アマゾネスの異男児

もう書かないって言ったよね?

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18・四等星試験

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「じゃあ不死って凄く強い《設定》なんじゃないですか? 絶対に死なないんですよね」

 悪魔は拳星師匠の拳をあれだけ喰らって生きてたんだ。
 やっぱり最強の設定は存在すると思う。

「あれはちょっと意味が違うよ。不死は不死でも、彼女が作った薬を服用しても死なないってだけ。それが毒薬だとしてもね」
「んーん? それって何かの役に立つんですか?」
 
 凄い設定だと思ったのに、なんか思っていたとの違った。
 毒薬なのに死なないって、それってほとんど水じゃん。
 これだと《無敵》とか《最強》とか設定できたとしても、なんか違うものになりそうだ。
 なになに限定で無敵とか最強になれるスキルだ。

「役に立つわよ。じゃなければ一等星にはなれないよ」
「まあ、そうですよね」

 どう役に立つのか分からないけど、確かに島にいる一等星は両手の指で数える程度だ。
 その中の一人なんだから凄いことは分かる。尊敬はまったく出来ないけれど。

「簡単に説明すると、どんな傷も治せる強力な回復薬があるとして、それを飲んだら副作用で死んでしまう。それだと意味ないでしょ?」
「まあ、そうですね」

 そりゃそうだ。それだと回復薬という名の毒薬だ。

「でも、彼女の薬ならどんな強力な薬も死なずに服用できる。普通は死ぬような薬でも、痛み程度の副作用で使用できる。彼女はそうやって自分の身体を不死に近い身体に改造したのさ」
「へぇー、そうなんですね」

 魔星様が親切丁寧に教えてくれたけど。
 ごめんなさい。僕、子供なのでよく分からないです。
 ようするにやっぱり不死なんですよね?

「さて、話を戻そうか。四等星になる条件、その二だ。《四等星試験》に合格する。ちなみに君が四等星になる方法はこれしかない」
「なるほど。それってどんなのですか?」

 やっと聞くべき話が聞ける時が来たみたいだ。
 キラリと目を輝かせて、魔星様に話の続きを促した。

「四等星試験は月に一回あるからこれに参加する。もちろん合格すれば、晴れて四等星だ。でも、スキルを持っている人でも不合格になる程度には難しい試験でもある」
「なるほど。それで試験ってどんなことをやればいいんですか?」

 合格するつもりしかないから、不合格になった時のことは考えない。
 もしも不合格になった時はその時に考えればいい。
 死ぬような罰はないはずだ。

「150年前の私の時と試験内容が同じなら、《ダンジョン探索》になるね。島の何ヶ所かにダンジョンが設置されているから、その中から宝箱に入った遺物を三個持って帰れれば合格になるよ」
「……」

 150年前? 最初の衝撃が大き過ぎて、後の話が頭に入らなかった。
 肉屋のババアの二倍、超ババ——いやいや、お姉様だ。
 お姉様で間違いない。うんうん。

「《ダンジョン》って何ですか?」

 無理矢理納得すると魔星様に聞いた。

「ん? まだ行ったことなかったんだ。リーゼットなら速攻で行かせてると思ったんだけど」
「いえ、ダンジョンなんて初めて聞きました。何かの道場ですか?」
「うーん、道場と言えば道場かな。言い伝えによるとスキル《移動》、設定《ダンジョン》を持つエルフがいて、その人物がこの島に各地のダンジョンを持ってきたそうだ。そのお陰でこの小さな島にダンジョンが複数存在している。その中で試験が行われるのは下から二番目の《Eランク》だ」

 魔星様の話をまとめると、ダンジョンと呼ばれる魔物が出る場所があって、そこからお宝を持ってくるだけの簡単な試験だ。
 つまりはお使いだ。しかも、お金を払う必要がないからタダで手に入る。
 だから、食料とかも手に入るダンジョンは島の人にとっては重宝されている店になる。

 こんな場所があるなら早く教えて欲しかった。
 知っていたら、食べ物にも困らないし、師匠の地獄の鍛錬なんて受ける必要なんかなかった。
 きっと、だから教えなかったんだろう。もうダンジョンの近くで暮らそうかな?

「じゃあ、話はここで終わり。今日はゆっくり休んで明日の朝、リーゼットの所に戻りなさい。キチンと謝れば許してくれるはずよ」
「はい……」

 それはない。師匠は人間の皮を被った第二の悪魔だ。
 優しい魔星様に素直に返事すると、案内されたベッドに寝かせてもらった。
 良い匂いがするベッドで、きっと魔星様が寝ているんだろう。
 師匠のベッドならこんな匂いはしないだろうな。


 たっぷり熟睡した後、朝ご飯まで食べさせてもらった。
 もうここからダンジョンに通った方がいいけど、約束したから仕方ない。
 天使の家を出発して、悪魔達が住む家を目指した。

「ハァハァ、ハァハァ」

 まずは日課の早朝ランニング2時間だ。
 今日は邪魔者の悪魔が現れないだろうから、初めての挑戦になる。
 もしも2時間以内に悪魔の家に到着できれば、良くやったと僕だけは僕を褒めてあげよう。
 きっと師匠は褒めずに火炙りの刑にするだけだろうからね。

「ッ!」

 魔星様に教えてもらった町の方向を目指して進んでいると、ゾクッと全身に悪寒が走った。
 この嫌な気配には嫌というほど身に覚えがある。

「見つけたぁー!」

 悪魔が現れた。白い髪の方の悪魔だ。
 真っ白な白衣に泥がついている。僕を探して森の中を駆け回っていたのだろう。
 なんてしつこい奴なんだ。

「お願いがあります!」
「?」

 でも、新師匠と約束したんだ。逃げるわけにはいかない。
 立ち止まると悪魔に向かって言った。

「僕を弟子にしてください!」
「……」

 魔星様の言う通り、誰とでも弟子なる軽い奴だけど仕方ない。
 何か狙いがあるのかと、悪魔が動きを止めている。

 ハッキリ言えば、注射されても死なないともう分かっているから怖くない。
 そして、氣は拳星様から、魔法は魔星様から教えてもらえる。
 コイツから教わることは薬の調合技術だけだ。
 それもスキルがない一般人でも作れるマトモな薬限定だ。
 痛い薬打たれるか、殴られるかよりも、勉強した方が百倍マシだ。
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