ていると思い込むと、夢の世界を楽しもうと決めた。
「な、名前は清なんだな。と、歳は20なんだな」
「それでこの国にはどうやって来たんだ?」
「あ、歩いてきたんだな」
「本当か? 海を船で渡ってないのか?」
「ほ、本当なんだな。ど、洞窟を通って、真っ白な雲の中を通って、き、気づいたらいたんだな」
「はぁー。野盗とは無関係みたいだな。って、俺まで移りそうだな。って、くそ……」
積み上げた岩壁で囲まれた、公園のような小さな騎士団に到着すると、清は騎士団員に事情を聞かれている。
騎士団の入り口で立ち話で事情を聞いていた団員は、早くも「だな」という清の口癖が移ってしまった。
この国に密入国という罰則はない。冒険者三人に、この国の人間とは違う顔立ちの吟遊画人を引き取ってもらった。
「チッ。迷子を保護したのに追加報酬も無しかよ。飯代ぐらい寄越せよな」
次の目的地である冒険者ギルドに向かいながら、自分の町のケチな騎士団にカイルは文句を言う。
自分達の仕事を安い報酬で下請けに出して、給料を貰う最低な税金泥棒だと文句を言う。
もちろん屈強な騎士団員の前では言わない。騎士団員は20人以上もいる。勝てない喧嘩はしない。
「ぼ、冒険者ギルドに行けば、し、仕事が貰えるのかな?」
「あー、貰えるけど、試験を合格しないと駄目だ。試験は一般と特別の二つがあって、一般は戦闘と乗馬が出来れば合格だ。よく知らないが特別の方は、高い実力があれば一般試験は免除されるそうだ。まあ、お前には関係ない話だな」
「何偉そうに言ってんのよ。あんたも一般合格者でしょ。私達の中で特別合格者はクレアだけよ。魔法が使える才能は珍しいんだから」
町を回って困っている人を探すよりも、冒険者ギルドで困っている人の依頼を探した方が早い。
そう思って、清はカイルに聞いた。残念ながら、この異世界の冒険者ギルドは騎士団の下請け業者だ。
誰でも簡単になれる職業ではないし、騎士団からは面倒な仕事ばかりが送られてくる。
ほとんどの冒険者が将来騎士団に入りたいか、騎士団から高額な指名依頼が来ると期待して、頑張っている人達の集まりだ。
冒険者ギルドは日本で言うところの警察学校や自衛隊学校のようなもので、冒険者は見習いや研修生扱いだ。
依頼で優秀な成果を出して、高額収入の正社員として採用されるのを期待するしかない。
「そ、そうなんだな。ク、クレアさんは、す、凄いんだな」
「そ、そんな事ないよ! 二人の方が私よりも力はあるし、私は怪我を治すぐらいしか出来ないんだから」
「確かにそうなのよね~。怪我しない日の方が多いし、回復魔法よりも攻撃魔法の方が戦闘だと助かるのよね。治療中は二人動けないから、一人で頑張らないといけないし、ちょっとは筋肉付けた方がいいんじゃない?」
「う、うん……腕立て伏せをちょっと増やそうかな」
清はクレアを誉めて、褒められたクレアは大した事ないと謙遜した。
その結果、ジェシカに滅茶苦茶にデッスられてしまった。
ジェシカはカイルにもクレアにも遠慮なく言うタイプだ。
もちろん遠慮なく言うタイプは、他にもう一人いる。カイルだ。
「人の事を言う前に、お前こそ命中率を上げろよ。3発射って、1発しか当たらないくせに」
「はぁ? 練習中なのよ。天才じゃないんだから、当てるだけマシだと思いなさいよ。あんたこそスカスカじゃない。戦闘中に空振りの練習するじゃないわよ」
「練習してねえよ! 避けられているだけなんだよ!」
「そうよね。あんた、相手にされないのが得意だから仕方ないわよね。人間にも魔物にも。あっ、人間は女限定だったわね。あっはははは。ごめんなさいね。間違えちゃって」
さっさとディスり合いを終わらせるとしよう。ようするに全員雑魚冒険者だ。
カイルとジェシカが投稿禁止ワードで、まだまだ侮辱し合っているが、報酬が貰える冒険者ギルドに到着した。
町には冒険者ギルドがC~Fランクの依頼別に4軒ある。AとBランクの依頼は騎士団で受けられる。
Cランク冒険者になると騎士団の任務に同行するようになる。ほとんど騎士団員と言ってもいいぐらいだ。
雑魚冒険者三人には関係ない話なので、この辺で終わるとしよう。
清を含めた四人がFランク冒険者ギルドに入っていく。
40人ぐらいが入れる四角い室内に床はない。土の地面が剥き出しになっている。
石を積み上げて、板を上に置いただけの受付にはFランク冒険者が雇われている。
騎士団は可愛い受付嬢を雇う金は出さない。
そんな金があるなら、騎士団に可愛い受付嬢を置くに決まっている。
「街道の見回り終わりました。こちらが報告書です」
「お疲れ様スッ。明日もあるけど、どうしますか? いざという時に走れないと困るから、しっかり休んだ方が良いスッよ」
クレアが受付にやって来ると、カウンター奥で腕立て伏せをしていた若者が立ち上がった。
ギルド受付は暇な時に訓練できるから、結構人気がある。
若者が報告書を受け取って、明日も見回りをするかと尋ねると、クレアはカイル達を見た。
カイルとジェシカは喧嘩中だ。清はキョロキョロと辺りを見回している。
「そうですね……明日は休みます」
「分かりました。すぐに報酬を用意します。ゆっくり休んでください」
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