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第14話 生き方は簡単には変えられない
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朝から酷い目に遭ったが、虐げられる日々は今日で終わる……かもしれない。
トリケラトプスは出現しなければ倒せないからだ。
昨日と同じようにケイト、ミア、私の三人は歩きで廃都を進んで行く。
上空から恐竜捜索中のパトリから連絡はまだ来ない。
「今日でギルっちとお別れだと思うと寂しくなるねぇ。楽しい思い出をありがとう」
右隣を歩くミアがクスンと、わざとらしい泣き真似で悲しんでいる。
トリケラトプスに殺される私を悲しんでいるようだ。
なんて優しい娘なんだろう……と思うか!
朝の土下座乗馬イベントを、私との最後の楽しい思い出にするな。
「安心していいぞ。まだまだ楽しい思い出は沢山一緒に作れるからな」
人生百年。私はまだまだ死ぬつもりはない。
親指を立てて、素敵な笑顔でミアに微笑んだ。
もうしばらくは小娘達に寄生するつもりだ。
新しい車や家を買うには、お金が沢山必要だからな。
「えぇー、ギルっちのお葬式よりも楽しい事なんてないよぉー」
あっー、なるほど。
最大のお楽しみは、これから始まる葬式イベントだったのか。
なるほど、お前達の気持ちはよ~く分かった。
だが、その予定には間違いがある。私よりも早く死ぬ人間がいるからだ。
「私の葬式を見たいようだが、それは無理だぞ。私の方が長生きするんだからな。獣人の寿命は平均五十年。私の方がミアよりも残りの寿命は長いんだ。逆に私がミアの葬式を見る方なんだからな」
「うわぁーん! ケイトぉー! ギルっちが、私に死ねって言ってるよぉー! 酷いよぉー!」
ミアは走って行くと、ケイトに抱きついた。
完全に嘘泣きだな。チラチラ、こっちを見ている。
「よしよし。酷いジジイだったね。すぐにブッ殺すから泣かないで」
「えーん、えーん」
ケイトが嘘泣きをしているミアの頭を優しく撫でている。
何だこれは? 目の前で酷い茶番劇を見せられている気分だ。
どうせ、この流れで土下座だろ?
ブッ殺されるのと、土下座するの、どっちがいい? だろ?
よっこいしょ。先に土下座しておこう。これでいいな。
空気の読める私はケイトに言われる前に、出来るだけ凹凸の少ない地面を選んで土下座した。
出来る男はやっぱり行動力が違う。誰にでも出来る事じゃない。
『ギル、仕事だよ。見つけたよ』
「えっ……」
そんな土下座中の私に、パトリからの名指し連絡がやって来た。
トリケラトプスが見つかったようだ。
もう少し連絡が早ければ、土下座する必要はなかった。
私は土下座をやめて素早く立ち上がると、無線機に応答した。
「了解。すぐに行く。どこに向かえばいいんだ?」
『うん。とりあえず北の方角に進んで行けばいいよ。すぐに見つけるから』
「分かった。北だな。すぐに向かう」
さて、仕事の時間だ。私は黒ネクタイを締め直した。
小娘二人の茶番劇に付き合っても出演料は出ないからな。
「ちょっと待って。本気で行くつもりなの?」
「当たり前じゃないか。心配しているのか?」
北に向かおうとする私をケイトが呼び止めた。
なんだかんだ言って、私の身が心配なようだ。
「当然でしょう。アビリティリング、ミスリルソード、無線機、全部壊れたら赤字になるんだから。あんたが戦うのは勝手だけど、戦う前に無線機はパトリに渡してよね。剣とリングはあげるから」
「おい! それが娘の台詞か! 私が死ぬかもしれないんだぞ!」
流石の私も我慢できなかった。強い口調でケイトに言った。
父親の命と道具、どちらが大事かなんて考える必要もない事だ。
命と金だぞ。金なんて物はいくらでも手に入るんだからな。
「馬鹿なの? 死ぬから言ってるんでしょう。本当は剣もリングも没収したいけど、それだと戦えないし、万が一もあるかもしれないでしょう。全部没収しないだけ感謝してほしいぐらいよ」
「お前って奴は! そんなに私に死んでほしいのか!」
一緒に暮らして十五年、離れて暮らして三年、再会した娘にここまで嫌われているとは思わなかった。
私の人生は一体何の為に頑張っていたのだろうか? そう思ってしまった。
だが、私は娘の本当の気持ちを分かっていなかった。馬鹿親だった。
「まだ分からないの? 行けば死ぬって言ってるの。別に戦わなくてもいいんじゃないの……」
「ケイト……」
ケイトが寂しそうに小石を蹴っ飛ばした。
コツン、コツン、コツンと道路を小石が転がっていく。
私は馬鹿だ。親の心配をしない子供がいるはずがない。
不器用ながらも、ケイトは私に行くなと伝えていたのかもしれない。
「ねぇ、ギルっち? パトリが待っているけど行かなくていいの?」
「あ、ああっ……そうだったな」
ボッーとしていた私にミアが声をかけてきた。
冷静になって考えば、わざわざ危険を冒す必要はどこにもない。
命と金だ。死ぬよりは貧乏暮らしの方が幸せなはずだ。
比較的安全なヴェロキラプトルでも倒して、稼いでいればいいんだ。
ケイトもそうやって三年間頑張って、住めるだけの車まで手に入れたんだから。
私も……私も? 私もぉ~~~?
