会社を横領解雇された営業至上主義の親父。どこにも再就職出来ないので、三年前に家出した娘のキャンピングカーで雇ってもらう事にした。
営業一筋二十二年のギルバート(四十歳)は金髪のオールバックに、薄い口髭と顎髭を生やしたダンディな営業マンだった。
真っ赤なオープンカーを乗り回し、三十年ローンのマイホームに、妻と息子と住んでいた。
娘は三年前に家を飛び出したが、それを除けば絵に描いたような幸せな家族だと言ってもいい男だった。
そう、全ては過去の出来事だ。彼は会社の金を横領した結果、仕事、車、家、金……そして、家族まで失ってしまった。
今の彼に残されたものは、段ボールに入った私物と、着ているワイシャツ、トランクス、黒靴下だけになってしまった。
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娘は三年前に家を飛び出したが、それを除けば絵に描いたような幸せな家族だと言ってもいい男だった。
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