いやいや、待て待て!
あんな狭い車の中で、これから何年間も暮らすだと⁉︎
やってられるか! こっちは横領とマイホーム暮らしで贅沢に慣れてるんだ。
恐竜倒しまくって、まだまだ贅沢三昧したいに決まっている。
心も身体も質素な暮らしに耐え切れるか。
最終学歴・高卒。営業一筋二十二年。
娘と息子の誕生日パーティーよりも、取引先との接待ゴルフ。
今まで家族を犠牲にしてきた私に、今更家族サービスしたいなんて気持ちはない。
私は大口の取引先にビビって逃げ出すような腰抜け営業じゃない。
小金持っているだけの、一人暮らし未亡人程度のトリケラトプスにビビっていられない。
相手は独居老人。いつも通り、ガンガン押し売ればいい。
よし! やってやるぞぉーーー‼︎
「うおおおおおおおお!」
「ちょっと⁉︎ 死ぬわよ! いいの!」
気合を入れると、娘の声を無視して私は走り出した。
もう迷わない。無線機から『戻って来い』とケイトの怒鳴り声が聞こえてくるが、無視してやった。
とりあえず当たって砕けろ。これが私の生き様だ。
♢
トリケラトプスは出現しなければ倒せないからだ。
昨日と同じようにケイト、ミア、私の三人は歩きで廃都を進んで行く。
上空から恐竜捜索中のパトリから連絡はまだ来ない。
「今日でギルっちとお別れだと思うと寂しくなるねぇ。楽しい思い出をありがとう」
右隣を歩くミアがクスンと、わざとらしい泣き真似で悲しんでいる。
トリケラトプスに殺される私を悲しんでいるようだ。
なんて優しい娘なんだろう……と思うか!
朝の土下座乗馬イベントを、私との最後の楽しい思い出にするな。
「安心していいぞ。まだまだ楽しい思い出は沢山一緒に作れるからな」
人生百年。私はまだまだ死ぬつもりはない。
親指を立てて、素敵な笑顔でミアに微笑んだ。
もうしばらくは小娘達に寄生するつもりだ。
新しい車や家を買うには、お金が沢山必要だからな。
「えぇー、ギルっちのお葬式よりも楽しい事なんてないよぉー」
あっー、なるほど。
最大のお楽しみは、これから始まる葬式イベントだったのか。
なるほど、お前達の気持ちはよ~く分かった。
だが、その予定には間違いがある。私よりも早く死ぬ人間がいるからだ。
「私の葬式を見たいようだが、それは無理だぞ。私の方が長生きするんだからな。獣人の寿命は平均五十年。私の方がミアよりも残りの寿命は長いんだ。逆に私がミアの葬式を見る方なんだからな」
「うわぁーん! ケイトぉー! ギルっちが、私に死ねって言ってるよぉー! 酷いよぉー!」
ミアは走って行くと、ケイトに抱きついた。
完全に嘘泣きだな。チラチラ、こっちを見ている。
「よしよし。酷いジジイだったね。すぐにブッ殺すから泣かないで」
「えーん、えーん」
ケイトが嘘泣きをしているミアの頭を優しく撫でている。
何だこれは? 目の前で酷い茶番劇を見せられている気分だ。
どうせ、この流れで土下座だろ?
ブッ殺されるのと、土下座するの、どっちがいい? だろ?
よっこいしょ。先に土下座しておこう。これでいいな。
空気の読める私はケイトに言われる前に、出来るだけ凹凸の少ない地面を選んで土下座した。
出来る男はやっぱり行動力が違う。誰にでも出来る事じゃない。
『ギル、仕事だよ。見つけたよ』
「えっ……」
そんな土下座中の私に、パトリからの名指し連絡がやって来た。
トリケラトプスが見つかったようだ。
もう少し連絡が早ければ、土下座する必要はなかった。
私は土下座をやめて素早く立ち上がると、無線機に応答した。
「了解。すぐに行く。どこに向かえばいいんだ?」
『うん。とりあえず北の方角に進んで行けばいいよ。すぐに見つけるから』
「分かった。北だな。すぐに向かう」
さて、仕事の時間だ。私は黒ネクタイを締め直した。
小娘二人の茶番劇に付き合っても出演料は出ないからな。
「ちょっと待って。本気で行くつもりなの?」
「当たり前じゃないか。心配しているのか?」
北に向かおうとする私をケイトが呼び止めた。
なんだかんだ言って、私の身が心配なようだ。
「当然でしょう。アビリティリング、ミスリルソード、無線機、全部壊れたら赤字になるんだから。あんたが戦うのは勝手だけど、戦う前に無線機はパトリに渡してよね。剣とリングはあげるから」
「おい! それが娘の台詞か! 私が死ぬかもしれないんだぞ!」
流石の私も我慢できなかった。強い口調でケイトに言った。
父親の命と道具、どちらが大事かなんて考える必要もない事だ。
命と金だぞ。金なんて物はいくらでも手に入るんだからな。
「馬鹿なの? 死ぬから言ってるんでしょう。本当は剣もリングも没収したいけど、それだと戦えないし、万が一もあるかもしれないでしょう。全部没収しないだけ感謝してほしいぐらいよ」
「お前って奴は! そんなに私に死んでほしいのか!」
一緒に暮らして十五年、離れて暮らして三年、再会した娘にここまで嫌われているとは思わなかった。
私の人生は一体何の為に頑張っていたのだろうか? そう思ってしまった。
だが、私は娘の本当の気持ちを分かっていなかった。馬鹿親だった。
「まだ分からないの? 行けば死ぬって言ってるの。別に戦わなくてもいいんじゃないの……」
「ケイト……」
ケイトが寂しそうに小石を蹴っ飛ばした。
コツン、コツン、コツンと道路を小石が転がっていく。
私は馬鹿だ。親の心配をしない子供がいるはずがない。
不器用ながらも、ケイトは私に行くなと伝えていたのかもしれない。
「ねぇ、ギルっち? パトリが待っているけど行かなくていいの?」
「あ、ああっ……そうだったな」
ボッーとしていた私にミアが声をかけてきた。
冷静になって考えば、わざわざ危険を冒す必要はどこにもない。
命と金だ。死ぬよりは貧乏暮らしの方が幸せなはずだ。
比較的安全なヴェロキラプトルでも倒して、稼いでいればいいんだ。
ケイトもそうやって三年間頑張って、住めるだけの車まで手に入れたんだから。
私も……私も? 私もぉ~~~?
いやいや、待て待て!
あんな狭い車の中で、これから何年間も暮らすだと⁉︎
やってられるか! こっちは横領とマイホーム暮らしで贅沢に慣れてるんだ。
恐竜倒しまくって、まだまだ贅沢三昧したいに決まっている。
心も身体も質素な暮らしに耐え切れるか。
最終学歴・高卒。営業一筋二十二年。
娘と息子の誕生日パーティーよりも、取引先との接待ゴルフ。
今まで家族を犠牲にしてきた私に、今更家族サービスしたいなんて気持ちはない。
私は大口の取引先にビビって逃げ出すような腰抜け営業じゃない。
小金持っているだけの、一人暮らし未亡人程度のトリケラトプスにビビっていられない。
相手は独居老人。いつも通り、ガンガン押し売ればいい。
よし! やってやるぞぉーーー‼︎
「うおおおおおおおお!」
「ちょっと⁉︎ 死ぬわよ! いいの!」
気合を入れると、娘の声を無視して私は走り出した。
もう迷わない。無線機から『戻って来い』とケイトの怒鳴り声が聞こえてくるが、無視してやった。
とりあえず当たって砕けろ。これが私の生き様だ。
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